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第八章③「帰国裁判」
あなたの為にできる事
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そこからは早かった。
最上階のテラス席の先端に王様と並んで立っていたはずのボーンさんが見えなくなった。
どうやらしゃがんだか座ったかしたらしい。
立っているフレデリカさんが杖を構え、補助魔術を使いだす。
と言う事は、ボーンさんは魔法を使い始めていると言う事だ。
ビショップの中で最も美しい魔法って、いったいどんなのなんだろう?
俺は魔法自体、いつも見ていてわからない。
魔力を使ってるなと言うのはわかるが、何がどうしてそうなるのか全くわからない。
魔術はある意味、数式に近い。
これをこうしてこう展開するから、こう言う結果が起こる、みたいな。
でも魔法は願いに魔力を与え、奇跡を起こす。
だから法則的なものがなくて何をしているのか俺にはさっぱりわからないし、方法も一定ではなく人によって違うし、その効果も一定じゃないし。
はっきり言って俺にとって魔法は謎でしかない。
祈りの力とか言われても測定できないものはよくわからない。
多分、魔法と魔術の差は、魔力を使う人の適性値もあるが使う人間の考え方・性格も影響しているんじゃないかと思う。
突然、下から温かい感じがし始めた。
何ていうんだろう?足だけ温泉に浸かっているような感じと言うか。
そして法廷場の壁という壁に、下から光る蔓草のような模様が伸びてくる。
目に見えているのはそれだけなのだが、その場にいた全員が今、自分が暖かな春の花畑にいるような錯覚を覚える。
だから皆が立ち上がって、見えないその花々を見るように温かな足元を見つめる。
そこに花は見えないが、誰もがそれを感じているのだ。
次の瞬間、ファンッとその見えない花々が花吹雪になって部屋全体を包み込んだ。
皆の顔も足元から上を見上げている。
花も花びらも視覚的には見えてはいない。
だが皆、それを確かに感じ、目ではない感覚で見ていたのだ。
……マジかっ?!
こんな方法で精神魔法を使うなんて……っ!!
俺は驚いてしまった。
見えていないのに、ここまではっきりと見えているという感覚を全員が掴んでいる。
……つまり、精神作用を受けているのだ。
それは恐ろしい事だった。
この人数に、ボーンさんは本当に精神作用を与えたのだ。
冗談だろ?!
俺はあまりの事に、力が抜けてゴツンと机に突っ伏した。
法廷内は今あった一瞬の感覚が何かわからず、だがとても心地よく、さわさわとそれについて話しながら何事もなかった様に椅子に座り始めていた。
「……どうだい?偉大なる大魔法師、寡黙なるエアーデの魔法は??」
さっきとは打って変わって、上機嫌にグレイさんが聞いてくる。
まるで自分の事のように誇らしげにそう言う姿を見て、グレイさんは本当にボーンさんを好きで気に入っているんだなと思った。
……多分、その分イジメてるんだろうけど。
「綺麗だろ?エアーデの魔法は?」
「……はい。綺麗でした。それにわかりやすい。」
「わかりやすい?!」
俺の感想に、グレイさんは目を丸くした。
だって本当にわかりやすかった。
魔法の殆どは何をしているかわかりにくい。
でも今回のボーンさんの魔法は、人の精神に自然に寄り添いながら侵入したのがとてもよく理解できた。
「あははっ!サーク、君は本当に面白いね!エアーデの魔法をわかりやすいって表現したのは、君で3人目だよ!!」
グレイさんは面白そうに笑った。
俺以外にも、わかりやすいって感じる人がいるんだ??
ならやっぱりボーンさんの魔法はわかりやすいんだろうな、多分。
「そんな事はどうでも良いんだよ。ジジイ、大丈夫かね?こんだけ大規模の魔法は久しぶりだろうし。まぁ、ウォーミングアップだと思えばちょうどいいかもしれないがね。」
マダムがそう言って少し難しい顔で肘をついた。
何だかんだ口では言っているが心配しているんだなと思う。
でもこれがウォーミングアップって、マダムはボーンさんに何をさせる気なんだろう??
後の事って??
俺に任せるって??
全くわからないし不安が残る。
顔を起こして見上げれば、国王とフレデリカさんがボーンさんを介抱しているのか屈んでいた。
お付きのロイヤルガード達も手伝っているので、何とかなるだろう。
「待たせたな。口止めの魔法は終わった故、審議を続けると良いラティーマー。」
「……は!はい!!ありがとうございます!国王陛下!!」
唐突な出来事にぼんやりしていたガスパーも、国王の言葉にハッとして礼を尽くすと、すぐに頭を切り替えた。
「では、証言人としてウィリアム・ロム・クラフトの入廷を許可願います。」
「あ、ああ。許可しよう。」
議長はまだ少し夢見心地だったのか、我に帰ってそう言った。
ウィルはもうその名を名乗っていないが、皆が色々手を打ってくれて没落したと言う形にしてくれたので、国の登録上はまだその名前なのだ。
俺は複雑な心境でウィルが入廷するのを見守った。
入ってきたウィルは、俺が以前、式典用に作ってもらってプレゼントした馬術着を着ていた。
公の場でも良い様に作ったものだから、全く問題ないのだが、法廷では微かにほぅ……という様な吐息が漏れる。
馬上の貴公子と言われたウィルを知っているのか、もしくはファンが混じっていたのか。
まぁ知らない人から見ても、どこの御子息もしくは王子が入ってきたんだって雰囲気があるもんな、ウィルには。
ウィルは静かに証言台に立つと、複雑な顔をした俺に微笑む。
何も気にしなくて良いと言うように静かに。
そしてスッと表情を変えると、真っ直ぐ前を見つめた。
「第三別宮警護部隊馬術指導員ウィリアム・ロム・クラフトです。本件の証言者として参りました。」
ウィルとガスパーが顔を見合わせ、小さく頷き合う。
ガスパーが質問を始めた。
「クラフト指導員、貴方はライオネル第三王子殿下の南の国友好訪問に同行されていましたか?」
「はい。ただし私は指導員であり、正式な警護部隊隊員ではありませんので、国境で待機する班におりました。」
「では、ライオネル殿下が緊急帰国される前日からの事をお話し頂けますか?」
「はい。私は国境に待機しており、ライオネル殿下が緊急帰国される日の前日の夕方、隊員の一人が急いで王国都市に戻るのを手伝い、王宮都市に向けて馬で出発しました。王宮都市についたのは真夜中過ぎの1時頃でした。それは入門記録に残っていると思います。」
「それからどうされましたか?」
「はい。馬が疲れきっておりましたので、その馬で帰る事は難しいと考え、朝一番に王宮厩舎の馬を借りようと思い、それまで数時間仮眠を取りました。」
「王宮厩舎で馬を借りたのは何時頃ですか?」
「疲れもあり暗い中を走る自信がなかったので、空が白み始めてからです。訪ねたのは5時頃だと思います。急いでいたので馬を借りた正確な時間は確認しておりませんが、借用帳簿には時間の記録が残っていると思います。」
「ありがとうございます。馬を借り、そのまま国境まで戻られたのですか?」
「はい。国境についたのが昼過ぎでした。帰ってきた時にはライオネル殿下が緊急帰国されると言う話がすでに来ていました。私はとにかく一休みしようと食事をしていました。そこに次の早馬が来ました。時間は1時半前後だと思います。それはライオネル殿下が帰国の途中で南軍に待ち伏せされた為、緊急体制で帰国するとの知らせでした。すぐに状況確認、途中の村などでの待機班と連携を取る為に、こちらからも早馬が出ました。」
「その際、他にどの様な情報がもたらされましたか?」
「……副隊長代理のアズマ・サークとその従者であり武術指導員のシルク・イシュケの2名が、足止めとしてその場に残ったと聞きました……。」
ウィルはその時の事を思い出したのか、辛そうに顔を顰めた。
俺だって竜の谷でウィルの身が危ないと知った時は、気が気じゃなかった。
気が狂いそうだった。
なりふりなんか構っていられない。
どんなに無茶だろうと、自分がどうなろうと助けたいと思った。
多分、その時のウィルもそう思ったのだろう。
そんな気がした。
「……あなたはそれでどうしましたか?」
ガスパーが少しためてから静かに言った。
ウィルは一度俯き、そして顔を上げて言った。
「彼らを助けに行く事に決めました。」
「どのようにして?」
「私に宿る、守護の精霊の力を使ってです。」
「具体的にはどの様な方法ですか?」
「竜です。」
その瞬間、法廷内には揺れるようなざわめきが起こった。
俺は目を閉じてそれを聞いていた。
「私には守護の精霊として、竜の精霊がついています。それを用いて彼らを助けに行く事にしました。」
ウィルの発言は信じがたいものとして、人々を動揺させた。
けれどウィルは、ただ静かに真っ直ぐ前を見つめていた。
最上階のテラス席の先端に王様と並んで立っていたはずのボーンさんが見えなくなった。
どうやらしゃがんだか座ったかしたらしい。
立っているフレデリカさんが杖を構え、補助魔術を使いだす。
と言う事は、ボーンさんは魔法を使い始めていると言う事だ。
ビショップの中で最も美しい魔法って、いったいどんなのなんだろう?
俺は魔法自体、いつも見ていてわからない。
魔力を使ってるなと言うのはわかるが、何がどうしてそうなるのか全くわからない。
魔術はある意味、数式に近い。
これをこうしてこう展開するから、こう言う結果が起こる、みたいな。
でも魔法は願いに魔力を与え、奇跡を起こす。
だから法則的なものがなくて何をしているのか俺にはさっぱりわからないし、方法も一定ではなく人によって違うし、その効果も一定じゃないし。
はっきり言って俺にとって魔法は謎でしかない。
祈りの力とか言われても測定できないものはよくわからない。
多分、魔法と魔術の差は、魔力を使う人の適性値もあるが使う人間の考え方・性格も影響しているんじゃないかと思う。
突然、下から温かい感じがし始めた。
何ていうんだろう?足だけ温泉に浸かっているような感じと言うか。
そして法廷場の壁という壁に、下から光る蔓草のような模様が伸びてくる。
目に見えているのはそれだけなのだが、その場にいた全員が今、自分が暖かな春の花畑にいるような錯覚を覚える。
だから皆が立ち上がって、見えないその花々を見るように温かな足元を見つめる。
そこに花は見えないが、誰もがそれを感じているのだ。
次の瞬間、ファンッとその見えない花々が花吹雪になって部屋全体を包み込んだ。
皆の顔も足元から上を見上げている。
花も花びらも視覚的には見えてはいない。
だが皆、それを確かに感じ、目ではない感覚で見ていたのだ。
……マジかっ?!
こんな方法で精神魔法を使うなんて……っ!!
俺は驚いてしまった。
見えていないのに、ここまではっきりと見えているという感覚を全員が掴んでいる。
……つまり、精神作用を受けているのだ。
それは恐ろしい事だった。
この人数に、ボーンさんは本当に精神作用を与えたのだ。
冗談だろ?!
俺はあまりの事に、力が抜けてゴツンと机に突っ伏した。
法廷内は今あった一瞬の感覚が何かわからず、だがとても心地よく、さわさわとそれについて話しながら何事もなかった様に椅子に座り始めていた。
「……どうだい?偉大なる大魔法師、寡黙なるエアーデの魔法は??」
さっきとは打って変わって、上機嫌にグレイさんが聞いてくる。
まるで自分の事のように誇らしげにそう言う姿を見て、グレイさんは本当にボーンさんを好きで気に入っているんだなと思った。
……多分、その分イジメてるんだろうけど。
「綺麗だろ?エアーデの魔法は?」
「……はい。綺麗でした。それにわかりやすい。」
「わかりやすい?!」
俺の感想に、グレイさんは目を丸くした。
だって本当にわかりやすかった。
魔法の殆どは何をしているかわかりにくい。
でも今回のボーンさんの魔法は、人の精神に自然に寄り添いながら侵入したのがとてもよく理解できた。
「あははっ!サーク、君は本当に面白いね!エアーデの魔法をわかりやすいって表現したのは、君で3人目だよ!!」
グレイさんは面白そうに笑った。
俺以外にも、わかりやすいって感じる人がいるんだ??
ならやっぱりボーンさんの魔法はわかりやすいんだろうな、多分。
「そんな事はどうでも良いんだよ。ジジイ、大丈夫かね?こんだけ大規模の魔法は久しぶりだろうし。まぁ、ウォーミングアップだと思えばちょうどいいかもしれないがね。」
マダムがそう言って少し難しい顔で肘をついた。
何だかんだ口では言っているが心配しているんだなと思う。
でもこれがウォーミングアップって、マダムはボーンさんに何をさせる気なんだろう??
後の事って??
俺に任せるって??
全くわからないし不安が残る。
顔を起こして見上げれば、国王とフレデリカさんがボーンさんを介抱しているのか屈んでいた。
お付きのロイヤルガード達も手伝っているので、何とかなるだろう。
「待たせたな。口止めの魔法は終わった故、審議を続けると良いラティーマー。」
「……は!はい!!ありがとうございます!国王陛下!!」
唐突な出来事にぼんやりしていたガスパーも、国王の言葉にハッとして礼を尽くすと、すぐに頭を切り替えた。
「では、証言人としてウィリアム・ロム・クラフトの入廷を許可願います。」
「あ、ああ。許可しよう。」
議長はまだ少し夢見心地だったのか、我に帰ってそう言った。
ウィルはもうその名を名乗っていないが、皆が色々手を打ってくれて没落したと言う形にしてくれたので、国の登録上はまだその名前なのだ。
俺は複雑な心境でウィルが入廷するのを見守った。
入ってきたウィルは、俺が以前、式典用に作ってもらってプレゼントした馬術着を着ていた。
公の場でも良い様に作ったものだから、全く問題ないのだが、法廷では微かにほぅ……という様な吐息が漏れる。
馬上の貴公子と言われたウィルを知っているのか、もしくはファンが混じっていたのか。
まぁ知らない人から見ても、どこの御子息もしくは王子が入ってきたんだって雰囲気があるもんな、ウィルには。
ウィルは静かに証言台に立つと、複雑な顔をした俺に微笑む。
何も気にしなくて良いと言うように静かに。
そしてスッと表情を変えると、真っ直ぐ前を見つめた。
「第三別宮警護部隊馬術指導員ウィリアム・ロム・クラフトです。本件の証言者として参りました。」
ウィルとガスパーが顔を見合わせ、小さく頷き合う。
ガスパーが質問を始めた。
「クラフト指導員、貴方はライオネル第三王子殿下の南の国友好訪問に同行されていましたか?」
「はい。ただし私は指導員であり、正式な警護部隊隊員ではありませんので、国境で待機する班におりました。」
「では、ライオネル殿下が緊急帰国される前日からの事をお話し頂けますか?」
「はい。私は国境に待機しており、ライオネル殿下が緊急帰国される日の前日の夕方、隊員の一人が急いで王国都市に戻るのを手伝い、王宮都市に向けて馬で出発しました。王宮都市についたのは真夜中過ぎの1時頃でした。それは入門記録に残っていると思います。」
「それからどうされましたか?」
「はい。馬が疲れきっておりましたので、その馬で帰る事は難しいと考え、朝一番に王宮厩舎の馬を借りようと思い、それまで数時間仮眠を取りました。」
「王宮厩舎で馬を借りたのは何時頃ですか?」
「疲れもあり暗い中を走る自信がなかったので、空が白み始めてからです。訪ねたのは5時頃だと思います。急いでいたので馬を借りた正確な時間は確認しておりませんが、借用帳簿には時間の記録が残っていると思います。」
「ありがとうございます。馬を借り、そのまま国境まで戻られたのですか?」
「はい。国境についたのが昼過ぎでした。帰ってきた時にはライオネル殿下が緊急帰国されると言う話がすでに来ていました。私はとにかく一休みしようと食事をしていました。そこに次の早馬が来ました。時間は1時半前後だと思います。それはライオネル殿下が帰国の途中で南軍に待ち伏せされた為、緊急体制で帰国するとの知らせでした。すぐに状況確認、途中の村などでの待機班と連携を取る為に、こちらからも早馬が出ました。」
「その際、他にどの様な情報がもたらされましたか?」
「……副隊長代理のアズマ・サークとその従者であり武術指導員のシルク・イシュケの2名が、足止めとしてその場に残ったと聞きました……。」
ウィルはその時の事を思い出したのか、辛そうに顔を顰めた。
俺だって竜の谷でウィルの身が危ないと知った時は、気が気じゃなかった。
気が狂いそうだった。
なりふりなんか構っていられない。
どんなに無茶だろうと、自分がどうなろうと助けたいと思った。
多分、その時のウィルもそう思ったのだろう。
そんな気がした。
「……あなたはそれでどうしましたか?」
ガスパーが少しためてから静かに言った。
ウィルは一度俯き、そして顔を上げて言った。
「彼らを助けに行く事に決めました。」
「どのようにして?」
「私に宿る、守護の精霊の力を使ってです。」
「具体的にはどの様な方法ですか?」
「竜です。」
その瞬間、法廷内には揺れるようなざわめきが起こった。
俺は目を閉じてそれを聞いていた。
「私には守護の精霊として、竜の精霊がついています。それを用いて彼らを助けに行く事にしました。」
ウィルの発言は信じがたいものとして、人々を動揺させた。
けれどウィルは、ただ静かに真っ直ぐ前を見つめていた。
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