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第八章②「敵地潜入」
窓を打つ雨音
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俺はホテルの窓から、降りしきる雨を見ていた。
南国の雨は重い。
ここに来てから夕方のスコールは度々あったが、その時間はたいていステージ前の準備で店や控室にいたので降っても影響も無かったし、ゆっくり眺める暇もなかった。
朝から降る雨は気温を下げたが湿度を上げた。
だから相対的にはそこまで体感は変わらない。
シルクはベッドで寝息を立てている。
今日、朝イチでカジノに連絡を入れた。
シルキーが熱を出したので、急遽、休ませて欲しいと。
当日連絡だが、出番は夕方からだ。
昼間のステージをやる者から代役を立てるには十分時間がある。
本来、新人の踊り子が熱を出した程度で休ませてもらえるなんて事はないが、シルキーは大口の客に気に入られた華だ。
ここで無理をさせて潰れるよりも、1日休ませて長く使いたいと判断したのだろう。
本当に無理かと何度か打診があった後、許可が降りた。
さて、どうしたものか……。
俺は眠るシルクの顔を確認した。
寝顔は今は落ち着いている。
昨夜は時折、苦しげな声をもらしていた。
眠っても目が覚めるらしく、最終的には俺のベッドに潜り込んできて、いつかのように手を握って眠った。
シルクの傷は俺なんかよりずっと深い。
俺は何だかんだ色々あって、ほぼ克服できているが、こいつは違う。
例え復讐を果たしたからと言って、その傷が塞がる訳じゃない。
ずっとずっと、シルクの中に残るのだ。
俺や周りにできる事は、その傷ごとシルクを受け入れる事。
そして治す事はできなくても、これ以上その傷が痛まぬよう、ただ側にいる事だけだ。
傷そのものは、シルクが背負っていかなければならないのだ。
どう頑張っても肩代わりできるものではない。
……シルクの強さを信じよう。
こいつの強さに俺は救われたんだ。
俺なんかよりずっと深く大きな傷を抱えて、俺なんかよりずっと強く健かで逞しく、決して諦めず戦い続け、負けなかった。
だから今回も信じて待つしかない。
俺には何もしてやれないのが辛いが、こればかりはどうしようもない。
あの日のように、シルクが自分で戻ってきてくれる事を信じて待つしかない。
俺はまた、窓の外を見た。
外は風が強くなってきていた。
自分の手のひらを眺める。
あんな事が起こるとは思わなかった。
あんな事が起こるなんて知らなかった。
手のひらは紙で指を切った程度に軽く小さく切れただけなので、どうってことはない。
いつも血を出す為に切っている傷の方がよっぽど深いのだから。
ただ、そういう事から自分の身が血を流すとは知らず、精神的な衝撃が大きかった。
今まで攻撃としての血の魔術は破られても特に問題はなかった。
だから探査などで作ったものも同じだと思っていたのだ。
だが違った。
それが何故か考えてみて仮説を立てた。
探査目的で作ったものというのは、おそらく自分の五感の感覚を延長したものなのだ。
だから壊されたら自分本体の感覚にも影響が返ってくる。
攻撃用に生み出したものは武器だ。
既に自分から切り離された別のものだ。
だから壊されても影響を受けない。
そういう事なのだと思う。
ただ探る目的だったから手が切れたのか、手を切って作ったものだったから生まれ出た所が切れたのか、そういったところはわからない。
自分の力なのに知らない事が多すぎる。
今まで生まれつきできるからなんの気なしに使っていたが、俺は何も知らないのだ。
探査などの感覚的な使用で自分の身に反動がある事も、どうしてそうなるかどういった時にどこが傷つくのか、そんな事も知らない。
血の魔術。
強い魔術が使えるがブレーカーが吹き飛んで死んだように数日寝込む事はわかっていた。
でもそれがどうしてかも、どれだけ危険かも知らなかった。
寝込む事を俺は大した事だとは思っていなかった。
何故なら魔力持ちは、魔力を使いすぎれば枯渇によって深く眠る事があるからだ。
だが俺の場合、特に血の魔術においては、人の身に余る力を使う事によって、人間としての肉体や魂が傷つく為に一種の仮死状態に陥る、いわゆる生体防衛措置なのだとボーンさんは言っていた。
だから限界までチカラを使用すれば、力と肉体のバランスが崩壊して俺自身が破壊される。
何度もやった事を話したら、今までよく生きていたなと呆れ顔で言われた意味がわかった。
でも仕方がないじゃないか。
知らなかったのだ。
俺は何も知らなかったのだ。
血の力というものが何なのか。
まさか自分が人間じゃないなんて、人と精霊か何かの間に生まれたものだなんて、考えた事もなかった。
ただちょっと人と違う事ができる、ごく普通の人間だと思っていたのだから。
確かにあまり使っていいものではないとは思っていた。
義父さんにも止められてたし、義父さんの言う通り皆、見れば気持ち悪がるし強く使えば倒れるし。
それにたいていは使わなくても普通の魔術で対応できていたから使う必要も無かった。
騎士になって警護部隊に入ったから何だかんだ使うようになっただけで、警護部隊に入らなかったら殆ど使わずに生きていっただろう。
だが今の現状を考えて、今後使わずに封印すると言う事も難しい。
俺は血の魔術も含めての鍛錬をしてきた。
使わないと言うのも考えられないが、俺はもっとこの力について慎重になった方がいいのかもしれない。
外を見る。
雨足が強くなっている。
もしかしたらこのまま暴風雨になるかもしれない。
空はどんよりと暗く重く、気圧もじりじりと重くなっている。
こんな雨の中、出かけるのは億劫だ。
休んで良かったなと、つまらない事を思った。
ここではあの視線を感知できない。
念の為、ホテルに戻って厳重に探査をし、部屋と周囲に強く結界を張った。
でも多分、あればここにはいない。
何かは少なくともカジノにいて、そこから俺達を見ている。
もしかしたら以前はここも見ていたかもしれないが、向こうも鼠を倒した事で俺に察知された事に気づいていると思う。
だから現時点で深追いはしてこないだろう。
それぐらい警戒心の強い相手だと俺は判断している。
一体何者なのだろう?
どういう目的で俺達を見ているのだろう?
不思議と俺もシルクも攻撃的なものは感じない。
だから鼠を殺された事に驚いた。
初めてそれが見せた攻撃性だった。
恐らく向こうも、それを攻撃してしまった事、それによって俺達に警戒された事に驚いているだろう。
何となくそんな印象を持っていた。
とは言え、油断のできる相手ではない。
何しろ普通では気づけないはずの鼠に気づき、自分を探っている事を悟って攻撃を加えたのだ。
一般的な魔術ではないのだから、感知するのだって難しかったはずだ。
見事に倒したのだ。
見えない鼠を。
しかもそれは一撃だった。
もしも鼠が危機を感じたならば、俺が気づいたはずだ。
そんな前触れもなく、突然あれは起こったのだ。
一体何者なんだ?
何を思って俺達を見ているんだ?
だがどう考えてもその答えは見つからない。
ただただ、それがグレゴリウスの目でない事を祈るばかりだ。
今の所、見ているだけ。
攻撃性も感じなければ敵意も感じない。
今後、それがどう変わるかわからないが、できれば関わりたくない相手だ。
それで済めば良いのだけれど……。
「……なんか、前途多難だな…。」
上手く事が運びすぎると、こうやって対応の難しい事態に見舞われる。
シルクの事もある。
順調に駒を進めていたが、ここは方向性を変えてカジノからこの国を探っていく方法は諦めた方が良いのかもしれない。
他に方法が無い訳じゃないが、シルクの顔を売りすぎた。
今から俺が商人として内情に深く入り込んでいくのは少し難しい。
他に何か手はあるかな……。
芸能、商業が難しいなら、後は宗教かなぁ……。
シルクの顔が売れてるから、女神信仰をここでも流行らそうか?
そんなくだらない事を考えて、思わずぷぷぷと笑った。
女神信仰を思い出して、ふと、皆がどうしているか考えた。
無茶してないだろうか?
疲弊してないだろうか?
気持ちが折れそうになっていないだろうか?
……何より、元気だろうか?
何もなくとも俺の事なんか見捨ててもいいから、元気でいて欲しかった。
フライハイトのギルドが、所在地政府離脱権限の施行を表明すると同時に動き出している。
方法はわからないが、ギル達とも連絡を取ってくれただろう。
それは俺の意向でもあったし、マダムの意向でもあった。
よくわからないが、どうやらマダムは本気で王国に喧嘩を売るつもりらしい。
肝っ玉が座っている人だとは思っていたが、まさかここまでとは思ってなかった。
あの人は、一体何をやらかす気なんだろう??
俺の為に迷惑をかけて申し訳ないと思っていたが、どうもマダムは、俺の事に便乗して別の事をやってのけようとしているようでもあった。
「それだって普通、国を敵に回そうとは思わないよな~。」
全くあの人には敵わない。
敵に回ってくれなくて、本当に良かったなと思う。
あの人があそこまで余裕綽々であんな事ができるのは、何なんだろう??
元々の性格なのだろうか?
大胆不敵というか、怖いもの無しというか……。
でもあの不敵さがあるから、皆、安心してついていくんだろうけど。
おかしな事になったけど、マダムが皆の力になってくれるだろうと思うと俺も心強かった。
俺を逃がす為に無茶をさせたまま、何もできずに残してきた仲間だ。
心配じゃないと言えば嘘になる。
連絡も取り様がないし、どうにもできない。
そこにマダムが繋がってくれたのなら、もしもの事があっても力になってくれるはずだ。
それにあいつらとマダムが繋がれば、多分、師匠とも繋がる。
師匠はマダムと顔見知りだし、ギルドにも所属している。
そうなれば関係は薄いが魔術本部とも繋がる。
俺を繋ぐ仲間のラインが、一応、全て繋がった事になる。
「……大丈夫、何とかなる。」
ちょっと今、躓いて気持ちがネガティブになったけれど、俺を支えてくれる人達の事を思い出したら何だか腹が減ってきた。
そう言えば今日はまだちゃんと食べていない。
何か昨日、買っておいて残ってたものはあったっけ?
腹が減っては戦はできぬ。
ちゃんと食べてから、もう一度考えよう。
俺はそう思って、昨日は片付ける事も出来ずにほったらかしになっていた荷物を整理し始めた。
南国の雨は重い。
ここに来てから夕方のスコールは度々あったが、その時間はたいていステージ前の準備で店や控室にいたので降っても影響も無かったし、ゆっくり眺める暇もなかった。
朝から降る雨は気温を下げたが湿度を上げた。
だから相対的にはそこまで体感は変わらない。
シルクはベッドで寝息を立てている。
今日、朝イチでカジノに連絡を入れた。
シルキーが熱を出したので、急遽、休ませて欲しいと。
当日連絡だが、出番は夕方からだ。
昼間のステージをやる者から代役を立てるには十分時間がある。
本来、新人の踊り子が熱を出した程度で休ませてもらえるなんて事はないが、シルキーは大口の客に気に入られた華だ。
ここで無理をさせて潰れるよりも、1日休ませて長く使いたいと判断したのだろう。
本当に無理かと何度か打診があった後、許可が降りた。
さて、どうしたものか……。
俺は眠るシルクの顔を確認した。
寝顔は今は落ち着いている。
昨夜は時折、苦しげな声をもらしていた。
眠っても目が覚めるらしく、最終的には俺のベッドに潜り込んできて、いつかのように手を握って眠った。
シルクの傷は俺なんかよりずっと深い。
俺は何だかんだ色々あって、ほぼ克服できているが、こいつは違う。
例え復讐を果たしたからと言って、その傷が塞がる訳じゃない。
ずっとずっと、シルクの中に残るのだ。
俺や周りにできる事は、その傷ごとシルクを受け入れる事。
そして治す事はできなくても、これ以上その傷が痛まぬよう、ただ側にいる事だけだ。
傷そのものは、シルクが背負っていかなければならないのだ。
どう頑張っても肩代わりできるものではない。
……シルクの強さを信じよう。
こいつの強さに俺は救われたんだ。
俺なんかよりずっと深く大きな傷を抱えて、俺なんかよりずっと強く健かで逞しく、決して諦めず戦い続け、負けなかった。
だから今回も信じて待つしかない。
俺には何もしてやれないのが辛いが、こればかりはどうしようもない。
あの日のように、シルクが自分で戻ってきてくれる事を信じて待つしかない。
俺はまた、窓の外を見た。
外は風が強くなってきていた。
自分の手のひらを眺める。
あんな事が起こるとは思わなかった。
あんな事が起こるなんて知らなかった。
手のひらは紙で指を切った程度に軽く小さく切れただけなので、どうってことはない。
いつも血を出す為に切っている傷の方がよっぽど深いのだから。
ただ、そういう事から自分の身が血を流すとは知らず、精神的な衝撃が大きかった。
今まで攻撃としての血の魔術は破られても特に問題はなかった。
だから探査などで作ったものも同じだと思っていたのだ。
だが違った。
それが何故か考えてみて仮説を立てた。
探査目的で作ったものというのは、おそらく自分の五感の感覚を延長したものなのだ。
だから壊されたら自分本体の感覚にも影響が返ってくる。
攻撃用に生み出したものは武器だ。
既に自分から切り離された別のものだ。
だから壊されても影響を受けない。
そういう事なのだと思う。
ただ探る目的だったから手が切れたのか、手を切って作ったものだったから生まれ出た所が切れたのか、そういったところはわからない。
自分の力なのに知らない事が多すぎる。
今まで生まれつきできるからなんの気なしに使っていたが、俺は何も知らないのだ。
探査などの感覚的な使用で自分の身に反動がある事も、どうしてそうなるかどういった時にどこが傷つくのか、そんな事も知らない。
血の魔術。
強い魔術が使えるがブレーカーが吹き飛んで死んだように数日寝込む事はわかっていた。
でもそれがどうしてかも、どれだけ危険かも知らなかった。
寝込む事を俺は大した事だとは思っていなかった。
何故なら魔力持ちは、魔力を使いすぎれば枯渇によって深く眠る事があるからだ。
だが俺の場合、特に血の魔術においては、人の身に余る力を使う事によって、人間としての肉体や魂が傷つく為に一種の仮死状態に陥る、いわゆる生体防衛措置なのだとボーンさんは言っていた。
だから限界までチカラを使用すれば、力と肉体のバランスが崩壊して俺自身が破壊される。
何度もやった事を話したら、今までよく生きていたなと呆れ顔で言われた意味がわかった。
でも仕方がないじゃないか。
知らなかったのだ。
俺は何も知らなかったのだ。
血の力というものが何なのか。
まさか自分が人間じゃないなんて、人と精霊か何かの間に生まれたものだなんて、考えた事もなかった。
ただちょっと人と違う事ができる、ごく普通の人間だと思っていたのだから。
確かにあまり使っていいものではないとは思っていた。
義父さんにも止められてたし、義父さんの言う通り皆、見れば気持ち悪がるし強く使えば倒れるし。
それにたいていは使わなくても普通の魔術で対応できていたから使う必要も無かった。
騎士になって警護部隊に入ったから何だかんだ使うようになっただけで、警護部隊に入らなかったら殆ど使わずに生きていっただろう。
だが今の現状を考えて、今後使わずに封印すると言う事も難しい。
俺は血の魔術も含めての鍛錬をしてきた。
使わないと言うのも考えられないが、俺はもっとこの力について慎重になった方がいいのかもしれない。
外を見る。
雨足が強くなっている。
もしかしたらこのまま暴風雨になるかもしれない。
空はどんよりと暗く重く、気圧もじりじりと重くなっている。
こんな雨の中、出かけるのは億劫だ。
休んで良かったなと、つまらない事を思った。
ここではあの視線を感知できない。
念の為、ホテルに戻って厳重に探査をし、部屋と周囲に強く結界を張った。
でも多分、あればここにはいない。
何かは少なくともカジノにいて、そこから俺達を見ている。
もしかしたら以前はここも見ていたかもしれないが、向こうも鼠を倒した事で俺に察知された事に気づいていると思う。
だから現時点で深追いはしてこないだろう。
それぐらい警戒心の強い相手だと俺は判断している。
一体何者なのだろう?
どういう目的で俺達を見ているのだろう?
不思議と俺もシルクも攻撃的なものは感じない。
だから鼠を殺された事に驚いた。
初めてそれが見せた攻撃性だった。
恐らく向こうも、それを攻撃してしまった事、それによって俺達に警戒された事に驚いているだろう。
何となくそんな印象を持っていた。
とは言え、油断のできる相手ではない。
何しろ普通では気づけないはずの鼠に気づき、自分を探っている事を悟って攻撃を加えたのだ。
一般的な魔術ではないのだから、感知するのだって難しかったはずだ。
見事に倒したのだ。
見えない鼠を。
しかもそれは一撃だった。
もしも鼠が危機を感じたならば、俺が気づいたはずだ。
そんな前触れもなく、突然あれは起こったのだ。
一体何者なんだ?
何を思って俺達を見ているんだ?
だがどう考えてもその答えは見つからない。
ただただ、それがグレゴリウスの目でない事を祈るばかりだ。
今の所、見ているだけ。
攻撃性も感じなければ敵意も感じない。
今後、それがどう変わるかわからないが、できれば関わりたくない相手だ。
それで済めば良いのだけれど……。
「……なんか、前途多難だな…。」
上手く事が運びすぎると、こうやって対応の難しい事態に見舞われる。
シルクの事もある。
順調に駒を進めていたが、ここは方向性を変えてカジノからこの国を探っていく方法は諦めた方が良いのかもしれない。
他に方法が無い訳じゃないが、シルクの顔を売りすぎた。
今から俺が商人として内情に深く入り込んでいくのは少し難しい。
他に何か手はあるかな……。
芸能、商業が難しいなら、後は宗教かなぁ……。
シルクの顔が売れてるから、女神信仰をここでも流行らそうか?
そんなくだらない事を考えて、思わずぷぷぷと笑った。
女神信仰を思い出して、ふと、皆がどうしているか考えた。
無茶してないだろうか?
疲弊してないだろうか?
気持ちが折れそうになっていないだろうか?
……何より、元気だろうか?
何もなくとも俺の事なんか見捨ててもいいから、元気でいて欲しかった。
フライハイトのギルドが、所在地政府離脱権限の施行を表明すると同時に動き出している。
方法はわからないが、ギル達とも連絡を取ってくれただろう。
それは俺の意向でもあったし、マダムの意向でもあった。
よくわからないが、どうやらマダムは本気で王国に喧嘩を売るつもりらしい。
肝っ玉が座っている人だとは思っていたが、まさかここまでとは思ってなかった。
あの人は、一体何をやらかす気なんだろう??
俺の為に迷惑をかけて申し訳ないと思っていたが、どうもマダムは、俺の事に便乗して別の事をやってのけようとしているようでもあった。
「それだって普通、国を敵に回そうとは思わないよな~。」
全くあの人には敵わない。
敵に回ってくれなくて、本当に良かったなと思う。
あの人があそこまで余裕綽々であんな事ができるのは、何なんだろう??
元々の性格なのだろうか?
大胆不敵というか、怖いもの無しというか……。
でもあの不敵さがあるから、皆、安心してついていくんだろうけど。
おかしな事になったけど、マダムが皆の力になってくれるだろうと思うと俺も心強かった。
俺を逃がす為に無茶をさせたまま、何もできずに残してきた仲間だ。
心配じゃないと言えば嘘になる。
連絡も取り様がないし、どうにもできない。
そこにマダムが繋がってくれたのなら、もしもの事があっても力になってくれるはずだ。
それにあいつらとマダムが繋がれば、多分、師匠とも繋がる。
師匠はマダムと顔見知りだし、ギルドにも所属している。
そうなれば関係は薄いが魔術本部とも繋がる。
俺を繋ぐ仲間のラインが、一応、全て繋がった事になる。
「……大丈夫、何とかなる。」
ちょっと今、躓いて気持ちがネガティブになったけれど、俺を支えてくれる人達の事を思い出したら何だか腹が減ってきた。
そう言えば今日はまだちゃんと食べていない。
何か昨日、買っておいて残ってたものはあったっけ?
腹が減っては戦はできぬ。
ちゃんと食べてから、もう一度考えよう。
俺はそう思って、昨日は片付ける事も出来ずにほったらかしになっていた荷物を整理し始めた。
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