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第四章「独身寮編」
作戦会議
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「シルク~。」
「何です?主?」
何故かリリとムクと一緒になって料理をしているシルクに、俺は声をかけた。
「お前はさ~、今後、どうしたい?」
俺の突然の質問に料理の手を止め、シルクは振り返った。
そりゃそうだ。
ついてこいと言われてついていくのに、どうしたいと聞かれても困るだろう。
「シルク、後はムク達やるよ?」
「シルクはサークとお話しするの、大事なお話し。」
リリとムクが、そうシルクに声をかけた。
もう!うちの子最高!!
いい子過ぎる!!
「ではお願いします。リリちゃんムクちゃん。」
シルクはそう言って、俺の隣に座った。
「……主。」
「なんだ、シルク。」
「天使がいます。」
「わかってくれるか?」
「可愛い過ぎます。」
ちなみにこの会話は、シルクが森の町に来てから毎日やっている。
仕方ない。
リリとムクが可愛いから仕方ない。
俺たちはしばらく、天使達の姿を見守るという幸せな時間を過ごした。
「はっ!そうじゃなかった!!シルク!」
「はい。どうしたいか、ね?」
「聞かれても困るのはわかっているんだけど、一応、聞いとかないとさ。」
「例えばどんなことを言えばいいんです?」
「う~ん。例えば、商売を始めて、将来的には店を構えて生涯を過ごしたいとか。」
「主がやれと言えばやるよ?商売。ただ、生涯をどう過ごしたいと言うのなら、一生、主に仕えて暮らしたい。」
「それはありがたいけどさ、仕えるのと人生設計は違うだろ?」
「例えば?」
「例えば警護部隊に所属して王に仕えていても、家族を持って生活していたり、商売をしていたりする感じかな?」
「俺は主が全てなんだ。仕事としても、生涯としても、全部主に仕えるよ。」
う~ん。
そろそろ、シルクの治療も終わる。
そうしたら、シルクを王国に連れて行く事になる。
こういうのは、はじめが肝心だ。
シルクをどう紹介するかで、今後の動きが変わってくる。
「なら……とりあえず、俺専属の従者って事でいい?」
「うん。」
「そうか~そうなると、俺にシルクを従えるだけの理由がいるって事だな~。」
「理由がないと駄目なのか?」
「そりゃ勝手に仕えるだけなら出来るけど、俺はシルクにやって欲しい事もあるし。だからお互い、ちゃんと俺がシルクの主と言う立場があって、シルクが俺の従者として側にいられる立場でいて欲しいんだ。」
「……………。」
「何で急に黙る?立場とか言われるの嫌いか?」
「好きか嫌いかで言えば嫌い。でも今、黙ったのは、ちょっと嬉しかったからだから気にしないで。」
「嬉しい?」
「主が俺に側にいて欲しいって。」
「あ、まぁ、うん。いや、立場の話な!?」
「そういうことにしとく。」
シルクは上機嫌になって笑った。
こういう時、シルクは下手に美人だからどうしていいのかわからなくなる。
俺はそれを誤魔化すように話を変えた。
「後さ、カイナの民って事は……。」
「言わないで。」
「わかってる。俺もそこは隠したい。今の立場の弱い俺達には危険すぎるからね。ただ、演舞が踊れる事は全面に出したい。シルクの立場を作るのにも必要だし、俺にシルクが教えているって事も、秘密にするつもりはないから。」
「わかった。でもどうするの?」
「ちょっと貰った簡易証明見せて?」
俺はシルクから、あの時作ってもらった簡易証明を見せてもらった。
簡易証明には出身が遊牧民族となっており、その為詳しい出生情報がないとされていた。
「うん。いいね。遊牧民族出身になってる。シルクは遊牧民族で、かつて逃げてきたカイナの民と暮らした事があって、その時に習った事にしよう。」
「うまくいくの?」
「多分ね。この国は砂漠の王国の事あまり知らないし、遊牧民族出身ってだけで、砂漠の王国だって出生の情報は追えないと思うよ。」
「なるほど。」
「だから逆に、遊牧民族出身って情報を強化したい。」
「強化??」
「そう、この情報で王国で身分を作る。まずは入国時に簡易証明から移民として平民の資格をとる。そうすれば遊牧民族出身の正式記録が残る。簡易証明よりも強いものになる。」
「何か詳しいね、そういうの。」
「通ってきた道なんでね。」
俺は苦笑いした。
かつて、この王国に立場を捨てにやって来たあの頃の俺は、今の俺を見てどう思うのだろう?
「まぁ、こんなとこかな?ありがとう。もういいよ。」
「なら、リリちゃん達と料理する。」
「何で急に料理とか始めたんだ?」
「だって、ここではリリちゃんとムクちゃんがやってくれるけど、王国では違うだろ?ずっと側で主に仕えるんだもん。一応、村ではやってたけどさ~。こっちでの料理の作法とか料理とかのレパートリーとか増やしたいじゃん。」
「あ、うん。ありがとう……。」
シルクはニッと笑ってリリ達の方に戻る。
何かシルクはシルクで、色々考えてるんだな。
仕えるとか言われても、友達として一緒にいる感覚だった俺とは違い、シルクは本当に主従として仕えるつもりなのだと実感した。
と、なると?
俺ははたと気がついた。
……まずい、忘れてた。
シルクって、どこに住まわせたらいいんだ!?
俺の家??
無理だ、狭すぎる。
かといって別々の場所とか言ったら、何かキレられそうだ。
「……あ、独身寮は!?」
俺がはじめに別宮に配属された時、敷地内だしと入寮を進められたが研究があるので断った。
一人で独身寮に入れたら怒るだろうが、俺も一緒に入れば怒るまい。
なら早速、連絡しておこう。
他の手紙も書きたかった俺は、それらを書きに部屋に向かった。
「何です?主?」
何故かリリとムクと一緒になって料理をしているシルクに、俺は声をかけた。
「お前はさ~、今後、どうしたい?」
俺の突然の質問に料理の手を止め、シルクは振り返った。
そりゃそうだ。
ついてこいと言われてついていくのに、どうしたいと聞かれても困るだろう。
「シルク、後はムク達やるよ?」
「シルクはサークとお話しするの、大事なお話し。」
リリとムクが、そうシルクに声をかけた。
もう!うちの子最高!!
いい子過ぎる!!
「ではお願いします。リリちゃんムクちゃん。」
シルクはそう言って、俺の隣に座った。
「……主。」
「なんだ、シルク。」
「天使がいます。」
「わかってくれるか?」
「可愛い過ぎます。」
ちなみにこの会話は、シルクが森の町に来てから毎日やっている。
仕方ない。
リリとムクが可愛いから仕方ない。
俺たちはしばらく、天使達の姿を見守るという幸せな時間を過ごした。
「はっ!そうじゃなかった!!シルク!」
「はい。どうしたいか、ね?」
「聞かれても困るのはわかっているんだけど、一応、聞いとかないとさ。」
「例えばどんなことを言えばいいんです?」
「う~ん。例えば、商売を始めて、将来的には店を構えて生涯を過ごしたいとか。」
「主がやれと言えばやるよ?商売。ただ、生涯をどう過ごしたいと言うのなら、一生、主に仕えて暮らしたい。」
「それはありがたいけどさ、仕えるのと人生設計は違うだろ?」
「例えば?」
「例えば警護部隊に所属して王に仕えていても、家族を持って生活していたり、商売をしていたりする感じかな?」
「俺は主が全てなんだ。仕事としても、生涯としても、全部主に仕えるよ。」
う~ん。
そろそろ、シルクの治療も終わる。
そうしたら、シルクを王国に連れて行く事になる。
こういうのは、はじめが肝心だ。
シルクをどう紹介するかで、今後の動きが変わってくる。
「なら……とりあえず、俺専属の従者って事でいい?」
「うん。」
「そうか~そうなると、俺にシルクを従えるだけの理由がいるって事だな~。」
「理由がないと駄目なのか?」
「そりゃ勝手に仕えるだけなら出来るけど、俺はシルクにやって欲しい事もあるし。だからお互い、ちゃんと俺がシルクの主と言う立場があって、シルクが俺の従者として側にいられる立場でいて欲しいんだ。」
「……………。」
「何で急に黙る?立場とか言われるの嫌いか?」
「好きか嫌いかで言えば嫌い。でも今、黙ったのは、ちょっと嬉しかったからだから気にしないで。」
「嬉しい?」
「主が俺に側にいて欲しいって。」
「あ、まぁ、うん。いや、立場の話な!?」
「そういうことにしとく。」
シルクは上機嫌になって笑った。
こういう時、シルクは下手に美人だからどうしていいのかわからなくなる。
俺はそれを誤魔化すように話を変えた。
「後さ、カイナの民って事は……。」
「言わないで。」
「わかってる。俺もそこは隠したい。今の立場の弱い俺達には危険すぎるからね。ただ、演舞が踊れる事は全面に出したい。シルクの立場を作るのにも必要だし、俺にシルクが教えているって事も、秘密にするつもりはないから。」
「わかった。でもどうするの?」
「ちょっと貰った簡易証明見せて?」
俺はシルクから、あの時作ってもらった簡易証明を見せてもらった。
簡易証明には出身が遊牧民族となっており、その為詳しい出生情報がないとされていた。
「うん。いいね。遊牧民族出身になってる。シルクは遊牧民族で、かつて逃げてきたカイナの民と暮らした事があって、その時に習った事にしよう。」
「うまくいくの?」
「多分ね。この国は砂漠の王国の事あまり知らないし、遊牧民族出身ってだけで、砂漠の王国だって出生の情報は追えないと思うよ。」
「なるほど。」
「だから逆に、遊牧民族出身って情報を強化したい。」
「強化??」
「そう、この情報で王国で身分を作る。まずは入国時に簡易証明から移民として平民の資格をとる。そうすれば遊牧民族出身の正式記録が残る。簡易証明よりも強いものになる。」
「何か詳しいね、そういうの。」
「通ってきた道なんでね。」
俺は苦笑いした。
かつて、この王国に立場を捨てにやって来たあの頃の俺は、今の俺を見てどう思うのだろう?
「まぁ、こんなとこかな?ありがとう。もういいよ。」
「なら、リリちゃん達と料理する。」
「何で急に料理とか始めたんだ?」
「だって、ここではリリちゃんとムクちゃんがやってくれるけど、王国では違うだろ?ずっと側で主に仕えるんだもん。一応、村ではやってたけどさ~。こっちでの料理の作法とか料理とかのレパートリーとか増やしたいじゃん。」
「あ、うん。ありがとう……。」
シルクはニッと笑ってリリ達の方に戻る。
何かシルクはシルクで、色々考えてるんだな。
仕えるとか言われても、友達として一緒にいる感覚だった俺とは違い、シルクは本当に主従として仕えるつもりなのだと実感した。
と、なると?
俺ははたと気がついた。
……まずい、忘れてた。
シルクって、どこに住まわせたらいいんだ!?
俺の家??
無理だ、狭すぎる。
かといって別々の場所とか言ったら、何かキレられそうだ。
「……あ、独身寮は!?」
俺がはじめに別宮に配属された時、敷地内だしと入寮を進められたが研究があるので断った。
一人で独身寮に入れたら怒るだろうが、俺も一緒に入れば怒るまい。
なら早速、連絡しておこう。
他の手紙も書きたかった俺は、それらを書きに部屋に向かった。
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