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16話
わたくしがお父様と伯父様に送った手紙は、予想通り、すぐに実現した。
『お前がそこまで決意を固めたのなら、こちらも手を貸さぬわけにはいかぬ』
返信と共に、実家の侯爵家と伯父様の公爵家の領地の流通ルートが動き出し、薬草栽培に必要な質の高い有機肥料が、驚くほど早くこちらの領地へと運び込まれてきた。
「さすがは侯爵家、そして公爵家でございます。奥様の行動力と人脈、まさに千人力です」
レイモンドさんは、運び込まれた大量の肥料を見て、感嘆の声を漏らした。
肥料の確保という最大の懸念が払拭されたことで、薬草栽培への転換は一気に加速した。わたくしは、実家の領地で学んだ栽培技術を惜しみなく教え、レイモンドさんが計画通りに領民たちに伝えた。
そして、数ヶ月後。
初めて収穫された薬草は、予想を上回る品質だった。その優れた効能はすぐに都の商人に評価され、領地にはこれまでにないほどの富が流れ込み始めた。
「奥様の言われた通りになりました! 今年の収穫は例年の二倍、来年はもっと増やせるぞ!」
「領主様が奥様を連れてきてくれたおかげだ!」
不安視していた領民たちの顔には、活気と笑顔が満ち溢れていた。
わたくしの領主代行としての地位は、この目に見える成功によって、完全に確立された。
こうして、わたくしはただの『元侯爵家の令嬢』ではなく『エドガー様を支え、領地を豊かにした領主夫人』として領民に敬愛されるようになっていた。
領民の生活を第一に考えるわたくしの姿は、平民出身のエドガー様が持つ実直さと重なり、領主夫婦への信頼は揺るぎないものとなった。
レイモンドさんは自信たっぷりに言ってくれた。
「奥様。薬草の売上を元手に、水路の修繕計画を前倒しで進められます。ご主人様がお戻りになる頃には、この領地の財政は完全に安定しているでしょう」
わたくしは、執務室で仕事をしながら、ふと遠い戦場に思いを馳せた。
「よかったわ。これでエドガー様のお帰りを、堂々と迎えられますもの」
領地が一番活気づき、わたくしの心にも安堵が満ちてきた頃。
一通の、戦場からの手紙が届けられた。
レイモンドさんから受け取ったその手紙は、エドガー様自身の筆跡だった。
わたくしは胸の高鳴りを抑えられず、すぐに私室へ戻り、封を切った。
中には、簡潔な近況報告と共に、わたくしに向けられた個人的なメッセージが添えられていた。
ミリアンへ
戦況は熾烈だが、私は大丈夫だ。君の存在そのものが、私の心を支えている。
戦場での闘いの中、必ず君の元に帰るという約束が私を強くする。どうか、無理はしないよう身体を大切に。
必ず勝って、君のいる領地へ帰る。
エドガー
わたくしの頬に、雫が伝わる。これまで流さなかった涙が、一枚の手紙によって溢れそうになる。
『どうか、ご無事で』
彼からの手紙は短いが、胸が締め付けられるほどの愛情を感じた。
わたくしは、彼が帰るべき場所を、誰にも文句のつけようのない最高の場所にすることを、改めて深く誓った。
『ええ、必ず最高の領地で、あなたをお迎えいたしますわ』
わたくしは、彼の筆跡をそっとなぞり、それを大切に胸に抱きしめた。
『お前がそこまで決意を固めたのなら、こちらも手を貸さぬわけにはいかぬ』
返信と共に、実家の侯爵家と伯父様の公爵家の領地の流通ルートが動き出し、薬草栽培に必要な質の高い有機肥料が、驚くほど早くこちらの領地へと運び込まれてきた。
「さすがは侯爵家、そして公爵家でございます。奥様の行動力と人脈、まさに千人力です」
レイモンドさんは、運び込まれた大量の肥料を見て、感嘆の声を漏らした。
肥料の確保という最大の懸念が払拭されたことで、薬草栽培への転換は一気に加速した。わたくしは、実家の領地で学んだ栽培技術を惜しみなく教え、レイモンドさんが計画通りに領民たちに伝えた。
そして、数ヶ月後。
初めて収穫された薬草は、予想を上回る品質だった。その優れた効能はすぐに都の商人に評価され、領地にはこれまでにないほどの富が流れ込み始めた。
「奥様の言われた通りになりました! 今年の収穫は例年の二倍、来年はもっと増やせるぞ!」
「領主様が奥様を連れてきてくれたおかげだ!」
不安視していた領民たちの顔には、活気と笑顔が満ち溢れていた。
わたくしの領主代行としての地位は、この目に見える成功によって、完全に確立された。
こうして、わたくしはただの『元侯爵家の令嬢』ではなく『エドガー様を支え、領地を豊かにした領主夫人』として領民に敬愛されるようになっていた。
領民の生活を第一に考えるわたくしの姿は、平民出身のエドガー様が持つ実直さと重なり、領主夫婦への信頼は揺るぎないものとなった。
レイモンドさんは自信たっぷりに言ってくれた。
「奥様。薬草の売上を元手に、水路の修繕計画を前倒しで進められます。ご主人様がお戻りになる頃には、この領地の財政は完全に安定しているでしょう」
わたくしは、執務室で仕事をしながら、ふと遠い戦場に思いを馳せた。
「よかったわ。これでエドガー様のお帰りを、堂々と迎えられますもの」
領地が一番活気づき、わたくしの心にも安堵が満ちてきた頃。
一通の、戦場からの手紙が届けられた。
レイモンドさんから受け取ったその手紙は、エドガー様自身の筆跡だった。
わたくしは胸の高鳴りを抑えられず、すぐに私室へ戻り、封を切った。
中には、簡潔な近況報告と共に、わたくしに向けられた個人的なメッセージが添えられていた。
ミリアンへ
戦況は熾烈だが、私は大丈夫だ。君の存在そのものが、私の心を支えている。
戦場での闘いの中、必ず君の元に帰るという約束が私を強くする。どうか、無理はしないよう身体を大切に。
必ず勝って、君のいる領地へ帰る。
エドガー
わたくしの頬に、雫が伝わる。これまで流さなかった涙が、一枚の手紙によって溢れそうになる。
『どうか、ご無事で』
彼からの手紙は短いが、胸が締め付けられるほどの愛情を感じた。
わたくしは、彼が帰るべき場所を、誰にも文句のつけようのない最高の場所にすることを、改めて深く誓った。
『ええ、必ず最高の領地で、あなたをお迎えいたしますわ』
わたくしは、彼の筆跡をそっとなぞり、それを大切に胸に抱きしめた。
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