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決意 3
「九条さん、休憩してください。一度も休憩してないですよね。申し訳ないです」
お客様が落ち着き、平野さんがキッチンから出てきてくれ、コソっと私に伝えてくれた。
「お心遣い、ありがとうございます。平野さんも休憩まだなんじゃ?」
「俺はここの責任者ですから。休憩の調整はいくらでもきくので。大丈夫です!」
良いのかな、戸惑っていると
「それにもうすぐ遅番が出勤してくるので、大丈夫です。ゆっくり休憩してください」
平野さんはそう声をかけてくれた。
「はい。わかりました」
そう言えば、お昼ご飯もまだ食べていない。
お腹も空かないくらい、夢中で動いてたな。
スタッフ控室に戻り、遅めのランチタイム。
持参したお弁当を開き、食べようとしていた時だった。
「お疲れ様です」
フロアーから亜蘭さんが現われ、声をかけてくれた。
「お疲れ様です」
「お食事中、すみません。今日、仕事が終わった後にお渡ししたい物があります。僕が車で家まで送るので、待っていてもらってもいいですか?」
私に渡したい物?なんだろう。
「はい。わかりました」
「ありがとうございます。ゆっくりご飯食べてくださいね」
彼は一言だけ私に残し、すぐに戻って行った。
ご飯を食べた後、遅番と交代するまで私でもできる対応を続けた。
帰る間際
「九条さん。今日は本当にありがとうございました。疲れただろうし、ゆっくり休んでください。明日、もし良ければ休んでもらって、違う日に出勤を切り替えてください。佐伯さんとは相談しましたから」
思わぬ提案をされる。
「えっ。昨日もお休みだったので、大丈夫ですよ!」
「ありがとうございます。体調不良で休みになったスタッフが数人いるので、もしかしたら流行りのウイルス風邪かもしれません。一応、ベガでも消毒はしているんですが。そう言った意味を含めて、念のため明日は休んでください。予定が変わってしまい、すみません」
亜蘭さんが付け足して説明をしてくれた。
そうか、そう言ったことなら。
「わかりました。お休みいただきます」
亜蘭さんの運転する車に乗ると――。
「今日はすみませんでした。本当にありがとうございました。疲れているところ申し訳ないんですが、付き合ってもらいたい場所があって」
付き合ってもらいたい場所?渡したい物と関係があるのかな。
「前に来てもらった、加賀宮さんのプライベートオフィスで話をしたいんですが、大丈夫ですか?」
今日は孝介、帰ってこないはず。
「はい。大丈夫です」
「ありがとうございます」
プライベートオフィスに着く。
エレベーターに乗り、部屋に入る。
ソファに座らせてもらうと
「これを。美月さんに」
亜蘭さんが渡してくれたのは――。
「小型の隠しカメラです」
隠しカメラ……。
「プライベートの空間に取り付けることになるので、抵抗があるかもしれませんが。離婚に向けて、有利になる情報を集めてほしいんです。例えば、九条孝介と家政婦が浮気をしている現場であったり、美月さんは辛いと思いますが、DVを受けているところ、モラハラを受けているところであったり」
こんな小さなカメラがあるんだ。
部屋に取り付けても、孝介は気づかないだろう。
「住居者自身が自宅に隠しカメラを取り付けることは基本的に違法ではありません。しかし九条孝介と家政婦には、もちろん秘密で設置することになります。もしもこれから争った時に、向こうがプライバシーの侵害だと訴えてくるかもしれません」
孝介と争う……。
「だけど、俺たちがついています。しばらくは辛いかもしれませんが、美月さんには証拠を集めてほしいんです」
「わかりました。寝室とリビングに設置します」
俺たちがついている、とても心強い言葉。今の迅くんなんて、誰にも負けないって感じの雰囲気だし、亜蘭さんもこんなに協力してくれるなんて。
私と関わることって、亜蘭にとっては仕事なのだろうか?
「関係ないことかもしれませんが、亜蘭さんってどうしてそこまで迅くん……。あ、加賀宮さんに協力してくれるんですか?仕事だからですか?」
亜蘭さんはフフっと笑って
「俺の前では<迅くん>で大丈夫ですよ。なんか新鮮です。加賀宮さんのことを迅くんなんて呼んでる人、はじめてなので……」
彼の話は続いた。
「加賀宮さんには昔、いろんなことで助けられました。加賀宮さんがいなかったら、大げさかもしれないですが、俺は死んでいたかもしれない」
死んでた?
亜蘭さんも訳あり、かも?
「あの、もし良かったら教えてほしいです。話せるところだけで良いので。迅くんのこともっと知りたいんですけど、彼はなかなか教えてくれなくて」
私が記憶をなくした後、迅くんはどうやって生きていたんだろう。
お客様が落ち着き、平野さんがキッチンから出てきてくれ、コソっと私に伝えてくれた。
「お心遣い、ありがとうございます。平野さんも休憩まだなんじゃ?」
「俺はここの責任者ですから。休憩の調整はいくらでもきくので。大丈夫です!」
良いのかな、戸惑っていると
「それにもうすぐ遅番が出勤してくるので、大丈夫です。ゆっくり休憩してください」
平野さんはそう声をかけてくれた。
「はい。わかりました」
そう言えば、お昼ご飯もまだ食べていない。
お腹も空かないくらい、夢中で動いてたな。
スタッフ控室に戻り、遅めのランチタイム。
持参したお弁当を開き、食べようとしていた時だった。
「お疲れ様です」
フロアーから亜蘭さんが現われ、声をかけてくれた。
「お疲れ様です」
「お食事中、すみません。今日、仕事が終わった後にお渡ししたい物があります。僕が車で家まで送るので、待っていてもらってもいいですか?」
私に渡したい物?なんだろう。
「はい。わかりました」
「ありがとうございます。ゆっくりご飯食べてくださいね」
彼は一言だけ私に残し、すぐに戻って行った。
ご飯を食べた後、遅番と交代するまで私でもできる対応を続けた。
帰る間際
「九条さん。今日は本当にありがとうございました。疲れただろうし、ゆっくり休んでください。明日、もし良ければ休んでもらって、違う日に出勤を切り替えてください。佐伯さんとは相談しましたから」
思わぬ提案をされる。
「えっ。昨日もお休みだったので、大丈夫ですよ!」
「ありがとうございます。体調不良で休みになったスタッフが数人いるので、もしかしたら流行りのウイルス風邪かもしれません。一応、ベガでも消毒はしているんですが。そう言った意味を含めて、念のため明日は休んでください。予定が変わってしまい、すみません」
亜蘭さんが付け足して説明をしてくれた。
そうか、そう言ったことなら。
「わかりました。お休みいただきます」
亜蘭さんの運転する車に乗ると――。
「今日はすみませんでした。本当にありがとうございました。疲れているところ申し訳ないんですが、付き合ってもらいたい場所があって」
付き合ってもらいたい場所?渡したい物と関係があるのかな。
「前に来てもらった、加賀宮さんのプライベートオフィスで話をしたいんですが、大丈夫ですか?」
今日は孝介、帰ってこないはず。
「はい。大丈夫です」
「ありがとうございます」
プライベートオフィスに着く。
エレベーターに乗り、部屋に入る。
ソファに座らせてもらうと
「これを。美月さんに」
亜蘭さんが渡してくれたのは――。
「小型の隠しカメラです」
隠しカメラ……。
「プライベートの空間に取り付けることになるので、抵抗があるかもしれませんが。離婚に向けて、有利になる情報を集めてほしいんです。例えば、九条孝介と家政婦が浮気をしている現場であったり、美月さんは辛いと思いますが、DVを受けているところ、モラハラを受けているところであったり」
こんな小さなカメラがあるんだ。
部屋に取り付けても、孝介は気づかないだろう。
「住居者自身が自宅に隠しカメラを取り付けることは基本的に違法ではありません。しかし九条孝介と家政婦には、もちろん秘密で設置することになります。もしもこれから争った時に、向こうがプライバシーの侵害だと訴えてくるかもしれません」
孝介と争う……。
「だけど、俺たちがついています。しばらくは辛いかもしれませんが、美月さんには証拠を集めてほしいんです」
「わかりました。寝室とリビングに設置します」
俺たちがついている、とても心強い言葉。今の迅くんなんて、誰にも負けないって感じの雰囲気だし、亜蘭さんもこんなに協力してくれるなんて。
私と関わることって、亜蘭にとっては仕事なのだろうか?
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亜蘭さんはフフっと笑って
「俺の前では<迅くん>で大丈夫ですよ。なんか新鮮です。加賀宮さんのことを迅くんなんて呼んでる人、はじめてなので……」
彼の話は続いた。
「加賀宮さんには昔、いろんなことで助けられました。加賀宮さんがいなかったら、大げさかもしれないですが、俺は死んでいたかもしれない」
死んでた?
亜蘭さんも訳あり、かも?
「あの、もし良かったら教えてほしいです。話せるところだけで良いので。迅くんのこともっと知りたいんですけど、彼はなかなか教えてくれなくて」
私が記憶をなくした後、迅くんはどうやって生きていたんだろう。
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