十番目の愛

夜宮 咲

文字の大きさ
21 / 84

恋は波瀾万丈

しおりを挟む
「行ってらっしゃいませ」


ご主人様を見送るのも使用人の仕事。

玄関から出る五希と視線が合う。

五希は何も言わず微笑み出ていった。


「夢乃?どうしたー?」

「えっ!?」

「掃除行くよー…って、なんか顔赤くない?熱あるの?」

「そ、そうかな!?今日ちょっと暑いねっ!!」

「いや、わりと涼しいと思うけど…」

「掃除!!掃除しようっ」


危ない。乙女にもこの事は言ってないんだから、バレないようにしっかりしないと…!

慌てて掃除道具を手に取り何とか誤魔化した。

昨日の五希様……夜だったからかいつもよりお顔立ちが綺麗だった。

まるで王子様のような…。

あと、少し色っぽくて……。

別れ際のキスを思い出してまた熱が上がる。

五希様のことを考えると仕事に集中出来ない!

五希様の全てが愛おしくて、

好きという気持ちでいっぱいだ。

でも今は仕事に集中しなくては。

この事が誰かにバレたら……きっと私達は離されてしまう。

そんな事にならないようにしっかり努めなければ…!


夢乃は気持ちを切り替えて仕事に取り掛かった。











誰もいない旧校舎の一室に生徒が二人。

誰もいないことをいいことに、

男女は激しく乱れる。


「んっ…ね、ぇ」

「後にして、今いいところなんだから」

「でも…あっ……!」


男は口で女を黙らせる。

淫らで色っぽい声が室内に響く。











「ねぇ、明日ヒマ?」


女はワイシャツのボタンを閉めながら男 ー 鏡月 五希に聞いた。


「明日は用事がある」

「あたし以外の女の子に会うんだ?」

「別に、何でもいいだろ」

「その子は知ってるのかな~……鏡月君には彼女がたーくさんい・る・こ・とっ」

女は悪戯に笑いながら言った。

五希は溜め息をつき、ネクタイを絞めてから教室を出る。


「ねぇ、今度はいつ?」


女は後ろから五希を抱きしめて聞いた。


「……また連絡する」


五希は女の手をそっと離し、

旧校舎を後にした。











まわりの恋がさまざまな形で動く中、

裏では計画が進められていた。


「そういうことだから、あなたの方でも動いてくれる?」


人気が少ない場所で電話の相手にそう言った。

携帯を切り、スカートのポケットにしまう。


「お待たせーっ!購買が混んでて遅くなったー」

「私の分までごめん、ありがとう」

「いいよいいよ!まだ脚治ってないだろう?」


九都と十和は人気が少ない場所で昼食を摂る。

九都が購買で買ってきてくれたメロンパンをかじる。

サクサクのクッキー生地とバターの香り、控えめな砂糖の甘さが絶妙だ。


「ねぇ、九都って好きな人いるの?」

「えっ、急にどうしたの!?」

「なんとなく聞いてみただけよ」

「え、えーっ……んー、いないかなぁ」

「へぇ。九都って女友達も多いし、告白とかされそうだけど」

「まぁ仲は良いけど、恋愛対象ではないんじゃないかな。告白もされたことないし、僕も可愛いと思う子がいても恋愛的な意味ではないし…」

「恋愛って難しいのね」

「十和こそないの、そういう話し」

「私は別に。そもそも友達がいないし」

「そんな悲しいこと言わないでよ…」


そんなたわいもない話しをしていると昼休みが終わるチャイムが鳴る。


「教室に戻ろうか」

「あ、先に行ってて。飲み物を買ってから戻る」

「わかった」


九都は先に教室へ戻って行った。

十和はポケットから携帯を取り出してアプリを開く。

地図のような画面に赤いピンが写されている。

ピンは地図の中でゆっくり動いている。

十和は確認し終えると再び携帯をポケットにしまい、自販機でジュースを買ってから急いで教室へ戻った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

付喪神狩

やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。 容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。 自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

処理中です...