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もちだ すしの

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「じゃあさくらちゃんまた後でね!」

光生が来ると同時に星くんは手を振って帰っていった。

「後でって?なんか約束してるの?」

さっきまで学校で会っていたのに光生と話すのがなんだかすごく久しぶりな気がして胸がギュッと苦しくなる。

「帰ったらゲームの通信する約束したからたぶんそのことだと思う!」

「……そっか。楽しかった?」

「うん!星くんの家すっごい広くて豪華なマンションでびっくりした!」

微笑んでくれる光生はなんだかいつもと違った様子でやっぱり怒っているのかもしれない。そのまま一緒に帰っているとお互いの家の分かれ道を迷うことなく俺の方向に来てくれる。こんな状況でもなにも言わずに送ってくれるところが光生らしくて今すぐにギュッと抱きつきたくなってしまう。

「光生は1人でコンビニ行ってたの?」

制服のままの光生はまだ家に帰っていないらしくさっきまでどこかに出かけていたみたいだ。

「ん?あぁ、ご飯食べてきた帰りになんとなく寄っただけ。」

光生はなにもなかったかのように話しているけどいろんなことが気になってしまう。女の子とご飯に行ったのかなとか俺といるより楽しかったかなとかそれにえっちな雑誌持ってるのかとかたくさん聞きたいことがあるのに返事が怖くてどれひとつ聞けない。 

「ん?どうした?」

顔を覗きこむ光生はなんですぐに俺が不安になっていることに気づいてくれるのだろう。チラッと見れば優しい顔で微笑んでくれるところが大好きでやっぱり言えない。

「ううん!何でもない!」

俺のことなんて嫌いになったかもしれないし今そんなことを聞いたらめんどくさがられそうで誤魔化してしまう。

「そう?それならいいけど。」

だめだ、その優しく微笑む顔もいつもの香水の匂いも聞けば安心する声も全部大好きすぎて切なくなってくる。

「そういえば1ヶ月だけ星くんの部活観に行くことになった!」

このままではまたすぐに何か気づかれてしまいそうで話題を変えてみれば光生の顔は少し曇る。

「……涼からすれば1ヶ月だけ、、なんだ。」

「え?」

小さな声で何かを言われたけど聞き取れずすぐに聞き返しても光生は教えてくれないまま空を見上げた。

「今日満月だね。すごい光ってる。」

そう言った光生はなんだか少し寂しそうなのに俺は返事をすることしかできない。

「本当だ、、まだ秋じゃないのにお団子食べたくなるね、、」

そんなよくわからない俺の発言にもいつものように「ふふっ」っと笑ってくれた光生は家の前に着くと持っていたコンビニの袋を渡してくる。

「これあげる。また明日ね、おやすみ。」

そう言って頭を撫でてくれた光生の手はやっぱり星くんよりも優しくて温かい。家に帰っていく光生の後ろ姿を見ているとふいに風が吹いて貰った袋が揺れる。ふと中を見れば俺の大好きなものばかり入っていて1番下にはお団子があった。光生は俺のことなんていつもお見通しらしい。

「光生の好きなもの1個も入ってない、、」

会う約束もしていなかったしなんとなくコンビニに寄っただけと言っていたのになんで俺の大好きなものばかり入っているのだろう。そんなことを聞きたくてももう光生の姿は見えなくなってしまっていた。

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