大丈夫、と言いながら私を泥に塗れさせる婚約者など不要です
「大丈夫だ。何も心配は要らないから、お顔をお上げ。不完全な者を許し、正しく導くことこそが、高貴なる血に課せられた使命なのだから。……誰にだって、不運な躓きはあるものだよ」
大丈夫。
その耳ざわりの良い、美しい言葉が応接室に響いた瞬間、私の視界は白く冷たく染まっていく。
まただ。
私の胸の奥で、何かがパキリと小さな音を立ててひび割れた。
それがもう何度目の亀裂なのか、数える気力すら今の私には残っていない。
ダミアン・カトプレシス伯爵子息。私の婚約者である彼は、いつだって優しかった。
彼の口から紡がれる言葉は、まるで聖書の一節か、一流の劇作家が書いた戯曲のように高潔で、無垢で――そして、気が遠くなるほどに無責任だった。
大丈夫。
その耳ざわりの良い、美しい言葉が応接室に響いた瞬間、私の視界は白く冷たく染まっていく。
まただ。
私の胸の奥で、何かがパキリと小さな音を立ててひび割れた。
それがもう何度目の亀裂なのか、数える気力すら今の私には残っていない。
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