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第三章「砂漠の国編」
戦場に咲く華
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シルクが躍り終えた時、広場には歓声が上がった。
全てのパート毎の動きが決まり、全通しで踊った結果がこれだ。
拍手が鳴り響き、躍りに集中していたシルクは何が起きたのかわからずひどく驚いていた。
おひねりの雨が降る中、呆然と立ち尽くすシルクの背中をバンと叩き肩を抱いた。
「よく覚えておけ。これがお前の力、お前の武器だ。」
シルクはゆっくりと状況を理解した。
そして唖然としながら俺の顔を覗き込む。
「これ?俺に向けられてるのか?」
「ああ、他に誰がいるんだ?」
「俺が……。」
俺は気づいていた。
シルクが練習している時からまわりは彼を見ていた。
無意識に人を惹き付ける、天性の才能だ。
そして練習とはいえ躍り始めると、周りから喧騒は消え、人々は動くことを忘れ、シルクに目を奪われた。
何の音楽もない、ただ通しで練習しているだけのシルクにだ。
本人は酷く集中していて気づいていなかった。
意外と踊りに対しては真面目なんだなと思った。
躍り手の名にシルクがこだわるだけの事はある。
正直、俺もここまでとは思わなかった。
立ち尽くすシルクを休ませるため池の縁に座らせ、俺はおひねりを広い集める。
いい傾向だ。
このままの勢いで、シルクに自分にどれだけ価値があるのか思い知らせてやろう。
普段以上の踊りを見て盛り上がったおっちゃん達が、シルクに飲み物やらなんやらを渡している。
「おっちゃん達、差し入れはありがたいけど、うちの踊り子にあんまり触らないでね?大事な商品だから。」
俺は冗談めかして軽く釘を刺す。
そして得意げにニッと笑って群衆に向かって叫んだ。
「今日の夜、ポポス食堂の舞台で踊りますよ~!!ぜひ!足をお運び下さ~い!!」
俺がおひねりの総額を計算し終わる頃、シルクがやっと現実に帰ってきた。
広場も元通り、皆が活動しざわめきが戻っていた。
「……なんか、まだ信じられない。」
「なら夢と言うことで、このおひねりも夢という事で……。」
「わ~っ!!俺の金っ!!」
「そ、お前の金。お前が自分の武器で稼いだものだ。」
俺はそう言って、シルクの取り分を渡してやった。
渡されたズタ袋を手の上に乗せ、それをじっと見つめる。
「重い……。」
「そうだな。」
その言葉はその価値を示していた。
それでもシルクはまだ夢と現実の間にいた。
俺は立ち上がった。
それにシルクが慌てる。
「ハクマさん、どこへ?!」
「ん?プロデューサーとしましては、そろそろ本番の会場を作りに行きませんとね?」
そう言ってニヤッと笑う。
でも今の自分が不確かなシルクは俺の袖を掴んだ。
「俺も行くよ!」
「ダメ。お前は休憩。ちゃんと休め。少しぐらいなら練習してもいいけど、本番があることを忘れるな。」
「……わかった。」
しゅんとする様は、叱られた子猫みたいだ。
別に捨てる訳じゃないのに、そんなに落ち込まなくても……。
ちょっとおかしくて頭をぐりぐり撫でた。
「じゃ、5時に店に来い。早めに飯食って、腹が落ち着いたら本番だ。」
俺はそう言って、昨日の食堂に向かった。
食事時になると食堂は客で溢れかえっていた。
満員御礼。
おじさんと交渉して、テーブルの配置を変え、後ろに立ち見席まで作ったのに、店の外にまで人が溢れていた。
おじさんもここまでとは思っていなかったらしく、目が回りそうなほど忙しそうに料理を作っている。
昨日の俺の啖呵と昼間の練習風景が相乗効果をもたらしたらしい。
「いや~シルクが踊るってだけでこんなに集まるなんて……。」
「すみません。俺も想定以上でびっくりしてます。」
「いやいや!こっちはありがたいよ!売上倍増!ちょっと人手が回らないけどさ。」
料理をカウンターに置きながら客入りを確認したおじさんはそう言うと、すぐにキッチンに消えて行った。
喜んでもらえたのなら俺も嬉しい。
嬉しいのだが、問題はこっちだ。
「で?シルクさん?大丈夫ですか?」
「……吐きそう。」
肝心の踊り子がこれである。
シルクはさっきから膝を抱えて俯いてる。
まぁ、昼間の事があってもまだ自分に自信を持つのには確証が足らないよな。
俺はその頭をぽんぽんと撫でた。
「俺がお前にしてやれるのはここまでだ。ステージという戦場に立って戦うのはお前一人だ。」
「…………。」
「だから、お前が逃げたいって言うのなら、逃げてもいい。」
「……いいのかよ。」
「決めるのはお前だ、シルク。」
「…………。」
「俺は正直、お前にここまでの力があるなんて思ってなかった。だから昼間、お前があそこにいた人達を魅了した時、思ったよ。俺はとんでもない奴に知恵を与えてしまったってな。」
「何だよ、それ?」
大真面目に語る俺にシルクが苦笑する。
でも挙げられた顔は不安でいっぱいだ。
俺は静かに語った。
「シルク、お前は昼間の光景を忘れられるか?」
「……忘れられる訳ないだろ?」
「だよな、お前は生粋の躍り手なのだから。」
「……………。」
「俺は昨日今日の付き合いだから、お前がどんな苦しみを抱えて生きてきたかは知らない。知ってるのは、お前が何があっても手放さなかったのは、自由と躍り手だという生きざまだ。どんなにカッコ悪くても、惨めでも、蔑まれても、貫いてきたお前の生きざまだ。俺はそれを誇っていいと思う。」
「……こんな俺でも?」
「それを笑うヤツがいたら笑わせておけ。地べた這いずり回って、それでも歯を食い縛って貫いてきた生きざまを笑うような奴は大したことない。お前の武器でぶん殴ってやれ。」
「ははは、ぶん殴るんだ?」
「お前の武器でな?」
「……うん。」
「シルク。」
俺はそう呼んでシルクを椅子から立ち上がらせた。
頭を両手で包み、額を合わせる。
「何も考えるな。今日は練習通り、しっかり踊ることだけに集中しろ。余計な色仕掛けを入れる必要はない。途中で間違えても気にするな。そのまま躍り続けろ。お前ならリカバーできる。」
「うん。」
「……最後に聞く、お前は何者だ?」
「俺は……俺は躍り手だよ、ハクマさん。」
俺の問いに、シルクは答えた。
自分は踊り手だと……。
「なら、お前の戦場に立て、シルク。その武器で戦って勝ち取ってこい。お前にはその力がある。俺が保証する。」
シルクには力がある。
なのにそれまでの人生で自信を無くしていた。
だから今、それが目の前にあるのにシルクは不安なのだ。
本当にそれが自分のものなのか信じきれないのだ。
だから俺が信じる。
「……わかった。行ってくる。」
俺の想いはシルクに届いた。
大きく深呼吸をすると一人、まっすぐステージに歩いて行く。
シルクがステージに立つと、それまでざわついていた店内がだんだん静かになる。
流しの演奏家たちがシルクに目配せした。
そして音楽が変わり、シルクがまっすぐに顔を上げる。
音に合わせ、躍りが始まった。
シルクの指がなめらかに空気を撫でる。
はじめは緊張もあって、少しぎこちなかった動きも、次第に洗練されたものに変わった。
誰も言葉を発さなかった。
動く人もおらず、静寂の中、音楽とシルクの踊る息づかいだけが響く。
途中、厨房から何か落とす音が聞こえたが、集中しているシルクは気がつかなかった様に躍り続けた。
誰もがシルクに釘付けだった。
息をするのも忘れるほどに。
痩せこけた体がもったいない。
肉付きが良ければ、どれだけの人間を魅了できるだろう?
なんか、予想以上にすごい男を拾った。
俺はそう思った。
砂嵐の中、行き倒れていた時は面倒なものを拾ったと思ったけれど、シルクは砂に埋もれて芽を出せなかった大輪の華だ。
咲けば誰もが目を奪われる。
その匂い立つ甘い香りに魅了される。
誰も一言も発しなかった。
音楽が終わり美しい踊り子がその動きを止めても、その静寂は余韻のように残っていた。
ガタンッと誰が椅子から立ち上がった。
そして大きな拍手を送ったのを皮切りに、鼓膜が破れんばかりの拍手と喝采が小さな店を揺らした。
驚くほどのおひねりの雨が飛び交う。
興奮のあまり顔馴染みの客が飛び出してきて、シルクに抱きつくと、我も我もとやって来てシルクはもみくちゃにされていた。
「あ~踊り子には~……。」
そう言いかけて、やめた。
止めに入ろうか悩んだが、皆にもみくちゃにされたシルクが最高の笑顔で笑っていたのでよしとした。
俺は投げつけられるおひねりの痛みに耐えながら、それらを拾い集める。
シルクはきっと、この日の事を忘れないだろう。
心から笑うシルク。
失っていた時間は戻らなくても、その自信は取り戻せた筈だ。
ちょっとした縁で拾った青年は、思った以上に大化けしそうな予感がしていた。
全てのパート毎の動きが決まり、全通しで踊った結果がこれだ。
拍手が鳴り響き、躍りに集中していたシルクは何が起きたのかわからずひどく驚いていた。
おひねりの雨が降る中、呆然と立ち尽くすシルクの背中をバンと叩き肩を抱いた。
「よく覚えておけ。これがお前の力、お前の武器だ。」
シルクはゆっくりと状況を理解した。
そして唖然としながら俺の顔を覗き込む。
「これ?俺に向けられてるのか?」
「ああ、他に誰がいるんだ?」
「俺が……。」
俺は気づいていた。
シルクが練習している時からまわりは彼を見ていた。
無意識に人を惹き付ける、天性の才能だ。
そして練習とはいえ躍り始めると、周りから喧騒は消え、人々は動くことを忘れ、シルクに目を奪われた。
何の音楽もない、ただ通しで練習しているだけのシルクにだ。
本人は酷く集中していて気づいていなかった。
意外と踊りに対しては真面目なんだなと思った。
躍り手の名にシルクがこだわるだけの事はある。
正直、俺もここまでとは思わなかった。
立ち尽くすシルクを休ませるため池の縁に座らせ、俺はおひねりを広い集める。
いい傾向だ。
このままの勢いで、シルクに自分にどれだけ価値があるのか思い知らせてやろう。
普段以上の踊りを見て盛り上がったおっちゃん達が、シルクに飲み物やらなんやらを渡している。
「おっちゃん達、差し入れはありがたいけど、うちの踊り子にあんまり触らないでね?大事な商品だから。」
俺は冗談めかして軽く釘を刺す。
そして得意げにニッと笑って群衆に向かって叫んだ。
「今日の夜、ポポス食堂の舞台で踊りますよ~!!ぜひ!足をお運び下さ~い!!」
俺がおひねりの総額を計算し終わる頃、シルクがやっと現実に帰ってきた。
広場も元通り、皆が活動しざわめきが戻っていた。
「……なんか、まだ信じられない。」
「なら夢と言うことで、このおひねりも夢という事で……。」
「わ~っ!!俺の金っ!!」
「そ、お前の金。お前が自分の武器で稼いだものだ。」
俺はそう言って、シルクの取り分を渡してやった。
渡されたズタ袋を手の上に乗せ、それをじっと見つめる。
「重い……。」
「そうだな。」
その言葉はその価値を示していた。
それでもシルクはまだ夢と現実の間にいた。
俺は立ち上がった。
それにシルクが慌てる。
「ハクマさん、どこへ?!」
「ん?プロデューサーとしましては、そろそろ本番の会場を作りに行きませんとね?」
そう言ってニヤッと笑う。
でも今の自分が不確かなシルクは俺の袖を掴んだ。
「俺も行くよ!」
「ダメ。お前は休憩。ちゃんと休め。少しぐらいなら練習してもいいけど、本番があることを忘れるな。」
「……わかった。」
しゅんとする様は、叱られた子猫みたいだ。
別に捨てる訳じゃないのに、そんなに落ち込まなくても……。
ちょっとおかしくて頭をぐりぐり撫でた。
「じゃ、5時に店に来い。早めに飯食って、腹が落ち着いたら本番だ。」
俺はそう言って、昨日の食堂に向かった。
食事時になると食堂は客で溢れかえっていた。
満員御礼。
おじさんと交渉して、テーブルの配置を変え、後ろに立ち見席まで作ったのに、店の外にまで人が溢れていた。
おじさんもここまでとは思っていなかったらしく、目が回りそうなほど忙しそうに料理を作っている。
昨日の俺の啖呵と昼間の練習風景が相乗効果をもたらしたらしい。
「いや~シルクが踊るってだけでこんなに集まるなんて……。」
「すみません。俺も想定以上でびっくりしてます。」
「いやいや!こっちはありがたいよ!売上倍増!ちょっと人手が回らないけどさ。」
料理をカウンターに置きながら客入りを確認したおじさんはそう言うと、すぐにキッチンに消えて行った。
喜んでもらえたのなら俺も嬉しい。
嬉しいのだが、問題はこっちだ。
「で?シルクさん?大丈夫ですか?」
「……吐きそう。」
肝心の踊り子がこれである。
シルクはさっきから膝を抱えて俯いてる。
まぁ、昼間の事があってもまだ自分に自信を持つのには確証が足らないよな。
俺はその頭をぽんぽんと撫でた。
「俺がお前にしてやれるのはここまでだ。ステージという戦場に立って戦うのはお前一人だ。」
「…………。」
「だから、お前が逃げたいって言うのなら、逃げてもいい。」
「……いいのかよ。」
「決めるのはお前だ、シルク。」
「…………。」
「俺は正直、お前にここまでの力があるなんて思ってなかった。だから昼間、お前があそこにいた人達を魅了した時、思ったよ。俺はとんでもない奴に知恵を与えてしまったってな。」
「何だよ、それ?」
大真面目に語る俺にシルクが苦笑する。
でも挙げられた顔は不安でいっぱいだ。
俺は静かに語った。
「シルク、お前は昼間の光景を忘れられるか?」
「……忘れられる訳ないだろ?」
「だよな、お前は生粋の躍り手なのだから。」
「……………。」
「俺は昨日今日の付き合いだから、お前がどんな苦しみを抱えて生きてきたかは知らない。知ってるのは、お前が何があっても手放さなかったのは、自由と躍り手だという生きざまだ。どんなにカッコ悪くても、惨めでも、蔑まれても、貫いてきたお前の生きざまだ。俺はそれを誇っていいと思う。」
「……こんな俺でも?」
「それを笑うヤツがいたら笑わせておけ。地べた這いずり回って、それでも歯を食い縛って貫いてきた生きざまを笑うような奴は大したことない。お前の武器でぶん殴ってやれ。」
「ははは、ぶん殴るんだ?」
「お前の武器でな?」
「……うん。」
「シルク。」
俺はそう呼んでシルクを椅子から立ち上がらせた。
頭を両手で包み、額を合わせる。
「何も考えるな。今日は練習通り、しっかり踊ることだけに集中しろ。余計な色仕掛けを入れる必要はない。途中で間違えても気にするな。そのまま躍り続けろ。お前ならリカバーできる。」
「うん。」
「……最後に聞く、お前は何者だ?」
「俺は……俺は躍り手だよ、ハクマさん。」
俺の問いに、シルクは答えた。
自分は踊り手だと……。
「なら、お前の戦場に立て、シルク。その武器で戦って勝ち取ってこい。お前にはその力がある。俺が保証する。」
シルクには力がある。
なのにそれまでの人生で自信を無くしていた。
だから今、それが目の前にあるのにシルクは不安なのだ。
本当にそれが自分のものなのか信じきれないのだ。
だから俺が信じる。
「……わかった。行ってくる。」
俺の想いはシルクに届いた。
大きく深呼吸をすると一人、まっすぐステージに歩いて行く。
シルクがステージに立つと、それまでざわついていた店内がだんだん静かになる。
流しの演奏家たちがシルクに目配せした。
そして音楽が変わり、シルクがまっすぐに顔を上げる。
音に合わせ、躍りが始まった。
シルクの指がなめらかに空気を撫でる。
はじめは緊張もあって、少しぎこちなかった動きも、次第に洗練されたものに変わった。
誰も言葉を発さなかった。
動く人もおらず、静寂の中、音楽とシルクの踊る息づかいだけが響く。
途中、厨房から何か落とす音が聞こえたが、集中しているシルクは気がつかなかった様に躍り続けた。
誰もがシルクに釘付けだった。
息をするのも忘れるほどに。
痩せこけた体がもったいない。
肉付きが良ければ、どれだけの人間を魅了できるだろう?
なんか、予想以上にすごい男を拾った。
俺はそう思った。
砂嵐の中、行き倒れていた時は面倒なものを拾ったと思ったけれど、シルクは砂に埋もれて芽を出せなかった大輪の華だ。
咲けば誰もが目を奪われる。
その匂い立つ甘い香りに魅了される。
誰も一言も発しなかった。
音楽が終わり美しい踊り子がその動きを止めても、その静寂は余韻のように残っていた。
ガタンッと誰が椅子から立ち上がった。
そして大きな拍手を送ったのを皮切りに、鼓膜が破れんばかりの拍手と喝采が小さな店を揺らした。
驚くほどのおひねりの雨が飛び交う。
興奮のあまり顔馴染みの客が飛び出してきて、シルクに抱きつくと、我も我もとやって来てシルクはもみくちゃにされていた。
「あ~踊り子には~……。」
そう言いかけて、やめた。
止めに入ろうか悩んだが、皆にもみくちゃにされたシルクが最高の笑顔で笑っていたのでよしとした。
俺は投げつけられるおひねりの痛みに耐えながら、それらを拾い集める。
シルクはきっと、この日の事を忘れないだろう。
心から笑うシルク。
失っていた時間は戻らなくても、その自信は取り戻せた筈だ。
ちょっとした縁で拾った青年は、思った以上に大化けしそうな予感がしていた。
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