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第一章「外壁警備編」
きらきら
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「片付けると言ってもな~。」
外壁警備の制服を袋にしまいながら、頭を掻く。
制服以外、何かあっただろうか?
第三王子の警護部隊に異動が決まった昨日、色々準備があるだろうからとそのまま帰らされた。
おまけに今日1日、休みまでもらった。
特にすることがなくて、制服を洗濯して、アイロンを当てた。
もう着ることがないと思うと、感慨深いものがある。
一生着ると思っていた制服。
でももう、袖を通すことはない。
壁にかかった、真新しい制服。
ごった返した部屋には不釣り合いの、やけに高級な服だ。
少し前、使いだと言う人が一式持ってきた。
これを着る自分が想像できない。
正直、実感がない。
明日から外壁警備でない職場に行くなど。
もう少ししたら、制服を返しに挨拶に行かないと。
そう思っても、それをしたら、全てが終わってしまう気がして、一歩が踏み出せない。
そんな事を考えていたら、家のドアが、ドンドンと叩かれた。
「サークさ~ん!久しぶり~!!」
「リグ!?」
ドアを開けると、元気よくリグが抱きついてきた。
思いもよらず、俺はよろけながらも何とか抱き止めた。
リグは満面の笑みを浮かべて、俺の胸に顔をぐりぐりと擦り付けた。
この間までの不機嫌はどこに行ったのか、大型犬子犬、全開だ。
「準備終わりました!?」
「え?」
「明日の準備ですよ!」
「あ、ああ。」
きらきらした笑顔でそう言われ、俺は頷いた。
ちょうど手に持っていた制服の袋をちらりと確認すると、リグは俺の手を引っ張った。
「じゃあ!行きましょう!!」
リグは勝手知ったるとでも言うように、うちの鍵を手に取ると、そのまま俺を外に引きずり出した。
戸締まりをすると、鍵を俺のポケットに押し込んだ。
「おい!行くってどこに!?」
こちらの事などお構いなしに事を進めていくリグ。
掴んだ手を引っ張って、走り出す。
何が楽しいのか、めちゃめちゃ笑っている。
「おい!リグ!!」
「さぁ!愛の逃避行へ!!」
「何言ってんだ!?お前!?」
リグは相変わらずゲラゲラ笑っている。
日が陰り、町はポツポツと明かりが灯りはじめて、昼から夜へ変わろうとしていた。
そんな中を男2人で手を繋いで走っている光景は、なかなかシュールだ。
でも、リグが笑っている。
異動を聞いて、あんな顔をしていたリグが楽しそうに笑っている。
まぁいいか。
リグがどこに向かっているかわかってきたので、俺は黙ってついていくことにした。
俺自身、行かないといけないのに、躊躇していたので、こうして無理矢理引っ張り出してくれて良かったと思う。
石畳に響く足音。
それを合図にするかのように、町の灯りが灯っていく。
時よりリグが俺を振り返り、笑った。
何だろう?
今日の町の灯りはとてもきらきらして見える。
汗のせいかな?
町を駆け抜け、町外に出た。
リグはまだまだ走り続ける。
「リグ~!!たんま~!!ペース落とせ~!!」
「嫌ですよ~!!」
さすがは大型犬子犬、パワーが違う。
せいぜい言いながらついていくしかない。
見慣れた職場を走り続けると、火が焚かれて、見知った顔が集まっていた。
「主役を連れてきました~!!」
やっと止まったリグは、元気に皆に報告した。
俺はその足元で両手をついて呼吸を整える。
それを見て、皆がどっと笑った。
「ご苦労さん、リグ。よくやった!!」
「サーク!!リグに負けてるようじゃ、立派な騎士になれねぇぞ!!」
「それでは!主役も揃ったところで!!」
「我らが騎士に乾杯!!」
俺が地面にへたり込んでいるのをを尻目に、宴会が始まる。
つか、俺、関係なく飲んでるだろ!!
息が整ったら覚えてろ、お前ら!!
リグの共犯者らしい班長が、ニヤニヤしながら水を差し出す。
俺はコップを奪い取り、それを飲み干した。
コップを投げ捨てると、まずはとばかりに立ち上がる。
「リ~グ!!てめえ!!ふざけんな~!!」
あれだけ走ったのに、酒を飲もうとしていたリグを捕まえて、持っていたコップを頭からかけてやる。
男どもは、面白ければ何でもいいのだ。
ゲラゲラ笑いながら囃し立てる。
夜は長い。
宴は始まったばかりだ。
外壁警備の制服を袋にしまいながら、頭を掻く。
制服以外、何かあっただろうか?
第三王子の警護部隊に異動が決まった昨日、色々準備があるだろうからとそのまま帰らされた。
おまけに今日1日、休みまでもらった。
特にすることがなくて、制服を洗濯して、アイロンを当てた。
もう着ることがないと思うと、感慨深いものがある。
一生着ると思っていた制服。
でももう、袖を通すことはない。
壁にかかった、真新しい制服。
ごった返した部屋には不釣り合いの、やけに高級な服だ。
少し前、使いだと言う人が一式持ってきた。
これを着る自分が想像できない。
正直、実感がない。
明日から外壁警備でない職場に行くなど。
もう少ししたら、制服を返しに挨拶に行かないと。
そう思っても、それをしたら、全てが終わってしまう気がして、一歩が踏み出せない。
そんな事を考えていたら、家のドアが、ドンドンと叩かれた。
「サークさ~ん!久しぶり~!!」
「リグ!?」
ドアを開けると、元気よくリグが抱きついてきた。
思いもよらず、俺はよろけながらも何とか抱き止めた。
リグは満面の笑みを浮かべて、俺の胸に顔をぐりぐりと擦り付けた。
この間までの不機嫌はどこに行ったのか、大型犬子犬、全開だ。
「準備終わりました!?」
「え?」
「明日の準備ですよ!」
「あ、ああ。」
きらきらした笑顔でそう言われ、俺は頷いた。
ちょうど手に持っていた制服の袋をちらりと確認すると、リグは俺の手を引っ張った。
「じゃあ!行きましょう!!」
リグは勝手知ったるとでも言うように、うちの鍵を手に取ると、そのまま俺を外に引きずり出した。
戸締まりをすると、鍵を俺のポケットに押し込んだ。
「おい!行くってどこに!?」
こちらの事などお構いなしに事を進めていくリグ。
掴んだ手を引っ張って、走り出す。
何が楽しいのか、めちゃめちゃ笑っている。
「おい!リグ!!」
「さぁ!愛の逃避行へ!!」
「何言ってんだ!?お前!?」
リグは相変わらずゲラゲラ笑っている。
日が陰り、町はポツポツと明かりが灯りはじめて、昼から夜へ変わろうとしていた。
そんな中を男2人で手を繋いで走っている光景は、なかなかシュールだ。
でも、リグが笑っている。
異動を聞いて、あんな顔をしていたリグが楽しそうに笑っている。
まぁいいか。
リグがどこに向かっているかわかってきたので、俺は黙ってついていくことにした。
俺自身、行かないといけないのに、躊躇していたので、こうして無理矢理引っ張り出してくれて良かったと思う。
石畳に響く足音。
それを合図にするかのように、町の灯りが灯っていく。
時よりリグが俺を振り返り、笑った。
何だろう?
今日の町の灯りはとてもきらきらして見える。
汗のせいかな?
町を駆け抜け、町外に出た。
リグはまだまだ走り続ける。
「リグ~!!たんま~!!ペース落とせ~!!」
「嫌ですよ~!!」
さすがは大型犬子犬、パワーが違う。
せいぜい言いながらついていくしかない。
見慣れた職場を走り続けると、火が焚かれて、見知った顔が集まっていた。
「主役を連れてきました~!!」
やっと止まったリグは、元気に皆に報告した。
俺はその足元で両手をついて呼吸を整える。
それを見て、皆がどっと笑った。
「ご苦労さん、リグ。よくやった!!」
「サーク!!リグに負けてるようじゃ、立派な騎士になれねぇぞ!!」
「それでは!主役も揃ったところで!!」
「我らが騎士に乾杯!!」
俺が地面にへたり込んでいるのをを尻目に、宴会が始まる。
つか、俺、関係なく飲んでるだろ!!
息が整ったら覚えてろ、お前ら!!
リグの共犯者らしい班長が、ニヤニヤしながら水を差し出す。
俺はコップを奪い取り、それを飲み干した。
コップを投げ捨てると、まずはとばかりに立ち上がる。
「リ~グ!!てめえ!!ふざけんな~!!」
あれだけ走ったのに、酒を飲もうとしていたリグを捕まえて、持っていたコップを頭からかけてやる。
男どもは、面白ければ何でもいいのだ。
ゲラゲラ笑いながら囃し立てる。
夜は長い。
宴は始まったばかりだ。
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