メリアの転生

Re:my@執筆無期停止

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私との決別

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 こんな風に人の扱い方に葛藤する人はいい人だ。
 だから私は(まだ良く分かっていないけど)自分の能力が役に立てるなら使いたいと思った。

 「ぎむやせきにんを果たさない人はキライです。そんなの上に立てる人じゃないですし、思惑もなく動く人は『考えナシ』 言うです。人としてダメです
  どっちも悪いことでもモノでもないです。どっちもだいじで、どっちも人であれば必ず身近にあるです
  ...私は、ちゃんとおしごとしてるふたりを癒し支えたいですよ。だから言ったです。だから傍 居たい、言ったです」
 恥ずかしいことを言っている自覚はあるが ホントに、本当にこれだけは分かってもらわねばならないのだ。


 私が混乱の中にいて、その中で助け 頭を撫でて少しずつ落ち着かせてくれたシド。
 なかなか警戒が解けず 私が反抗的な態度を取っても気を害さず、変わらぬ態度で接してくれたナル。

 そんなふたりに、感謝の念が起きない訳が無い
 そんなふたりの、役に立ちたいと思わないわけがなかった


 「そんなふたりの いちばん傍にいれる人に...
  どんな在り方でも、どんなときもそばで支えるできる癒すやれる人、なりたいです。...ダメですか?」

 気付けば私は 上手く喋ることの出来ない悔しさで目には涙を溜めて、少しの恥ずかしさと気が昂って上気した真っ赤な頬になっていた


 ふたりは いや、ふたりも眉を寄せた苦しげな顔で私を見ていて、かと思うと ふわりとその逞しい腕の中に隠すようにして二人に抱きしめられた

 あれ?私 ふたりの従者?とか侍女?身体能力があれば護衛??になれればって話を何となくだけどしたのよね?え??
 頭を撫でられるのだと予想していただけに思っていた反応と違って混乱する



 この時、シドとナル 両名の心の声は一致していた
 『『こいつメチャクチャかわいいっ!!?』』


 因みに、メリアは自分が美少女という事に気付いていない。

 前世では「かわいいかわいい」と褒められていたものの その頃の自分を思い出しても『自分が幼かったからだ』『小さい子の丸みのある姿ってかわいいよね』と理由をつけていて、塞ぎ込みがちになってからそのご尊顔は長く伸ばされた前髪に隠され 顔が他者へと晒されることも褒められることもなくなり、『やはり私は可愛くないのだ』と自分が可愛いということを否定していた。

 しかし、自分が見慣れていたその顔は美しいと言うにふさわしく、それがグレードアップされた今世はメリア自身に言わせれば「ちょっと美人に」くらいのものだが その他大勢が見れば『天使』と言われても信じるくらいの少女なのだ。

 今までシドとナル 両名が平静でいられたのは上流階級の生まれ故に 自分とその周りの顔面偏差値が高く、美しい顔に見慣れていたのでそれに救われた形である。


 しかし、そんな二人でもメリアの赤く染まった頬にうるうるとした瞳には勝てなかったようだ。
 そんなこととはつゆ知らず、本人メリアは『普通かそれ以下』と思っている事実は悲しいかな、これまでもこれからも誰にも受け入れられることは無いだろう



 しばらくしても動かないふたりに『流石にこのままでは...』と思い ポンポンと軽く背中を叩いて解放を促すと、名残惜しいようにゆっくりと身体を離された。

 「...済まない、メリア。試すような事...」
 「オレも、お前を軽く見る様な事言ってゴメンな」
 「いえ!私はまだコトバが下手、ちゃんと伝わらない、内容 ぶつけ合わせて詰める、する。あたりまえ、気にしないです!いいよ、て ゆるす です!」


 正直言うと、私に真意を迫るように質問をするふたりは威圧感?迫力?があって、強いひとって感じで怖かった。
 でもその中には 一緒にいたら絶対的安心感を貰えるような、強固な砦の中で守ってもらえる様な... そんな頼もしさも感じた。

 さっきから頭を撫でて離さない二人にそのことを伝えると、少し照れくさそうにしてお礼と共に「メリアを守るよ」と言うような事を言われた。お勤めが疎かにならない程度に、と軽く匂わせておく。私は何かの『ついで』でいいのです。

 話が終わり興奮が冷めたからか、ふと下半身、というかお腹辺りから下が妙にスースーしていることに気がついた。
 目線を自分の身体へと下ろすと、私の座っているベッドに使われているシーツと比べ 一回り小さいくらいの白い布が、右肩でラベンダー色のブローチで留められて体に巻き付けられているだけの簡素な服装だった。有り合わせのモノだろうか。無意識に気を張っていたのか、自分の服のことまで気が回らなかった事に軽く嘆息する。

 ...この後何か服を貰おう。じゃないと落ち着かない


 コンコン、というノックと共にイタい人...じゃなかった、騎士さん? とにかくあの集団のうちの一人が部屋に入りシドへと報告をする。


 「失礼します、殿下。そろそろ森を出立せねば日が暮れます。ご準備を」
 「もうそんな時間かぁ」
 「ご苦労。馬を頼む」
 「はっ!」

 実は二人がさり気無く体をずらし、メリアのことを見えないようにして騎士の放つ好奇の視線から守っていたのを本人は知らない。ちなみに理由は「メリアが減るから」だそうな。溺愛ぶりに気づかぬのは本人ばかりである


 「さて、それじゃあ移動するか」
 そう言って、シドが私の前に手を広げて屈む。と言っても私より目線は高い。「捕まれ」という意味だろうか、と思いつつも どう捕まればいいのかわからない...
 なので私も同じように手を広げ真似まねてみる。

 シドはクスリと笑うと、左腕だけで私を持ち上げ、右手を私の左肩に添えバランスを取る。いわゆる片手抱っこの形になった。

 一気に視界が高くなり、その怖さにシドの肩へと手を伸ばす。もう服をシワシワにすることはないようにそっと触れる。


 「服、握っててもいいんだぞ?」
 「もうしわくちゃ しないです...高い、しそうですし」
 「気にしなくていいのにな~外駆け用の服なんてそこら辺の貴族は沢山持ってんのに」
 「ものは大事にですよ!」

 心の声を読んだかのような言葉におふざけとばかりに噛み付いて返す。
 でも、頭の中は『この先どうなるか』でいっぱいだ。
 不安はあるけれど この二人の傍にいれば、きっと上手くやっていける。そんな気がする


 「まずは魔眼の扱い方を覚えないとな。
  そうじゃないと、うちの文官ワーカーホリック達がメリアの所にわざわざやって来て「仕事の続きをしたいんだ!癒してくれ」~、なんて 言い出しそうだしな」
 「あ~、その未来が容易に想像できるわ...」

 私の頭上で交わされる会話を二人の顔を見上げながら聞く


  知らない土地
  知らない言葉
  知らない人

  小さな手
  小さな身体
  つたない私の言葉遣い


 そして、この先 私の歩む未来



 希望と不安の塊である『それ』は
 どの世界のどんな人にも付き纏う。
 だから

 (他の人に負けずにがんばろう)、そう思えた



 「ほら、見てみろ メリア」
 「わぁ...!」

 荷をまとめてロッヂを後にする
 シドに促された先を見れば、そこには燃えるように緑とオレンジ色の光を放つ夕日
 久し振りに見た夕日は、今まで見たどの輝きひかりよりも好きになった。


 (さよなら、私)

 体が弱いからって逃げるメリアはもういない
 ここにいるのは未来がある私。逃げたくないメリア



 「そういえば、メリアって今何歳くらいなんだ?」
 「んー」
 手を夕陽にかざして考えてみる

 「十年前、九歳くらいの時かも、です」
 「「え゙っっ」」

 (あ、あれで九歳...)
 (てっきりまだ五,六歳だと...)
 「?」


 昔の私とはお別れ。
 このき出会いと幸せに満ちた門出を大事にして、この世界に寄り添い 学び 育まれて生きたい


 美しい夕陽の照らす世界が それを祝福してくれている気がした
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