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十八話 再会
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「もう一週間になるな」
「僕たち、ずっとこのままなのかな」
「冗談じゃないわよ! メールよ、メール! 運営にメールを送るの。中からだってメールは遅れるんだから」
この状況になってからもう一週間が経とうとしていた。
今だに諦めずに運営にメールを送るものや、広場で叫んでいるものまでいる。
この事態に運営は何をしているんだろうか。
NPCも今だに戻らないままだし、このまま行くと俺たちは一生閉じ込められたままなんてことも……。
いや、そんな想像はやめよう。
「ねぇねぇ聞いた? 初心者狩りが最近見なくなったんだって」
「確かに……最近裸で歩いてる人少なくなったよね」
「なんでも騎士団に痛い目見せられてアジトに引っ込んじゃったとか」
初心者狩りの姿を見なくなったのは俺だけじゃなかったようだ。
不思議に思っていたが、もうやめたのか。
俺としてはありがたいが、親友はまだ戻ってきていない。
まだ奴らとつるんでいるのだろうか。
まぁ、初心者狩りをやめたならいいのだが、まだ奴らといるってのが腑に落ちないな。
「はぁ――」
暇だな……この状況になってからNPCがいないからもちろんクエストも発生しないし、各地から魔物までも消滅している。
だから魔物を狩ることも出来ない。
俺は何もすることがなくため息を付きながら、噴水広場のベンチに腰掛けた。
そして何気なく辺りをキョロキョロと見渡していると――
プツン――ブワン――プッ――ピピピ――
そんな音が流れた。そして思わず天を見上げる。
「なんだなんだ?」
辺りが騒がしい。
すると突然のことだった。
NPCと思わしき人たちが次々と現れ始めた。
「え?」
俺は辺りを見渡した。
どうやら各地でNPCが順次姿を現しているようだ。
俺はすぐにメルティたちの元に走った。
おそらくもう知っているだろうが、この嬉しい事実を共有したかったんだ。
「おーい、NPCが戻ったって……」
宿屋にいた三人に話しかけた。
するとグレッツはもの凄い勢いで宿屋を飛び出して行った。
「あれ……今のグレッツだよな?」
どうやらグレッツはNPCが戻ったことでラルも戻っているんじゃないかと、ラルが消えたあの広場に走って行ったようだ。
そして俺たちもグレッツの後に続き広場へ向かった。
◇ ◇ ◇
NPCが復活したのならラルも戻っているはず……。
すぐに戻らなくては!
俺はラルが消えたあの場所へ超スピードで向かった。
すると広場には小さな女の子が一人ポツンと半べそをかいている。
「あれは……! ラル――」
その声に気が付いたラルはこちらを向き走ってくる。
「――グレッツ!」
ラルは勢いよく俺のところに飛び込み抱き着いた。
俺はそれを優しく包み込み強く抱きしめた。
「怖かったよぉ……いきなり真っ暗になったの」
「あぁ……すまない。一人にしてすまない……」
※
「よかった、戻ったみたいだな」
俺たちがグレッツに追いついた頃には、ラルを抱きしめるグレッツの姿があった。
あんな表情のグレッツは初めて見る……。よほどラルが大切なんだろう。
俺たちに気が付いたグレッツはラルの手を引き、こっちに向かってきた。
「おそらくサーバーが元に戻ったんだろう。ログアウトも出来るようになっている」
グレッツはそう言いながら自分のメニュー画面を見せた。
「本当だぁ! ようやく元の生活に戻れるねッ」
キャシーが目をキラキラさせながらそう言うと、周りでは次々とログアウトを始めている。
またいつログアウトできなくなるかわからないという不安からだろう。
でもこれで、このゲームから人口は減るだろうな。
せっかくいい感じに活気づいてきたところなのに残念だ。
サーバーが元に戻ってしばらく経った。
みんなの予想通り初心者はゲームからほとんど姿を消し熟練プレイヤーだけが残った。
そしてもちろん初心者狩りの連中も頭が冷えたのか自分の行いを悔い、このゲームから去って行った。
一部の連中を除いては……。
一部の連中は、何も知らないでゲームを始めた数少ない初心者を狙って、再び活動を始めたようだった。
そんな連中を捕まえるために再び騎士団が結成され、一部の熟練プレイヤーは動き始めた。
もちろんメルティたちも。
俺はというと――
「ごめんねぇフライ君。僕がいるからこのパーティーには入れないんだよ」
新しくメルティのパーティーに入ったあの陽気な男のせいで、俺は再び入ることができずに……気落ちしていた。
そしてあのサーバーダウンのときにパーティーに、パーティーに入ってきた女の子メリッサはというと――
サーバーが復活すると同時に、まるで幽霊かのようにスゥっと姿を消した。
気が付いたらいなくなっていたのだ。
今思えば妙だ。
メルティたちと一緒にいた時もメリッサは俺と行動を共にしていた。
でもメルティはおろかあのキャシーですら、メリッサに触れる事はなかった。
元気にフレンドになろうとか言い出しそうなものだけど……。
あのメリッサとかいう女の人。
一体なんだったんだろうか。
――ただの幻だったのだろうか。
俺の幻覚だったというのだろうか。
いや……これ以上、考えるのはよそう。
そしてそれ以降、メリッサの姿を見る事は一度もなかった。
「僕たち、ずっとこのままなのかな」
「冗談じゃないわよ! メールよ、メール! 運営にメールを送るの。中からだってメールは遅れるんだから」
この状況になってからもう一週間が経とうとしていた。
今だに諦めずに運営にメールを送るものや、広場で叫んでいるものまでいる。
この事態に運営は何をしているんだろうか。
NPCも今だに戻らないままだし、このまま行くと俺たちは一生閉じ込められたままなんてことも……。
いや、そんな想像はやめよう。
「ねぇねぇ聞いた? 初心者狩りが最近見なくなったんだって」
「確かに……最近裸で歩いてる人少なくなったよね」
「なんでも騎士団に痛い目見せられてアジトに引っ込んじゃったとか」
初心者狩りの姿を見なくなったのは俺だけじゃなかったようだ。
不思議に思っていたが、もうやめたのか。
俺としてはありがたいが、親友はまだ戻ってきていない。
まだ奴らとつるんでいるのだろうか。
まぁ、初心者狩りをやめたならいいのだが、まだ奴らといるってのが腑に落ちないな。
「はぁ――」
暇だな……この状況になってからNPCがいないからもちろんクエストも発生しないし、各地から魔物までも消滅している。
だから魔物を狩ることも出来ない。
俺は何もすることがなくため息を付きながら、噴水広場のベンチに腰掛けた。
そして何気なく辺りをキョロキョロと見渡していると――
プツン――ブワン――プッ――ピピピ――
そんな音が流れた。そして思わず天を見上げる。
「なんだなんだ?」
辺りが騒がしい。
すると突然のことだった。
NPCと思わしき人たちが次々と現れ始めた。
「え?」
俺は辺りを見渡した。
どうやら各地でNPCが順次姿を現しているようだ。
俺はすぐにメルティたちの元に走った。
おそらくもう知っているだろうが、この嬉しい事実を共有したかったんだ。
「おーい、NPCが戻ったって……」
宿屋にいた三人に話しかけた。
するとグレッツはもの凄い勢いで宿屋を飛び出して行った。
「あれ……今のグレッツだよな?」
どうやらグレッツはNPCが戻ったことでラルも戻っているんじゃないかと、ラルが消えたあの広場に走って行ったようだ。
そして俺たちもグレッツの後に続き広場へ向かった。
◇ ◇ ◇
NPCが復活したのならラルも戻っているはず……。
すぐに戻らなくては!
俺はラルが消えたあの場所へ超スピードで向かった。
すると広場には小さな女の子が一人ポツンと半べそをかいている。
「あれは……! ラル――」
その声に気が付いたラルはこちらを向き走ってくる。
「――グレッツ!」
ラルは勢いよく俺のところに飛び込み抱き着いた。
俺はそれを優しく包み込み強く抱きしめた。
「怖かったよぉ……いきなり真っ暗になったの」
「あぁ……すまない。一人にしてすまない……」
※
「よかった、戻ったみたいだな」
俺たちがグレッツに追いついた頃には、ラルを抱きしめるグレッツの姿があった。
あんな表情のグレッツは初めて見る……。よほどラルが大切なんだろう。
俺たちに気が付いたグレッツはラルの手を引き、こっちに向かってきた。
「おそらくサーバーが元に戻ったんだろう。ログアウトも出来るようになっている」
グレッツはそう言いながら自分のメニュー画面を見せた。
「本当だぁ! ようやく元の生活に戻れるねッ」
キャシーが目をキラキラさせながらそう言うと、周りでは次々とログアウトを始めている。
またいつログアウトできなくなるかわからないという不安からだろう。
でもこれで、このゲームから人口は減るだろうな。
せっかくいい感じに活気づいてきたところなのに残念だ。
サーバーが元に戻ってしばらく経った。
みんなの予想通り初心者はゲームからほとんど姿を消し熟練プレイヤーだけが残った。
そしてもちろん初心者狩りの連中も頭が冷えたのか自分の行いを悔い、このゲームから去って行った。
一部の連中を除いては……。
一部の連中は、何も知らないでゲームを始めた数少ない初心者を狙って、再び活動を始めたようだった。
そんな連中を捕まえるために再び騎士団が結成され、一部の熟練プレイヤーは動き始めた。
もちろんメルティたちも。
俺はというと――
「ごめんねぇフライ君。僕がいるからこのパーティーには入れないんだよ」
新しくメルティのパーティーに入ったあの陽気な男のせいで、俺は再び入ることができずに……気落ちしていた。
そしてあのサーバーダウンのときにパーティーに、パーティーに入ってきた女の子メリッサはというと――
サーバーが復活すると同時に、まるで幽霊かのようにスゥっと姿を消した。
気が付いたらいなくなっていたのだ。
今思えば妙だ。
メルティたちと一緒にいた時もメリッサは俺と行動を共にしていた。
でもメルティはおろかあのキャシーですら、メリッサに触れる事はなかった。
元気にフレンドになろうとか言い出しそうなものだけど……。
あのメリッサとかいう女の人。
一体なんだったんだろうか。
――ただの幻だったのだろうか。
俺の幻覚だったというのだろうか。
いや……これ以上、考えるのはよそう。
そしてそれ以降、メリッサの姿を見る事は一度もなかった。
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