【1話毎に完結するようにしています】
人類の英知も届かぬ絶望の底、地下100階層——【奈落の淵】。
そこには世界を滅ぼすSSSランク魔獣『深淵の暗黒竜』……の頭の上で、呑気に丸くなる一匹の『黒猫』クロがいた。
元・野良猫であるクロの望みはただ一つ。
「美味いカリカリ(ご馳走)を食べて、暖かい場所で寝ること」!
全滅寸前で転送されてきたSSランク冒険者も、
不治の呪いに苦しむ追放聖女も、
腕脚を失った敗残の魔導将軍も——
クロにとっては全員、ただの「極上のごはんを持ってきてくれた親切なニンゲン」。
「カリカリ美味かったニャ。食後の運動がてら、ちょっと舐めてやるニャ」
感謝のペロペロ一舐め(アフターサービス)。
それだけで、欠損した手足は瞬時に再生し、不治の呪いは跡形もなく消滅、失われた神聖魔法まで完全覚醒!
「これが……黒猫様の奇跡の御技……ッ!?」
「我らは試されていたのだ……!」
地上での大バカ騒ぎなど知る由もないクロは、今日も暗黒竜の頭の上で幸せそうにご飯を待つのだった。
文字数 173,002
最終更新日 2026.08.23
登録日 2026.07.27
伯爵令嬢リゼット・ヴァランタインは、近衛騎士団の演習見学からの帰り道、人とぶつかって転倒し、頭を強く打った拍子に前世の記憶を思い出す。前世は裁縫好きの日本人オタク女性。目覚めた直後に見た「氷の騎士団長」カイル・アシュフォードの凜々しい姿に、前世のオタク魂が完全復活してしまう。
「尊い……! まさかこの世界で、推しに出会えるなんて……!」
その日からリゼットは、カイルにそっくりな「推しぬい」をこっそり手作りし、愛でる日々を送るように。学園でも持ち歩いていたところを友人に見つかり、「なにそれ可愛い!」と大反響。頼まれるまま友人たちの推しの人形も作るうちに、この文化をもっと広めたいと「推し縫い専門店」を開店してしまう。
じわじわと評判が広がるある日、リゼットは街中でカイル本人と正面衝突。その拍子に、バッグからカイルそっくりの人形が転がり落ちてしまい――。
「……これは、俺か?」
拾い上げたカイルは困惑しながらも、持ち主を探し始める。正体を明かせない令嬢と、彼女を探す騎士団長。表向きは「氷の騎士団長」のまま、彼女にだけ独占欲を隠さなくなっていくカイルと、うっかり本人に見つかりそうになりながら店を切り盛りするリゼットの、すれ違いラブコメディ、開幕。
文字数 94,483
最終更新日 2026.08.23
登録日 2026.08.05
「あのアホ息子めが……! わしの身体で何をしておる!!」
名君と名高い国王アルベルトは、目が覚めると放蕩息子の王太子・アデルの身体になっていた !
一方、王の身体を手に入れた愚息アデルは、好き勝手な勅令を連発して国を崩壊の危機に陥れていく 。
このままでは国が滅ぶ!
アルベルトは「中身は賢王、見た目は軽薄な愚息」という歪な状態で立ち上がる 。
アデルが見捨てていた優秀な婚約者エレノアや王妃を味方につけ、放置された極秘書類の処理、隣国との外交問題、暗躍する第二王子の陰謀に挑むアルベルト 。
暴走する『自分の身体』を止め、元の姿に戻ることはできるのか!?
愚息のフリをした賢王が繰り広げる、痛快・宮廷立て直しファンタジー!
文字数 103,301
最終更新日 2026.08.23
登録日 2026.07.29
『狂乱の剣鬼』『血塗れの黒狼』――そう恐れられる帝国筆頭元帥カイ・レオンハルト公爵。
身長百九十センチの巨躯と顔の刀傷で誰もが震え上がる彼だったが、その実態は「人混みと無駄口が死ぬほど苦手なだけ」の極めて不器用な武人だった。
貴族たちの押し付け婚約を避けるため、没落男爵家の元・上級帳簿官クララと「一年限りの契約結婚」を結んだカイ。
離れで静かに暮らすはずだった契約妻は、着任初日に元帥邸の壊滅的な赤字家計を見るや否や、全面的な財政再建に乗り出してきた!
「閣下、ぼったくり刀剣油に金貨三十枚? 却下です。蜜蝋と重曹で十分です」
「夕食抜きの深夜素振りは筋肉の減価償却です。この具沢山スープを四十分以内に完食してください」
算盤と正論を武器にする冷静沈着な妻に、戦場無敗の元帥はタジタジ。
しかし、栄養満点のご飯と清潔な部屋、そして誰よりも自分を気遣ってくれる彼女に、カイの胃袋と心は完全に掴まれてしまい……?
一方、元帥の権力を狙う宮内卿が「貧乏小娘」とクララを脅迫しに乗り込んでくるが――。
強面不器用な元帥×数字と筋肉を愛する超現実主義な契約妻が織りなす、勘違い&胃袋掌握系ほのぼのドタバタラブコメディ!
文字数 11,972
最終更新日 2026.08.21
登録日 2026.08.21
半年ぶりに王都の屋敷へ戻ったアルフレッドは、妹カフェリーヌがコーヒーを飲んでいることに驚く。
幼い頃からコーヒーに憧れ、十二歳でようやく本物を飲めるようになった妹は、いつの間にか「嫌いになった」と言って飲まなくなっていたはずだった。
けれど、カフェリーヌは言う。
「ずっと好きでしたわ」
コーヒーだけではない。
辛い料理も、乗馬も、赤いドレスも、推理小説も。
妹は王太子に好かれたい一心で、自分の好きなものを一つずつ隠していた。
そんな彼女に王太子が告げたのは――「君には自分というものがない」という言葉。
婚約解消をきっかけに、カフェリーヌは自分の「好き」を取り戻していく。
そして兄アルフレッドもまた、守るべき幼い妹だと思っていた彼女が、もう自分で人生を選べる一人の女性なのだと気づいていく。
一杯のコーヒーから始まる、兄目線の静かな婚約解消と再出発の物語。
文字数 15,600
最終更新日 2026.08.15
登録日 2026.08.10
王女付き侍女として仕えるリディアには、誰にも明かせないもう一つの顔がある。
彼女の正体は、王女直属の女性護衛騎士だった。
そんなリディアに、近衛騎士アルベルトが執拗に言い寄ってくる。
何度断っても「遠慮している」「強がっている」と都合よく解釈され、ついには文官セドリックと親しくしていることに嫉妬されてしまう。
そしてある日、アルベルトはリディアを壁際へ追い詰め、耳元で囁いた。
「お前はオレだけを見ていればいいんだ」
その瞬間、リディアの全身を悪寒が走る。
生理的に無理だった。
気づけば、反射的に拳が出ていた。
勘違いと粘着を続けた近衛騎士の末路と、仕事を通して自然に距離を縮めていく文官との関係を描く、異世界恋愛短編。
文字数 18,580
最終更新日 2026.08.14
登録日 2026.08.14
幼いころからアレクシスのそばにいるたび、リディアは周囲の令嬢たちから嫌がらせを受けてきた。何度も「嫌い」「離れたい」と訴えても、両親はそれを子どもの意地や照れだと思い、本気にしなかった。
十五歳で外国の高等学院へ留学したリディアは、魔道具職人として自立する道を見つける。そして十七歳の成人を迎えた日、彼女は伯爵家から離籍し、二度と故郷へ戻らないと決めた。
一方そのころ、アレクシスはリディアと結婚するつもりでいたことを明かす。けれどリディアは、そんな未来を一度も望んでいなかった。
これは、誰にも届かなかった「嫌だ」を抱えていた少女が、自分の人生を自分で選び取るまでの話。
文字数 19,971
最終更新日 2026.08.13
登録日 2026.08.13
結婚式まで、あと三か月。
伯爵令嬢ヴィヴィアンのもとに、婚約者ウォーレンから一通の手紙が届いた。
『急な仕事が入った。今日の話し合いには行けそうにない。招待客については君の判断に任せる。君なら問題なくできるだろう』
またいつものこと。
そう思って返事を書こうとしたヴィヴィアンは、ふと気づく。
――「どうぞお気になさらないでください」と、私はこれまで何度書いたのだろう。
気になったヴィヴィアンは、七年間大切に保管してきたウォーレンからの手紙を読み返すことにした。
最初の手紙には「会いたい」と書かれていた。
やがてそれは「君なら待っていてくれるよね」に変わり、「君ならできる」「婚約者なら察してほしい」と変わっていく。
一通ずつ読んでいた頃には気づかなかった。
けれど百通を並べれば、そこには二人の七年間がはっきりと残されていた。
愛されていると思っていた。
信頼されていると思っていた。
必要とされていることが嬉しかった。
では――私は、いつから彼にとって「何をしても許してくれる婚約者」になったのだろう。
これは百通の手紙をきっかけに、一人の令嬢が七年間の恋と向き合い、自分自身のための答えを選ぶ物語。
文字数 11,156
最終更新日 2026.08.09
登録日 2026.08.09
婚約披露の夜会で、ギルバート様はフィオナお嬢様の書いたという手紙を読み上げた。ローウェル侯爵家を見下す言葉が並んだ、心ない一通。
けれど給仕として壁際に控えていた侍女のメイは知っている。
その手紙は、まだ世に出回っていないはずの紙に書かれていた。
誰も見ていない場所にこそ、真実は残っている。
文字数 2,492
最終更新日 2026.08.07
登録日 2026.08.07
公爵令嬢セシリアは、婚約者である伯爵令息ジュリアンとの仲を深めようと努めていたが、観劇やティータイム、街歩きに至るまで、ことごとく彼の幼馴染兼専属従者・レオンに邪魔され続けていた。セシリアやその父である公爵が度重なる非礼を注意・抗議しても、ジュリアンは「悪気はないんだ」「寛容になりなさい」と一向に取り合わず、従者の暴走を放置し続ける。
無数の不誠実な対応に堪忍袋の緒が切れたセシリアは、綿密な記録を携え、建国記念夜会という晴れの舞台で決着をつけることを決意。大勢の貴族が見守る中、逃げ場のない完璧な証拠とともに婚約解消を突きつけ、身勝手な二人と身内を庇い続けた伯爵家を社会的な破滅へと追い込んでいく。
文字数 8,946
最終更新日 2026.08.06
登録日 2026.08.06
侯爵令息マティアス様の口癖は「無理はしなくていいのに」。
婚約して五年、わたくしは彼のために、数えきれない「無理」を重ねてきた。先回りした根回し、代筆した祝辞、覚えておいた誰かの誕生日。その度に返ってくるのは、感謝ではなく「無理はしなくていいのに」の一言だった。
ある夜、わたくしは初めて、その言葉を自分のために使ってみることにした。
本当に、無理をしなくなってみた。
彼の身の回りが少しずつ、静かに軋み始める。
そして半年後、告げられたのは婚約破棄。理由は「婚約者としての熱意の欠如」――あなたが望んだとおりにしただけですのに。
文字数 3,451
最終更新日 2026.08.05
登録日 2026.08.05
無類の猫好きとして知られる伯爵令嬢ミリアのもとに、格上のヴォルティス公爵家から突然の縁談が舞い込む。首を傾げながら向かった顔合わせの場に現れたのは、呪いによって顔だけ完全な「猫」になってしまった公爵令息レインハルトだった。過去に何度も断られ心を閉ざしていたレインハルトは「断ってくれて構わない」と諦め顔だったが、至高のモフモフを前にしたミリアは大歓喜し、即座に婚約を承諾する。
当初は傷つくのを恐れて冷たく素っ気ない態度を取り続けていたレインハルトだったが、ミリアの一途で底なしの愛(ブラッシング)と温もりに触れるうちに頑なな心が解け、やがて重すぎるほどの極上溺愛モードへと激変。しかし結婚式を目前に控えたある日、二人が互いの愛を確かめ合う深々とした「誓いのキス」を交わしたことで、突如呪いが解け、レインハルトは社交界随一の超絶美形へと戻ってしまう。
最愛の「モフモフ」を失って絶望するミリアに対し、嫉妬混じりのレインハルトは甘い「おしおき(情熱的なキス)」で彼女を圧倒。人間の姿となっても自分そのものを愛してくれるミリアとともに、二人は幸せ溢れる結婚式を迎えるのだった。
最後の方に軽い性描写があるので苦手な人はバックしてください。
文字数 12,899
最終更新日 2026.08.04
登録日 2026.08.04
前世の知識で『〇〇〇ボール』の開発に没頭する変人魔道具技師ローラン 。
「従魔に最高の快適性を!」と情熱を燃やし続ける彼は、ついに「快適性を確かめるため、自分自身がボールに入る」と言い出し——!?
振り回されっぱなしの幼馴染ルシアと共にお贈りする、異世界ドタバタ開発コメディ!
文字数 25,148
最終更新日 2026.08.02
登録日 2026.07.29
王太子の婚約者である公爵令嬢セレスティアは、大きな悩みを抱えていた。
完璧な婚約者であるカルロス殿下が、ある時期からとある男爵令嬢・クロエを激しい眼差しで見つめるようになったのだ。
自分に向けられる優しさは単なる「義務感」によるものと思い込んだセレスティアは、殿下の本当の幸せのために自ら身を引く決意を固める。
一方、殿下からの視線を「運命の恋」と勘違いしたクロエは次第に増長し、華やかな創立記念パーティーの場でセレスティアを追い詰めようとするが……?
実は、殿下が男爵令嬢から目を離せなかったのには、誰にも言えない“とんでもない理由”があった——!
勘違いとすれ違いから始まる、衝撃の結末をお見逃しなく!
文字数 9,330
最終更新日 2026.08.01
登録日 2026.08.01
他人に一切興味がなく、人の顔と名前を覚えるのも壊滅的に苦手な魔法薬学の天才クロエ。
相変わらず、無表情スパダリな公爵令息ヴィンセントに甲斐甲斐しくお世話をされる甘い日常を送っていた。
そんな中、編入してきた子爵令嬢リリィ・マーチ。
彼女は生まれ持った禁忌の『古代魅了魔法(チャーム)』を使い、ヴィンセントを虜にして玉の輿に乗ろうと企んでいた。
しかし、鉄壁の愛を誇るヴィンセントに魅了魔法は一切効かない!
さらに運悪いことに、その魅了の魔力波動をクロエに見咎められてしまう。
「すごいわ! 生きた人間がこんな波長を出してるなんて初めて見た! ちょっと脳の構造と抽出液を見せて!」
クロエにとってリリィは、ライバルどころか『極めて希少な実験被験体』。
研究欲で目を輝かせたクロエ(と、彼女を過保護にサポートするヴィンセント)に追いかけ回されることになったリリィは、恐怖のあまり「助けてぇぇぇ!」と泣き叫ぶことになり……!?
無関心ヒロインの狂気的な探究心と過保護スパダリの鉄壁ガードが光る、シリーズ第2弾!
文字数 5,173
最終更新日 2026.07.31
登録日 2026.07.31
魔法薬学の天才クロエは、自分や研究以外の他人にまったく興味がない。
人の顔と名前を覚えるのも大の苦手で、周囲の人間はすべて「風景の一部」に見えてしまう始末。
そんな彼女を甲斐甲斐しく世話するのは、学園一の完璧超人であり『氷の公子』と恐れられる公爵令息ヴィンセント。
食事の世話からスケジュールの管理まで、無表情ながら甘く重い愛でクロエを溺愛し尽くしていた。
そんな二人の仲を引き裂こうと現れたのは、高飛車なライバル令嬢エレノア。
数々の嫌がらせや罠を仕掛けるエレノアだったが、クロエの徹底的な「無関心」とヴィンセントの鉄壁ガードの前にすべて空振り!
何度挑んでも「赤いリボンの人」「縦巻きツインテールさん」としか認識されず、ついにエレノアの目的は『ヴィンセントを奪うこと』から『この女に私の名前を覚えさせること』へと歪んでいき……!?
マイペースな無関心ヒロイン×過保護スパダリヒーローが織りなす、勘違い&自爆系ライバル令嬢ざまぁラブコメディ!
文字数 7,782
最終更新日 2026.07.30
登録日 2026.07.30
前世で推し活に全てを捧げていたオタクのエルナは、規格外の魔力を持つ貴族令嬢として異世界に転生した。
しかし、この世界には「推し」が存在しない——!
絶望したエルナは、寂しさを紛らわせるために前世の最推しを模した「推しぬいぐるみ」を自作し、毎日溢れ出る魔力と濃厚な愛を注ぎ込みながら愛でていた。
「今日も顔がいいわね、アレン。大好きよ!」
ところが、何年間も注ぎ続けた規格外の魔力と一途な情念によって、ぬいぐるみに魂が宿り、ついには満月の夜に——超絶イケメンの姿へ完全変化してしまう!
「ずっともどかしかったんだ。小さなぬいの体のままじゃ、君を抱きしめることも出来なかったから……」
愛でる側だったはずのエルナは、自らの手で生み出した「最推し」から、想像以上に重くて甘い執着と怒涛の溺愛を受けることになってしまい!?
元・推しぬい×規格外魔力令嬢の、立場逆転ラブコメディ!
文字数 5,909
最終更新日 2026.07.30
登録日 2026.07.30
「傷ひとつなく、ツルンと完璧にゆで卵を剥きたい」——そんな偏執的な衝動を抱えるOL・白石渚 。けれど彼女は、ゆで卵を食べるのが大の苦手だった 。
そんなある日、他部署からやってきた助っ人社員・橘薫が「不器用で綺麗に剥けないけれど、無性にゆで卵が食べたい」とマイ塩瓶を握りしめて嘆いているところに出会う 。
「食べたくないけれど剥きたい」ヒロインと、「剥けないけれど食べたい」ヒーロー 。
奇妙な利害の一致から、二人は会社の屋上でひそかに落ち合う秘密の「ゆで卵協定」を結ぶことに 。
毎日、完璧に剥かれた白球を嬉しそうに頬張る橘の笑顔を見るうち、渚の胸には「ただ剥きたい」だけではない温かな感情が芽生え始める 。
しかし、彼の助っ人期間の終了と本社復帰が決まり、二人の「ゆで卵協定」に終わりの時が近づいて……?
ゆで卵から始まる、少し不器用で愛おしいオフィスラブコメディ 。
文字数 9,027
最終更新日 2026.07.30
登録日 2026.07.30
魔法の使えない少女・レナは、周りから「無能な落第生」と蔑まれながらも宮廷調合師として静かに薬作りに励んでいた。
ある猛暑の日、彼女は国境を守る若き凄腕公爵・ジルと出会う。
敵の呪いによって全身が氷へと変わりゆく恐怖と激痛に耐えるジル。高位の錬金術師たちが放つ強い魔力はかえって呪いを悪化させてしまうため、誰からも見放された彼は、ただ太陽の熱で死期を延ばすために離宮を訪れていたのだった。
「私の手なら、魔力による反発は起きません」
冷たすぎる彼の手を包み込み、優しく薬を塗るレナ。
誰からも恐れられていたジルの孤独を理解し、彼を救いたいと願うレナは、真夏の陽光をいっぱいに集めた「ある花」の調合薬を作り始める。
やがて訪れる呪いの決壊と狂った吹雪。
絶望に呑み込まれかける彼を前に、レナが選択した「命がけの決断」とは——?
文字数 9,152
最終更新日 2026.07.30
登録日 2026.07.30