鳴けない金糸雀(カナリア)

 鳥人族。歌う事で傷を癒したり、攻撃力や魔力を上げたりする不思議な種族。
 体の一部分だけ鳥だったり全身を鳥の姿に変えられる者、自らの爪で戦いに赴くもの様々な種類がいたが、度重なる戦乱の中彼らの力は重宝されて鳥人族は乱獲され数を減らしてしまった。
 鳥人族の中でも金糸雀(カナリア)は特に声が美しく希少で、争いが失くなった世で彼らは高値で取引されていた。

 幼い頃村を奴隷狩りに襲われ居場所を奪われた鳥人族で金糸雀(カナリア)の彼もまた希少でありながら声が出ない劣等種の為、18歳になるとそれまで働かされていた奴隷商の元から娼館へと売られてしまう。
 彼はそれから4年、奴隷(スレイブ)と呼ばれ娼館で地獄のような日々を送っていた。唯一の拠り所は今だ奴隷商の元にいる双子の弟達だけ。

 そんなある日、スレイブは娼館にやって来た1人の男と出会う。
 「年は」「名前は」と訊くばかりでスレイブをなかなか抱こうとしない男との出会いが彼の人生を変えていくーー

 黒の騎士と恐れられる辺境伯と声の出ない鳥人族の青年の物語。

「君が笑ってくれる事こそが私の幸せなんだ。だからもっと笑ってくれないか」




※表紙はAI作成です。
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