Love Potion

煉彩

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魔法のカクテル 6

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 その後は、加賀宮さんが自宅近くまでタクシーで送ってくれた。
 一人で帰れるって無理やり帰ろうとしたが
「命令」
 その一言で行動を制限される。

 車内は得に会話はなかった。
 いろいろ聞きたいことがあったけど、彼は話してくれないだろうと思ったから。
 私のことをどうして知っているのか。
 彼がどういった人なのか、全くわからないまま帰宅する。

 彼と連絡先を交換した。
 何かあれば連絡をするとだけ言われ、彼と別れた。
 ベッドにうつ伏せで倒れ混む。
「シャワー浴びなきゃ」
 せめて身体だけでも洗い流したいと浴室に向かう。
 
 鏡に映った自分の姿を見る、ボディソープで身体を洗うと
「んっ……」
 彼に触れられた感覚が甦って、身体が反応してしまう。
 これも惚れ薬Love Potionの効果が切れたら治るよね。
 疼く感覚を一生懸命我慢し、布団へ入り、目を閉じる。

 これから私の生活、どうなるんだろう。
 不安を抱いたが、もう何も考えたくなかった。
 身体も精神的に疲労していたため、私はすぐ眠りについてしまった。


―――・・・・・――――

<プルルルル……。プルルルル……>

 何回かのコールの後
<はい>
 深夜にも関わらず、亜蘭が電話に対応してくれた。

「ごめん。こんな時間に」

<いえ。大丈夫です>

「調べてほしいことがある」

 彼女美月が居たソファーに座り、残っていた資料に目を通していた。

<九条美月のことですか?>

 さすがだな。
 俺が何を考えているのか、すぐ亜蘭にはわかってしまう。

「あぁ。あと……」

<九条孝介についても、ですよね?>

 見透かされている。

「……。そう。頼む」

<わかりました>
 返事をした亜蘭だったが
<あんなやり方で良かったんですか?Love Potion。ただのカクテルですよ?媚薬とか惚れ薬とか、そんな効能はありません。そんなファンシーなこと、よくあの場で思いつきましたね>
 
 ふぅと亜蘭は電話越しに溜め息をついた。

「お前、会話聞いてたのかよ。変態だな。ま、必死だったからな。結果、良かっただろ?相手だって信じたんだし」

<らしくありませんね。計画性が感じられません>

 そう、俺らしくない。
 いつもならもっと冷静でいられるのに。

<あんなやり方したら、彼女に嫌われるのは当然ですよ>

 だよな。
 彼女に会えると思っていなかった。
 このチャンスを逃したくないという気持ちが強すぎて。

「俺は俺のやり方でなんとかする」
 今はそれしか言えない。

<わかりました。ほどほどにしてくださいね。明日は大事な会議もありますし。ちゃんと事前に資料、読んでおいてくださいよ?あっ、あと……。時間外労働、ちゃんと支払ってくださいね。社長>

 抜かりないな。
「わかった」
 電話を切る。

 あぁ、明日は経営者会議だったな。
 ソファに横になり、天井を見上げる。
 過眠して……。着替えに戻って、シャワー浴びて……。出勤だな。
 自分の予定を確認し、目を閉じた。


――――・・・・・――――

 次の日――。
「う……ん」
 太陽の光がカーテンの隙間からわずかに漏れている。
 隣に置いてあったスマホを見て、時間を確認した。

「えっ……。もう十一時……」
 起き上がろうとしたが、身体が怠い。

 昨日の出来事を思い出す。
 夢であってほしいと願うが、鮮明に覚えている記憶と彼に触れられた感触が残っている。
「夢だったら良かったのに……」
 言葉に出すも、もう昨日には戻れない。


 起き上がり、シャワーを浴びる。
 鏡に映った自分を見る。
「ちょっ!」
 首筋に赤い痣キスマークができていた。
「あいつ!」
 昨日帰ってきた時は、疲れていたせいか見えなかった。
 こんなところに付けて、孝介に見られたら……。
 あの動画を見られる前に、バレちゃうじゃない!契約違反だわ。

 入浴後、髪の毛を急いで乾かし、昨日交換した加賀宮さんに連絡をした。
<ちょっと!キスマーク付けただなんて、聞いてない。これでバレたらあんたのせいだからね!契約違反じゃない!>
 こんなケンカ腰にメッセージを送るなんて、脅されている立場の人間がやることじゃない。

「はぁ……」
 送った後に後悔をしてしまった。
 送信取り消しをタップしようにも
「えっ……。もう既読になっている」
 私の送った文章を加賀宮さんは読んでしまったみたいだ。
 
 しばらくすると彼から返信が来た。
<ごめん。なんとかする>
 なんとかするって、どうやってなんとかするのよ。
 深く詮索するのはやめよう。

 洗濯をしようとしていた時、スマホが鳴った。
 着信相手は孝介だ。

「はい」

<もしもし?出張なんだけど、明日帰る予定が、急遽他の予定も入って、さらに日程が延びた。一応、連絡しとくから>

 えっ?じゃあ、しばらく帰って来ないの?
 私にとってはとても都合の良い嬉しい連絡だった。

「着替えとか、大丈夫?そんなに持って行って……」

<大丈夫だよ。なんとかするから。家政婦さんにはしばらく休んでほしいって、俺から連絡しとくから>
 私の言葉を夫は面倒くさそうに遮る。

「どのくらい延びるの?」

<わからない。俺も今日、連絡があったところだから。一週間は延びないと思うけど>

 そっか。一週間……。
 その頃にはこの痣も消えるだろうし。良かった。

「じゃあ……」
 電話を切られそうになり、重要なことを思い出す。

「あの……。お金、振り込んでほしいの。家政婦さんも来ないってことは、自分でご飯を作らなきゃいけないし。冷蔵庫には何もないし。昨日の千円で一週間はキツイ……」

<お前な、自分の心配かよ。俺が一生懸命働いてるのに。お前は何もせず、どうせゴロゴロしてんだろ?どこにも行かないんだから、腹も減らないだろ。自分でなんとかしろ!>

 怒鳴られ、電話が切れてしまった。

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