110 / 185
2章
お祭りの準備 商工会その2
しおりを挟む
「さてと、今回の話し合いの話は大体出尽くしたかな?」
取っていたメモを見ながらヒューイさんが話す。
「それじゃ、せっかくヒデさんに来てもらったし、前回出た質問に答えてもらいましょうか」
ヒューイさんがそう言って俺に顔を向けて来る。
「えーっと、先ずはスタンプカードの説明でいいかな?これはいくらか以上買ったお客様に各店舗のスタンプを押してもらって、カードの中の枠が全部埋まったら賞品と交換とか考えてます」
話し終わったタイミングで質問がきた。
「賞品とはどんなものなのだ?」
「うーん、今考えているのはわが社の新製品とか‥‥‥かー!」
急に足に激痛が走って言いかけた言葉が途切れてしまった。下を見てみるとヒューイさんが足を踏んずけていた。
「ハハ、賞品ですがわが社の新製品になるかは決まっていないです。まあ、候補の一つですね」
ヒューイさんは顔色一つ変えずにこやかに言い直す。
「そ、そうですね、賞品も何点かあってお客さんに選んでもらうのも楽しそうですね。その方がお客さんの購買意欲にも繋がりますしね」
足の痛みに耐えつつ答える。
「賞品は高額の物を用意した方が良いんじゃないか?」
年配のいかにも商人風の人が聞いてきた。
「いえ、賞品を高額にして渡す人を絞るより、安い金額で手軽に手に入る物にした方が色々な方にお得感を感じてもらえます。その方がまたこの通りに来てもらえると思います」
「ふむ、確かに今回は短期間での開催じゃったな。しかしこれをうちの店だけでやるのも面白そうじゃな」
何かしきりに頷きながらブツブツと独り言を言っている。
「そんな事よりこの町の名前を変えるってやつなんだけどさ。私達も参加して良いのかい?」
端に座っていた女性が立ち上がって発言をした。
「えっと、一応来てくれたお客さんだけのつもりなんですが。抽選じゃなくて選別で行ないたいのですので」
「じゃあ、その選別ってやつに加わらないからさ。私もこの名前を付けるのをやってみたいんだよ。こんなチャンス普通じゃないからね」
それを聞いた他の人達が一斉に話し出す。
「それならわしも名前付けに参加したいぞ」「そうだな、こんな事出来るのはもうないかもしれんしな」
「もちろん、私は参加させてもらいますよ」‥‥‥
で、結局みんな付ける方に参加が決まった。
え?なにそれ?まさかうちらだけで選ぶの?そう思いながらヒューイさんの顔を見る。
「俺も参加したかったんだけどなー。仕方ないか」
しぶしぶ諦めてくれた。
俺一人とか勘弁してくれよ。
なんだかんだと話し合いが進んでいって全体が雑談に近い感じになって来た。
そんな中、言い忘れた事を思い出して皆が雑談をしている中で、近くの人達にだけ話すような声で話した。
「あ、そうだ今度の祭りの時にどこかでお見合いパーティーみたいなの開きたいんだけど‥‥‥さっ?」
急に雑談していた数人がこっちに詰め寄って来た。
「い、今なんて言ったの?」「お見合いパーティーって言ったわよね?言ったわよね?」「詳しく聞かせなさいよ」「え?嫁さん紹介してくれるのかい?」「婿、婿、婿」
「チョ、何々??」
店の代表で来ているのでそれなりの年齢だと思うんだけど‥‥‥
「えーっと、みなさん落ち着いて下さい。今ヒデさんに説明してもらいますので。一旦席に戻って下さい」
ヒューイさんも若干引きながら対応している。
それを聞いた周りの人達が急いで席に着いた。
「ゴホン、お祭りの時にどこか広い場所でお見合いパーティーと言うか、未婚の人達を集めて話をしたり自己アピールをしたり、一緒に食事したりとかで自分に合った人を探してもらうんです。その為の場所があればいいなーとか考えたんですが」
「ほほー、それはなかなか面白そうじゃないか。その企画是非うちの店でやってくれないかい?」
スラっと背の高いダンディーなおじさんが立ち上がって声を上げた。
「あ、場所を提供してくれるんですか?助かります」
「ハハハ、なんのなんの。こういった楽しい企画は大好きなんですよ。私は、ヒール通りの中央にある飲食店を経営しているアダムというものです。この企画、もしヒデ君がよければ定期的に行ってうちの目玉にしたいくらいだ」
「おおー、それは良いですねー是非今回成功したら定期的に開催してあげて下さいよ」
アダムさんはそう言った俺を見ながら続ける。
「いいのかい?じゃあ、アイデア料を支払わないといけないな」
「へ?そんなのいらないですよ?それよりも細かい打ち合わせがしたいのですが。どうしても参加させたい人がいまして」
「ん?時間は何時でも構わないが、本当にアイデア料はいいのかい?」
「はい、それより他の店が同じ企画をするかもしれないですから、より良い物を作り上げましょう」
「ほほー、中々いい答えだ。気に入った。じっくり考えて最高のお見合いパーティーにしようじゃないか」
「はい、俺も色々協力しますのでお願いします」
その後アダムさんがさっきの人達に囲まれていつ開催するのかとか参加の仕方など聞かれていた。
席に戻ったおれにヒューイさんが話しかけてくる。
「アイデア料貰っておけば良かったのに」
「ん?そんな事出来ないよ。たぶんすぐに他に店もマネして同じ様な企画を出してくるよ。その時アダムさんだけがお金出したなんてことになったら面白くないでしょ?それより色んな店が色々な企画で開催をしてもらった方がお客さん達も嬉しいでしょ」
「うーん、なるほどね。店じゃなくてお客さんが喜んでくれればいいって事?」
「そう、それに結婚まで行ってくれれば子供も増えて街も大きくなっていくしね」
「ハハ、考えが領主様だね」
「ハハ、そんな大層な事じゃないけどね。そんな事よりヒューイさんの所は子供まだなの?」
ニヤニヤしながら聞いてみる。
「う、うちの事はいいだろ?そういうのは授かりものっていうだろ?女神様が授けてくれるんだよ」
女神様がねー、仕事ちゃんとしてるのかねあの人?
そんなこんなで会議が終わっていった。
取っていたメモを見ながらヒューイさんが話す。
「それじゃ、せっかくヒデさんに来てもらったし、前回出た質問に答えてもらいましょうか」
ヒューイさんがそう言って俺に顔を向けて来る。
「えーっと、先ずはスタンプカードの説明でいいかな?これはいくらか以上買ったお客様に各店舗のスタンプを押してもらって、カードの中の枠が全部埋まったら賞品と交換とか考えてます」
話し終わったタイミングで質問がきた。
「賞品とはどんなものなのだ?」
「うーん、今考えているのはわが社の新製品とか‥‥‥かー!」
急に足に激痛が走って言いかけた言葉が途切れてしまった。下を見てみるとヒューイさんが足を踏んずけていた。
「ハハ、賞品ですがわが社の新製品になるかは決まっていないです。まあ、候補の一つですね」
ヒューイさんは顔色一つ変えずにこやかに言い直す。
「そ、そうですね、賞品も何点かあってお客さんに選んでもらうのも楽しそうですね。その方がお客さんの購買意欲にも繋がりますしね」
足の痛みに耐えつつ答える。
「賞品は高額の物を用意した方が良いんじゃないか?」
年配のいかにも商人風の人が聞いてきた。
「いえ、賞品を高額にして渡す人を絞るより、安い金額で手軽に手に入る物にした方が色々な方にお得感を感じてもらえます。その方がまたこの通りに来てもらえると思います」
「ふむ、確かに今回は短期間での開催じゃったな。しかしこれをうちの店だけでやるのも面白そうじゃな」
何かしきりに頷きながらブツブツと独り言を言っている。
「そんな事よりこの町の名前を変えるってやつなんだけどさ。私達も参加して良いのかい?」
端に座っていた女性が立ち上がって発言をした。
「えっと、一応来てくれたお客さんだけのつもりなんですが。抽選じゃなくて選別で行ないたいのですので」
「じゃあ、その選別ってやつに加わらないからさ。私もこの名前を付けるのをやってみたいんだよ。こんなチャンス普通じゃないからね」
それを聞いた他の人達が一斉に話し出す。
「それならわしも名前付けに参加したいぞ」「そうだな、こんな事出来るのはもうないかもしれんしな」
「もちろん、私は参加させてもらいますよ」‥‥‥
で、結局みんな付ける方に参加が決まった。
え?なにそれ?まさかうちらだけで選ぶの?そう思いながらヒューイさんの顔を見る。
「俺も参加したかったんだけどなー。仕方ないか」
しぶしぶ諦めてくれた。
俺一人とか勘弁してくれよ。
なんだかんだと話し合いが進んでいって全体が雑談に近い感じになって来た。
そんな中、言い忘れた事を思い出して皆が雑談をしている中で、近くの人達にだけ話すような声で話した。
「あ、そうだ今度の祭りの時にどこかでお見合いパーティーみたいなの開きたいんだけど‥‥‥さっ?」
急に雑談していた数人がこっちに詰め寄って来た。
「い、今なんて言ったの?」「お見合いパーティーって言ったわよね?言ったわよね?」「詳しく聞かせなさいよ」「え?嫁さん紹介してくれるのかい?」「婿、婿、婿」
「チョ、何々??」
店の代表で来ているのでそれなりの年齢だと思うんだけど‥‥‥
「えーっと、みなさん落ち着いて下さい。今ヒデさんに説明してもらいますので。一旦席に戻って下さい」
ヒューイさんも若干引きながら対応している。
それを聞いた周りの人達が急いで席に着いた。
「ゴホン、お祭りの時にどこか広い場所でお見合いパーティーと言うか、未婚の人達を集めて話をしたり自己アピールをしたり、一緒に食事したりとかで自分に合った人を探してもらうんです。その為の場所があればいいなーとか考えたんですが」
「ほほー、それはなかなか面白そうじゃないか。その企画是非うちの店でやってくれないかい?」
スラっと背の高いダンディーなおじさんが立ち上がって声を上げた。
「あ、場所を提供してくれるんですか?助かります」
「ハハハ、なんのなんの。こういった楽しい企画は大好きなんですよ。私は、ヒール通りの中央にある飲食店を経営しているアダムというものです。この企画、もしヒデ君がよければ定期的に行ってうちの目玉にしたいくらいだ」
「おおー、それは良いですねー是非今回成功したら定期的に開催してあげて下さいよ」
アダムさんはそう言った俺を見ながら続ける。
「いいのかい?じゃあ、アイデア料を支払わないといけないな」
「へ?そんなのいらないですよ?それよりも細かい打ち合わせがしたいのですが。どうしても参加させたい人がいまして」
「ん?時間は何時でも構わないが、本当にアイデア料はいいのかい?」
「はい、それより他の店が同じ企画をするかもしれないですから、より良い物を作り上げましょう」
「ほほー、中々いい答えだ。気に入った。じっくり考えて最高のお見合いパーティーにしようじゃないか」
「はい、俺も色々協力しますのでお願いします」
その後アダムさんがさっきの人達に囲まれていつ開催するのかとか参加の仕方など聞かれていた。
席に戻ったおれにヒューイさんが話しかけてくる。
「アイデア料貰っておけば良かったのに」
「ん?そんな事出来ないよ。たぶんすぐに他に店もマネして同じ様な企画を出してくるよ。その時アダムさんだけがお金出したなんてことになったら面白くないでしょ?それより色んな店が色々な企画で開催をしてもらった方がお客さん達も嬉しいでしょ」
「うーん、なるほどね。店じゃなくてお客さんが喜んでくれればいいって事?」
「そう、それに結婚まで行ってくれれば子供も増えて街も大きくなっていくしね」
「ハハ、考えが領主様だね」
「ハハ、そんな大層な事じゃないけどね。そんな事よりヒューイさんの所は子供まだなの?」
ニヤニヤしながら聞いてみる。
「う、うちの事はいいだろ?そういうのは授かりものっていうだろ?女神様が授けてくれるんだよ」
女神様がねー、仕事ちゃんとしてるのかねあの人?
そんなこんなで会議が終わっていった。
30
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。