23 / 64
真実 12
しおりを挟む
そう言えば、加賀宮さんってモテないの?
いや、絶対モテるよね。性格には問題ありだけど、このスペックだもん。
「なに?俺のことそんなに見て」
彼と目が合った。
「加賀宮さんってモテるんだろうなって思って」
「まぁな」
即答、否定しないんだ。彼らしいけど。
「俺自身って言うよりは、俺の容姿とか代表取締役っていう役職、金目当てで近寄ってくる奴がほとんどだけどな。仕事中の人柄は演技だし」
確かに。そっか。加賀宮さん、素は基本的には出さないって言ってたもんね。
「どうした?そんなこと聞いてくるなんて、心配してくれてんの。他に女がいるんじゃないかって嫉妬?」
「はぁ?そんなわけないでしょ!私はあなたと契約してるからこんなことしてるんであって」
言い返そうとした。
が――。
あっれ……?
加賀宮さんが他の女の人と居るところ、一瞬想像したら、どうしてだろう。嫌な気持ちになった。
孝介と美和さんが浮気していることがわかった時とは違う。別の嫌な感じだ。
言葉に詰まる。
そんな時――。
<ピンポーン>
インターホンが鳴った。
そしてすぐに<コンコンコン>ノックの音。
「ちょっと待ってて」
加賀宮さんはベッドから降り、玄関へ向かった。
デリバリーかな?
「お疲れ様。悪かったな。また残業?」
「いえ。これ、頼まれたお弁当とスイーツです。あと、こちらが美月さんの契約書です」
この声、秘書の亜蘭さん?
私、挨拶した方がいいのかな。これからお世話になるし。
あっ、でもここに私が居るって亜蘭さんは知ってるのかな。
「ありがとう。助かった」
「お楽しみ中のところだったら、すみませんでした。それでは、失礼します」
彼は言葉少な目にパタンと扉を締めた。
「デリバリーにしようと思ったけど、美月に食べさせたいものがあって。亜蘭に頼んだ。契約書もできたみたいだし。ついでに持って来てもらったんだ」
私に食べさせたいもの?
加賀宮さんが紙袋から取り出したのは――。
「ええっ!!これ、見たことある!清水亭の超高級ステーキ弁当!!」
私の反応に彼はクスっと笑った。
「知ってんだな。あとこれ?」
もう一つの可愛らしい紙袋から見えたのは――。
「これっ!!ネピネピのミニフルーツパフェ!?」
彼はハハっと笑い
「なんだ。これも知ってんの?」
狭い部屋に一つしかない小さなテーブルの上に、超高級弁当が並べられた。
「すごい!予約でしか買えないってテレビでやってた!しかも今は数カ月待ちじゃなかったっけ?」
「お前、この前の時もそうだったけど、飯の時が一番良い顔してるな」
「どうして買えたの?」
「ちょっとしたコネ」
「加賀宮さんって本当に凄い人なのね!」
興奮がさめやらない。
これは私が働いていた時からずっと憧れていたお弁当だった。
ボーナスが入った時に自分へのご褒美としていつか食べてみたいと思っていたけど、予約のタイミングがいつも悪くて、結局購入することができないまま結婚してしまったから。
「こんなことで褒められてもな」
加賀宮さんは苦笑していた。
ここまで言っておいてだけど……。
食べていいのかな。高級弁当に釣られて。
私がお弁当を黙って見ていると
「美月が俺のカフェに今後協力するって言うのは本当の話だから。今日はそのお礼。だから食え」
「うん」
難しいことは考えず、加賀宮さんの言葉に甘えることにした。
「いただきます」
一口食べる。
「美味しい!!」
柔らかい。時間が経ってるはずなのに、どうしてこんなにお肉が柔らかいの。
私の様子を見て
「お前、マジ美味そうに食べるな。一緒に飯食べてて、気持ち良いくらい」
彼はそう言い、微笑んでくれた。
「そうやって自然に笑ってる美月が一番可愛いと思うよ」
「えっ」
加賀宮さんの言葉に箸が止まる。
「お世辞言っても、何もしないからね」
動揺が伝わらないよう、平然を装う。
きっと彼は何人もの女性をそう言って騙してきた……はず。
私だけが特別じゃない。
「お世辞じゃないけどな」
加賀宮さんの返答には聞こえないフリをした。
お弁当を問題なく完食し、スイーツに手を伸ばす。
「あー。幸せ!」
甘い物好きだけど、孝介はあまり食べないし、こんな生クリームいっぱいのなんて<甘ったるくて気持ち悪い>とか言いそう。
一人で買って食べることなんてできない。食べ物一つでこんなに幸せな気分になれるなんて、昔の私だったら考えられないんだろうな。
「そんなんで幸せになれるなら、俺が毎日幸せにしてやろうか?」
ニヤリ彼が微笑む。やっぱり今日の加賀宮さんはおかしい。
「どうしたの?今日、変。私のこと、そんなに煽てたって良いことないよ」
さっきから告白に近いとも言える発言が気になる。
「俺は本気だけど?」
彼のそんな言葉、信じちゃいけないことくらいわかってる。
「あー。はいはい」
私は軽く返事をし、受け流した。
「でも美味しい!ありがと」
お弁当とスイーツにはちゃんと感謝している。
お礼を伝えると、なぜだろう。
彼は「はぁ」と溜め息をついた。
いや、絶対モテるよね。性格には問題ありだけど、このスペックだもん。
「なに?俺のことそんなに見て」
彼と目が合った。
「加賀宮さんってモテるんだろうなって思って」
「まぁな」
即答、否定しないんだ。彼らしいけど。
「俺自身って言うよりは、俺の容姿とか代表取締役っていう役職、金目当てで近寄ってくる奴がほとんどだけどな。仕事中の人柄は演技だし」
確かに。そっか。加賀宮さん、素は基本的には出さないって言ってたもんね。
「どうした?そんなこと聞いてくるなんて、心配してくれてんの。他に女がいるんじゃないかって嫉妬?」
「はぁ?そんなわけないでしょ!私はあなたと契約してるからこんなことしてるんであって」
言い返そうとした。
が――。
あっれ……?
加賀宮さんが他の女の人と居るところ、一瞬想像したら、どうしてだろう。嫌な気持ちになった。
孝介と美和さんが浮気していることがわかった時とは違う。別の嫌な感じだ。
言葉に詰まる。
そんな時――。
<ピンポーン>
インターホンが鳴った。
そしてすぐに<コンコンコン>ノックの音。
「ちょっと待ってて」
加賀宮さんはベッドから降り、玄関へ向かった。
デリバリーかな?
「お疲れ様。悪かったな。また残業?」
「いえ。これ、頼まれたお弁当とスイーツです。あと、こちらが美月さんの契約書です」
この声、秘書の亜蘭さん?
私、挨拶した方がいいのかな。これからお世話になるし。
あっ、でもここに私が居るって亜蘭さんは知ってるのかな。
「ありがとう。助かった」
「お楽しみ中のところだったら、すみませんでした。それでは、失礼します」
彼は言葉少な目にパタンと扉を締めた。
「デリバリーにしようと思ったけど、美月に食べさせたいものがあって。亜蘭に頼んだ。契約書もできたみたいだし。ついでに持って来てもらったんだ」
私に食べさせたいもの?
加賀宮さんが紙袋から取り出したのは――。
「ええっ!!これ、見たことある!清水亭の超高級ステーキ弁当!!」
私の反応に彼はクスっと笑った。
「知ってんだな。あとこれ?」
もう一つの可愛らしい紙袋から見えたのは――。
「これっ!!ネピネピのミニフルーツパフェ!?」
彼はハハっと笑い
「なんだ。これも知ってんの?」
狭い部屋に一つしかない小さなテーブルの上に、超高級弁当が並べられた。
「すごい!予約でしか買えないってテレビでやってた!しかも今は数カ月待ちじゃなかったっけ?」
「お前、この前の時もそうだったけど、飯の時が一番良い顔してるな」
「どうして買えたの?」
「ちょっとしたコネ」
「加賀宮さんって本当に凄い人なのね!」
興奮がさめやらない。
これは私が働いていた時からずっと憧れていたお弁当だった。
ボーナスが入った時に自分へのご褒美としていつか食べてみたいと思っていたけど、予約のタイミングがいつも悪くて、結局購入することができないまま結婚してしまったから。
「こんなことで褒められてもな」
加賀宮さんは苦笑していた。
ここまで言っておいてだけど……。
食べていいのかな。高級弁当に釣られて。
私がお弁当を黙って見ていると
「美月が俺のカフェに今後協力するって言うのは本当の話だから。今日はそのお礼。だから食え」
「うん」
難しいことは考えず、加賀宮さんの言葉に甘えることにした。
「いただきます」
一口食べる。
「美味しい!!」
柔らかい。時間が経ってるはずなのに、どうしてこんなにお肉が柔らかいの。
私の様子を見て
「お前、マジ美味そうに食べるな。一緒に飯食べてて、気持ち良いくらい」
彼はそう言い、微笑んでくれた。
「そうやって自然に笑ってる美月が一番可愛いと思うよ」
「えっ」
加賀宮さんの言葉に箸が止まる。
「お世辞言っても、何もしないからね」
動揺が伝わらないよう、平然を装う。
きっと彼は何人もの女性をそう言って騙してきた……はず。
私だけが特別じゃない。
「お世辞じゃないけどな」
加賀宮さんの返答には聞こえないフリをした。
お弁当を問題なく完食し、スイーツに手を伸ばす。
「あー。幸せ!」
甘い物好きだけど、孝介はあまり食べないし、こんな生クリームいっぱいのなんて<甘ったるくて気持ち悪い>とか言いそう。
一人で買って食べることなんてできない。食べ物一つでこんなに幸せな気分になれるなんて、昔の私だったら考えられないんだろうな。
「そんなんで幸せになれるなら、俺が毎日幸せにしてやろうか?」
ニヤリ彼が微笑む。やっぱり今日の加賀宮さんはおかしい。
「どうしたの?今日、変。私のこと、そんなに煽てたって良いことないよ」
さっきから告白に近いとも言える発言が気になる。
「俺は本気だけど?」
彼のそんな言葉、信じちゃいけないことくらいわかってる。
「あー。はいはい」
私は軽く返事をし、受け流した。
「でも美味しい!ありがと」
お弁当とスイーツにはちゃんと感謝している。
お礼を伝えると、なぜだろう。
彼は「はぁ」と溜め息をついた。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたに恋愛指南します
夏目若葉
恋愛
大手商社の受付で働く舞花(まいか)は、訪問客として週に一度必ず現れる和久井(わくい)という男性に恋心を寄せるようになった。
お近づきになりたいが、どうすればいいかわからない。
少しずつ距離が縮まっていくふたり。しかし和久井には忘れられない女性がいるような気配があって、それも気になり……
純真女子の片想いストーリー
一途で素直な女 × 本気の恋を知らない男
ムズキュンです♪
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
お見合いから本気の恋をしてもいいですか
濘-NEI-
恋愛
元カレと破局して半年が経った頃、母から勧められたお見合いを受けることにした涼葉を待っていたのは、あの日出逢った彼でした。
高橋涼葉、28歳。
元カレとは彼の転勤を機に破局。
恋が苦手な涼葉は人恋しさから出逢いを求めてバーに来たものの、人生で初めてのナンパはやっぱり怖くて逃げ出したくなる。そんな危機から救ってくれたのはうっとりするようなイケメンだった。 優しい彼と意気投合して飲み直すことになったけれど、名前も知らない彼に惹かれてしまう気がするのにブレーキはかけられない。
フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛
春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。
逃げる太陽【完結】
須木 水夏
恋愛
黒田 陽日が、その人に出会ったのはまだ6歳の時だった。
近所にある湖の畔で、銀色の長い髪の男の人と出会い、ゆっくりと恋に落ちた。
湖へ近づいてはいけない、竜神に攫われてしまうよ。
そんな中、陽日に同い年の婚約者ができてしまう。
✩°。⋆☆。.:*・゜
つたない文章です。
『身代わりの月』の姉、陽日のお話です。
⭐️現代日本ぽいですが、似て非なるものになってます。
⭐️16歳で成人します。
⭐️古い伝承や言い伝えは、割と信じられている世界の設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる