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鏡月 五希の愛は空っぽで(5)
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「五希~、今日デートしよう?」
「……」
「五希?ねぇ、聞いてる?」
「……あぁ、ごめん。今日はダメ」
「えーっ!」
あれから一週間が経った。
あの日以降、貼り出しはされていないらしい。
やっぱり誰かの悪戯だったのか…?
あれから僕は使用人達を観察するようになった。
まず、黒田は犯人から除外してもいいだろう。
黒田はお父様に付きっきりでほぼ屋敷にはいない。
だから僕達の事には気づかないだろう。
そもそも黒田は僕達に興味がないと思う。
守屋も除外してよさそうだ。
守屋に関してはもしバレていたとしても人柄的にあのような事はしないと思う。
それに守屋は鏡月に長年仕えている使用人だ。
主の秘密はちゃんと守るだろう。
……そうなると切島と川村の二人に絞られる。
一週間観察してみたが、切島はとくに怪しい部分はなかった。
真面目に仕事をしているようだったし、
変な行動も見られなかったし…。
じゃあ、犯人は川村?
川村は夢乃と同期で普段から仲が良いと聞いている。
夢乃のそばにいることが多い川村ならもしかすると気づいていたのかもしれない。
…十分あり得るな。
犯人は川村だ。
でも、まだ確証がない。
もう少し様子を見て判断しよう。
夢乃にもまだ伝えない方がいいかもしれない。
夢乃が直接川村に聞くかもしれないし。
僕は珍しく彼女からの誘いを断り、そのまま真っ直ぐ屋敷へ帰った。
守屋が「お帰りなさいませ」と言って僕を出迎える。
「あのさ、川村はいる?」
「川村でしたら宮本と倉庫の整理をしているかと…お急ぎの用でしたら私が呼びに行きましょうか?」
「いや、全然急いでないから大丈夫。そうだ、後で僕の部屋にお茶を運んでくれる?」
「かしこまりました」
あの言い方は良くなかったかもしれないな。
守屋に怪しまれたかもしれない。
メイドが今何をしているのか聞くなんて、
変な含みを入れてしまった。
まぁ、何も聞かれなかったからいいか。
しばらくしてから僕の部屋のドアをノックしてお茶を運びに来た。
「お待たせしました~」
てっきり守屋が持って来ると思っていたら、入って来たのは川村だった。
きっと守屋が気を利かせて川村に頼んだのだろう。
これは川村の素性を探るチャンスだ。
「ありがとう」
「さっき守屋さんから聞きましたが、私に何か用事があるんですか?」
「あー…えっと、ちょっと女性の意見を聞きたいなぁと思って」
「えっ!彼女さんとかですかっ」
「そうそう、もうすぐ誕生日なんだけど何を渡せば喜ぶかなーって悩んでて」
「女性は香りがいいものとか、アクセサリーとか結構好きですよ」
「なるほど」
「あと、化粧品とかも嬉しいですね~」
川村は楽しそうに考えてくれる。
彼女の誕生日はしばらくないが、
こういう話しを振った方がよく喋るだろう。
案の定、ノリノリで話している。
「彼女さんはどんな人なんですか?」
「可愛い子だね」
「即答ですね!」
「…川村は知ってるんじゃないの?」
僕は思い切って聞いた。
これで少しでも川村が言葉を詰まらせたら、確実だ。
「え、私も知ってる人なんですかっ!?」
川村は驚いた顔で言った。
「同じ学校の人だと思ったんですけど、もしかしてここに来たことある人ですか?」
「あー、どうだろうね」
「えーっ!!誰だろうっ、すごい気になるじゃないですかーっ!!」
……川村は犯人じゃない?
この様子だと全く知らないみたいだな。
絶対に川村だと思っていたが、
犯人は一体誰なんだ?
「…あのさ、最近使用人の中で何か変わったことはなかった?」
「使用人の中でですか?いや、とくに変わったことは…」
川村は少し考えながら言った。
「そっか。ごめん、引きとめてしまって。お茶ありがとう」
「あ、はい!じゃあ失礼しますね」
川村はドアを開けて部屋を出ようとした。
「あ、そういえば」
川村は何かを思い出してピタッととまった。
「先週、切島さんが午後から休みだったんですよね」
「へぇ、切島が…珍しいね」
「そうなんですよー、なんかどうしても外せない用事が入ったらしくて、午前の仕事が終わってからすぐに出て行っちゃって。変わったことと言えば、これぐらいですかね」
そう言って川村は部屋から出て行った。
午後から休み…。
使用人にも休みは必要だ。
別に変わったことではないが、
切島が屋敷の仕事を休むことは今までなかったはず。
ただの用事だったのか…?
新たな疑惑が出るなか、
僕の人生に変化が訪れようとしていた。
「……」
「五希?ねぇ、聞いてる?」
「……あぁ、ごめん。今日はダメ」
「えーっ!」
あれから一週間が経った。
あの日以降、貼り出しはされていないらしい。
やっぱり誰かの悪戯だったのか…?
あれから僕は使用人達を観察するようになった。
まず、黒田は犯人から除外してもいいだろう。
黒田はお父様に付きっきりでほぼ屋敷にはいない。
だから僕達の事には気づかないだろう。
そもそも黒田は僕達に興味がないと思う。
守屋も除外してよさそうだ。
守屋に関してはもしバレていたとしても人柄的にあのような事はしないと思う。
それに守屋は鏡月に長年仕えている使用人だ。
主の秘密はちゃんと守るだろう。
……そうなると切島と川村の二人に絞られる。
一週間観察してみたが、切島はとくに怪しい部分はなかった。
真面目に仕事をしているようだったし、
変な行動も見られなかったし…。
じゃあ、犯人は川村?
川村は夢乃と同期で普段から仲が良いと聞いている。
夢乃のそばにいることが多い川村ならもしかすると気づいていたのかもしれない。
…十分あり得るな。
犯人は川村だ。
でも、まだ確証がない。
もう少し様子を見て判断しよう。
夢乃にもまだ伝えない方がいいかもしれない。
夢乃が直接川村に聞くかもしれないし。
僕は珍しく彼女からの誘いを断り、そのまま真っ直ぐ屋敷へ帰った。
守屋が「お帰りなさいませ」と言って僕を出迎える。
「あのさ、川村はいる?」
「川村でしたら宮本と倉庫の整理をしているかと…お急ぎの用でしたら私が呼びに行きましょうか?」
「いや、全然急いでないから大丈夫。そうだ、後で僕の部屋にお茶を運んでくれる?」
「かしこまりました」
あの言い方は良くなかったかもしれないな。
守屋に怪しまれたかもしれない。
メイドが今何をしているのか聞くなんて、
変な含みを入れてしまった。
まぁ、何も聞かれなかったからいいか。
しばらくしてから僕の部屋のドアをノックしてお茶を運びに来た。
「お待たせしました~」
てっきり守屋が持って来ると思っていたら、入って来たのは川村だった。
きっと守屋が気を利かせて川村に頼んだのだろう。
これは川村の素性を探るチャンスだ。
「ありがとう」
「さっき守屋さんから聞きましたが、私に何か用事があるんですか?」
「あー…えっと、ちょっと女性の意見を聞きたいなぁと思って」
「えっ!彼女さんとかですかっ」
「そうそう、もうすぐ誕生日なんだけど何を渡せば喜ぶかなーって悩んでて」
「女性は香りがいいものとか、アクセサリーとか結構好きですよ」
「なるほど」
「あと、化粧品とかも嬉しいですね~」
川村は楽しそうに考えてくれる。
彼女の誕生日はしばらくないが、
こういう話しを振った方がよく喋るだろう。
案の定、ノリノリで話している。
「彼女さんはどんな人なんですか?」
「可愛い子だね」
「即答ですね!」
「…川村は知ってるんじゃないの?」
僕は思い切って聞いた。
これで少しでも川村が言葉を詰まらせたら、確実だ。
「え、私も知ってる人なんですかっ!?」
川村は驚いた顔で言った。
「同じ学校の人だと思ったんですけど、もしかしてここに来たことある人ですか?」
「あー、どうだろうね」
「えーっ!!誰だろうっ、すごい気になるじゃないですかーっ!!」
……川村は犯人じゃない?
この様子だと全く知らないみたいだな。
絶対に川村だと思っていたが、
犯人は一体誰なんだ?
「…あのさ、最近使用人の中で何か変わったことはなかった?」
「使用人の中でですか?いや、とくに変わったことは…」
川村は少し考えながら言った。
「そっか。ごめん、引きとめてしまって。お茶ありがとう」
「あ、はい!じゃあ失礼しますね」
川村はドアを開けて部屋を出ようとした。
「あ、そういえば」
川村は何かを思い出してピタッととまった。
「先週、切島さんが午後から休みだったんですよね」
「へぇ、切島が…珍しいね」
「そうなんですよー、なんかどうしても外せない用事が入ったらしくて、午前の仕事が終わってからすぐに出て行っちゃって。変わったことと言えば、これぐらいですかね」
そう言って川村は部屋から出て行った。
午後から休み…。
使用人にも休みは必要だ。
別に変わったことではないが、
切島が屋敷の仕事を休むことは今までなかったはず。
ただの用事だったのか…?
新たな疑惑が出るなか、
僕の人生に変化が訪れようとしていた。
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