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23.視線
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入学二日目。
教室に入った私は、クラスメイトたちが既に仲良しグループを作っていることに気付いた。
完全に出遅れてしまったみたい。
お茶会というものが、そんなに重要なものだとは思わなかった。
そういえば、ヒロインも仲の良い友達に誘われて、お茶会に出席するのよね。
元庶民のヒロインだから、まだ品もマナーも備わっていないのが当たり前。初期段階はそういったポイントがとにかく低い。
お茶会のコマンドを実施することによって、徐々に淑女らしくなっていく。
ほかにも色んなコマンドがあって、攻略対象者によって、実行するコマンドはそれぞれ違ってくる。
攻略高難度のオールラウンダーのイリアスとユーリウスを落とすには、全てのポイントを高くする必要があって、難しかった記憶がある。
とにかくゲームでも出てくるコマンドだったから、けっこう重要だったのかもしれない。
でも、まあ、私は誰かを攻略したいわけではないから、出席しなくても別段困るわけではない。
友達が出来づらいのは盲点だったけどね。
まあ、そのうちできるでしょ。
初日でくすくすと笑っていた女子生徒が、こちらを見てくすりと笑うのが目に入った。
まあ。あんな性格の悪い子たちなんか、こっちから願い下げよ。
あんな子と友達になるくらいなら、ひとりで満足よ。
見れば、ほかの子たちも私を遠巻きにしているのがわかる。
意地悪な子たちはともかく、ほかの子は私が悪女カレンだと敏感に感じ取っているのかもしれない。
ゲームでも確か、カレンには友達が誰一人いなかった気がする。
ゲーム補正がこんなところにも働いてしまうのか。
本当、恐ろしい。無事に卒業できるか、不安になってきた。
「おはよ」
席に着くと、隣のエーリックが声を掛けてくる。
わお! さすがエーリック。周りから遠巻きにされていても変わらず話しかけてくれる。優しい~。
私は感動してにっこり笑った。
「おはよう」
エーリックが眩しいものでも見つめるかのように目を細めたが、すぐに元に戻る。
「選択授業、何にするか決めた?」
「うーん、まだ決めてる最中よ。エーリック様は決めた?」
「様なんてつけなくていいよ。エーリックって呼んで。仲良い友達はみんなそう言ってるし」
あら。もう仲良い友達認定ですか。遠回しに仲良くなりたいって聴こえて、勘違いしちゃうじゃない。攻略対象者は基本タラシだと、肝に命じなきゃ。
「なら、私のこともカレンって呼んでね」
「本当に? やった。嬉しい」
顔をくしゃくしゃにして笑う。
こんな簡単なことで喜ぶエーリックは本当に素直で優しい。
人を喜ばすスキルが基本、常に発動しているのだろう。
「エーリックは剣術をやっぱり選ぶの?」
「もちろん。騎士を目指してるからさ」
この学園の選択科目は色々あって、剣術やら舞踏やら芸術やら、社会学科やらと、前の世界では見当たらない珍しいものが揃っている。
必須科目の中に体育がないから、この世界では剣術や舞踏がそれにあたるのだろう。
ちなみに選択科目の芸術は音楽や絵画を聴いたり見たりする専門。必須科目にはちゃんと美術が入ってる。いかにも貴族の子息令嬢が通う学園の授業内容である。選択科目の中には家庭科もあって、別に料理を作るわけではなく、ただ黙々と淑女が布に刺繍する授業である。こんなふうに男子と女子とはっきり分かれる科目もあるから、選択科目は多種多様。その分、いくつも選択できて、授業も三クラス合同で行われる。
「夏には剣術大会もあるし、今年はとりあえず三位以内に入るのが目標かな」
それって、ゲームでもあった!
三学年まとめて行われる剣術大会。
攻略対象者のほとんどが参加して、ヒロインとの好感度も関係してくる。
戦いもさることながら、騎士服も惚れ惚れするくらい格好良かった。
それが現実で見られるなんて!
私はちょっとテンションがあがった。
「うん!! エーリックなら実力もあって強いし、絶対叶うわよ。私、応援しに行くね!」
私が勢いこんで乗り出すと、エーリックは目を丸くしたあと、頭を掻いた。
「ありがとう。俺、頑張るよ」
照れくさそうに視線を外して、はにかむエーリックが可愛すぎる!!
私が内心悶ていると、視線を感じた。
視線の先に目を向けると、教室の外に女の子が立っていた。
毛先が外側にカールした肩までの長さの髪に、溌剌そうな雰囲気の女の子。
こちらをじっと見つめている。あの子は?!
正体に気付いて、目を丸くする。
エーリック・ヒューティアの幼なじみであり、ヒロインのライバル、『ガブリエラ・ヘンネン』じゃない!!
目がくりくりして愛嬌のある顔立ちが今は、目つきを鋭くしてこちらを睨んでいる。
なんで!?
私は驚愕して、彼女を見つめる。
ゲームでもあんな表情でヒロインの前に現れるシーンがあった。
でも、私は悪役令嬢であって、ヒロインじゃないわよ。
睨む相手、間違ってない!?
それにエーリックは常に人に囲まれている人気者。女の子たちがいつも彼を取り囲んでいる。
いちいちそんなふうに全員睨んでたら、身がもたないわよ。
あら。でも、そこまで嫉妬深いキャラだっけ? 私は首を捻る。
ゲームで意地悪してくるのは、エーリックと程よく仲良くなってからだし、その上悪女カレンに唆されたという明確な背景があった。ってことは私のただの勘違い?
私は再び、ガブリエラのいる方向に目をやったが、彼女の姿はもう既にそこになかった。
睨んでいると思ったのは、やっぱり早とちりだったみたい。
そうよね。ゲーム上でガブリエラを悪の手先に仕立て上げたカレンなんか睨むはずなんてないよね。
あれはきっと好きな男子を見つめるあまり、視線がきつくなっただけに違いないわ。
私はほっと息を吐く。
会話は再び、選択科目の話になり、始業の鐘がなるまで「これが気になる」「俺はこっちも」みたいな和気あいあいとした会話をエーリックと楽しんだのだった。
教室に入った私は、クラスメイトたちが既に仲良しグループを作っていることに気付いた。
完全に出遅れてしまったみたい。
お茶会というものが、そんなに重要なものだとは思わなかった。
そういえば、ヒロインも仲の良い友達に誘われて、お茶会に出席するのよね。
元庶民のヒロインだから、まだ品もマナーも備わっていないのが当たり前。初期段階はそういったポイントがとにかく低い。
お茶会のコマンドを実施することによって、徐々に淑女らしくなっていく。
ほかにも色んなコマンドがあって、攻略対象者によって、実行するコマンドはそれぞれ違ってくる。
攻略高難度のオールラウンダーのイリアスとユーリウスを落とすには、全てのポイントを高くする必要があって、難しかった記憶がある。
とにかくゲームでも出てくるコマンドだったから、けっこう重要だったのかもしれない。
でも、まあ、私は誰かを攻略したいわけではないから、出席しなくても別段困るわけではない。
友達が出来づらいのは盲点だったけどね。
まあ、そのうちできるでしょ。
初日でくすくすと笑っていた女子生徒が、こちらを見てくすりと笑うのが目に入った。
まあ。あんな性格の悪い子たちなんか、こっちから願い下げよ。
あんな子と友達になるくらいなら、ひとりで満足よ。
見れば、ほかの子たちも私を遠巻きにしているのがわかる。
意地悪な子たちはともかく、ほかの子は私が悪女カレンだと敏感に感じ取っているのかもしれない。
ゲームでも確か、カレンには友達が誰一人いなかった気がする。
ゲーム補正がこんなところにも働いてしまうのか。
本当、恐ろしい。無事に卒業できるか、不安になってきた。
「おはよ」
席に着くと、隣のエーリックが声を掛けてくる。
わお! さすがエーリック。周りから遠巻きにされていても変わらず話しかけてくれる。優しい~。
私は感動してにっこり笑った。
「おはよう」
エーリックが眩しいものでも見つめるかのように目を細めたが、すぐに元に戻る。
「選択授業、何にするか決めた?」
「うーん、まだ決めてる最中よ。エーリック様は決めた?」
「様なんてつけなくていいよ。エーリックって呼んで。仲良い友達はみんなそう言ってるし」
あら。もう仲良い友達認定ですか。遠回しに仲良くなりたいって聴こえて、勘違いしちゃうじゃない。攻略対象者は基本タラシだと、肝に命じなきゃ。
「なら、私のこともカレンって呼んでね」
「本当に? やった。嬉しい」
顔をくしゃくしゃにして笑う。
こんな簡単なことで喜ぶエーリックは本当に素直で優しい。
人を喜ばすスキルが基本、常に発動しているのだろう。
「エーリックは剣術をやっぱり選ぶの?」
「もちろん。騎士を目指してるからさ」
この学園の選択科目は色々あって、剣術やら舞踏やら芸術やら、社会学科やらと、前の世界では見当たらない珍しいものが揃っている。
必須科目の中に体育がないから、この世界では剣術や舞踏がそれにあたるのだろう。
ちなみに選択科目の芸術は音楽や絵画を聴いたり見たりする専門。必須科目にはちゃんと美術が入ってる。いかにも貴族の子息令嬢が通う学園の授業内容である。選択科目の中には家庭科もあって、別に料理を作るわけではなく、ただ黙々と淑女が布に刺繍する授業である。こんなふうに男子と女子とはっきり分かれる科目もあるから、選択科目は多種多様。その分、いくつも選択できて、授業も三クラス合同で行われる。
「夏には剣術大会もあるし、今年はとりあえず三位以内に入るのが目標かな」
それって、ゲームでもあった!
三学年まとめて行われる剣術大会。
攻略対象者のほとんどが参加して、ヒロインとの好感度も関係してくる。
戦いもさることながら、騎士服も惚れ惚れするくらい格好良かった。
それが現実で見られるなんて!
私はちょっとテンションがあがった。
「うん!! エーリックなら実力もあって強いし、絶対叶うわよ。私、応援しに行くね!」
私が勢いこんで乗り出すと、エーリックは目を丸くしたあと、頭を掻いた。
「ありがとう。俺、頑張るよ」
照れくさそうに視線を外して、はにかむエーリックが可愛すぎる!!
私が内心悶ていると、視線を感じた。
視線の先に目を向けると、教室の外に女の子が立っていた。
毛先が外側にカールした肩までの長さの髪に、溌剌そうな雰囲気の女の子。
こちらをじっと見つめている。あの子は?!
正体に気付いて、目を丸くする。
エーリック・ヒューティアの幼なじみであり、ヒロインのライバル、『ガブリエラ・ヘンネン』じゃない!!
目がくりくりして愛嬌のある顔立ちが今は、目つきを鋭くしてこちらを睨んでいる。
なんで!?
私は驚愕して、彼女を見つめる。
ゲームでもあんな表情でヒロインの前に現れるシーンがあった。
でも、私は悪役令嬢であって、ヒロインじゃないわよ。
睨む相手、間違ってない!?
それにエーリックは常に人に囲まれている人気者。女の子たちがいつも彼を取り囲んでいる。
いちいちそんなふうに全員睨んでたら、身がもたないわよ。
あら。でも、そこまで嫉妬深いキャラだっけ? 私は首を捻る。
ゲームで意地悪してくるのは、エーリックと程よく仲良くなってからだし、その上悪女カレンに唆されたという明確な背景があった。ってことは私のただの勘違い?
私は再び、ガブリエラのいる方向に目をやったが、彼女の姿はもう既にそこになかった。
睨んでいると思ったのは、やっぱり早とちりだったみたい。
そうよね。ゲーム上でガブリエラを悪の手先に仕立て上げたカレンなんか睨むはずなんてないよね。
あれはきっと好きな男子を見つめるあまり、視線がきつくなっただけに違いないわ。
私はほっと息を吐く。
会話は再び、選択科目の話になり、始業の鐘がなるまで「これが気になる」「俺はこっちも」みたいな和気あいあいとした会話をエーリックと楽しんだのだった。
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