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そっと、口吻けを。
そっと、口吻けを。 8
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オレは美波に何をどう言おうかと考えて、でもそんな模範解答なんてあるわけもなく。
思ったままを素直に伝えるしかなかった。
美波のまだ濡れている髪を撫ぜて、冷静に話そうと気持ちを落ち着かせて、ゆっくりと話す。
「美波、聞いて。ごめんね。たしかに、あの人は、珀英はただの友達じゃない・・んだ」
「・・・」
「恋人・・・なんだ。お付き合いしてる。男同士だけど、きちんとお付き合いしている人なんだ」
「意味わかんない・・・変だよ・・・」
「うん・・・変だね。でも、好きになっちゃったんだ。気づいたら、性別なんか気にならないくらい、好きになってた。ごめんね・・・」
美波は何も言わずに俯(うつむ)いている。泣いているのかどうか、顔を見せてくれないのでわからない。
それでも話しを聞いてくれる美波が、本当に愛おしく思う。普通だったらこんな話し聞きたくもないだろうに、ちゃんと色々考えようと頑張っている。
こういう芯が強いところは、母親に似てる。
「パパも何で男の人なのに好きなったのかわかんないけど・・・珀英以外の男の人はそういう目で見れないし。美波には、もう少し大きくなったら紹介しようと思ってたんだ」
「美波とあの人とどっちが大事?!」
美波は急に叫ぶと、顔をあげて全身でオレに寄りかかってくる。美波が落ちないように、抱き止めると、オレはちゃんと真っ直ぐ美波の瞳を見て答えた。
「どっちも大事だよ。選ぶなんてできない」
「何で?!おかしいよ。だって美波は『家族』でしょう?あの人は『他人』でしょう?だったら美波のほうが大事でしょう?!」
「美波・・・それは違う。『家族』だからとか、そういうことじゃなくて・・・」
「パパの『家族』は美波とママと、おじいちゃんとおばあちゃんと・・・あの人は違うでしょう!違うのに、どうして?!」
「美波・・・」
叫びながら美波はオレの首筋にしがみついて、泣きじゃくって離れない。オレがどこかに行ってしまうんじゃないかと、自分を捨てるんじゃないかと不安で、必死にしがみついている。
そんな風に思えた。
オレは美波を抱きしめた。小さな背中を、腰を抱きしめて、背中をぽんぽんと優しく叩く。
ひたすら『家族』という言葉を使って。
必死にしがみついて離れないで。
そうやってオレを、父親を繋ぎとめようと必死になっている。
まだたった10歳の娘を、こんなにも不安にさせてしまっている。
本当にダメな父親でごめんね。最低な父親でごめんね。
「大丈夫だよ。パパが美波を嫌いになるわけない。大丈夫だよ。大好きだよ。美波を愛してるよ」
「本当に・・・?」
嗚咽(おえつ)に混じって、美波の小さな鈴を転がすような、綺麗な可愛い声が聞こえる。
「本当だよ。何があってもこれだけは変わらないから。だから大丈夫だよ。だから・・・パパは・・・珀英とも『家族』になりたいと思ってる。ずっと、一緒にいたいんだ」
「・・・美波は、あの人嫌い」
「そんなに・・・?」
美波は顔を上げると、涙と鼻水でぐしゃぐしゃなのに、最高に可愛い顔をむくれさせて。
「絶対に嫌い!」
どうやら、珀英と美波が仲良くなるのは、時間がかかりそうだった。
思ったままを素直に伝えるしかなかった。
美波のまだ濡れている髪を撫ぜて、冷静に話そうと気持ちを落ち着かせて、ゆっくりと話す。
「美波、聞いて。ごめんね。たしかに、あの人は、珀英はただの友達じゃない・・んだ」
「・・・」
「恋人・・・なんだ。お付き合いしてる。男同士だけど、きちんとお付き合いしている人なんだ」
「意味わかんない・・・変だよ・・・」
「うん・・・変だね。でも、好きになっちゃったんだ。気づいたら、性別なんか気にならないくらい、好きになってた。ごめんね・・・」
美波は何も言わずに俯(うつむ)いている。泣いているのかどうか、顔を見せてくれないのでわからない。
それでも話しを聞いてくれる美波が、本当に愛おしく思う。普通だったらこんな話し聞きたくもないだろうに、ちゃんと色々考えようと頑張っている。
こういう芯が強いところは、母親に似てる。
「パパも何で男の人なのに好きなったのかわかんないけど・・・珀英以外の男の人はそういう目で見れないし。美波には、もう少し大きくなったら紹介しようと思ってたんだ」
「美波とあの人とどっちが大事?!」
美波は急に叫ぶと、顔をあげて全身でオレに寄りかかってくる。美波が落ちないように、抱き止めると、オレはちゃんと真っ直ぐ美波の瞳を見て答えた。
「どっちも大事だよ。選ぶなんてできない」
「何で?!おかしいよ。だって美波は『家族』でしょう?あの人は『他人』でしょう?だったら美波のほうが大事でしょう?!」
「美波・・・それは違う。『家族』だからとか、そういうことじゃなくて・・・」
「パパの『家族』は美波とママと、おじいちゃんとおばあちゃんと・・・あの人は違うでしょう!違うのに、どうして?!」
「美波・・・」
叫びながら美波はオレの首筋にしがみついて、泣きじゃくって離れない。オレがどこかに行ってしまうんじゃないかと、自分を捨てるんじゃないかと不安で、必死にしがみついている。
そんな風に思えた。
オレは美波を抱きしめた。小さな背中を、腰を抱きしめて、背中をぽんぽんと優しく叩く。
ひたすら『家族』という言葉を使って。
必死にしがみついて離れないで。
そうやってオレを、父親を繋ぎとめようと必死になっている。
まだたった10歳の娘を、こんなにも不安にさせてしまっている。
本当にダメな父親でごめんね。最低な父親でごめんね。
「大丈夫だよ。パパが美波を嫌いになるわけない。大丈夫だよ。大好きだよ。美波を愛してるよ」
「本当に・・・?」
嗚咽(おえつ)に混じって、美波の小さな鈴を転がすような、綺麗な可愛い声が聞こえる。
「本当だよ。何があってもこれだけは変わらないから。だから大丈夫だよ。だから・・・パパは・・・珀英とも『家族』になりたいと思ってる。ずっと、一緒にいたいんだ」
「・・・美波は、あの人嫌い」
「そんなに・・・?」
美波は顔を上げると、涙と鼻水でぐしゃぐしゃなのに、最高に可愛い顔をむくれさせて。
「絶対に嫌い!」
どうやら、珀英と美波が仲良くなるのは、時間がかかりそうだった。
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