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2章

side リュウ その1

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長い間更新しないですいません。ちょっとリハビリの為に本編じゃなくてこないだのリュウ君のお話です。
続きも早めに出しますのでよろしくお願いします。<(_ _)>

++++++++++++++++++++++++++++++++
 馬車が街から離れて行き追手がいないのを確認すると肺の中の息をすべて吐き出した。
「ハァーーーッ」
「どうした兄ちゃん?そんなデカイため息何かついて?」
隣の商人風のおっちゃんが声をかけてきた。

「いや、この便に乗るために少し急いでたんで、乗れてよかったと思ってね」
まあ、余計な事は言わないで適当に答える。この便に乗るために急いでたのは本当だしな。

「そうかい、そうかい。確かにこれを逃すと二日後になっちゃうからなーハハハ」
おっちゃんは人の良さそうな顔に笑みを浮かばせ少し陽気に話す。
「ああ、だから何とか間に合って良かったと思ってね」

適当な事を言って話を合わせる。
しかし、そんな事を言っている自分に少し驚いていた。前の俺なら間違いなく声をかけてきたこの男を無視するか、大声で威嚇していたはずだった。そんな事を考えているとまたおっちゃんの声が聞こえてきた。

「‥‥‥大丈夫かい?調子が悪いのか?」
「ああ?あ、いや、大丈夫だ。少し考え事をしていて」
「そうかい、調子が悪いなら薬あるから言ってくれ。乗り物酔いの薬もあるぞ」

おっちゃんとの話が聞こえたのか周りの人達からも声をかけられた。
「どうしたんだ?調子悪いなら俺が床に座るから少し横になるかい?」
「飲み物でも飲んで少し落ち着くかい?」
「薬なら私も持ってるわよ?」

「あ、いや、本当に平気だから、騒がしくして悪かった」

「ん?そうなのかい?無理しないでいいからな、横になりたかったら何時でも言ってくれよ?」
隣の俺と同い年くらいの男が心配そうな顔をして言う。

「ああ、ありがとう。本当にそうなったら言うから大丈夫だ。他の人もありがとう、大丈夫ですから」

「ああ、何時でも言ってくれ」
「そう?短い間だけど一緒に旅をする仲間ですからね、何かあったら言ってくださいね」

俺は周りの人に声をかけるとまたさっきの事を考え始めた。
考えてみれば俺はいつも何かに腹を立てていた気がする。何に対して?と聞かれたら全てにと答えるだろう。

なら今は何故イライラしないのか?
わかっている。奴だ、いや、あの人、ヒデの兄貴に合ったからだ。命を懸けて俺を救ってくれて逃がしてくれた人だ。

ヒデの兄貴の行為になのか、それともあののんびりした雰囲気に同調したのかはわからないが、今まで持っていなかった感情が生まれたのは確かだった。

 こいつは間違いなくヒデの兄貴から貰ったものだ、絶対に潰さない様にしないといけない。こいつとのつきあい方は分かっている、ヒデの兄貴の様に振る舞えばいいんだ。

 簡単じゃない事は分かっているが、何時か胸を張ってヒデの兄貴に会いに行くために絶対やりぬかなければいけない事だ。

 そう決意を決めると不思議な物で、周りの人の表情が今までとは違う事に気付いた。
今までは怯えた顔か、威嚇するような顔ばっかりだった。そうか、自分が同じ顔をしてたからか‥‥‥
こんな事すら今まで気づかなかったとはな‥‥‥

 そんな新しい感情と向き合いながら過ごした馬車の旅は、今まで体験したことがないくらい楽しかった。
しかし、旅は終るものだ。次の街についた俺は馬車を降りて旅の仲間達に挨拶をした。

「ありがとうございました。とても楽しい旅でした」
「ハハ、それはお互い様だ」
「兄ちゃんも元気でな。いい仕事が見つかると良いな、頑張れよ」

「こちらこそだ、この街は銀が掘れるからな。それ関係の仕事も結構あるはずだ頑張ってな」
他にも何人かと話してから御者さんにも挨拶をして別れた。

「さてどうしたもんかね?先ずは久し振りにあったかい飯が食いたいぜ」
独り言を言いながら賑やかな大通りを進む。少し進むと飯屋が何軒も並んでいる所に出た。

この何日かほとんど干し肉ばっかりだったからか、魚の焼ける匂いに釣られて店に入った。
席につくと直ぐに注文を取りに来たので本日のオススメとエールを頼んだ。

料理は直ぐに出てきて久々の料理を楽しみながらチビチビと飲んでいると、入り口から厳つい冒険者崩れの男達が数人入って来た。
 店内を見渡してお目当ての人を見つけたのか全員でドカドカと店内に入って行く。
「ここにいやがったか、おい、いい加減にヤミー様の注文の品を作らねーか!」

店内に響くような大声で先頭の男が話す。
少し前の自分を見ているようで眉をひそめた。その時隣で飲んでいた男達の話が聞こえてきた。
「また、ヤミーの腰巾着共が来てるぜ」
「デンゼルさんも適当に作っちまえばいいのに」
「そりゃ無理だぜ。ドワーフは頑固だからなー自分が納得しないと梃子でも動かねーよ」

「まあ、なんにしても他で飲みなおすか」
「そうだな、とばっちりで怪我でもしたらつまらんし」
そう言いながらテーブルに飲み代を置いて腰を上げる。他の席もチラホラ同じ様に席を立っていた。

大声を出した男は、その店の雰囲気を感じ取ったらしく満足げな顔をしてデンゼルに話しかける。
「ほれみろ、お前がサッサと作らねえからこうなったんだぞ。いい加減観念したらどうだよ?」


「ふざけた事言わないでー。デンゼルさんは何もしてないでしょ?あんた達のせいでお客さんが帰っちゃたんじゃない。迷惑だからさっさと出て行って」
俺のすぐ近くにいた、さっき注文を取りに来た娘が腰に手を当て仁王立ちで男達を睨んでいる。

大声を出した男がめんどくさそうに手下に顎で指示を出す。指示されたチンピラが女の近くに来た。
「すっこんでろ。怪我すっぞ」
そう言って肩を小突こうとしたのでつい手を出してその手を掴んだ。
あれ?俺何やってるの?
 
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