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しおりを挟む「昨日も触ったのに?」
全然触ってくれなかったくせに光生は首を傾げて答えにくいようなことを聞いてくる。そのせいで昨日1人でしちゃったし意識してしまうのなんて当たり前だ。
「……光生何もわかってない。」
2人きりじゃないとえっちなことはしないと言ったのは俺だけど本当は触って欲しかった。いつも鋭すぎるくらい勘がいいのに肝心な時には鈍感だ。
「ふふっ、なんで怒ってんの。」
それにさっきからずっと店内にいるたくさんの女の子たちは光生のことを見ている。
「っ!怒ってない!トイレ行ってくる!!」
素直になれない俺は大きな声でそう言い残しトイレに行き鏡を見てため息をつく。
「俺ももっとイケメンに生まれてこれたらよかった、、」
遥くんも光生のことを知っていたしいくらなんでもモテすぎだ。やきもちなんか通り越していつか俺に飽きてしまうんじゃないかと心配になってくる。どうすれば光生はもっと俺に夢中になるのだろう。
「……クレープ食べよ、、」
考えても答えなんて出るはずもなく席に戻ろうとすれば光生は他校の女の子達に囲まれている。今戻っても気まずいだけだししばらく外にでも出ていようと思っていればそんな俺にすぐに光生は気づいてくれたのかこっちまで歩いてくる。
「人多くなってきたし近くの公園で食べようよ。」
そう言って両手に食べかけのクレープを持ってニコッと笑ってくれる。公園のベンチに座れば顔を覗き込まれる。
「なんかあった?元気ない顔してる。」
特別何かあったわけではない。ただ光生が遠い存在に感じる。
「……光生すごいモテてた。」
こんなことで拗ねている俺にもはや怒ってほしくてセットしている髪をわざとグチャグチャにしてみる。それなのに怒るどころか嬉しそうに笑う。
「ふふっ、やきもち妬いてくれたの?」
なんでこんなに光生は俺ばっかりなんだ。他の人には見向きもしないで俺にだけこんな顔を見せてくれる。
「……光生がかっこよすぎるのが悪いんだもん。」
ほっぺたをムニッと引っ張ってみても怒らない。そんな光生は拗ねている俺の顔の前にクレープを差し出してくる。パクッと一口食べるとまた嬉しそうに笑ってくる。
「おいしい?」
ほらまたそうやって俺のことを愛おしそうに見つめて聞いてくるからずるい。
「一口食べただけじゃわかんない。」
わがままをいっぱい言って困らせて光生の頭の中を俺だけにしたい。それにきっとこうやって言えばまた食べさせてくれる。
「ふふっ、まだ怒ってる。」
そう言ってやっぱり光生は口元にクレープを近づけてくれるからそんなところが大好きでしょうがない。それから食べ終わればまた顔を覗き込まれる。
「どうしたら俺のこと許してくれる?」
ニコッと笑いながら聞いてくる光生はなんだか嬉しそうだ。
「……光生がモテなくなったら。」
「あははっ、わかった。じゃあ明日から寝起きのままの髪でボサボサで学校に行く。」
なんでこんな簡単に俺のわがままを聞いてくれるんだ。
「……だめ。寝起きの光生のセットしてない髪を見ていいの俺だけだもん……」
ここまで言えば流石に呆れて怒るに違いない。
「ふふっ、なにそれ。そんなこと言われたら今日涼のこと家に連れて帰りたくなる。」
もうだめだ。何を言っても俺のことを甘やかして受け止めてくれる。
「……光生ごめんね、、」
「え?なにが?」
「光生に俺のことでいっぱいになってほしくてさっきから嫌なことばっかり言ったから、、」
結局優しすぎる光生を傷つけてしまっただけだ。申し訳なくなって謝れば手をギュッと握られる。
「謝んないでよ。それに知らないと思うけど俺の頭の中涼で埋め尽くされてるから。」
もう外なんて関係なくて今すぐに抱きしめて欲しいのに光生はこれ以上は触れてこない。
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