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私の能力
しおりを挟むシドとナルは身を乗り出して私の手元を覗き込み、この色が表す能力が何か思い出しているのか難しい顔をして口を開く
「色は黄色に黄緑、ちょうど半分くらいで流動している...黄色は心に働きかける癒しと鎮静、黄緑は傷や負傷等の体に働きかけるもので、こちらも鎮静と癒し、だったか」
「流動ってことは使う魔法によってはどっちの方にも特化できる ちょっと、というかかなり特殊なタイプで珍しいはずだ」
「そして表石の色の濃さと不透明度は...」
「「濃く濁るほど魔眼の質と強力さを表す」」
二人の口から同時にため息が漏れる。魔眼が強力であるのは良いけれど、誘拐や利用される可能性が大きくなってしまって困った、と言ったところでしょうか...きっとさっき話していたのは警備の件ですね、申し訳ないです。けれど、
「でも、それなら私はふたりのそばから離れなければいいですよ。まとめてまもれる、人も少なくできるですよ?」
「まぁ当分はそうなるだろうな...護衛が調達できるまで窮屈かもしれんが、すまんな」
「私はいっしょがいい、いっしょがうれしいです。だから、気にしないでほしいですよ~
あと、やっぱりごえいさんは2,3人だけで 増やさなくても、ずっとふたりといるです。ふたりとがいいですよー?」
二人の会話は眺めているだけでも楽しいですからね!一緒にいられるは幸せですし。コドモの純粋なよくぼーです!
すると、ナルは私の頭をかき混ぜてくしゃくしゃにするように雑に撫で、シドは眉尻を下げ口に薄く笑みを浮かべそれぞれ言葉を紡ぐ
「おっ、嬉しい事言ってくれるな~」
「...ありがとな」
ふたりの笑顔には何か違和感があった。
女性に嫌な思い出でもあるのだろうか。子供の私だからこそ、その...アニマルセラピーみたいな?ホッとさせることができればと考えるも、この二人も大人びているが高校生くらいの年齢かもしれないと考えると微妙なところだ。
そんなことを考える間に、話は割ったはずなのに元の形に戻っていた表石と魔眼の関係についてになる。
「先天的に魔眼を持つ者はその強さや効果は人それぞれだが、総じて四大元素に関わった能力を持つものが多い。
しかし後天的な場合は『意志の強さ』がそれに影響を及ぼすんだ。例えば 火事で愛する家族を失ったものは 炎への強い耐性や、逆に炎の効果を弱める水や氷系統の魔眼だったりする。」
「みぢかな人をおぼれてなくしたら、水たいせい系のまがん、ですか?」
「その通り。しかも本人の強い意志により生じたものだから総じてとても強力で凶悪的な効果を齎すんだ。しかもその『意思』はほぼ『忘れられない恐怖や後悔』だ。だから後天的に魔眼を得た者はどこか性格が歪んでたり卑屈だったりする...まぁこれは知らなくてもよかったな。
それで話を戻すが、表石が楕円や丸といった角のないものだったら先天的、メリアの様に角張ってたり尖っていたりする場合は後天的だ。だからきっとメリアの場合は後天的なんだが...」
「後天的なモノの中でも飛び抜けて強力な癖して攻撃的じゃなく、むしろその逆。」
「なんでだろうな...」
「どこの貴族でも、むしろ王族や教会でも引っ張りだこになるだろうな。特に教会は『巫女だ、神子様だ~』なんつって ここぞとばかりに祀りあげるだろうし、貴族だったらどんなヤツでも 首輪付けて囲い込んで能力を独占するだろう。なんたって上の貴族にも下の貴族にも恩を売れるんだ」
ふと 何か思い至った点があるのかシドはハッとした顔をしてこちらを振り返ったかと思うと、床に膝をつき私に目線を合わせ 肩に手を添え勢い込んで聞いてくる。王子としてその姿勢は大丈夫なのでしょうか...?
しかし本人は毛の先程も気にする素振りを見せず 話に夢中になっている
「...もしかして!
メリア!メリアは、最期の時 何を願ったんだ?両親との別れの時、『二人がいつまでも健康であるように』とか『元気でやっていけるように』といったものは?」
「さいご...」
あの時に願ったこと...
「──りょうしんのやすらぎ、へいわ、いやし、のような...こころがあたたかになる『しあわせ』をねがったです」
私はああなって初めて 両親が私を大事に、大切にしてくれていることを自覚した。
「もっと甘えれば」「素直になっていたら何か変わったのかも」と悔しくて悔しくて、考えがぐちゃぐちゃになったが それでも最後まで心の深くに残ったのは『両親が幸せになって欲しい』だった。
私の体が弱くてもここまで育ててくれた。
一緒に外を走れなくてもたくさん愛してくれた。
仕事の合間を縫って何度も逢いに来てくれた。
給料の大半を私の入院とお医者様を呼ぶ為のお金に宛ててくれた。
いつでも私に笑いかけてくれた両親
私が生きられなかった分、どうか二人で生きていて欲しいと願った
「多分それが魔眼に影響を出したんだろうな。
メリアの場合は...色んな効果があるみたいだから、全部合わせて『癒しの魔眼』ってとこかな。」
シドは納得がいったという様にひとつ頷くと、再び椅子へと腰掛ける。
「『いやしのまがん』...」
「そう。治す方の『癒し』と慰労する方の『慰やし』だ。」
謎が解けてスッキリしたのか、シドは柔らかく微笑んで私の頭を撫でてくる。撫でやすい高さなのかな
ふと、ナルの言葉が蘇りなんだか怖くなった
『祀りあげる』『囲い込む』『(私を使って)恩を売る』...そんな道具みたいな事をされたくない、助けてくれた上にここまで世話をして 私にあらゆる思惑に巻き込まれ利用される危険性を示してくれた二人と離れたくない、出来るだけ一緒にいたい という気持ちが考える程に強くなり胸に溢れてくる
「私、ふたりといるですよ。」
「? 護衛の話か?」
さっき話しただろう、と不思議そうな顔をする二人に緩く首を振ることで否定を示し、私の言いたいことを分かって貰えるように、少しずつでも 大切に言葉を重ねる
「私は利用されるイヤです。人にあげるじゃなく私だって幸せは欲しいです。だから、
...だから、ふたりにはみんながみんな、 私と相手が幸せになれるようなコトを協力してほしいですよ。その分、私もある程度ふたりに利用されるです。利用してされる関係、です」
子供の癖にとても現実的で、少し残酷なことを告げている自覚があるので自然と視線は下向きになってしまう。ダメだとは分かっていても申し訳なさに顔は俯き、視界は髪で阻まれ ベッドのシーツとそれを握り込むふにふにの私の手だけが目に入り自分の身体を再認識させられる
ふたりはこんな私の言葉でも真剣に聞いていてくれる。それがどんなに特別で、どんなに得難いものなのか...それを考えると二人と出会えたこの運命が奇跡に思えてくる
最初に口を開いたのは 意外にもナルだった
「メリア、お前はオレたちに利用されることを良しとして、それを前提として自分や周りを幸せにしたいのか?」
「それとは少し違うです。私は自分 だいじです。だから 助ける、してもお返しはもらうです
だから、ふたりには私が不当な扱いや不平等なコトをせまられる したら、助けて、それが無いように見ていてほしいです。
その代わりに、私はふたりがいつ どこにいてもついて行く して、いつも癒したい、です」
何とか言葉にできただろうかとホッと息を吐く。ちゃんと伝わっているいいのだが...
「わっ!!?」
突然、体を浮遊感が襲い ふわりと腕の中へ閉じ込められる。急に何!?
びっくりした勢いのままに顔を上へ向けると優しげな、それはそれは無害そうな笑みで 逆に奥底に何かイチモツ抱えていそうな顔のシドで視界がいっぱいになった。私の考えすぎでしょうか。ええこれはきっとそうです。誰かそうだと言ってください
そんな内心とは裏腹に「急にどうしたですか?」と自然と口は動き 行動の意を訪ね首を傾げていた。
「キミは、それを、誰にでも言うのかな??
もし拾ったのが私達じゃなければ、キミは...」
「誰にでも言うわけないですよ?」
「え?」
話を遮ってしまって申し訳ない気持ちになるが、これだけは言わねばならない。この二人にだけは、勘違いされたくないから
「私は『ふたりだから』言ったです。
たらればの話で なく、お外の兵士さんたちだったらの話も ちがうです。
知らないコドモにここまで手をかけてお世話してくれるふたりだから、私はいっしょがいい 言ったです」
「私達に義務や責任が伴っていたり、思惑があったとしてもか?」
話に集中するためだろうか 私をゆっくりとベッド脇へ下ろし、椅子に座るシドとその側に立つナルと向かい合うように座らせられる。
その顔は緊張か、心が痛むのか 少し苦しそうな顔をしている
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