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第四章「独身寮編」
ファーストコンタクト
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「サーク!!」
久しぶりに聞いたその声が元気そうで嬉しい。
「ライルさん!!」
いつものように走ってきたライルさんと抱擁を交わす。
「元気だったか?」
「お陰でさまで。ライルさんは?」
「俺は絶好調だよ!公私共にね!」
ライルさんの目がシルクに移った。
にっこり笑って、手を差し出す。
「こんにちは!君がシルク!?サークから聞いてるよ!俺はライル。よろしくな!!」
「シルクです。よろしくお願いいたします。」
シルクは礼儀正しくライルさんに挨拶した。
う~ん、関係者へのファーストコンタクト、緊張する。
シルクは森の町で皆に可愛がられ、必要になるからと礼儀作法等を教えられていた。
色々な意味で王国に来る前に森の町で過ごせて良かった。
そして、ここでのファーストコンタクトがライルさんで良かった。
ライルさんは誰にも友好的で、親しみやすく面倒見がいい。
シルクも親しみやすいだろうし、親身になってくれる人が俺以外にもいることは重要だ。
「シルク、ライルさんは色々助けてくれる人だから、何かあったらライルさんを頼れよ?」
「承知しました。主。ライルさん、重ねてよろしくお願いいたします。」
「気にしないで!何かあったら言ってくれよな!」
ああ、久しぶりにライルさんのしっぽブンブンが見える。
俺は心の中で、感動の涙を流した。
「それにしても、サークが従者をつけるなんて……何か変な気分だよ。」
「う~ん。俺としては友達感覚なんですけど、一緒に行動するのにはそうするしかないと言うか……。本人も俺の事、主として仕えるって聞かないし……。」
「あのさ、サーク……。」
ライルさんが声を潜めて俺に耳打ちしてきた。
「最初に確認しておくけどさ、そういう関係?」
「そういう??」
「だから、恋人とかそういう……。」
俺の頭の中で鳩時計が三回鳴いた。
「ちっ!違います!シルクとはそういう関係ではありません!マジで勘弁してください!!」
「あ、そうなんだ~。あのサークが若干無理を力押しして従者を側に置こうとしてるからさ~。てっきり……。」
「……もしかして、そういう噂になってます?」
「ん~少し?」
「マジかっ!うわ、その辺は考えてなかったっ!!」
俺は頭を抱えた。
確かに。
確かに言われて見ればそうだ。
その辺はどう説明すれば!?
「シルクもごめんね~。そんな訳で、何か下世話な事言われるかも知れないけど、気にすんなよ!」
シルクはそれを聞いて、にこ~と笑った。
ヤバい。
今、こいつに喋らせたらヤバい。
俺はシルクを止めようとしたが、間に合わなかった。
「いえ、愛人なんで大丈夫です。」
爆弾っ!
爆弾投下しないでっ!
さすがのライルさんもフリーズしてるから!!
「シルクっ!てめえっ!その手の冗談はやめろっ!ここの人達マジだと思うからっ!!」
「え~本当の事じゃないですか~。主~。」
「ぶちのめすぞっ!このやろうっ!」
俺はシルクに殴りかかったが、武術としてはシルクが俺の師匠だ。
結構本気でかかっても、ひょいひょい避けられてしまう。
「……何か今、俺、ふたりの関係を理解したかも。」
そんな俺たちを見て、ライルさんが呟いた。
ライルさんに独身寮の部屋に案内してもらい、一息つく。
シルクとは同室だ。
別々も考えたがシルクが一緒でないと駄目と言ったのと、独身寮は基本的には二人部屋しかなかったからだ。
「あのさ、主?」
「なんだ?」
キョロキョロと部屋を見渡していたシルクが言った。
「さっき黙ってたけど、恋人の事って秘密にしてるのか?」
そう言われて俺は頭を抱えた。
「秘密……にしてた訳ではないんだけど、付き合い始めたタイミングがちょうど森の町に行く時だったのと……う~ん…本人に確認してないし……多分、向こうの立場上、秘密にしていた方がいいんじゃないかと思ってる……。」
「何か複雑な相手なの?」
「正直、色々わからなすぎて、複雑なのかどうかすら判断できない。」
「え?付き合ってるんだよね?」
「ええ、付き合ってますとも!」
「なのに、何にもわかんないの?」
「名前すら、付き合う事になるとき教えてもらったくらいだからな。」
「え?何そのややこしい関係!?」
「だって、教えてくれないし、聞いていいのかすらわかんないし……。」
「聞けばいいじゃん?」
「簡単に言うなよ~。」
「ヘタレ。」
シルクの言葉に撃沈する。
ああ、ヘタレですよ!
悪かったな!
「とにかく、とりあえずは秘密って事ね?」
「そのようにして頂けると助かります…。」
「ヘタレ。」
「返す言葉もありません……。」
完全に戦闘不能に陥った俺に、シルクは呆れたようにため息をついたのだった。
久しぶりに聞いたその声が元気そうで嬉しい。
「ライルさん!!」
いつものように走ってきたライルさんと抱擁を交わす。
「元気だったか?」
「お陰でさまで。ライルさんは?」
「俺は絶好調だよ!公私共にね!」
ライルさんの目がシルクに移った。
にっこり笑って、手を差し出す。
「こんにちは!君がシルク!?サークから聞いてるよ!俺はライル。よろしくな!!」
「シルクです。よろしくお願いいたします。」
シルクは礼儀正しくライルさんに挨拶した。
う~ん、関係者へのファーストコンタクト、緊張する。
シルクは森の町で皆に可愛がられ、必要になるからと礼儀作法等を教えられていた。
色々な意味で王国に来る前に森の町で過ごせて良かった。
そして、ここでのファーストコンタクトがライルさんで良かった。
ライルさんは誰にも友好的で、親しみやすく面倒見がいい。
シルクも親しみやすいだろうし、親身になってくれる人が俺以外にもいることは重要だ。
「シルク、ライルさんは色々助けてくれる人だから、何かあったらライルさんを頼れよ?」
「承知しました。主。ライルさん、重ねてよろしくお願いいたします。」
「気にしないで!何かあったら言ってくれよな!」
ああ、久しぶりにライルさんのしっぽブンブンが見える。
俺は心の中で、感動の涙を流した。
「それにしても、サークが従者をつけるなんて……何か変な気分だよ。」
「う~ん。俺としては友達感覚なんですけど、一緒に行動するのにはそうするしかないと言うか……。本人も俺の事、主として仕えるって聞かないし……。」
「あのさ、サーク……。」
ライルさんが声を潜めて俺に耳打ちしてきた。
「最初に確認しておくけどさ、そういう関係?」
「そういう??」
「だから、恋人とかそういう……。」
俺の頭の中で鳩時計が三回鳴いた。
「ちっ!違います!シルクとはそういう関係ではありません!マジで勘弁してください!!」
「あ、そうなんだ~。あのサークが若干無理を力押しして従者を側に置こうとしてるからさ~。てっきり……。」
「……もしかして、そういう噂になってます?」
「ん~少し?」
「マジかっ!うわ、その辺は考えてなかったっ!!」
俺は頭を抱えた。
確かに。
確かに言われて見ればそうだ。
その辺はどう説明すれば!?
「シルクもごめんね~。そんな訳で、何か下世話な事言われるかも知れないけど、気にすんなよ!」
シルクはそれを聞いて、にこ~と笑った。
ヤバい。
今、こいつに喋らせたらヤバい。
俺はシルクを止めようとしたが、間に合わなかった。
「いえ、愛人なんで大丈夫です。」
爆弾っ!
爆弾投下しないでっ!
さすがのライルさんもフリーズしてるから!!
「シルクっ!てめえっ!その手の冗談はやめろっ!ここの人達マジだと思うからっ!!」
「え~本当の事じゃないですか~。主~。」
「ぶちのめすぞっ!このやろうっ!」
俺はシルクに殴りかかったが、武術としてはシルクが俺の師匠だ。
結構本気でかかっても、ひょいひょい避けられてしまう。
「……何か今、俺、ふたりの関係を理解したかも。」
そんな俺たちを見て、ライルさんが呟いた。
ライルさんに独身寮の部屋に案内してもらい、一息つく。
シルクとは同室だ。
別々も考えたがシルクが一緒でないと駄目と言ったのと、独身寮は基本的には二人部屋しかなかったからだ。
「あのさ、主?」
「なんだ?」
キョロキョロと部屋を見渡していたシルクが言った。
「さっき黙ってたけど、恋人の事って秘密にしてるのか?」
そう言われて俺は頭を抱えた。
「秘密……にしてた訳ではないんだけど、付き合い始めたタイミングがちょうど森の町に行く時だったのと……う~ん…本人に確認してないし……多分、向こうの立場上、秘密にしていた方がいいんじゃないかと思ってる……。」
「何か複雑な相手なの?」
「正直、色々わからなすぎて、複雑なのかどうかすら判断できない。」
「え?付き合ってるんだよね?」
「ええ、付き合ってますとも!」
「なのに、何にもわかんないの?」
「名前すら、付き合う事になるとき教えてもらったくらいだからな。」
「え?何そのややこしい関係!?」
「だって、教えてくれないし、聞いていいのかすらわかんないし……。」
「聞けばいいじゃん?」
「簡単に言うなよ~。」
「ヘタレ。」
シルクの言葉に撃沈する。
ああ、ヘタレですよ!
悪かったな!
「とにかく、とりあえずは秘密って事ね?」
「そのようにして頂けると助かります…。」
「ヘタレ。」
「返す言葉もありません……。」
完全に戦闘不能に陥った俺に、シルクは呆れたようにため息をついたのだった。
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