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Echo18:変化
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塔の帰り道、ユーグと別れて帰路を辿るアリセルの胸には、小さな喜びが灯っていた。
言葉はなかったが、ルネがたしかに反応してくれた。目を合わせてくれた。手を重ねてくれた。
そして、紅茶とタルトを一緒に味わってくれた。
それに、ユーグが持ってきてくれたタルトも美味しかった。
あんなに果物がたっぷりとのった贅沢な焼き菓子ははじめてだった。甘さと酸味がふわりと溶け合って、ひとくちごとに、心までほどけていくようだった。
そんな一日を思い返しながら、アリセルは家の扉を開けた。
「おかえりなさい、アリセル。お疲れ様」
迎えてくれたのはミーシャだった。エプロン姿のまま、湯気の立つティーカップを手にしている。
「ちょうど今、お茶にしていたところなの。あなたもどう?」
「うん、着替えてくるね」
微笑みを返して階段を上がる。
少し汗ばんだ服を脱ぎ、楽な部屋着に着替えてから、アリセルは一階の食卓に戻った。
テーブルの上には、母の淹れたハーブティーと、焼きたてのクッキーが並んでいる。
アリセルはカップを手にとってひと口、飲む。
エルダーフラワーの穏やかな香りと蜂蜜の甘みが広がり、アリセルは自然と息を吐いた。本に目を落としていたジョゼフは、静かに閉じてテーブルに置き、アリセルの方へ穏やかな視線を向けた。
「今日はどうだった?」
問いかけに、アリセルはにっこりと微笑んだ。
「とっても良い日だったの。ルネ様がね、私の手を握り返してくれたの。それに、ちゃんと目を合わせてくれたのよ。それだけじゃなくて、ユーグが持ってきてくれたタルトも一緒に食べてくれたわ」
言いながら、自然と頬が綻んでいた。言葉を重ねるごとに、今日一日の出来事が愛おしさとともに蘇る。
「あの彼がか……?」
ジョゼフが少し驚いたように言った。
無理もない、とアリセルは思う。父はルネの荒みきった様子をよく知っている。
前任の看守に痛めつけられ、人の言葉も目線も受け入れず、まるで壊れた人形のように黙していた彼が、誰かの手を握り返し、同じものを口にして過ごすなど、信じがたい変化なのだろう。
「アリセル……あなたは、本当に自慢の娘よ」
ミーシャが、胸を詰まらせたような声で言った。母の目に、うっすらと涙が浮かんでいるのを見て、アリセルは、きょとんとした顔になる。
「え、お母様、どうしたの?」
問いかけると、ミーシャは目元を拭い、優しく笑った。
「だって、あなた、ルネ様にずっと寄り添ってあげていたじゃない。それが今日、やっと……あの方が手を握り返してくれたなんて、本当に嬉しくて」
ミーシャはカップを持つ手に力を込めた。
「あなたの思いやりが、きちんと伝わったのよ。ねえ、素晴らしいことじゃない。アリセル、あなたはとても優しくて、思いやりのある子よ。そんな娘を持てたことを、本当に誇りに思ってるのよ」
ミーシャはそう言って、アリセルの手に自分の手を重ねた。
母の賛辞は何だか大袈裟な気がして、いまいちピンとはこなかった。だが彼女が喜んでくれるのは矢張り嬉しい。
やがてジョゼフが、ふとした調子で言った。
「いずれ、ルネ様にも外の空気を感じていただけるようにしてはどうかと考えている。今度、外にお連れしてみるか?」
「え……いいの?」
驚きに目を見張るアリセルに、父は落ち着いた声で続けた。
「あれほどご体調の優れなかったお方だ。外を少し歩いていただき、陽の光に触れていただくのも、差し支えないかもしれん」
「うんっ!」
アリセルの顔に、ぱっと花が咲いたような喜びが広がる。
ルネが、外へ──。あの閉ざされた塔の中ではなく、陽の光に包まれた庭へ、風の吹き抜ける丘へ。季節の花が咲き、鳥の声が聞こえる、そんな場所に行くことができる。
その姿を思い描くだけで、胸の奥が熱くなった。そんなアリセルの様子を見届けながら、ジョゼフが続ける。
「それと、もう少し先のことになるが……いずれは教育係をお付けしようと思っている」
その一言に、アリセルの胸はさらに高鳴った。
ルネの世界が広がっていく。立ち居振る舞いを学び、人としての尊厳を取り戻すための、大切な一歩。ほんの少し前まで、何もできなかった彼が、外出の話をされ、誰かから教えを受ける未来まで語られているのだ。
その一つひとつが、アリセルには奇跡のように思えた。
閉ざされていた扉が、少しずつ開いていく。硬く凍りついていた世界に、ほんのりと陽が差し込んでいく。
しかし同時に、彼の歩幅に寄り添いたいとも思った。
あまりにも急に世界を広げてしまっては、きっと彼の心は追いつけない。せっかく芽吹いた小さな変化を、自分たちの都合で踏みつけてしまうようなことだけはしたくなかった。
だからこそ、とアリセルは思う。
ルネが外へ出る日を、誰かから学ぶ日を、ちゃんと迎えられるように。その下準備として、自分はもっと彼と向き合おう。もっと近くで思いを感じ取り、寄り添い続けよう。
決意を胸に、アリセルはもう一度カップを手に取った。
温もりが手のひらに心地よく、気持ちまで穏やかにほどけていく気がした。
そのときだった。ふとした間を縫うように、ミーシャがぽつりと口にした。
「ねえ、アリセル。そう言えば、ユーグ君に恋人って、いるのかしら?」
突然の言葉に、思わず口に含んでいたハーブティーを噴き出しそうになり、アリセルは慌てて手で口元を押さえた。胸の内にあった決意は一瞬にしてかき消え、代わりに顔に熱が集まっていくのを感じる。
「な、なに言ってるの、お母様……っ」
声が裏返りそうになるのを、必死で抑える。
ミーシャは悪びれた様子もなく、ただ微笑ましそうに娘を見つめていた。
「さっき話したルネ様の教育係の子、デイジー・マレ嬢っていってね。遠い親戚の子なんだけど、とても美人で気立ても良くて、きっとユーグ君も気にいると思うのよ」
「……それは私じゃなくてユーグに言って」
「そうね、彼もご両親を亡くして苦労してきたから。素敵なお相手を見つけて幸せになってもらわないとね」
うきうきと語る母をアリセルは複雑な気持ちで見つめる。
デイジー・マレ嬢がどんな人物かは分からない。
だが、母が言うように美人で気立ての良い女性を紹介されたら、ユーグはどんな反応を示すのだろう。無意識にユーグからもらった木の指輪をはめた指先に、目を落としていた。
言葉はなかったが、ルネがたしかに反応してくれた。目を合わせてくれた。手を重ねてくれた。
そして、紅茶とタルトを一緒に味わってくれた。
それに、ユーグが持ってきてくれたタルトも美味しかった。
あんなに果物がたっぷりとのった贅沢な焼き菓子ははじめてだった。甘さと酸味がふわりと溶け合って、ひとくちごとに、心までほどけていくようだった。
そんな一日を思い返しながら、アリセルは家の扉を開けた。
「おかえりなさい、アリセル。お疲れ様」
迎えてくれたのはミーシャだった。エプロン姿のまま、湯気の立つティーカップを手にしている。
「ちょうど今、お茶にしていたところなの。あなたもどう?」
「うん、着替えてくるね」
微笑みを返して階段を上がる。
少し汗ばんだ服を脱ぎ、楽な部屋着に着替えてから、アリセルは一階の食卓に戻った。
テーブルの上には、母の淹れたハーブティーと、焼きたてのクッキーが並んでいる。
アリセルはカップを手にとってひと口、飲む。
エルダーフラワーの穏やかな香りと蜂蜜の甘みが広がり、アリセルは自然と息を吐いた。本に目を落としていたジョゼフは、静かに閉じてテーブルに置き、アリセルの方へ穏やかな視線を向けた。
「今日はどうだった?」
問いかけに、アリセルはにっこりと微笑んだ。
「とっても良い日だったの。ルネ様がね、私の手を握り返してくれたの。それに、ちゃんと目を合わせてくれたのよ。それだけじゃなくて、ユーグが持ってきてくれたタルトも一緒に食べてくれたわ」
言いながら、自然と頬が綻んでいた。言葉を重ねるごとに、今日一日の出来事が愛おしさとともに蘇る。
「あの彼がか……?」
ジョゼフが少し驚いたように言った。
無理もない、とアリセルは思う。父はルネの荒みきった様子をよく知っている。
前任の看守に痛めつけられ、人の言葉も目線も受け入れず、まるで壊れた人形のように黙していた彼が、誰かの手を握り返し、同じものを口にして過ごすなど、信じがたい変化なのだろう。
「アリセル……あなたは、本当に自慢の娘よ」
ミーシャが、胸を詰まらせたような声で言った。母の目に、うっすらと涙が浮かんでいるのを見て、アリセルは、きょとんとした顔になる。
「え、お母様、どうしたの?」
問いかけると、ミーシャは目元を拭い、優しく笑った。
「だって、あなた、ルネ様にずっと寄り添ってあげていたじゃない。それが今日、やっと……あの方が手を握り返してくれたなんて、本当に嬉しくて」
ミーシャはカップを持つ手に力を込めた。
「あなたの思いやりが、きちんと伝わったのよ。ねえ、素晴らしいことじゃない。アリセル、あなたはとても優しくて、思いやりのある子よ。そんな娘を持てたことを、本当に誇りに思ってるのよ」
ミーシャはそう言って、アリセルの手に自分の手を重ねた。
母の賛辞は何だか大袈裟な気がして、いまいちピンとはこなかった。だが彼女が喜んでくれるのは矢張り嬉しい。
やがてジョゼフが、ふとした調子で言った。
「いずれ、ルネ様にも外の空気を感じていただけるようにしてはどうかと考えている。今度、外にお連れしてみるか?」
「え……いいの?」
驚きに目を見張るアリセルに、父は落ち着いた声で続けた。
「あれほどご体調の優れなかったお方だ。外を少し歩いていただき、陽の光に触れていただくのも、差し支えないかもしれん」
「うんっ!」
アリセルの顔に、ぱっと花が咲いたような喜びが広がる。
ルネが、外へ──。あの閉ざされた塔の中ではなく、陽の光に包まれた庭へ、風の吹き抜ける丘へ。季節の花が咲き、鳥の声が聞こえる、そんな場所に行くことができる。
その姿を思い描くだけで、胸の奥が熱くなった。そんなアリセルの様子を見届けながら、ジョゼフが続ける。
「それと、もう少し先のことになるが……いずれは教育係をお付けしようと思っている」
その一言に、アリセルの胸はさらに高鳴った。
ルネの世界が広がっていく。立ち居振る舞いを学び、人としての尊厳を取り戻すための、大切な一歩。ほんの少し前まで、何もできなかった彼が、外出の話をされ、誰かから教えを受ける未来まで語られているのだ。
その一つひとつが、アリセルには奇跡のように思えた。
閉ざされていた扉が、少しずつ開いていく。硬く凍りついていた世界に、ほんのりと陽が差し込んでいく。
しかし同時に、彼の歩幅に寄り添いたいとも思った。
あまりにも急に世界を広げてしまっては、きっと彼の心は追いつけない。せっかく芽吹いた小さな変化を、自分たちの都合で踏みつけてしまうようなことだけはしたくなかった。
だからこそ、とアリセルは思う。
ルネが外へ出る日を、誰かから学ぶ日を、ちゃんと迎えられるように。その下準備として、自分はもっと彼と向き合おう。もっと近くで思いを感じ取り、寄り添い続けよう。
決意を胸に、アリセルはもう一度カップを手に取った。
温もりが手のひらに心地よく、気持ちまで穏やかにほどけていく気がした。
そのときだった。ふとした間を縫うように、ミーシャがぽつりと口にした。
「ねえ、アリセル。そう言えば、ユーグ君に恋人って、いるのかしら?」
突然の言葉に、思わず口に含んでいたハーブティーを噴き出しそうになり、アリセルは慌てて手で口元を押さえた。胸の内にあった決意は一瞬にしてかき消え、代わりに顔に熱が集まっていくのを感じる。
「な、なに言ってるの、お母様……っ」
声が裏返りそうになるのを、必死で抑える。
ミーシャは悪びれた様子もなく、ただ微笑ましそうに娘を見つめていた。
「さっき話したルネ様の教育係の子、デイジー・マレ嬢っていってね。遠い親戚の子なんだけど、とても美人で気立ても良くて、きっとユーグ君も気にいると思うのよ」
「……それは私じゃなくてユーグに言って」
「そうね、彼もご両親を亡くして苦労してきたから。素敵なお相手を見つけて幸せになってもらわないとね」
うきうきと語る母をアリセルは複雑な気持ちで見つめる。
デイジー・マレ嬢がどんな人物かは分からない。
だが、母が言うように美人で気立ての良い女性を紹介されたら、ユーグはどんな反応を示すのだろう。無意識にユーグからもらった木の指輪をはめた指先に、目を落としていた。
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