ボーリング甲子園

二回戦

「父さんこれはボーリングなのか？」

キヨサクは一回戦を観戦した後、まるで現実離れしたボーリングに混乱していた。

「あー、これがボーリングだ。キヨサクこれがボーリングなんだ。みんなが普段してるのは娯楽としてのボーリングだ。しかし、プロボウラーは命をかけて戦うんだ。これこそが真のボーリングだ。」

「真のボーリング。なんてすげえんだ。」

キヨサクは野球をしていた頃の興奮を思い出していた。

「さあ、次はミチコの番だ。しっかり応援しような。」

「うん。絶対優勝してもらわないとね。」

「それでは次の試合に移りたいと思います。次の試合は、ランキング3位、マジカル伊藤VSランキング4位、シャーマンミチコだ～。」

さっきの試合と同様ゴングの合図と共に始まった。

「今回の1フレームはピンがまるで生き物かのように動きます。さあ先攻はマジカル伊藤選手です。マジカル伊藤選手どうぞ。」

マジカル伊藤選手は呪文を唱え始めた。すると、みるみる右の腕が左の腕の3倍ほどになった。そして球に魂を吸わせて左手で投げた。

「おーっと、伊藤選手、大きくしてない方の腕で球を放ったー。全然意味がわかりません。何故右手を大きくしたのか。」

すると伊藤選手の右手が光っていた。

「はぁー！！！」

伊藤選手の声と共に光のエネルギーが球向かって一直線へと放出され、球のスピードが何万倍にもなってピンに襲いかかった。

シュンシュンシュン。ピン達はその球を避けた。何という動きだ。まるで生き物ようにヒラリとかわした。

「伊藤選手なんと0ピンです。今回の1フレーム目は難しすぎるぞ。」

2投目、伊藤選手は呪文で足を大きくし、球がピンへぶつかる寸前に大きな足で地震を起こし、ピンの動きを少し遅らせることでなんとか4ピン倒した。

「伊藤選手の1フレームは合計4ピンです。それではミチコ選手どうぞ。」

「ミチコさーん頑張れー。」

「ミチコー負けるなよ。」

ミチコは、キヨサクとナリタの声が聞こえないくらい集中していた。

そして天に向かって両手を突き上げた。

「トレース」

ミチコの掛け声とともにミチコは緑の光に包まれた。その緑の光は男の人の形をしていた。

ミチコは魂を球に吸わせ球を投げ放った。

「あの投げ方は、オレの亡くなった友達にそっくりだ。ミチコのやつまさか父親をこの世に呼び寄せたのか。ミチコ成長しすぎだぜ。」

「なんこよくわからないけど、ミチコさんすごいね。」

ミチコの放った球は美しい弧を描きながらピンに襲いかかった。

「おーっと、またピンが動き出した。何というピンの動き。これは1本も当たらないのか。」

するとミチコは右手をおもむろに動かした。何と、その動かした方向に球が移動するではないか。

「ストライクー。ミチコ選手、球を自在に操りストライクを叩き出しました。」

その後、ミチコは3フレーム摂取し、なんと決勝戦へとコマを進めたのだった。