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七話 希望と願望
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あれから数日。
このゲームでのフレンドはメルティたちしかいないけど、それなりに楽しいゲーム生活を過ごしていた。
そして今日はキャシーから連絡を受け呼び出されていた。
『噴水広場の南側のベンチに来たれし――キャシー』
来たれしって……そんな喋り方だったか?
とりあえず暇だし行くことを約束し、俺はベンチに向かった。
いつ見てもこの噴水広場は綺麗だよな。
大きな丸い石造りの枠のど真ん中には巨大な女神像があり、その後ろから宙を舞うように天に向かって噴き出す噴水。
石造りの囲いの中は、カラフルなさまざまな形の石が埋め込まれていて、水中はキラキラと光っている。
その噴水の周りには東西南北に四つのベンチが置かれていて、その南側のベンチに俺は呼び出されていた。
あの二人もてっきりいるもんだと思っていたら、なんとそこにいたのはキャシー一人だった。
広場で商売をするNPCたちを横目に、俺はキャシーの元へ向かった。
「あの……」
恐る恐る声をかけると、キリっとした表情でいきなり指を突き付けてきた。
「キャシーがフライに伝授するのだ! キラン☆」
「いや、そんな期待の眼差しで言われても……なんで急に?」
っていうかこの子、こんなキャラだっけ?
「あ、今キャシーってこんなキャラだっけ? とか思ったでしょ?」
バレてる……。
「いい? キャシーが無知なフライに色々教えてあげるの。嬉しい? ねぇ、嬉しい?」
「あ、うん……それはありがたいけど」
「えっへん! そこに座ってぇ」
キャシーに言われるがまま近くのベンチに腰をかけた。すると思いのほか結構しっかりめにこのゲームについて語ってくれた。
その中でも俺が興味を持ったのが、この大都市に自分の家を買うことができるということだった。
それから定期的にイベントが行われているということ。イベントの際はこの広場に集まって、アナウンスが流れるらしい。
他にも世界の国事情とか色々キャシーなりに喋っていたけど、なんかよくわかんなかったし街や国の名前出されてもわからなかったから、とりあえずスルーだな。
ぶっちゃけあんまり興味ないし。
「ねぇフライ聞いてる?」
「あ、うん」
――それにしてもゲームの中だが家を買うことができるとは。
現実では一人暮らしなんて夢のまた夢だったから、ゲームの世界だけでも一人暮らしをしてみたいものだ。
しかしキャシーによると家を買うのは大量の金貨が必要だとか。まぁ当然っちゃ当然だけど。
その大量の金貨をゲットするためにはイベントに参加するのが、一番の近道とも言っていたな。
イベントで優勝すれば大量の金貨だけじゃなく、ユニーク装備や高価なアイテムが報酬として配られるとか。
ちなみにユニーク装備とは、世界に二つとないアイテムのこと。つまり俺専用の俺しか持ってない装備を手に入れられるってことだ。
まぁ優勝は無理だろうけど、とりあえず試しで参加だけはしてみたいよな。どこまで行けるもんか試してみたい気もしないでもないし。
そのためにはもっと強くならなくてはな。
そうと決まれば行動あるのみ!
「キャシーはねぇ家を買ったらフライを招待したげるよぉ」
キャシーは無邪気な笑顔でペラペラと夢物語を喋り続けていた。
「キャシーごめん、俺用事出来たから帰るよ。今日はありがとな」
キャシーに両手を合わせて悪びれた顔を見せ、俺はベンチから立ち上がった。
そして振り返ることなくそのまま狩りに……修行に出かけたのだった。
「ちょ、フライぃ! ……もう、キャシーの話ちゃんと聞いてたかなぁ」
背後でキャシーは何か言っていたが、その声が俺に届くことはなかった。
このゲームでのフレンドはメルティたちしかいないけど、それなりに楽しいゲーム生活を過ごしていた。
そして今日はキャシーから連絡を受け呼び出されていた。
『噴水広場の南側のベンチに来たれし――キャシー』
来たれしって……そんな喋り方だったか?
とりあえず暇だし行くことを約束し、俺はベンチに向かった。
いつ見てもこの噴水広場は綺麗だよな。
大きな丸い石造りの枠のど真ん中には巨大な女神像があり、その後ろから宙を舞うように天に向かって噴き出す噴水。
石造りの囲いの中は、カラフルなさまざまな形の石が埋め込まれていて、水中はキラキラと光っている。
その噴水の周りには東西南北に四つのベンチが置かれていて、その南側のベンチに俺は呼び出されていた。
あの二人もてっきりいるもんだと思っていたら、なんとそこにいたのはキャシー一人だった。
広場で商売をするNPCたちを横目に、俺はキャシーの元へ向かった。
「あの……」
恐る恐る声をかけると、キリっとした表情でいきなり指を突き付けてきた。
「キャシーがフライに伝授するのだ! キラン☆」
「いや、そんな期待の眼差しで言われても……なんで急に?」
っていうかこの子、こんなキャラだっけ?
「あ、今キャシーってこんなキャラだっけ? とか思ったでしょ?」
バレてる……。
「いい? キャシーが無知なフライに色々教えてあげるの。嬉しい? ねぇ、嬉しい?」
「あ、うん……それはありがたいけど」
「えっへん! そこに座ってぇ」
キャシーに言われるがまま近くのベンチに腰をかけた。すると思いのほか結構しっかりめにこのゲームについて語ってくれた。
その中でも俺が興味を持ったのが、この大都市に自分の家を買うことができるということだった。
それから定期的にイベントが行われているということ。イベントの際はこの広場に集まって、アナウンスが流れるらしい。
他にも世界の国事情とか色々キャシーなりに喋っていたけど、なんかよくわかんなかったし街や国の名前出されてもわからなかったから、とりあえずスルーだな。
ぶっちゃけあんまり興味ないし。
「ねぇフライ聞いてる?」
「あ、うん」
――それにしてもゲームの中だが家を買うことができるとは。
現実では一人暮らしなんて夢のまた夢だったから、ゲームの世界だけでも一人暮らしをしてみたいものだ。
しかしキャシーによると家を買うのは大量の金貨が必要だとか。まぁ当然っちゃ当然だけど。
その大量の金貨をゲットするためにはイベントに参加するのが、一番の近道とも言っていたな。
イベントで優勝すれば大量の金貨だけじゃなく、ユニーク装備や高価なアイテムが報酬として配られるとか。
ちなみにユニーク装備とは、世界に二つとないアイテムのこと。つまり俺専用の俺しか持ってない装備を手に入れられるってことだ。
まぁ優勝は無理だろうけど、とりあえず試しで参加だけはしてみたいよな。どこまで行けるもんか試してみたい気もしないでもないし。
そのためにはもっと強くならなくてはな。
そうと決まれば行動あるのみ!
「キャシーはねぇ家を買ったらフライを招待したげるよぉ」
キャシーは無邪気な笑顔でペラペラと夢物語を喋り続けていた。
「キャシーごめん、俺用事出来たから帰るよ。今日はありがとな」
キャシーに両手を合わせて悪びれた顔を見せ、俺はベンチから立ち上がった。
そして振り返ることなくそのまま狩りに……修行に出かけたのだった。
「ちょ、フライぃ! ……もう、キャシーの話ちゃんと聞いてたかなぁ」
背後でキャシーは何か言っていたが、その声が俺に届くことはなかった。
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