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第八章③「帰国裁判」
ただいま
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なんと言うか、俺の物覚えの悪さというか、興味のない事にはとことん無頓着な事を責め立てられ、俺は頭を抱えて机に突っ伏した。
酷いや!俺だって頑張ってるのに!苦手な部分を責め立てやがって!泣くぞっ!!
半泣きでえぐえぐ言っていると、その顔をグレイさんが覗き込んでくる。
「ひぃっ?!」
「ん~、まだ泣いてないな~。でも半泣き顔も可愛いね。ふふふっ。君は忍耐力が強そうだから、なかなか泣かすのは難しそうだね。」
「ぎゃぁ~っ?!何ですかそれはっ?!」
俺はガバッと体を起こすと、横にいたガスパーにしがみついた。
ガスパーも聞こえていたので、青い顔をして、ひしっと俺を庇うように抱きしめる。
「タガート執事長!サークはうちの部隊のものなのでどこにも差し上げられませんっ!諦めて下さいっ!!」
「ちょっと味見するぐらいいいじゃないか?!ね?サーク??」
「ぎゃぁ~っ!!味見って何っ?!」
「そりゃもちろん泣き顔だよ。原型がわからないくらいぐちゃぐちゃに泣いてる時、どんな事を考えてるのか知るのが好きなんだ。可愛いよね?」
「可愛くない!可愛くないです!それっ!!」
やべぇ、この人ヤバすぎるっ!!
神通力持ちは、人と異なるその能力のせいで精神的に不安定になったりするとは聞いていたが、こんなヤバくなる人もいるのかっ!!
あれだけ完全な千里眼を持っていても、まともなマダムが凄い人に思えてきた。
「グレイ、いい加減におし。若いの2人が怖がってるだろう??」
「う~ん、なかなか理解してもらえなくて残念だ。」
「これがなきゃ、優れた良い執事なんだけどねぇ……。」
「なかなか僕の好みの人間に会わないから、ちょっと嬉しくなってからかいすぎたよ。どこかに僕好みで僕だけの為に泣いてくれる人がいると良いんだけど。」
「そんな人間はこの世に存在しないっての。いいから話を進めるよ!時間がないんだからね。」
暴走気味のグレイさんを収め、マダムが話の軌道を戻した。
ガスパーは俺を抱きしめている事にはたと気づき、真っ赤になって慌てて離れた。
「で、後半戦だけどよ。どこから切り崩して行く??」
咳払いをして誤魔化しながら、ガスパーは言った。
どこからと言うか、本当、どう切り出せばいいんだろう??
「そうだねぇ……。事件の流れと人となりからサークの無実の裏付けをした後だからね。恐らく向こうは、南軍の被害状況を示して来ると思うよ。ふふふっ、面白いよね?たった2人の人間が、100人近い軍に囲まれて抵抗したって事を考えずに、これだけの被害を相手に与えたって事を主張してくるなんて。2対100だよ??ふふふっ。」
グレイさんがそう言った。
うん、凄く助かる意見なんだけど、色々わかってきた手前この人がちょっと怖い。
「なるほど……そうするとこちらは、そこをまず攻めないとまずいのか………。」
しかしガスパーはその意見を重視して、真剣に考え込む。
相手の出方の予測が経てば、ガスパーはすぐに対策案を練りだす。
「……情報によると死者も少なからず出ているし、重軽傷者の状況や人数を細かく出されたら、確かにこちらの心象が悪くなる。……ですがタガート執事長の言うように、2対100だと言うことをまずは明確に議会に理解してもらうべきですね。そしてこっちは武装した軍でなくて人数だって非武装者含めての全体で50人、武装してる30人程も友好訪問の護衛なんだから装備はたかが知れてる。その中で王子を守る為にたった二人でその場を抑えたのに、相手の被害を挙げられても、2人が死ねば良かったのかって話になるしな……。」
「でも結構しつこいと思うよ?向こうはそこしかもう攻め手がないからね。死人や怪我人の状況を事細かに上げて、非人道的だって言ってくるだろうね。」
「たった2人で戦ったんだ。形振りなんて構える様な状況じゃねぇのはわかっているけど……確かにそこを事細かに突かれるのは少し苦しい……。」
グレイさんは変人だけど、なかなか頭のキレるしっかりした人のようだ。
まあそうじゃないと、国王の執事長は務まらないんだろうけど。
でも本当にそこは突かれると痛いよな~。
「援軍さえ来なきゃ、あのまま逃げたんだけどさ~。この辺で逃げようって所で、援軍が来たから逃げようがなかったんだよ。本当、ウィルが来てくんなかったら、俺ら危なかったわ。」
あの時のことを思い出して、俺はため息をつく。
本当、あの時は参ったな。
ふと思い出してなんの気なしに俺は言ったのだが、場に沈黙が落ちる。
え?何??
俺、変な事言ったか??
唖然とした顔で他三人に見つめられ俺は慌てた。
中でもガスパーは物凄い勢いでそれに食いついてきた。
「はっ?!援軍があったのか?!」
「そうだぞ?なんとかシルクとあそこにいた奴らを蹴散らして、足止めとしてはもういいだろうと思って逃げたかったんだけどさ~、援軍が来たもんだから、足止め的にも状況的にも逃げようがなくなって、どうすっかな~と思ってたらウィルがヴィオールと来てくれたんで助かったんだよ。」
「お前っ!!何でそんな大事な事を黙ってたっ?!」
「へっ?!言ってなかったか??」
「ねぇよっ!!何人?!何人だっ!!」
「新しく一部隊来たから、同じ100人ぐらいだよ。本当、焦ったわ~あれは~。」
「焦ったのはこっちだ!!馬鹿野郎っ!!」
ガスパーはまた、持っていた書類でスパンと俺の頭を叩いた。
何なんだよ、痛いだろ?!
だがガスパーは俺の事なんかお構いなしに、いきなり紙を広げて何か計算している。
「………だよな。おかしいと思ってたんだ……。いくら追い込まれた状況だからって、サークがそこまでするとは思えなかったんだ……。これで謎が解けた……。」
ブツブツ言って計算を終えると、ガスパーがニヤッと笑った。
「大丈夫だ。ひっくり返せる。ウィルに証言してもらう必要があるけどな。」
「ウィルに??」
「ああ。ウィルがあの場に行った時、何人いたかを証言してもらう。後、早馬ですぐに国境警備隊の人間でヴィオールを見ている奴を連れて来ないと!!」
ガスパーは慌てて立ち上がると、法廷職員に何かの資料の公開を要求した。
また、証言者にウィルを加える事、すぐに国境警備隊の人間を1人証言者として招きたい事を伝え、早馬を出す事の許可を取っていた。
王宮裁判所の控室に入った時点で、俺達は外部と接触できない。
だから証言者と会って、口裏を合わせて都合のいい事を話してもらうなんて細工はできないのだ。
それ故、自分達の証言者が常に都合のいい事だけを話してくれるとは限らない。
逆に相手の証言者から有利な話を聞く事だって場合によってはあるのだ。
幾ら事前に話をしていても、その場ではどうなるかなどわからない。
特に嘘をついたり真実を黙っているなどと言う事は、ぽろりとボロが出るものだ。
そうやって、自分や相手の証言者の話を広い、巧みに聞き出して行く事が弁論人には必要になってくる。
なるほど。
これはギルでは立ち行かない。
そういう事は、情報量が常にしっかりしていて頭の回転も早いガスパーでなければ務まらない。
「……何か、やっぱ、お前って凄いな。」
「謙遜したいところだが、脳筋の連中には腕力では勝てないんでね。俺は俺の武器を使って戦うさ。その武器を誇るべきだって言ったのは、お前だろ?サーク?」
ガスパーはちょっと格好良くそう言った後、少し照れていた。
でも褒めてもなかなか素直に受け取ってくれないガスパーに、ちゃんと気持ちが届いていたんだなと思うと嬉しかった。
「ま、お前の仲間はほぼ脳筋だから、俺がこう言うのやらねぇと回らないしな。」
そしていつものようにツンツンする。
そのガスパーらしさが何だか嬉しかった。
俺、本当に帰ってきたんだな。
俺の居場所に。
「……ガスパー。」
「何だよ??」
「ただいま。」
俺は笑った。
何か、凄く嬉しくて笑った。
俺の言葉にガスパーは言葉に詰まって赤くなる。
「い、今更、言うなよ……っ!!」
「だって、今、言いたかったんだよ。」
「アホかっ!!馬鹿っ!!」
嬉しくなってにこにこ笑う俺と、妙な所でただいまと言われて照れまくるガスパーを、マダムとグレイさんが生暖かい目で見守っていた。
酷いや!俺だって頑張ってるのに!苦手な部分を責め立てやがって!泣くぞっ!!
半泣きでえぐえぐ言っていると、その顔をグレイさんが覗き込んでくる。
「ひぃっ?!」
「ん~、まだ泣いてないな~。でも半泣き顔も可愛いね。ふふふっ。君は忍耐力が強そうだから、なかなか泣かすのは難しそうだね。」
「ぎゃぁ~っ?!何ですかそれはっ?!」
俺はガバッと体を起こすと、横にいたガスパーにしがみついた。
ガスパーも聞こえていたので、青い顔をして、ひしっと俺を庇うように抱きしめる。
「タガート執事長!サークはうちの部隊のものなのでどこにも差し上げられませんっ!諦めて下さいっ!!」
「ちょっと味見するぐらいいいじゃないか?!ね?サーク??」
「ぎゃぁ~っ!!味見って何っ?!」
「そりゃもちろん泣き顔だよ。原型がわからないくらいぐちゃぐちゃに泣いてる時、どんな事を考えてるのか知るのが好きなんだ。可愛いよね?」
「可愛くない!可愛くないです!それっ!!」
やべぇ、この人ヤバすぎるっ!!
神通力持ちは、人と異なるその能力のせいで精神的に不安定になったりするとは聞いていたが、こんなヤバくなる人もいるのかっ!!
あれだけ完全な千里眼を持っていても、まともなマダムが凄い人に思えてきた。
「グレイ、いい加減におし。若いの2人が怖がってるだろう??」
「う~ん、なかなか理解してもらえなくて残念だ。」
「これがなきゃ、優れた良い執事なんだけどねぇ……。」
「なかなか僕の好みの人間に会わないから、ちょっと嬉しくなってからかいすぎたよ。どこかに僕好みで僕だけの為に泣いてくれる人がいると良いんだけど。」
「そんな人間はこの世に存在しないっての。いいから話を進めるよ!時間がないんだからね。」
暴走気味のグレイさんを収め、マダムが話の軌道を戻した。
ガスパーは俺を抱きしめている事にはたと気づき、真っ赤になって慌てて離れた。
「で、後半戦だけどよ。どこから切り崩して行く??」
咳払いをして誤魔化しながら、ガスパーは言った。
どこからと言うか、本当、どう切り出せばいいんだろう??
「そうだねぇ……。事件の流れと人となりからサークの無実の裏付けをした後だからね。恐らく向こうは、南軍の被害状況を示して来ると思うよ。ふふふっ、面白いよね?たった2人の人間が、100人近い軍に囲まれて抵抗したって事を考えずに、これだけの被害を相手に与えたって事を主張してくるなんて。2対100だよ??ふふふっ。」
グレイさんがそう言った。
うん、凄く助かる意見なんだけど、色々わかってきた手前この人がちょっと怖い。
「なるほど……そうするとこちらは、そこをまず攻めないとまずいのか………。」
しかしガスパーはその意見を重視して、真剣に考え込む。
相手の出方の予測が経てば、ガスパーはすぐに対策案を練りだす。
「……情報によると死者も少なからず出ているし、重軽傷者の状況や人数を細かく出されたら、確かにこちらの心象が悪くなる。……ですがタガート執事長の言うように、2対100だと言うことをまずは明確に議会に理解してもらうべきですね。そしてこっちは武装した軍でなくて人数だって非武装者含めての全体で50人、武装してる30人程も友好訪問の護衛なんだから装備はたかが知れてる。その中で王子を守る為にたった二人でその場を抑えたのに、相手の被害を挙げられても、2人が死ねば良かったのかって話になるしな……。」
「でも結構しつこいと思うよ?向こうはそこしかもう攻め手がないからね。死人や怪我人の状況を事細かに上げて、非人道的だって言ってくるだろうね。」
「たった2人で戦ったんだ。形振りなんて構える様な状況じゃねぇのはわかっているけど……確かにそこを事細かに突かれるのは少し苦しい……。」
グレイさんは変人だけど、なかなか頭のキレるしっかりした人のようだ。
まあそうじゃないと、国王の執事長は務まらないんだろうけど。
でも本当にそこは突かれると痛いよな~。
「援軍さえ来なきゃ、あのまま逃げたんだけどさ~。この辺で逃げようって所で、援軍が来たから逃げようがなかったんだよ。本当、ウィルが来てくんなかったら、俺ら危なかったわ。」
あの時のことを思い出して、俺はため息をつく。
本当、あの時は参ったな。
ふと思い出してなんの気なしに俺は言ったのだが、場に沈黙が落ちる。
え?何??
俺、変な事言ったか??
唖然とした顔で他三人に見つめられ俺は慌てた。
中でもガスパーは物凄い勢いでそれに食いついてきた。
「はっ?!援軍があったのか?!」
「そうだぞ?なんとかシルクとあそこにいた奴らを蹴散らして、足止めとしてはもういいだろうと思って逃げたかったんだけどさ~、援軍が来たもんだから、足止め的にも状況的にも逃げようがなくなって、どうすっかな~と思ってたらウィルがヴィオールと来てくれたんで助かったんだよ。」
「お前っ!!何でそんな大事な事を黙ってたっ?!」
「へっ?!言ってなかったか??」
「ねぇよっ!!何人?!何人だっ!!」
「新しく一部隊来たから、同じ100人ぐらいだよ。本当、焦ったわ~あれは~。」
「焦ったのはこっちだ!!馬鹿野郎っ!!」
ガスパーはまた、持っていた書類でスパンと俺の頭を叩いた。
何なんだよ、痛いだろ?!
だがガスパーは俺の事なんかお構いなしに、いきなり紙を広げて何か計算している。
「………だよな。おかしいと思ってたんだ……。いくら追い込まれた状況だからって、サークがそこまでするとは思えなかったんだ……。これで謎が解けた……。」
ブツブツ言って計算を終えると、ガスパーがニヤッと笑った。
「大丈夫だ。ひっくり返せる。ウィルに証言してもらう必要があるけどな。」
「ウィルに??」
「ああ。ウィルがあの場に行った時、何人いたかを証言してもらう。後、早馬ですぐに国境警備隊の人間でヴィオールを見ている奴を連れて来ないと!!」
ガスパーは慌てて立ち上がると、法廷職員に何かの資料の公開を要求した。
また、証言者にウィルを加える事、すぐに国境警備隊の人間を1人証言者として招きたい事を伝え、早馬を出す事の許可を取っていた。
王宮裁判所の控室に入った時点で、俺達は外部と接触できない。
だから証言者と会って、口裏を合わせて都合のいい事を話してもらうなんて細工はできないのだ。
それ故、自分達の証言者が常に都合のいい事だけを話してくれるとは限らない。
逆に相手の証言者から有利な話を聞く事だって場合によってはあるのだ。
幾ら事前に話をしていても、その場ではどうなるかなどわからない。
特に嘘をついたり真実を黙っているなどと言う事は、ぽろりとボロが出るものだ。
そうやって、自分や相手の証言者の話を広い、巧みに聞き出して行く事が弁論人には必要になってくる。
なるほど。
これはギルでは立ち行かない。
そういう事は、情報量が常にしっかりしていて頭の回転も早いガスパーでなければ務まらない。
「……何か、やっぱ、お前って凄いな。」
「謙遜したいところだが、脳筋の連中には腕力では勝てないんでね。俺は俺の武器を使って戦うさ。その武器を誇るべきだって言ったのは、お前だろ?サーク?」
ガスパーはちょっと格好良くそう言った後、少し照れていた。
でも褒めてもなかなか素直に受け取ってくれないガスパーに、ちゃんと気持ちが届いていたんだなと思うと嬉しかった。
「ま、お前の仲間はほぼ脳筋だから、俺がこう言うのやらねぇと回らないしな。」
そしていつものようにツンツンする。
そのガスパーらしさが何だか嬉しかった。
俺、本当に帰ってきたんだな。
俺の居場所に。
「……ガスパー。」
「何だよ??」
「ただいま。」
俺は笑った。
何か、凄く嬉しくて笑った。
俺の言葉にガスパーは言葉に詰まって赤くなる。
「い、今更、言うなよ……っ!!」
「だって、今、言いたかったんだよ。」
「アホかっ!!馬鹿っ!!」
嬉しくなってにこにこ笑う俺と、妙な所でただいまと言われて照れまくるガスパーを、マダムとグレイさんが生暖かい目で見守っていた。
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