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4章
王都 その10
しおりを挟む図書室を出てアーレさんの後について歩く、きっとここで一人置いて行かれたら絶対迷子になるね。
とかそんなくだらない事を考えていると横を歩いたいた若様が話しかけてきた。
「ヒデ君、今日はここで終わりだよ。この後夕食をみんなで食べよう。また後で行くから」
そう言って十字路を逆に曲がっていった。暫らく見送っているとアーレさんに促されて歩き出す。その後いくつかの角を曲がって階段を上がりすっかり道順を覚えるのを放棄してしばらくしてがら部屋に着いた。
部屋の前に着くとアーレさんが一礼して直ぐにお茶をお持ちしますと言うと来た道を戻っていった。中に入るとゲン達とキャリーさんが大きなソファーで休んでいた。
俺の顔を見ると急いで集まって来て口々に今日会った事を興奮気味に話してきた。
主にゲン、トラン、ハルナの三人の話を総合すると修練所に行って色々見学をしてきたそうだ。キャリーさんはいつものドレスアーマーを着ていた。まあ、ドレスアーマーって俺が勝手に名付けているだけなんだけどね。
そんな感じで話しているとアーレさんがお茶お運んできてくれたのでみんなで大きなソファーに座ってお茶お飲んだ。
おお、美味しい。前にミーさんの所で飲んだお茶(足の治療をしてお礼でお茶を貰ったけど、そして色々入れ方を工夫したけど、あの時の味が出せなかったのだが)と同じくらい美味しい。
茶葉も良い物なんだろうけどやっぱり入れ方なのかね?おかわりを貰って入れ方をジッと見ているのだが特に変わった入れ方をしているわけでもないようなのだが?
俺がお茶の入れ方をジッと見ているので不審に思ったのかキャリーさんが話しかけてきた。
「お師匠様?どうしたんですの?」
「え?あ、ああ、アーレさんの入れてくれたお茶が美味しかったから入れ方を覚えようとして見てた」
俺の言葉にアーレさんが嬉しそうにありがとうございますと言ってお辞儀をする。
その後にキャリーさんが話す。
「ホホホ、それは難しいですわ。主人にお茶を出せるまでには何年もかかって修練をするそうですわ。それこそ熟練の者は音で丁度良いお茶の出具合がわかるそうですのよ」
その話を聞きながらアーレさんの顔を見ると笑いながら教えてくれた。
「フフ、流石にその域まではいっておりませんわ」
あの後なんだかんだ話していると夕食の時間になった。なんでも若様は急な来客で遅れるらしいので先に食べ始めてかまわないとの事だった。
コース料理の様に一品一品出てきた。変わった作法などは無かったが、ゲン達はキャリーさんに色々聞きながら作法を学んでいた。
もちろん俺もゲン達に並んで教わっている方だが。
食事も終わり最後のお茶を楽しんでいる時若様が入ってきた。
少し困り顔でドアの所から俺を呼んで話し出す。
「食事を一緒に食べれなくてごめんね。少し込み入った話が入ってきちゃって」
そう言うと俺を廊下まで連れ出すと話を続けた。
「さっき僕の所に元辺境将軍が来て君に会いたい言って来たんだ。ここに連れてきてこんな事をお願いするのはルール違反かもしれないけど将軍の怪我を診てあげてくれないか?」
「あ、はい別にかまわないですよ?それに患者さんがいるならいくらでも診ますよ?」
若様は俺の言葉に一瞬だけキョトンとした顔をしたが直ぐにいつもの笑顔になって話す。
「ありがとうヒデ君。僕はヒデ君に怒られやしないか冷や冷やしていたんだけど、そうだね、ヒデ君ならそう言ってくれるよね」
安心したのか早口でそこまで言うと今度は声を少し顰めて話し出す。
「ただ、今回は本当に偶然元将軍に君の存在を知られてしまったんだ。僕も兄もそうだけど小さい時から剣の指南役だったりするので断り難くて、それと個人的に将軍の願いを叶えてあげたくて」
最後の方は小声になっていて少し聞き取りずらくなっていたが、若様の本心だったのだろう。
「どちらにいるんですか?取り合えず診てみないと治せるかわかんないですから」
「あ、ああ、そうだね。一応近くの部屋で待機はしてもらっているんだ」
そう言って連れてこられたのは同じ階の客間だった。中に入ると背の高い老人?親衛隊のダニエルさんと同じくらい身体も大きいし、フルアーマー着けているから猶更そう思うのかもしれないけど、それに活力と言うか凄いオーラが出てるんですけど。いや、よく見ると左腕の甲冑が肘までしかないのと左目に大きな傷が三本縦についている。
俺が入る前からすでに立ち上がっていた老騎士は跪いて頭を下げ話し出す。
「初めまして仁徳の方よ。我が君主をそしてこの国を危機よりお救い頂き感謝申し上げる」
一瞬誰の事を言っているのか分からず呆然としてしまった。
「え?ええ?お、俺の事ですか?いやいや、やめてくださいよ。そんな大層な事はしてないですよ?俺は俺がしたい事しかしてないですから」
「フフ、本当に聞いていた通りの御人だ。ここに貴方がいること自体が秘匿とされている事は重々承知しております。無理なお願いとはわかっておりますがこの老人の頼み事を聞いては頂けないでしょうか?」
そう言いながら下げた頭をさらに下げる。
俺は慌てて跪いている老騎士に駆け寄って話す。
「わかりました、わかりましたからその願いとやらお聞かせてください。椅子に掛けて下さい」
そう言って老騎士を椅子に座らせる。
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遅くなり申し訳ございません。
ちょっと色々と忙しくなってしまって。
遅れないよう頑張ります。
_(_^_)_
応援ありがとうございます!
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