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第三章「砂漠の国編」
野良猫プロデュース
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シルクは猫みたいな男だった。
朝、叩き起こしに行くと低血圧なのかなかなか起きず不機嫌だったが、飯の事を言ったら急に元気になった。
ゴロゴロとゴマを摩ってくるので、そんな事をしなくても飯は食わせると言って引き離した。
そして今、がつがつと落ち着きなく食らいついてる。
「あのさ~別にとりゃしないから、落ち着いて食えば?」
そう言うと、細い猫目が俺をちらりと見た。
ぺろりと指を舐め、座り直した。
「何であんた、俺なんかに構うの?」
粗方食べ終えて満足したのか、気持ちと態度がゆったりしている。
俺は口に残っていたサンドイッチを飲み込む。
「昨日、言った。」
「あれ、マジな訳!?」
「俺は言ったらやる。覚悟しとけ。」
「ええ~面倒くさい~。飯が食えば別にいい~。」
「現状、まともに食えてるように見えないけどな。」
俺はそう言って、砂糖がこれでもかと言うほど入った濃い粉コーヒーを飲んだ。
口の中が少し粉っぽいが、美味しい。
痛いところをつかれたのか、シルクは不機嫌そうだ。
行儀悪く、椅子に膝を立てて足を乗せて、ぶつぶつ言っている。
これはかなり基本的な部分から叩き込まないと駄目だろう。
「そんなに飯が食えばいいだけなら、何で誰かに飼われないんだ?」
そう、楽に食えばいいだけなら、誰かに飼われればいい。
今は痩せこけて品祖だが、元はそれなりの美男子だっただろう。
そう言う機会はあったはずだ。
「やだよ、楽に食えても、ハーレムに閉じ込められるのは。俺は自由でいたいんだ。」
「野垂れ死んでも?」
「囲われて暮らすなら、その方がいい。」
苦しくても自由を望むか……。
野生動物みたいだな。
「だったら、自分の武器で食っていくしかないだろ?」
「武器って何だよ?」
「お前は何だ?」
「……ん~、躍り手?」
「だったらそれがお前の武器だ。」
武器、と言う言葉にシルクは妙に反応したように見えた。
「そういえば、名前はシルクでいいんだよな?」
「ああ。あんたは?」
「ハクマ。」
「ハクマって名前?」
「姓だよ。」
「なるほど。俺とべったり仲良くする気ではないんだな。」
「当たり前だ。それなりにプロデュースが終わったら、俺は旅を再開する。」
俺が性を名乗ったのは、土地柄だ。
ここの地では、姓があるものは基本、姓を名乗る。
仲良くなったら、名前で呼び会う。
だからシルクの反応も当たり前だ。
だが、姓を名乗ったことで自分とベタベタした関係になりたい訳ではないと理解したシルクは、逆に印象を良くしたようだった。
「で?どうするんだ?俺はやるつもりでいるけど、シルク。お前はどうなんだ?」
「だから面倒くさいって。」
「俺がお前をプロデュースするって言ったのは、お前ならこの町の男どもをギンギンにするのなんか簡単だと思ったからだよ。なのに、お前はいい素養と武器を持っているのに、それを全く活かせていないどころか、死なせてる。性欲研究者としてこんな腹立たしい事があるか!?」
「その性欲研究者ってなんなんだよ!?」
「そんな事、説明したって仕方ないだろ。ただ言えるのは、俺にはお前を、お前の武器で楽に食って行ける男にする知識と技能がある。そして俺はそうするつもりだ。俺の研究の威信にかけて!!」
「それってお前に何の得があるんだよ?」
「は?自己満足だ。」
「何だよそれ?」
「少なくともお前には得があるだろ?これから先、食っていくのが今より楽になる。やるならお前の稼ぎの3割を毎日もらう代わりに、3食つき。俺が必要だと思ったものは、経費扱いで俺が支払う。ちなみに不定期だが休日付きだ。契約はとりあえず1週間。契約延長の場合はお互いの同意が必要。どうする?」
「…とりあえず、1週間ならやってもいい。」
「じゃ、契約成立って事で。休日以外は俺の言うことに従ってもらう。ほら、いくぞ!!」
俺はチップを置くと立ち上がった。
俺は町の広場まで来ると、ため池の囲いに腰を下ろした。
この町はオアシスを用いて作られており、ここは皆の水汲み場になっていた。
「とりあえず1つ。シルク、お前、踊る時、女性用のダンスしてるだろ?」
「そうだけど?」
「駄目だ。禁止。」
「何でだよ!?」
「女性用のダンスは、女性が男を魅了する為に作られてる。参考にはなるが、男が男を魅了するのに同じ躍りをしても駄目だ。」
「どうして?」
「それは男性に女性を求めるさせる躍り方だからだよ。お前、女性が欲しいと思ってる男の前に、女性と男性がいたら、どっちを選ぶと思う?」
「女性を求めてるなら、女だろ?」
「そうだ。だからお前は男として踊れ。女性の真似なんかしたって無理がある。男として男を魅了するんだ。」
「でもどうやって?」
「どうやってって、お前、男と寝てるんだろ?相手はお前のどこを見てどんな姿に欲情する?お前がどんな事をすると喜ぶ?よく考えろ。お前が今まで抱かれてきたのは生きる為の妥協だったかもしれないが、お前の武器でもあるんだ。」
シルクはそう言われ、少し考えているようだった。
「男には豊満な乳房はない。だがお前を抱いた男たちは、男の体に興奮していたはずだ。平らだがその男の体の肉付きや、女性とは違う体のライン、股間のぺニス、普通なら開かない蕾。最大の違いは、男が男を抱くとき、特に春を買うような性行を望む場合は、少なからず、男であるそいつを男として犯したいと、男として征服し服従させたいという欲求がある。」
「………なんか、わかるかも……。」
「そんな欲求を持っている相手に、女性として振る舞ったってちんこをたてられる訳ないだろ?男としてその前に立ち、男としてその欲求を擽ってやるんだ。」
「なるほど……。」
「ダンスの事は俺は専門外だ。今言った事を考えながら、ここで踊ってみろ。夜までに新しい躍り方を作ってマスターするぞ!!」
「……やってみる。」
シルクは意外にも、真面目に躍りを考え始めた。
腐っても躍り手なのだろう。
1つ1つの動きを、短く躍りながら思考錯誤している。
たまに意見を聞かれ、答えるような感じで、半日が過ぎていった。
朝、叩き起こしに行くと低血圧なのかなかなか起きず不機嫌だったが、飯の事を言ったら急に元気になった。
ゴロゴロとゴマを摩ってくるので、そんな事をしなくても飯は食わせると言って引き離した。
そして今、がつがつと落ち着きなく食らいついてる。
「あのさ~別にとりゃしないから、落ち着いて食えば?」
そう言うと、細い猫目が俺をちらりと見た。
ぺろりと指を舐め、座り直した。
「何であんた、俺なんかに構うの?」
粗方食べ終えて満足したのか、気持ちと態度がゆったりしている。
俺は口に残っていたサンドイッチを飲み込む。
「昨日、言った。」
「あれ、マジな訳!?」
「俺は言ったらやる。覚悟しとけ。」
「ええ~面倒くさい~。飯が食えば別にいい~。」
「現状、まともに食えてるように見えないけどな。」
俺はそう言って、砂糖がこれでもかと言うほど入った濃い粉コーヒーを飲んだ。
口の中が少し粉っぽいが、美味しい。
痛いところをつかれたのか、シルクは不機嫌そうだ。
行儀悪く、椅子に膝を立てて足を乗せて、ぶつぶつ言っている。
これはかなり基本的な部分から叩き込まないと駄目だろう。
「そんなに飯が食えばいいだけなら、何で誰かに飼われないんだ?」
そう、楽に食えばいいだけなら、誰かに飼われればいい。
今は痩せこけて品祖だが、元はそれなりの美男子だっただろう。
そう言う機会はあったはずだ。
「やだよ、楽に食えても、ハーレムに閉じ込められるのは。俺は自由でいたいんだ。」
「野垂れ死んでも?」
「囲われて暮らすなら、その方がいい。」
苦しくても自由を望むか……。
野生動物みたいだな。
「だったら、自分の武器で食っていくしかないだろ?」
「武器って何だよ?」
「お前は何だ?」
「……ん~、躍り手?」
「だったらそれがお前の武器だ。」
武器、と言う言葉にシルクは妙に反応したように見えた。
「そういえば、名前はシルクでいいんだよな?」
「ああ。あんたは?」
「ハクマ。」
「ハクマって名前?」
「姓だよ。」
「なるほど。俺とべったり仲良くする気ではないんだな。」
「当たり前だ。それなりにプロデュースが終わったら、俺は旅を再開する。」
俺が性を名乗ったのは、土地柄だ。
ここの地では、姓があるものは基本、姓を名乗る。
仲良くなったら、名前で呼び会う。
だからシルクの反応も当たり前だ。
だが、姓を名乗ったことで自分とベタベタした関係になりたい訳ではないと理解したシルクは、逆に印象を良くしたようだった。
「で?どうするんだ?俺はやるつもりでいるけど、シルク。お前はどうなんだ?」
「だから面倒くさいって。」
「俺がお前をプロデュースするって言ったのは、お前ならこの町の男どもをギンギンにするのなんか簡単だと思ったからだよ。なのに、お前はいい素養と武器を持っているのに、それを全く活かせていないどころか、死なせてる。性欲研究者としてこんな腹立たしい事があるか!?」
「その性欲研究者ってなんなんだよ!?」
「そんな事、説明したって仕方ないだろ。ただ言えるのは、俺にはお前を、お前の武器で楽に食って行ける男にする知識と技能がある。そして俺はそうするつもりだ。俺の研究の威信にかけて!!」
「それってお前に何の得があるんだよ?」
「は?自己満足だ。」
「何だよそれ?」
「少なくともお前には得があるだろ?これから先、食っていくのが今より楽になる。やるならお前の稼ぎの3割を毎日もらう代わりに、3食つき。俺が必要だと思ったものは、経費扱いで俺が支払う。ちなみに不定期だが休日付きだ。契約はとりあえず1週間。契約延長の場合はお互いの同意が必要。どうする?」
「…とりあえず、1週間ならやってもいい。」
「じゃ、契約成立って事で。休日以外は俺の言うことに従ってもらう。ほら、いくぞ!!」
俺はチップを置くと立ち上がった。
俺は町の広場まで来ると、ため池の囲いに腰を下ろした。
この町はオアシスを用いて作られており、ここは皆の水汲み場になっていた。
「とりあえず1つ。シルク、お前、踊る時、女性用のダンスしてるだろ?」
「そうだけど?」
「駄目だ。禁止。」
「何でだよ!?」
「女性用のダンスは、女性が男を魅了する為に作られてる。参考にはなるが、男が男を魅了するのに同じ躍りをしても駄目だ。」
「どうして?」
「それは男性に女性を求めるさせる躍り方だからだよ。お前、女性が欲しいと思ってる男の前に、女性と男性がいたら、どっちを選ぶと思う?」
「女性を求めてるなら、女だろ?」
「そうだ。だからお前は男として踊れ。女性の真似なんかしたって無理がある。男として男を魅了するんだ。」
「でもどうやって?」
「どうやってって、お前、男と寝てるんだろ?相手はお前のどこを見てどんな姿に欲情する?お前がどんな事をすると喜ぶ?よく考えろ。お前が今まで抱かれてきたのは生きる為の妥協だったかもしれないが、お前の武器でもあるんだ。」
シルクはそう言われ、少し考えているようだった。
「男には豊満な乳房はない。だがお前を抱いた男たちは、男の体に興奮していたはずだ。平らだがその男の体の肉付きや、女性とは違う体のライン、股間のぺニス、普通なら開かない蕾。最大の違いは、男が男を抱くとき、特に春を買うような性行を望む場合は、少なからず、男であるそいつを男として犯したいと、男として征服し服従させたいという欲求がある。」
「………なんか、わかるかも……。」
「そんな欲求を持っている相手に、女性として振る舞ったってちんこをたてられる訳ないだろ?男としてその前に立ち、男としてその欲求を擽ってやるんだ。」
「なるほど……。」
「ダンスの事は俺は専門外だ。今言った事を考えながら、ここで踊ってみろ。夜までに新しい躍り方を作ってマスターするぞ!!」
「……やってみる。」
シルクは意外にも、真面目に躍りを考え始めた。
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1つ1つの動きを、短く躍りながら思考錯誤している。
たまに意見を聞かれ、答えるような感じで、半日が過ぎていった。
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