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2章

一難去ってまた……

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 ギルドに着くと若様達がいた。
「あれ?若様だ。なんか雰囲気がいつもと違う?」
「ヒデ君、時間がないから単刀直入に聞くよ。ゲオルゲに会ったんだね?」
 いつもののんびりした若様の口調とは違い、少し焦っている様な感じだ。雰囲気もあって真面目に答えた。

「えっと、会いました。が少し会話をして直ぐに目の前から消えましたよ」
「何処に行ったかわかるかい?」
「うーんと、場所はわからないですがこの街のどこかです」
「ん?どういう意味だい?」
「この街のどこかにいる呪いをかけた二人を捕まえてご主人様に連れて行くって言ってましたよ。ゲオルゲって子はその二人の居場所を知っているらしかったけど」

「フム、セバスどうだ?何か掴めないか?」
若様が横にいるセバスさんに話しかけた時上から声が聞こえた。

「セバス、ここから北西だついてこい」
 なんか聞いた事のある声に上を向くがそこには誰も居なかった。視線を若様に戻したら隣にいたセバスさんも居なくなっていた。
「え?消えた?」

 独り言のようにつぶやくとキャリーさんが教えてくれた。
「声が聞こえた瞬間北東の方角に跳躍していきましたわ。あのスピードなかなかですわ」

 言われてキャリーさんの見ている方角に目を向けると道なんてなく家が普通に建っていた。跳躍って家の屋根を走って行ったの?忍者かよ?じいちゃんすげえなー

「ヒデ君、今までの事を話してもらっていいかい?ヒデ君も聞きたい事があるだろうしね。後その拘束している人はこちらで取り調べをしたいんだけどいいかな?」
「うーん、どうしよ?こいつが呪いをかけた子に突き出すつもりだったけど。若様が動いてるって事は国レベル?」

「正解。後で詳しく話すけどゲオルゲって奴は色々やっていてね」
「じゃあ、しょうがないですね。お渡しします。その前にこいつの解呪しちゃおう」
【診断】

≪今度は完全に消しちゃう方でお願いね≫
『了解です。そのまま解呪を発動させれば消えます』

《ブレイクスペル》

 青白い光が呪いの部分を包み込むとガラスが砕ける音がして呪いが消えた。男の顔からウロコが綺麗に剥がれ落ちた。苦しそうにしていた男は気が付いて周りをキョロキョロと見ている。自分が拘束されていることに気が付くと騒ぎ出した。

「クッ、放せ。今すぐこの縄を解け」
「いやいや、お前人に呪いをかけたでしょ?捕まえたのに逃がす訳ないーーー」
俺がそう言い終わる前に横から凄い勢いで突っ込んできた人が縛られている男にドロップキックを決めた。言わずもがなケイトさんだった。

「あー、スッキリした」
 それだけ言うと受付の方に消えて行った。まあ、自業自得だが若様達の取り調べもあるから後でヒールをしてやるかな。

 暫らくするとセバスさんが戻って来た。
「若様、申し訳ございません。ゲオルゲと思われる気を掴んだのですが森の中に逃げられました」
「え?シ……、隊長がいて逃げられたのかい?」
「はい、森の中心に向かって行きましたので流石に準備なしでは追跡不可能と判断して戻ってきました。しかし、奴の気を掴めたのは大きな収穫です」

「確かにそうだね、今まで名前ぐらいしか掴めてなかったからね。じゃあ、一旦そこの犯人を連れて城に戻ろうか、この街に奴が戻る事もないだろうしね。ヒデ君すぐ戻るから待っていてね」

「あ、ハイわかりました」
返事をすると目の前から若様御一行が消えていた。


「あ、そうだ。ザルドさん今日はありがとうね。もしかしたら後で若様達が話を聞かせてて言ってくるかもしれないけどその時はまたお願いね」
「お、おう、なんか話について行けないが、酒場にいるからなんかあったら声かけてくれ」
「わかったよ」 

 診療所に入ると四人組とギルマスがいた。
「おうヒデ、戻ったか。話を聞かせてもらおうか」
「ギルマスちょっとだけ待ってて」
 待ち構えていたギルマスを待たせて子供達に話す。

「今日はご苦労様。犯人も捕まえたし一件落着したよ。これから若様が来たりで話が長くなりそうだし、そろそろ時間だし上がっていいよ」
「犯人は捕まえたんだね。ケイトさんが犯人が捕まったら絶対に殴るって言ってたけど」
「あー、その件はもう終わったから大丈夫だ。後、殴ってないで蹴ってたがな」
「そ、そうなんだ」
「じゃあ、院に帰ろうかな。弟達と遊んでやるか」

 そう言いながら診療所を出て行った。その後ろ姿を見送るとギルマスに今までの経緯を話した。最後まで口を挟まず聞いていたギルマスが口を開く。

「まず、呪い云々は置いといて、奴隷商館の健康診断は終わったんだな?」
「うん、終わったよ。書類にサインももらったし」
「よし、後ゲオルゲか随分大物が出てきたな。俺の方でも調べておくか何かわかったら知らせる。あ、そうだ、完了の書類早めに出せよ」

「わかった、後で出しておく」
 そう言うと診療所から出て行く。入れ替わりに若様達が入ってきた。

「あれ?若様いつもなら診療所にテレポートして来るのにドアからくるとか珍しいね」
「フフ、緊急でもない限りなるべく別の場所にするようにしたんだ」
「別の場所?」
「まあまあ、順々に話すよ」

 そう言いながら中に入って来た若様の後ろにヴァネッサさんとダニエルさん、それに知らない女性が二人入って来た。その二人の女性もヴァネッサさんと同じような鎧とマントを装備しているので多分若様の護衛なのかな?

 あれ?何か銀の髪の子は見覚えがあるような気が?ジッと見て思い出そうとしているとこっちを向いて顔を赤くして話しかけてきた。
「ヒデ様、この姿でお会いするのは初めてでしたわね」
「へ?え?……あ、シオンさん?シオンさんて若様の護衛の人だったんですか?」
「えっと、本来の仕事は違いますが、部署は一緒ですわ」

「ヒッ、鳥肌が……ゴホン、わ、若様、我々はドアの前で見張りをいたします。では」
 シオンさんと話しているとヴァネッサさんとダニエルさんが敬礼を済ますとドアに向かって我先にと出て行った。

「ん?何か慌ててたみたいだけど?あ、それより護衛のお仕事をしているのならシオンさんも強いんだねー」
「いえ、たしなむ程度ですわ」
 頬で手で押さえ恥じらいながら話している。若様ともう一人の初見の子が見てはならない物を見てしまった様に目を反らしていた。

 そして、さっきから気になっていたんだけどキャリーさんが、俺の斜め後ろのいつもの位置にいるんだけど距離がやたらと近い気がする?
「ん?キャリーさんどうかしたの?」
「いえ?いつも通りですわ?」
「いや?何か距離感がいーーー」
「いつも通りですわ」
「そうだっけ?」
「はい」
 すっごい笑顔で答えてるけどなんかゾクリと首筋が寒くなった。

「ヒデ様こちらの方はどちら様ですの?」
 そう言ってるシオンさんの目はキャリーさんを凝視していた。
「あれ?会った事なかったでしたっけ?この人はキャリーさんと言って、一応俺の弟子という事になってます」

「一応とは、どういう事ですの?まさか?」
「いえいえ、何を考えてるのかわからないですがキャリーさんに教えられる事なんてあまり無いですから、お師匠様なんて呼ばれるのもガラじゃないですよ」

「まあ、そのような事はありませんわお師匠様」
「クッ、あ、あまり近すぎるのもどうかと思いますわ。弟子は師の影を踏まずという言葉もありますし」
なんか似たような言葉、日本でもあったよな?などとのんきに考えていたらなんか寒気がしてきた?

 二人共笑顔なのになんか怖い?え?なんで?

 そんな時、若様(勇者)が声をかけてきた。
「ま、まあ、今日はこれからの事を話そうと思って来たんだよ」
「これからの事?とにかくわかりました。話を聞かせて下さい。お願いします」

 ちょっと早口でお願いする。
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