3 / 3
秘密の話
しおりを挟む
社会に出て3年目。社会人の生活にもなれてきてやっと仕事も覚えたかなってくらいで、1年研修が終わった後輩ができた。
今日は彼女と居酒屋でサシのみだ。女性が多い部署で歓迎会はお洒落なイタリアンだったので今日は2人で安くて美味しいビールと焼き鳥を食べようって話になった。因みに私は人より少し酒が強い。大学のサークルで酒豪と呼ばれてた先輩を潰してしまい、女王の称号を頂いてしまうくらいには飲める。
「んー、とりあえず生2つとオススメ5本盛り1つください。」
「お待たせしましたー、お通しとビールでーす」
お通しのキャベツがおかわり自由で、且つ美味しいのでここはお気に入りの居酒屋の一つだ。
「先輩ってほんっとかっこいいですよねー。だって仕事できるし、優しいし、ほんと上司としても女としても憧れるー」
「ありがとう。けどそんな事ないよ。○○ちゃんって一生懸命ですっごくいい子だねって話してたし。挨拶されると元気出るよねって。」
「えええ、嬉しすぎます。先輩の教え方が上手なんですよー。これからはもっと元気に挨拶しますねっ笑」
年の近い上司に気に入られようとしているのか、お酒のせいなのか、とても褒めてくれる。だけど彼女にはごますり感とか嫌味な感じとかもなくて、正直、嬉しい。
そんな彼女はたったビール1杯でほんのり赤くなり、あとはレモンサワー2杯とシメのパフェを頼んでいた。
「今日はありがとうございましたっ!先輩のこともっと好きになりました!また月曜にー」
「こちらこそありがとう。おやすみー」
気分の良くなった私は少しの物足りなさを埋めるため、バーに向かった。バーと言ってもそんなにお高いバーではなくて女1人で入れるくらいの気軽な感じのところだ。
愛煙家のマスターが保健所がどうこうとか言うのをすり抜けてくれたお陰でここではまだ喫煙できる。
「ウイスキーください」
「畏まりました」
私の雑なオーダーにもマスターはいつも完璧なお酒を出してくれる。
今日のはどこの国のなんとかっていう、辛口の一杯だった。
喫煙者なのを隠している訳じゃないけれど人の前では吸わないし、お酒だってこんな強いのを頼まない。
仕事だって恋愛だって人並みにしている。何か不満があるわけでもない。側から見れば私だって良いところがあるんだろうし、今の生活を捨てて何かを始めたいと思うほどの強さもない。無い物ねだりなんて誰だってあるだろうし、結局皆自分が1番なんだろうなあ。
吐き出した煙は目の前で少しもやもやっとしてから上って天井につく前に消えた。
2本目に火をつける。
蝋燭の光みたいに優しい照明のバーの雰囲気はとても心地が良い。いつもここに逃げてきてしまう。
ちびちびとお酒を飲みながらゆっくり煙草を吸う。
最後の一口は深く吸って肺がくっつくんじゃないかってくらいに最後まで吐き切って、火を消した。そしてお酒をクッと飲み干した。
そろそろ帰ろう。
きっとまた明日もその次の日も。煙草に火をつけては消してを繰り返していく。
今日は彼女と居酒屋でサシのみだ。女性が多い部署で歓迎会はお洒落なイタリアンだったので今日は2人で安くて美味しいビールと焼き鳥を食べようって話になった。因みに私は人より少し酒が強い。大学のサークルで酒豪と呼ばれてた先輩を潰してしまい、女王の称号を頂いてしまうくらいには飲める。
「んー、とりあえず生2つとオススメ5本盛り1つください。」
「お待たせしましたー、お通しとビールでーす」
お通しのキャベツがおかわり自由で、且つ美味しいのでここはお気に入りの居酒屋の一つだ。
「先輩ってほんっとかっこいいですよねー。だって仕事できるし、優しいし、ほんと上司としても女としても憧れるー」
「ありがとう。けどそんな事ないよ。○○ちゃんって一生懸命ですっごくいい子だねって話してたし。挨拶されると元気出るよねって。」
「えええ、嬉しすぎます。先輩の教え方が上手なんですよー。これからはもっと元気に挨拶しますねっ笑」
年の近い上司に気に入られようとしているのか、お酒のせいなのか、とても褒めてくれる。だけど彼女にはごますり感とか嫌味な感じとかもなくて、正直、嬉しい。
そんな彼女はたったビール1杯でほんのり赤くなり、あとはレモンサワー2杯とシメのパフェを頼んでいた。
「今日はありがとうございましたっ!先輩のこともっと好きになりました!また月曜にー」
「こちらこそありがとう。おやすみー」
気分の良くなった私は少しの物足りなさを埋めるため、バーに向かった。バーと言ってもそんなにお高いバーではなくて女1人で入れるくらいの気軽な感じのところだ。
愛煙家のマスターが保健所がどうこうとか言うのをすり抜けてくれたお陰でここではまだ喫煙できる。
「ウイスキーください」
「畏まりました」
私の雑なオーダーにもマスターはいつも完璧なお酒を出してくれる。
今日のはどこの国のなんとかっていう、辛口の一杯だった。
喫煙者なのを隠している訳じゃないけれど人の前では吸わないし、お酒だってこんな強いのを頼まない。
仕事だって恋愛だって人並みにしている。何か不満があるわけでもない。側から見れば私だって良いところがあるんだろうし、今の生活を捨てて何かを始めたいと思うほどの強さもない。無い物ねだりなんて誰だってあるだろうし、結局皆自分が1番なんだろうなあ。
吐き出した煙は目の前で少しもやもやっとしてから上って天井につく前に消えた。
2本目に火をつける。
蝋燭の光みたいに優しい照明のバーの雰囲気はとても心地が良い。いつもここに逃げてきてしまう。
ちびちびとお酒を飲みながらゆっくり煙草を吸う。
最後の一口は深く吸って肺がくっつくんじゃないかってくらいに最後まで吐き切って、火を消した。そしてお酒をクッと飲み干した。
そろそろ帰ろう。
きっとまた明日もその次の日も。煙草に火をつけては消してを繰り返していく。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
退会済ユーザのコメントです
コメントありがとうございます。
私も愛煙家です。
禁煙ブームになってしまって肩身狭いですよね。タバコミュニケーション、懐かしいです。
喫煙所でお話しを聞いて下さる感覚でこれからもお付き合い下さいませ。
ラストが唐突過ぎてしばらく悩みました。
煙草一本分では読めました。
感想ありがとうございます!
旦那さんはイルミネーションにも連れてってくれて美味しいご飯を作って待っててくれるような素敵な非喫煙者さんなんですよね。