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番外編
ifルート 慎二編 『もしも慎二が気弱だったら』前編
しおりを挟む「…雪」
「あ、慎二!」
「今日も、あいつと喋ってた…あいつのこと好きなの?俺のことは捨てる?」
「そんなわけないじゃん!慎二だって女の子と距離近かったし!」
俺はいつものように、慎二を慰めてから少しむっとした。すると慎二はあからさまに喜び、俺に抱きつく。
「ごめんね、雪が1番だよ!雪…愛してるからね」
「えへへ、俺も」
慎二がこうして、俺に執着するようになったのは、中学の頃だった。
俺はその頃、慎二しか友達がいなかった。だから、俺に話しかけてくる人が少なかった。
そんな中、クラスのムードメーカーが一回だけ俺に話しかけてきてくれた。
「ねぇ、佐藤ってこの作者さん好きなの?」
俺は話しかけてきてくれたのが嬉しくて、笑顔でその人に返事をした。
「う、うん…好き」
「やっぱり?俺も好きでさ。周りになかなか好きな人がいなかったんだよね~!」
俺は緊張して、俯いてしまう。そんな俺に彼は笑顔で色々話してくれる。
「俺たち、いい友達になれそうだね?」
「えっ…友達?」
「あ、嫌だった?」
「ううん!嬉しい!…」
そう言った瞬間、慎二が勢いよく席を立って、廊下を走って行ってしまった。
「あ、慎二!」
俺も席を立って慎二を追いかける。しばらく、探し回って屋上に向かう階段に慎二はいた。
「慎二、どうかしたの?」
「雪が…あいつと友達になるって」
「え?」
「俺はもう、いらないんでしょ?」
「フフ、そんなわけないじゃん。俺には慎二しかいないんだよ?」
しょぼんとしていた慎二は、笑顔になり俺の耳元で囁いた。
「ずっと一緒だからね?雪が嫌だって言っても…」
俺はなんだか、取り返しのつかないことをしてしまったのかもしれない。そう思いながらも俺は慎二の言葉に頷いていた。
「雪、昨日は気持ち良かったみたいだね?」
「監視カメラで見るのやめてって言ったじゃん…」
「可愛かったよ…あれで、5発は抜ける」
「堂々とオカズ宣言しないでください。あと、お風呂場にもカメラつけたでしょ?」
「バレたか…」
俺は、溜息をついて少し怒った表情をした。
「もう!本物に手を出してもいいって言ってるじゃんか」
「まだダメなんだよ…雪の処女を取っておかなきゃ」
「俺が処女じゃなかったら?」
慎二は不気味に笑って、握る手を強くした。
「そんなの雪じゃないよ…偽物だ」
「っ」
我ながら、ヤバい人に好かれたなと思う。そこがいいと分かっているのだが、たまに逃げ出したくなる。
「…慎二は童貞なの?」
「え?いや、俺は卒業してる」
「は?!誰と?」
「中学の時の彼女」
俺には処女貫けとか言ってるくせに、自分は俺に何もくれないからね…理不尽にも程があるよ。
「やっぱり処女は違う人にあげようかな」
「は?」
(ヤバい…琴線に触れてしまったようだ)
「う、嘘だよ?慎二がどんな反応するかなって!」
「冗談も程々にしてよね…」
「ごめんね!許して?」
可愛くおねだりすると、慎二は機嫌を良くしたのか手を繋いできた。
「雪、高校卒業したら監禁してもいいよね?」
「えー…大学行きたいからなぁ」
「まだダメなの?」
「同棲ならいいよ」
ニコッと笑って慎二にくっつく。すると、慎二は頬を赤らめて、小さい声で呟いた。
「それって雪がお嫁さんになるってこと?」
「え?俺が?慎二の方が料理上手いじゃん」
「いいの!エッチする時は雪が下でしょ?」
「それは…うん」
「子供産むのが、旦那とか少し変でしょ?」
俺の頭の中はハテナで埋め尽くされた。今までの常識を覆された。
「子供?」
「うん、雪に似た子供が欲しいな」
「…慎二、男は子供を産めないんだよ」
「え?」
慎二は何を言ってるのか分からないみたいな表情をした。
「…雪は子供産めるでしょ?」
「産めないよ」
「じ、じゃあ孕ませられない?…」
「当たり前です」
ショックを受ける慎二を見て、思わず笑ってしまう。
(保健の授業で習ったよね?)
「元気出して!もしかしたら、未来には男でも妊娠できる薬が開発されてるかもしれないじゃん!」
「そうだね…」
すっかり元気をなくしてしまった慎二。
「…慎二」
「…何?」
俺は背伸びをして慎二にチュッとキスをした。
「早く行こう、遅刻しちゃう」
「っ!うん」
学校についてからも、元気がないよう。
(慰めようにも、子供を産めないのは事実だし…)
「雪…お昼行こっか」
「あ、うん」
いつもなら、授業が終わってすぐに俺の机にくるのに今日はなんだかゆっくりだ。
「慎二、大丈夫?」
「…うん」
2人とも黙ったその時、慎二が口を開いた。
「今日、雪の処女奪っていい?」
「うぇっ?!…」
俺は箸で掴んでいたトマトを落としてしまった。
「あんなに誘ったのに今?」
「うん…」
「フフ、分かった。今日家に親と妹いないから来ていいよ」
「本当?じゃあ、行く」
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