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従者失格
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「どうした?」
主人はぼくを抱き寄せると優しく背中を撫でてくれた。
「私が婚約すると聞いて泣いてしまうほど私のことが大好きだったのか?」
いつも以上に優しい声色で、僕を揶揄う主人。
違うって伝えないといけないのに、喉に詰まってでてこなかった。
--もう、隠せないのだ。
--もう、ただの従者として接することなんてできなくなってしまったのだ。
「っ…ど、して?」
「ん?」
ギュッと彼の胸元を握り締めて、言葉にならない感情を心の中で叫ぶ。
ど、うして…っ
どうして……僕のことだけ忘れてしまったのですかっ……
覚えていたくないくらい不快な存在だったんですか?
僕だけ、あなたに不要な存在だったんですか?
「もう……い、らない…ですか?ぼ、くだけ……いらな、くなったんですか?」
「は?」
胸から引き剥がされると目の前には、主人の整った顔があった。
意味がわからないと言いたげな表情を浮かべ、珍しくも戸惑った様子を見せる。
その表情が物珍しくて僕はつい見惚れてしまった。
それはやってはいけない行為だったのに……。
僕は主人の従者あると同時に護衛もしないといけなかった。
だから、周囲の気配を常に伺って対処しないといけなかったし、まして主人の気が抜けることなんてしてはいけなかったのに……
「っ!」
「っ、えっ……」
突然、体に強い衝撃が来ると同時に主人の口から血が吐き出された。
その瞬間、私は素早く現状を理解すると真っ先に2人の体を貫く槍を抜きさり、暗殺者の方へと投げ飛ばした。
私は槍が暗殺者の体を貫いたこと、周囲に危険がないことを確認し終えると主人の怪我の具合を確かめるために駆け寄った。
自分が至らないせいで主人に怪我を負わせてしまった。
その後悔と不甲斐なさに胸が締め付けられる。
「主人、失礼します」
主人の服を捲ると既に怪我は治っていたが、槍が刺さっていたであろう場所には魔法陣が見えた。
この模様は、呪いだ。
「主人、申し訳ございません。槍に呪いがかけられていたようです。解呪しに向かって下さい」
「別にこれくらい自分で解呪できる」
「知っています。でも、何かあってはいけないので専門家に任せるべきです。」
主人は1つ大きな溜息を吐くと渋々頷いた。
「……確かにな。そこまで行くのが面倒くさいが仕方がない」
「はい。護衛はハジメに任せますね」
その名を口にした瞬間、影からハジメが現れた。
私はハジメに主人の護衛を託すと暗殺者の元へ向かおうとした。
だが、それを主人の腕が引き留めてきたことではばかれてしまった。
主人はぼくを抱き寄せると優しく背中を撫でてくれた。
「私が婚約すると聞いて泣いてしまうほど私のことが大好きだったのか?」
いつも以上に優しい声色で、僕を揶揄う主人。
違うって伝えないといけないのに、喉に詰まってでてこなかった。
--もう、隠せないのだ。
--もう、ただの従者として接することなんてできなくなってしまったのだ。
「っ…ど、して?」
「ん?」
ギュッと彼の胸元を握り締めて、言葉にならない感情を心の中で叫ぶ。
ど、うして…っ
どうして……僕のことだけ忘れてしまったのですかっ……
覚えていたくないくらい不快な存在だったんですか?
僕だけ、あなたに不要な存在だったんですか?
「もう……い、らない…ですか?ぼ、くだけ……いらな、くなったんですか?」
「は?」
胸から引き剥がされると目の前には、主人の整った顔があった。
意味がわからないと言いたげな表情を浮かべ、珍しくも戸惑った様子を見せる。
その表情が物珍しくて僕はつい見惚れてしまった。
それはやってはいけない行為だったのに……。
僕は主人の従者あると同時に護衛もしないといけなかった。
だから、周囲の気配を常に伺って対処しないといけなかったし、まして主人の気が抜けることなんてしてはいけなかったのに……
「っ!」
「っ、えっ……」
突然、体に強い衝撃が来ると同時に主人の口から血が吐き出された。
その瞬間、私は素早く現状を理解すると真っ先に2人の体を貫く槍を抜きさり、暗殺者の方へと投げ飛ばした。
私は槍が暗殺者の体を貫いたこと、周囲に危険がないことを確認し終えると主人の怪我の具合を確かめるために駆け寄った。
自分が至らないせいで主人に怪我を負わせてしまった。
その後悔と不甲斐なさに胸が締め付けられる。
「主人、失礼します」
主人の服を捲ると既に怪我は治っていたが、槍が刺さっていたであろう場所には魔法陣が見えた。
この模様は、呪いだ。
「主人、申し訳ございません。槍に呪いがかけられていたようです。解呪しに向かって下さい」
「別にこれくらい自分で解呪できる」
「知っています。でも、何かあってはいけないので専門家に任せるべきです。」
主人は1つ大きな溜息を吐くと渋々頷いた。
「……確かにな。そこまで行くのが面倒くさいが仕方がない」
「はい。護衛はハジメに任せますね」
その名を口にした瞬間、影からハジメが現れた。
私はハジメに主人の護衛を託すと暗殺者の元へ向かおうとした。
だが、それを主人の腕が引き留めてきたことではばかれてしまった。
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