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第八章②「敵地潜入」
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暗い礼拝堂の地下。
壁の至るところに彫られた彫刻が、俺と同じく物言わずその戦いを見つめている。
心ばかりにわずかに灯されている光は魔術灯で、人がいればそこに火を灯すのだろう。
その光に生み出される弱々しい影よりずっと黒い影が2つ、何の理由からか殺し合いをしている。
シルクがスッと息を潜めたのがわかった。
演舞を使うつもりだと俺は察した。
タンッとステップを踏み、流れるように踊りだす。
だが驚く事に、その瞬間、相手も息を潜め、ダンダンっと足を踏み鳴らした。
演舞だっ!
俺は息を呑んだ。
シルク以外に演舞を使う人間がいるなんて考えた事もなかった。
だが、お互いそれはわかっていたのか、少しの動揺も見せない。
シルクがひらひらと美しく舞うように連続でシャムシールを振り下ろすと、相手はそれを受け流しながら、ダンダンっと足を踏み鳴らして押す。
それを見て俺は初めて知った。
演舞の舞は、一つではないのだと。
シルクの舞は、ただただ流れるように軽やかで素早く美しい。
相手の舞は、流れるようではあるが、むしろ重く力強い踊りだ。
大地を踏みしめ、祈るように踊るのだ。
その分速さは劣るがパワーがある。
シルクはそのパワーを柔軟さで受け流して速さで押す。
俺は圧倒された。
自分の見ているものが信じられなかった。
シルクを見つけた事だって奇跡としか言いようがないのに、同じように演舞を舞うものが、目の前にもう一人いるのだ。
しかもその2人が死闘している。
揺るぎなく静かに相手を殺そうとしている。
それはまるで、神に捧げる奉納舞であり、強き戦士を生贄と捧げる為の儀式だった。
だが、武術と剣で争っていた時同様、段々シルクが押され始めた。
どうにかしなければと思うが、体が動かない。
やがて……。
「~~~っ!わかった!降参する~っ!!」
シルクがいきなり素の声で叫んだ。
しかし相手は攻撃をやめない。
「その言い方では認めんと何度教えたっ!!」
「鬼っ!悪魔っ!異常者っ!!」
「ほ~う。覚悟は良いな?」
シルクの悪態に、相手の攻撃が早くなる。
流石にシルクが叫んでからは二人とも演舞は使っていないが、それでも力の差は歴然としている。
え??何??
どうなってるの??
突然始まった殺し合いにもびっくりしたが、突然のこの展開も訳がわからない。
俺はさっきまでとは別の意味でぽか~んとしてしまった。
そんな中、シルクが子供のように泣き叫ぶ。
「ぎゃ~っ!言うっ!言うから止めろっ!!……カイナの名にかけて!岩より滲み出し清き水に誓うっ!!我、シルク・イシュケは!ここに敗北を受け入れる事を誓う~っ!!~~っ!!だからもう止めろよっ!!師父~っ!!」
シルクはそう叫ぶと、ポイッとシャムシールを投げ捨て、半泣きで俺の方に走ってくる。
「主~っ!!助けて~っ!殺される~っ!!」
そしてガタガタ震えながら俺の後ろに小さくなって隠れた。
いや、シルク。
お前の勝てない相手に、何で俺が勝てると思うんだ??
絶対に無理だろう??
にしても何なんだ?
今のは何だったんだ??
「シルク?……あちらの方は??」
「師父だよ師父っ!!俺の師匠っ!!」
「は??師匠??なら何で殺し合いしてんだ??」
「そういう人なんだよっ!!頭、おかしいのっ!!いきなり現れては!修行の成果を見るって言っていつも殺そうとしてくるんだよっ!!もうとっくに死んだと思ってたのにっ!!主!助けてっ!!俺!師父に殺されるっ!!」
冗談にしては、シルクの怯え方が半端ではない。
まぁあれだな?
特殊な武術の師匠というのは、やっぱり特殊なのだろう??
演舞は暗殺武術に分類されるくらいだから、修行の成果を見るには殺し合いをするのが一番良くわかるのかもしれないけれど……。
きっとあれだな、獅子は子を谷に突き落とすってやつだな??
……多分。
「……シルク。お前は何をしておるっ!命を賭してでも守るべき唯一の主の影に隠れるとはっ!!カイナの民の風上にもおけんっ!!その根性も含め!きっちり躾け直すからそう思えっ!!」
「イヤ~っ!!主っ!助けて~っ!!」
「まだ言うか!この愚か者っ!!」
さっきまでは争っていて良く聞こえなかった声が、今ははっきりと聞こえた。
俺達の前にゆっくり歩いてきたその人は、ギャン泣きするシルクをそう叱りとばしている。
だが……。
俺はそれどころではなかった。
心臓が痛い。
喉が詰まって、涙が溢れてきた。
もう、どうしていいのかわからなかった。
心が叫んでいる。
俺は自分の胸を押さえて身を屈めた。
でないと心臓があまりに早く打ちすぎて、飛び出してしまいそうだったのだ。
「……主?どうしたの??」
シルクが異変に気づいて心配してくれたが、そんな事はどうでも良かった。
ゆっくりと顔をあげて、その人を見つめた。
その人の声を、俺は知っていた。
見つめるその人が、覆面の下で優しく笑ってくれた。
「……お久しゅうございます。サーク様。」
その人はそう言って、とても綺麗な一礼をした。
自分が止められなかった。
「レオンハルドさんっ……!!」
その名を叫んで、俺は飛び出した。
シルクが唖然とそれを見ている。
どうやってかなんてわからない。
でも勢いだけはあったんだ。
俺は、その人の胸に飛び込んだ。
細身だが、がっしりした体が確かにそこにあった。
抱きついた俺を、しっかりとその腕が抱きとめてくれる。
「見つけたっ!!やっと見つけたっ!!」
「ふふふ、そうでございますね。見つかってしまいました。」
「どこ行ってたんですかっ!!何でここにいるんですかっ!!今まで何してたんですかっ!!心配してたんですよっ!!手紙の一つも下さらないからっ!!」
「それはそれは申し訳ございませんでした。何分、深い闇の中に居りました故、とてもとても光の下にいらっしゃるサーク様にはお手紙を出す事も叶わなかったのです。どうぞこの老いぼれをお許しください。」
「いいです……こうして無事で……またお会い出来たのですから……っ!!」
ひしっとしがみつき、俺はその存在を確かめた。
ああ、レオンハルドさんだ。
俺の初恋の執事さんだ。
もう二度と会えないかと思ったその人は、今、ちゃんと目の前にいる。
幽霊じゃない。
ちゃんと生身の人間としてここにいる。
「良かった……もう会えないかと……。」
「正直申しますと、もうお会いする事はないと思っておりました……。なのに……。まさか、サーク様がこんなにご立派になられて、敵陣に乗り込んで来るなどとは思いもしませんでした。」
その言葉を聞いて、俺はレオンハルドさんの腕の中で顔を上げた。
「ずっと、南の国に……?」
「そうですね。たまに西にも行きましたが、基本的にはここに居りました。」
「あの頃から……王子襲撃と南の国の関与を調べられていたんですね……。」
「はい。そのように命を受けましたので。」
俺は少し困ってしまった。
レオンハルドさんはシルクの師匠で、どうやらカイナの民の生き残りのようだ。
だとすると、命を受けたと言う事はレオンハルドさんには主がいるのだ。
そう思ったら少し胸が痛かった。
でもそんな事はどうでもいい。
やっと…やっと会えたのだから……。
俺はにっこり笑いかけた。
「レオンハルドさん。俺、話したい事が沢山あるんです。聞いて欲しいことが、沢山あるんです。」
レオンハルドさんはそんな俺に優しく笑ってくれた。
覆面をまだしたままだったけど、目を見ればそれはわかった。
「はい。私も聞かせて欲しいです。サーク様。あなたがあれから、何を見て何をしてきたのかを……。」
レオンハルドさんはそっと体を離し、改めてじっくりと俺を見た。
「本当にご立派に成られましたね……。サーク様……。」
その目が、少しだけ寂しそうな悔しそうな色を見せて笑った。
立派になったかどうかはわからない。
それでも胸を張ってこの人の前に立てる自分を誇らしく思った。
お互いの顔を見つめ微笑み合う。
「…………え??何……?……どういう事??」
シルクだけが状況についてこれず、完全に思考停止していた。
壁の至るところに彫られた彫刻が、俺と同じく物言わずその戦いを見つめている。
心ばかりにわずかに灯されている光は魔術灯で、人がいればそこに火を灯すのだろう。
その光に生み出される弱々しい影よりずっと黒い影が2つ、何の理由からか殺し合いをしている。
シルクがスッと息を潜めたのがわかった。
演舞を使うつもりだと俺は察した。
タンッとステップを踏み、流れるように踊りだす。
だが驚く事に、その瞬間、相手も息を潜め、ダンダンっと足を踏み鳴らした。
演舞だっ!
俺は息を呑んだ。
シルク以外に演舞を使う人間がいるなんて考えた事もなかった。
だが、お互いそれはわかっていたのか、少しの動揺も見せない。
シルクがひらひらと美しく舞うように連続でシャムシールを振り下ろすと、相手はそれを受け流しながら、ダンダンっと足を踏み鳴らして押す。
それを見て俺は初めて知った。
演舞の舞は、一つではないのだと。
シルクの舞は、ただただ流れるように軽やかで素早く美しい。
相手の舞は、流れるようではあるが、むしろ重く力強い踊りだ。
大地を踏みしめ、祈るように踊るのだ。
その分速さは劣るがパワーがある。
シルクはそのパワーを柔軟さで受け流して速さで押す。
俺は圧倒された。
自分の見ているものが信じられなかった。
シルクを見つけた事だって奇跡としか言いようがないのに、同じように演舞を舞うものが、目の前にもう一人いるのだ。
しかもその2人が死闘している。
揺るぎなく静かに相手を殺そうとしている。
それはまるで、神に捧げる奉納舞であり、強き戦士を生贄と捧げる為の儀式だった。
だが、武術と剣で争っていた時同様、段々シルクが押され始めた。
どうにかしなければと思うが、体が動かない。
やがて……。
「~~~っ!わかった!降参する~っ!!」
シルクがいきなり素の声で叫んだ。
しかし相手は攻撃をやめない。
「その言い方では認めんと何度教えたっ!!」
「鬼っ!悪魔っ!異常者っ!!」
「ほ~う。覚悟は良いな?」
シルクの悪態に、相手の攻撃が早くなる。
流石にシルクが叫んでからは二人とも演舞は使っていないが、それでも力の差は歴然としている。
え??何??
どうなってるの??
突然始まった殺し合いにもびっくりしたが、突然のこの展開も訳がわからない。
俺はさっきまでとは別の意味でぽか~んとしてしまった。
そんな中、シルクが子供のように泣き叫ぶ。
「ぎゃ~っ!言うっ!言うから止めろっ!!……カイナの名にかけて!岩より滲み出し清き水に誓うっ!!我、シルク・イシュケは!ここに敗北を受け入れる事を誓う~っ!!~~っ!!だからもう止めろよっ!!師父~っ!!」
シルクはそう叫ぶと、ポイッとシャムシールを投げ捨て、半泣きで俺の方に走ってくる。
「主~っ!!助けて~っ!殺される~っ!!」
そしてガタガタ震えながら俺の後ろに小さくなって隠れた。
いや、シルク。
お前の勝てない相手に、何で俺が勝てると思うんだ??
絶対に無理だろう??
にしても何なんだ?
今のは何だったんだ??
「シルク?……あちらの方は??」
「師父だよ師父っ!!俺の師匠っ!!」
「は??師匠??なら何で殺し合いしてんだ??」
「そういう人なんだよっ!!頭、おかしいのっ!!いきなり現れては!修行の成果を見るって言っていつも殺そうとしてくるんだよっ!!もうとっくに死んだと思ってたのにっ!!主!助けてっ!!俺!師父に殺されるっ!!」
冗談にしては、シルクの怯え方が半端ではない。
まぁあれだな?
特殊な武術の師匠というのは、やっぱり特殊なのだろう??
演舞は暗殺武術に分類されるくらいだから、修行の成果を見るには殺し合いをするのが一番良くわかるのかもしれないけれど……。
きっとあれだな、獅子は子を谷に突き落とすってやつだな??
……多分。
「……シルク。お前は何をしておるっ!命を賭してでも守るべき唯一の主の影に隠れるとはっ!!カイナの民の風上にもおけんっ!!その根性も含め!きっちり躾け直すからそう思えっ!!」
「イヤ~っ!!主っ!助けて~っ!!」
「まだ言うか!この愚か者っ!!」
さっきまでは争っていて良く聞こえなかった声が、今ははっきりと聞こえた。
俺達の前にゆっくり歩いてきたその人は、ギャン泣きするシルクをそう叱りとばしている。
だが……。
俺はそれどころではなかった。
心臓が痛い。
喉が詰まって、涙が溢れてきた。
もう、どうしていいのかわからなかった。
心が叫んでいる。
俺は自分の胸を押さえて身を屈めた。
でないと心臓があまりに早く打ちすぎて、飛び出してしまいそうだったのだ。
「……主?どうしたの??」
シルクが異変に気づいて心配してくれたが、そんな事はどうでも良かった。
ゆっくりと顔をあげて、その人を見つめた。
その人の声を、俺は知っていた。
見つめるその人が、覆面の下で優しく笑ってくれた。
「……お久しゅうございます。サーク様。」
その人はそう言って、とても綺麗な一礼をした。
自分が止められなかった。
「レオンハルドさんっ……!!」
その名を叫んで、俺は飛び出した。
シルクが唖然とそれを見ている。
どうやってかなんてわからない。
でも勢いだけはあったんだ。
俺は、その人の胸に飛び込んだ。
細身だが、がっしりした体が確かにそこにあった。
抱きついた俺を、しっかりとその腕が抱きとめてくれる。
「見つけたっ!!やっと見つけたっ!!」
「ふふふ、そうでございますね。見つかってしまいました。」
「どこ行ってたんですかっ!!何でここにいるんですかっ!!今まで何してたんですかっ!!心配してたんですよっ!!手紙の一つも下さらないからっ!!」
「それはそれは申し訳ございませんでした。何分、深い闇の中に居りました故、とてもとても光の下にいらっしゃるサーク様にはお手紙を出す事も叶わなかったのです。どうぞこの老いぼれをお許しください。」
「いいです……こうして無事で……またお会い出来たのですから……っ!!」
ひしっとしがみつき、俺はその存在を確かめた。
ああ、レオンハルドさんだ。
俺の初恋の執事さんだ。
もう二度と会えないかと思ったその人は、今、ちゃんと目の前にいる。
幽霊じゃない。
ちゃんと生身の人間としてここにいる。
「良かった……もう会えないかと……。」
「正直申しますと、もうお会いする事はないと思っておりました……。なのに……。まさか、サーク様がこんなにご立派になられて、敵陣に乗り込んで来るなどとは思いもしませんでした。」
その言葉を聞いて、俺はレオンハルドさんの腕の中で顔を上げた。
「ずっと、南の国に……?」
「そうですね。たまに西にも行きましたが、基本的にはここに居りました。」
「あの頃から……王子襲撃と南の国の関与を調べられていたんですね……。」
「はい。そのように命を受けましたので。」
俺は少し困ってしまった。
レオンハルドさんはシルクの師匠で、どうやらカイナの民の生き残りのようだ。
だとすると、命を受けたと言う事はレオンハルドさんには主がいるのだ。
そう思ったら少し胸が痛かった。
でもそんな事はどうでもいい。
やっと…やっと会えたのだから……。
俺はにっこり笑いかけた。
「レオンハルドさん。俺、話したい事が沢山あるんです。聞いて欲しいことが、沢山あるんです。」
レオンハルドさんはそんな俺に優しく笑ってくれた。
覆面をまだしたままだったけど、目を見ればそれはわかった。
「はい。私も聞かせて欲しいです。サーク様。あなたがあれから、何を見て何をしてきたのかを……。」
レオンハルドさんはそっと体を離し、改めてじっくりと俺を見た。
「本当にご立派に成られましたね……。サーク様……。」
その目が、少しだけ寂しそうな悔しそうな色を見せて笑った。
立派になったかどうかはわからない。
それでも胸を張ってこの人の前に立てる自分を誇らしく思った。
お互いの顔を見つめ微笑み合う。
「…………え??何……?……どういう事??」
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