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第八章②「敵地潜入」
半透明から見る世界
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VIPルームでの仕事は減ったのだが、それは悪い効果ではなかった。
シルキーはパーマーの一件で、常連達に一目置かれる存在となっていたので、すでに相手の懐に入っていたからだ。
行く回数が減ったからと言って取り入ろうと躍起になる必要もない。
むしろいつも会える訳ではないと言う事が、彼らにとっては逆に新鮮だったようだ。
この世に手に入らないものなどないような連中にとって、声をかけてもすぐに呼びつけられない華は面白かったらしい。
自分たちに取り入ろうともしないし、いつもいる訳ではない。
だからと言って選り好みして拒絶してくる訳ではなく、むしろ誰にでもフレンドリーで、来る者拒まず去るもの追わずといった何にもこだわらない事が好まれた。
だからと言って意思が無い訳でもなく、度を超えた無作法には毅然とした態度を示す。
そのやり方がまた爽快で周りを楽しませるものだから、さらに気に入られた。
彼らはシルキーの事を天気のような踊り子と言うそうだ。
分け隔てなくあるがままに接し、だからと言って誰かの思い通りにもならない。
厳しさや荒々しさも持ち合わせ、そしてハッとするほど美しいのだと。
ステージ袖で出番待ちをしているシルキーを遠目に見ながら、エズラ氏はそう教えてくれた。
彼はとうとう送ってきたシルキー待って、舞台裏まで入ってきた。
品のいい身なりの男が、汗だくになって慌ただしく働く裏の皆さんのいる舞台裏にいるのは少し滑稽である。
俺は彼の横に立ちその話を聞いて、内心褒め過ぎだろうと思った。
あれはシルクが演じているシルキーという人間だ。
ちょっと皆、夢を見すぎている。
あいつ本体は、美しすぎる舞で血の海を生み出す踊り手なんだけどね。
そしてそんな話をする彼の顔を横目で見ながら、内心ため息をついた。
「心配かい?」
「え?何がですか??」
「私の事が。」
俺はそう言われ、マジマジとエズラ氏の顔を見た。
どういう意味かわからなかったからだ。
きょとんとする俺に彼は笑った。
「私がシルキーに何かするんじゃないかと言う事を、だよ。」
説明されて、ああと理解した。
少しばかり考えたが、エズラ氏がシルキーに何か出来るとは思えなかった。
「いえ、特には心配してませんが?」
俺が心配しているのはシルキーだ。
微妙にエズラ氏に対して言ってる事と行動が噛み合っていないので意味がわからない。
それを本人がわかってないんじゃないかと思って心配しているのだ。
俺があまりにあっさり答えたので、今度はエズラ氏がきょとんとしていた。
「心配していないのかい?本当に?」
「はい。何か心配しなければならない事があるんですか??」
俺が素でそういうものだから、エズラ氏は逆に真剣な顔をした。
少し考え、そして言った。
「私は君に、シルキーから手を引いて欲しいと言うつもりだった。」
「なるほど。シルキーを育てるにはすでに私では役不足だと思ったんですね。」
さっくり言い返すと、彼は苦笑した。
「ははは。君たち似てるね?歯に衣着せぬ感じがそっくりだ。そう、そう思ったから、そう言うつもりだった。」
「でも言わなかったんですね。」
「敵わないな。そうだよ。言えなかった。シルキーがそれを望んでなかったからね。」
「なるほど??」
「シルキーは私に言ったよ。翼を折られるくらいなら、死んだ方がいいって。」
「あ~……なるほど……。」
それでやっと理解できた。
シルキーはエズラ氏に対して何もしていない訳ではない。
ビジネスとして求められた部分は、すでにへし折っていたのだ。
ただ誤算だったのは、彼にもゴードンと同じように恋心があった事だ。
しかもそれがシルキーの予想以上に本気だったのだろう。
それは仕事としての部分をへし折れば一緒に折れると言うほど淡い感情ではなかった。
むしろ仕事としての部分をへし折った為に、かえってその部分だけ鮮明に残ってしまったのだ。
恋愛マスターでも読み誤るんだなと、妙に感心する。
「思うにシルキーの羽ばたきについていけるのは、おそらく君だけなんだろうね、ハーマン。」
「どうでしょう?何も持っていなければ、追いかける事は誰にでも出来るんじゃないですかね??」
俺がそう答えると、エズラ氏は少し卑屈気味に笑った。
「そこだよ。人は誰でも、何かを持っていなければ、何かに齧りついていなければ、生きていくのは難しい。たとえそれが、望まないものだったとしても、それがなければ生きていけないものだよ。」
エズラ氏の言う事は、少し謎掛けのようで俺にはよくわからなかった。
本とか戯曲とかに例えているのかもしれない。
シルキーならうまく答えるのかもしれないが、残念ながら俺にはそう言った芸術的な知識はあまりないので何とも言えない。
「それはつまり、俺は何にもかじりついていないのに生きている希少生物って事ですか??」
俺の答えにエズラ氏は目を丸くした。
何だろう?そんな変な言い方だったかな?もしくは厭味ったらしく聞こえたのかだな?
「君は……面白い表現方法をするんだね?」
「すみません、芸術的な文化には疎いもので。」
「いや新鮮で面白い。私の周りにはそう言う表現方法をする人はいないから。でも……そうだね。君は何かに縋りついて生きているようには見えないよ。普通踊り子の付き人なら、それに縋って生きているものなのに君にはそれがない。シルキーが遠くに飛んでいってしまうなら、それはそれで良いと思っているんじゃないか?」
「そうですね。シルキーが自由でいられるなら、その形には拘らないですね?むしろ今、俺が踊り子として縛っているんじゃないかと心配になります。」
正しくは踊り子としてじゃない。
従者として俺がシルクにとっての絶対的な存在である事が、あいつを縛っているんじゃないかと心配になる。
自由でいればいいのに、あいつはそれを望まない。
だから時より不安になる。
「そうか……だからシルキーは君を選ぶんだね……。」
エズラ氏は、降参したと言うように小さくため息をついた。
どういう意味なのだろう?
俺は聞いてしまいたかった。
シルクが何故、自由にこだわるのに、俺といると言う不自由を選ぶのか。
だが、エズラ氏はシルキーの話をしていて、シルクの話をしているんじゃないし、俺達の本当の事を知っている訳ではないし明かす事もできないので黙っていた。
「本当に自由なのは君なんだね。」
「え??」
「言っただろう?人は誰でも何かを持っていないと生きていけない。何かに齧りつき、何かに縋らないと生きていけないんだ。」
「はぁ……。」
「シルキーも同じだよ。自由を愛し、自由でいたいと願う。翼を折られるなら死んだ方がいいと思うほど……。でも、そんなシルキーにも宿る木が必要なんだ。生きるためにね。」
「……それが、俺だと?」
「さぁ、そこまでは?ただ、君が彼を縛る事をやめたらシルキーは死んでしまうだろうね。自由というのは、不自由の中に存在するものだよ、ハーマン。」
物凄く哲学的な事を言い、エズラ氏は笑った。
確かに自由はある種の不自由、つまり規則の中に存在するものだ。
この制限の中では何をしてもいいというものなのだ。
そうでないものは自由ではない。
「自由と無秩序は違う、か……。」
小声で呟いた俺の言葉に、エズラ氏は静かに笑った。
バタつく舞台裏、俺達の周りだけに静寂があった。
「……君とはいい友達になれる気がするよ、ハーマン。」
「そうですか?俺は全くそうは思えないんですけど……。」
お互い顔を見ることなくそう呟く。
前のステージが終わって、ステージ転換が行われている。
前にあった大道具などが片付けられ、まっさらなステージが現れる。
「シルキーの出番だね。」
「そうですね。」
舞台袖に立つシルキーが俺達に振り向いた。
笑って手を降ってくる。
俺は軽く手をあげて答えた。
横を見ればエズラ氏も手を振っていた。
何だかな、と思う。
シルクもシルクだが、エズラ氏も何を求めているのかわからない。
シルキーに惚れているのはわかるが、そこまで情熱的にどうこうしようとする何かを感じない。
だからと言って諦めている風ではないし、よくわからない。
「掴めないな~。何か。」
舞台袖までシルキーを見に行くエズラ氏の後ろ姿を見つめ、俺は呟いた。
だからシルキーも対応に困るのかもしれない。
確かにいい人だし、品もあるし知性もある。
危険さは感じないが、どことなく謎めいていて、むしろその存在の危うさみたいなものを感じる。
人によっては、この危うさが放ってはおけないと思うだろう。
希薄な人、俺にはエズラ氏がそう見えた。
「ハーマン!何をしているんだい?!始まったよ!!」
彼が振り向いて俺を呼んだ。
小綺麗な格好をしているのに、嫌味なく舞台裏の皆に混じってシルキーの踊りを袖から見ている。
「変な人だなぁ~。色んな意味で。」
希薄な彼の目には何が見えて、何を求め、何に縋りながら生きているのだろう?
ぶつくさ言いながらも、結局俺は舞台袖に近づき、シルキーの踊りを眺めたのだった。
シルキーはパーマーの一件で、常連達に一目置かれる存在となっていたので、すでに相手の懐に入っていたからだ。
行く回数が減ったからと言って取り入ろうと躍起になる必要もない。
むしろいつも会える訳ではないと言う事が、彼らにとっては逆に新鮮だったようだ。
この世に手に入らないものなどないような連中にとって、声をかけてもすぐに呼びつけられない華は面白かったらしい。
自分たちに取り入ろうともしないし、いつもいる訳ではない。
だからと言って選り好みして拒絶してくる訳ではなく、むしろ誰にでもフレンドリーで、来る者拒まず去るもの追わずといった何にもこだわらない事が好まれた。
だからと言って意思が無い訳でもなく、度を超えた無作法には毅然とした態度を示す。
そのやり方がまた爽快で周りを楽しませるものだから、さらに気に入られた。
彼らはシルキーの事を天気のような踊り子と言うそうだ。
分け隔てなくあるがままに接し、だからと言って誰かの思い通りにもならない。
厳しさや荒々しさも持ち合わせ、そしてハッとするほど美しいのだと。
ステージ袖で出番待ちをしているシルキーを遠目に見ながら、エズラ氏はそう教えてくれた。
彼はとうとう送ってきたシルキー待って、舞台裏まで入ってきた。
品のいい身なりの男が、汗だくになって慌ただしく働く裏の皆さんのいる舞台裏にいるのは少し滑稽である。
俺は彼の横に立ちその話を聞いて、内心褒め過ぎだろうと思った。
あれはシルクが演じているシルキーという人間だ。
ちょっと皆、夢を見すぎている。
あいつ本体は、美しすぎる舞で血の海を生み出す踊り手なんだけどね。
そしてそんな話をする彼の顔を横目で見ながら、内心ため息をついた。
「心配かい?」
「え?何がですか??」
「私の事が。」
俺はそう言われ、マジマジとエズラ氏の顔を見た。
どういう意味かわからなかったからだ。
きょとんとする俺に彼は笑った。
「私がシルキーに何かするんじゃないかと言う事を、だよ。」
説明されて、ああと理解した。
少しばかり考えたが、エズラ氏がシルキーに何か出来るとは思えなかった。
「いえ、特には心配してませんが?」
俺が心配しているのはシルキーだ。
微妙にエズラ氏に対して言ってる事と行動が噛み合っていないので意味がわからない。
それを本人がわかってないんじゃないかと思って心配しているのだ。
俺があまりにあっさり答えたので、今度はエズラ氏がきょとんとしていた。
「心配していないのかい?本当に?」
「はい。何か心配しなければならない事があるんですか??」
俺が素でそういうものだから、エズラ氏は逆に真剣な顔をした。
少し考え、そして言った。
「私は君に、シルキーから手を引いて欲しいと言うつもりだった。」
「なるほど。シルキーを育てるにはすでに私では役不足だと思ったんですね。」
さっくり言い返すと、彼は苦笑した。
「ははは。君たち似てるね?歯に衣着せぬ感じがそっくりだ。そう、そう思ったから、そう言うつもりだった。」
「でも言わなかったんですね。」
「敵わないな。そうだよ。言えなかった。シルキーがそれを望んでなかったからね。」
「なるほど??」
「シルキーは私に言ったよ。翼を折られるくらいなら、死んだ方がいいって。」
「あ~……なるほど……。」
それでやっと理解できた。
シルキーはエズラ氏に対して何もしていない訳ではない。
ビジネスとして求められた部分は、すでにへし折っていたのだ。
ただ誤算だったのは、彼にもゴードンと同じように恋心があった事だ。
しかもそれがシルキーの予想以上に本気だったのだろう。
それは仕事としての部分をへし折れば一緒に折れると言うほど淡い感情ではなかった。
むしろ仕事としての部分をへし折った為に、かえってその部分だけ鮮明に残ってしまったのだ。
恋愛マスターでも読み誤るんだなと、妙に感心する。
「思うにシルキーの羽ばたきについていけるのは、おそらく君だけなんだろうね、ハーマン。」
「どうでしょう?何も持っていなければ、追いかける事は誰にでも出来るんじゃないですかね??」
俺がそう答えると、エズラ氏は少し卑屈気味に笑った。
「そこだよ。人は誰でも、何かを持っていなければ、何かに齧りついていなければ、生きていくのは難しい。たとえそれが、望まないものだったとしても、それがなければ生きていけないものだよ。」
エズラ氏の言う事は、少し謎掛けのようで俺にはよくわからなかった。
本とか戯曲とかに例えているのかもしれない。
シルキーならうまく答えるのかもしれないが、残念ながら俺にはそう言った芸術的な知識はあまりないので何とも言えない。
「それはつまり、俺は何にもかじりついていないのに生きている希少生物って事ですか??」
俺の答えにエズラ氏は目を丸くした。
何だろう?そんな変な言い方だったかな?もしくは厭味ったらしく聞こえたのかだな?
「君は……面白い表現方法をするんだね?」
「すみません、芸術的な文化には疎いもので。」
「いや新鮮で面白い。私の周りにはそう言う表現方法をする人はいないから。でも……そうだね。君は何かに縋りついて生きているようには見えないよ。普通踊り子の付き人なら、それに縋って生きているものなのに君にはそれがない。シルキーが遠くに飛んでいってしまうなら、それはそれで良いと思っているんじゃないか?」
「そうですね。シルキーが自由でいられるなら、その形には拘らないですね?むしろ今、俺が踊り子として縛っているんじゃないかと心配になります。」
正しくは踊り子としてじゃない。
従者として俺がシルクにとっての絶対的な存在である事が、あいつを縛っているんじゃないかと心配になる。
自由でいればいいのに、あいつはそれを望まない。
だから時より不安になる。
「そうか……だからシルキーは君を選ぶんだね……。」
エズラ氏は、降参したと言うように小さくため息をついた。
どういう意味なのだろう?
俺は聞いてしまいたかった。
シルクが何故、自由にこだわるのに、俺といると言う不自由を選ぶのか。
だが、エズラ氏はシルキーの話をしていて、シルクの話をしているんじゃないし、俺達の本当の事を知っている訳ではないし明かす事もできないので黙っていた。
「本当に自由なのは君なんだね。」
「え??」
「言っただろう?人は誰でも何かを持っていないと生きていけない。何かに齧りつき、何かに縋らないと生きていけないんだ。」
「はぁ……。」
「シルキーも同じだよ。自由を愛し、自由でいたいと願う。翼を折られるなら死んだ方がいいと思うほど……。でも、そんなシルキーにも宿る木が必要なんだ。生きるためにね。」
「……それが、俺だと?」
「さぁ、そこまでは?ただ、君が彼を縛る事をやめたらシルキーは死んでしまうだろうね。自由というのは、不自由の中に存在するものだよ、ハーマン。」
物凄く哲学的な事を言い、エズラ氏は笑った。
確かに自由はある種の不自由、つまり規則の中に存在するものだ。
この制限の中では何をしてもいいというものなのだ。
そうでないものは自由ではない。
「自由と無秩序は違う、か……。」
小声で呟いた俺の言葉に、エズラ氏は静かに笑った。
バタつく舞台裏、俺達の周りだけに静寂があった。
「……君とはいい友達になれる気がするよ、ハーマン。」
「そうですか?俺は全くそうは思えないんですけど……。」
お互い顔を見ることなくそう呟く。
前のステージが終わって、ステージ転換が行われている。
前にあった大道具などが片付けられ、まっさらなステージが現れる。
「シルキーの出番だね。」
「そうですね。」
舞台袖に立つシルキーが俺達に振り向いた。
笑って手を降ってくる。
俺は軽く手をあげて答えた。
横を見ればエズラ氏も手を振っていた。
何だかな、と思う。
シルクもシルクだが、エズラ氏も何を求めているのかわからない。
シルキーに惚れているのはわかるが、そこまで情熱的にどうこうしようとする何かを感じない。
だからと言って諦めている風ではないし、よくわからない。
「掴めないな~。何か。」
舞台袖までシルキーを見に行くエズラ氏の後ろ姿を見つめ、俺は呟いた。
だからシルキーも対応に困るのかもしれない。
確かにいい人だし、品もあるし知性もある。
危険さは感じないが、どことなく謎めいていて、むしろその存在の危うさみたいなものを感じる。
人によっては、この危うさが放ってはおけないと思うだろう。
希薄な人、俺にはエズラ氏がそう見えた。
「ハーマン!何をしているんだい?!始まったよ!!」
彼が振り向いて俺を呼んだ。
小綺麗な格好をしているのに、嫌味なく舞台裏の皆に混じってシルキーの踊りを袖から見ている。
「変な人だなぁ~。色んな意味で。」
希薄な彼の目には何が見えて、何を求め、何に縋りながら生きているのだろう?
ぶつくさ言いながらも、結局俺は舞台袖に近づき、シルキーの踊りを眺めたのだった。
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