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3章

お留守番 その1 ーミラー

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 目の前でキャリーちゃんとヒデ兄師匠が消えていった。テレポートというスキルだ。ヒデ兄師匠のお友達の若様も使えるから何回かみているし、私もテレポートしてもらった事があるけど、やっぱり突然消えるのはビックリする。

 それに今回はヒデ兄師匠が遠くに行ってしまって直ぐに連絡が付かないのだ。今までは離れていると言っても精々街の中には必ずいたから直ぐに連絡はついた。

 私達の後ろにいた若様が隣にいるシオンさんに話しかける。
「さて、僕は一回城に戻るけどシオンはどうする?」
「はっ、もしお許しいただければこのままこちらに残りたいと思います」
「うん、わかった。こちらも何か情報が入ればここに来るからね。こちらの事は任せるよ」
「はっ」
そう言って若様に敬礼する。

わ、わわ、何かいつものシオンさんじゃないみたい。いつもはヒデ兄師匠の横で顔を赤らめて小さくなっているのに今のシオンさんはカッコイイ。

私がビックリして見ていると若様と話し終えたシオンさんが、私達をみてニッコリとほほ笑みながら話す。
「フフ、キャロラインから貴方達の事を少し頼まれました。特に貴方達の事ですが」
そう言って私の隣にいるゲン、トラン、ハルちゃんの方を見る。

ゲンが目をキラキラさせて嬉しそうに話す。
「え?もしかして稽古つけてくれるの?」
「ええ、騎士に稽古つけてもらえるなんて本当?」
「わわ、スゴーイ」
トランとハルナもビックリしながらも嬉しそうだ。

しかし、その後直ぐにゲンが心配そうに私を見て話す。
「あ、でもそうするとミラが一人になっちゃうな」

「ああ、それなら大丈夫よ。部下を一人つけるわ。アカ、こちらに」

シオンさんは最後の方は私達に話しかける時より少し怖い声で、上を向きながら話す。

「はい、ここに」
その声と共に目の前に赤い髪をしたお姉さんが現れた。
「アカ、私が離れている間ミラさんの護衛を」
「はい」
「あ、それと、ヒデ様の情報が入り次第すぐに伝える様に」
「はい」

赤髪のお姉さん、アカさんはシオンさんの前にひざま着き丁寧に返事をする。

少しアカさんに何か話してからシオンさんはゲンとトラン、ハルちゃんと一緒に練習場のある地下におりていった。
そしてアカさんが少し青い顔をして引き釣った笑顔で話す。
「少々お待ちください。急いで連絡をしないといけないので」
早口でそう言うと目を瞑ってブツブツと独り言をいって言った。小声だったのであまり聞こえなかったけど「やばいよとか、誰でもいいからよこしてとか聞こえてきた。何のお話かな?

アカさんが、はあーー、と長い息を漏らすと診療所からさっき帰ったはずの若様とヴァネッサさんが扉を開けて出てきた。
ヴァネッサさんだけ急いで練習場がある地下に向かって走って行った。

若様はフラフラと診療所の外に置いてある待合の椅子に座り込む。きっとMPの使い過ぎで疲れたのかな?そう思ったので若様の近くまで行って話しかける。

「え、えっと若様。フレッシュかけますね?」
若様の答えを待たずにフレッシュをかける。だって若様、凄くつらそうにしてるんだもん。

若様にフレッシュの魔法が発動するエフェクトがかかると少し驚いた顔の若様が嬉しそうに話しかけてくる。
「おお、流石ヒデ君の一番弟子だねー。ヒデ君にかけてもらったみたいだよ」

ヒデ兄師匠が前に若様は人を褒めるのが上手いと言っていたけど本当だった。ヒデ兄師匠は直ぐに私を物理的に持ち上げて「天才じゃー」ってやるけど、あれは恥ずかしいけどすごく嬉しい。

 ヒデ兄師匠が認めている人に褒められるのは嬉しい。そう思ってニコニコしていたらアカさんが若様の前に膝をついて話しかけてきた。
「若様、ご無理を言って申し訳ありません」
「ハハ、、いいよ、大丈夫だよ。でも本当にシオンがその気になるくらいの腕前なのかい?彼らは」
「はい、三人の連携が見事に決まれば、ですけど。練習モードの隊‥‥‥シオンさんにかするくらいはしちゃいそうです」
「へー、それは凄いね。でもそうなると‥‥‥」
「はい、隊‥‥‥シオンさんのスイッチが入っちゃうかもしれないです」
若様は青い顔になっている。アカさんは青い顔で寒いのか震えている?

「ちょっと、ヒデ君のお世話している子達にケガなんかさせたら大変だよ?」
「今は子供達が、守護獣達が武器化した武器を装備してないので万が一の際に備えてです」
「え?そうなのかい?じゃあ、その武器を持っていたら確実にシオンをその気にさせちゃうのかい?それは凄いね。でも、いくらシオンでも流石に子供達に怪我はさせないよね?」
「ハハ、そ、そうですよね。ハ、ハハ」
何かアカさんが虚ろな目で乾いた笑いを漏らしていた。

その様子を見て若様がこめかみを押さえながら話す。
「おーい、頼むよ」
「はっ、万が一の際は私とヴァネッサさんで止めますので」
「うん、よろしくね。僕はさっきの勇者の件を父に報告しに行かないといけないから戻るね。また夜にでも迎えに来るからそう伝えておいてくれ」

「はっ、隊‥‥‥、シオンさんとヴァネッサさんに伝えておきます」

若様は続けて私の方を見て話す。
「ミラ君のおかげでMPの回復が早かったよ。ありがとう。また夜に来るね」
そう言って私が頷くのを見届けると目の前から消えていった。

アカさんが私を見て話す。
「さあさあ、酒場に行きましょうか。グレプのジュースでも飲みましょう」
そう言って私の背中を軽く押しながら酒場に向かう。
私もハーイと言い、アカさんのしぐさに笑いながら酒場に向かう。

 ママさんにジュースをご馳走してもらってから診療所に戻るつもりだったけど、ママさんが今日はここで診察なさいと言われたので酒場の入り口横でする事になった。
ここなら診療所に向かう人が一目でわかるのだ。ヒデ兄師匠がいつも好んで座っている場所だ。

そんな事を考えていたらアカさんが笑顔のまま話す。
「フフ、そこに座っているとヒデ様みたいですねー」
あれ?この人何でヒデ兄師匠がいつもこの席にいるのを知っているの?
「え?なんでヒデ兄師匠がいつもここに座っているの知っているんですか?」

「あー、何回かここに来た時に見かけたからですよ。うん、ハハ」
んー?初めて会ったような気がするんだけど?
そう悩んでいたら、ママさんがお茶とお茶菓子を持って隣に座って来た。
「フフ、このアカちゃんはね。若様の護衛で隠れながら見守ってくれてるのよ。だからミラちゃんが知らないのも無理ないわ」

ああ、なるほどそういう訳か。

+++++++++++++++++++++
更新が遅れてしまってスイマセン。

仕事の方でドタバタしてしまって(;'∀')
次はもっと早く出来るよう頑張ります。
_(_^_)_

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