普通の会社員の異世界冒険物語〜程々に強いがちやほやされる訳でもなく、悪い奴もそんないない異世界で必死に生きる〜

ときすでにおすし(サビ抜き)

文字の大きさ
37 / 46
第5章 上級冒険者 前編

08.Cランク

しおりを挟む
 流石に、明日は討伐依頼なので、何も考えず寝た。
 酒が入っていたためか、すぐに眠れた。


 夢をみた。
 カルディアと駅で待ち合わせをして商店街を歩いたり、公園にいく夢だった。
 向こうの世界の服をきたカルディアが恥ずかしそうにしていて、天使だった・・・。
 俺が勇気をだしてカルディアの手を握ろうとするところで

「おきろー。朝だぞー」

 現実のカルディアに起こされる。

「夢か・・・。おはよう」
 
 夢ぐらい、もうちょっと頑張れよ俺。
 しかし、この世界に来て初めて元の世界の夢を見た。
 あの日記の所為かもしれない。


 もそもそ俺が支度を始めると、カルディアは、いつものように風呂に走っていった。
 
 食堂に移動してのんびりとコーヒーと朝食を食べていると、マークが起きて来た。
 しばらくして、カルディアとエリサもきた。


 さて、今日はCランクに昇格するための討伐依頼をこなす日だ。

「知ってるだろうけど、アディさんはご家庭の都合でしばらく不参加です。なんかあったら指輪で連絡してだそうです。事務連絡は以上です」

 皆、了承する。

「あと、昨日言い忘れたが、お前らが逃げたのアディさん気が付いてるからな」

 皆、目をそらす。

 当たり前だろ急にフェードアウトしたら。
 まぁいいや。じゃ行くか。ということで、ギルドに向かう。

 

 
 ギルドの受付のお姉さんのとこ行って、Cランクの実技試験として、昨日目星をつけたオーク亜種とオーガの討伐依頼を受ける手続きをした。
 場所は、王都の近くにある西の森だ。とりあえず、さっさと出発だ。


 王都の門を出て、西の森を目指して草原を歩く。
 今日も良い天気だ。王都付近では、駆け出しの冒険者がゴブリンやグラスウルフと戦っている。
 俺もこんな時期があったなぁ。最初の頃は、ぼっちだったけどな。

 急にマークがグラスウルフの群と戦っている冒険者パーティの元に走って行った。
 劣勢っぽいな。マークは周りよく見てるなぁ。
 俺も付いていって怪我したやつを治療しておいた。助けた冒険者パーティに激しく感謝されて、ちょっと良い気分。
 

 そして、森の前についた。
 俺らは40階層のオーガを倒せるぐらいの実力があるので、正直適正レベル外のターゲットなのだが、侮ることなく挑まなくては。
 調子に乗ってる時こそ足元がお留守になるパターンだからな。

 カルディアが「森といったら私だろう」とか言い出して、先頭を歩き出した。
 まぁ、エルフだしな。鼻歌歌ってる。すげー楽しそうだな。
 
 しばらくカルディアのよくわからない鼻歌を聞きながら森の中を進むと、オークの群れを見つけた。
 亜種も何体かいる。オーク亜種は体が赤く大きい。そして、普通のオークもいる。

「あの赤いのでかいな」

「でかいが、そこまで強くないから落ち着いていくんだぞ、タケシ」

「ああ。大丈夫だ。数が多いから乱戦になると面倒だ。俺とカルディアとエリサで魔法でやろう。マークは漏れたのを頼む」

「あとエリサ、燃え移らないように注意しろよ」

「大丈夫。闇魔法でやるわ」

 そうだ、闇魔法使えるようになってたんだった。

「じゃ、いくぞ」

 俺は、修行の時にカルディアから教えてもらった光の矢を放つ。カルディアみたいに連射はできないが。
 カルディアも、光の矢を複数放つ。エリサは、闇の球を複数放つ。
 光線と黒い球が飛び交いあっという間に、オークの群れを殲滅した。
 マークの出番はなかった・・・。

 オーク亜種の魔石と討伐部位を回収して、亡骸はエリサが闇沼に沈めた。えぐいな、闇沼。

 おし。これで一つ目が完了だ。
 次は、オーガだ。
 オーガはこの森のもっと奥の山に近い部分にいるらしい。


 カルディアが、また先頭に立って鼻歌歌いながら歩き始めた。

 途中で、カルディアが急に止まった。

「ど、どした!?」

 木の実を見つけて取りだしたので止めた。今はそういうの大丈夫だから、とりあえず依頼を優先しよう。
 つまらなそうに、手に持った木の実をかじってる。

 森の奥に進につれて、魔素が濃くなってくるのがわかる。
 すごく調子がいい。今なら魔法連射できるかもしれない。次も、複数いたら魔法で殲滅だな。

 しばらく歩いていると、また、急に止まった。
 もうほんとにそういうの良いから・・・。

「今度はなに」

「おい、タケシ、この花みろ!すごい珍しい花なんだぞ。すごい薬の材料の一つなんだぞ」

 そう言いながら、カルディアはその花を採取していた。
 ほう。見た感じどこにでも生えてそうな花なんだがな。言われてみれば、それっぽい風格があるようなないような・・・。

 その後もカルディアは、いろんな花とか草を採取していった。勉強になるから良しとしよう。
 
「こ、この実は!!」

「ど、どした!レアか!レアの実なのか!?」

「いや!すごいうまい実だ!」


「もういい加減、オーガを狩りにいこうぜ」

「む?じゃあ、タケシはいらないようだな。エリサ食べよう」

「ほんとだこれ美味しい」

「だろう、マークも食べろ」

「お、うまいな。これ」


 みんなで美味しそうに実を食べてる。
 く、くそ・・・

「ごめんなさい、食べたいです。俺にもください。お願いします」


「しょうがないやつだな、ほれ」

「あ、うっま。なにこれめっちゃ甘くてうま」
 
 気がつけば2個目に俺は手をつけていた。

「あ、タケシあんまり食いすぎるな」

「先、言えよ!なんだ、これ毒でもあるのか!?やべ、解毒の魔法かけないと」

 急いで解毒の魔法をかける。魔素が豊富なので思いっきり強めにかけといた。

「いや、毒は無い」

「無いんかい」

「果物を急にいっぱい食べると体冷えるからお腹壊すだろ」

 お母さんかお前は・・・。



 その後は、何事もなく進み、オーガの気配をカルディアが見つけた。
 ちょうど、1体しかいなかったので、今回はマークが行くことになった。
 近づいて一振りで片付いた。
 まぁ、強さ的には30階層までに出てくるオーガの低級のやつだろうしな。

 はい、これで依頼終了。
 そそくさと、ギルドに戻る。



 ギルドに戻ると、行きに助けたパーティに会った。
 助けた盾役の女の子のマークを見る目が、ハートだ。俺もあなたを回復したんだけど。

「先ほどはありがとうございました。純白のコップのみなさん」

 リーダーっぽい男がお礼を言ってきた。

「あ、気にしなくていいよ。たまたま通りかかっただけですし。無事でよかったです」

「あそこでマークさんが来てくださらなかったら、本当に危なかったです。タケシさんもありがとうございました」

「危なかったら逃げるのも大切だからな。命あっての冒険者だ」

 マークがアドバイスしている。
 当たり前のことを言ってるだけだが、いちいちかっこいいんだよな。
 盾役以外の女の子も目がハートだ。さっきのリーダーも感動した顔だ。
 お、おい、言ってることは普通のことだぞ?大丈夫かお前ら。

 そのうちマークに、女性たちが質問し始めた。マークは真摯に受け答えしている。

 カルディアは、リーダーの男を捕まえて、独自の冒険者論を語りだしている。
 ちょっと迷惑そうだったが、面倒だったので放置した。

 自由だな。

 あれ、そういえば、うちの病み属性が静かだな。どこいった?
 カウンターでコーヒー飲んでるだと!?ど、どした。あいつ。
 最近、意識してなかったけどマークに対する執着的な物を感じない気がする。


「な、なぁ、エリサ。最近どうした」

「急になに?別に普通よ」

「その、マークが今女の子に囲まれてるじゃないですか」

「あぁ、そうね。いつものことよ?」

「そ、そうですけど・・・」

 エリサは、カウンターにいる黒い何かと遊んでる。
 たまに、肩にのってたり、突っついて遊んでるところを目撃してたけど・・・。
 なにそれ・・・あれ、動いてる・・・え、生きてない、それ?

「あの、その黒いのは・・・」

「あぁ、この子?ルーさん」

 その後は、沈黙。続きはなし。

「そ、そうですか・・・。あ、そうだ。俺、ちょっとカルディア止めてくるわ。リーダーさん迷惑そうだし」

 大丈夫何も問題ない。大丈夫。大丈夫。俺はそれ以上考えることをやめた。
 そして、持論を一方的に語ってるカルディアを強引に止めて、依頼達成報告に行った。


 報告後、無事Cランクになった。
 次はBランクを目指して、どんどん依頼をこなそう。
 討伐系をメインに進めればすぐに上がるはずだ。お姉さんもそう言ってるし。

 よし、今日はお祝いだ!みんなで飲みに行った。アディさんは忙しいらしく合流できなかった。
 二次会は、アディオさんとこのラーメンを食べて、チロさんとこでソース唐揚げを買って宿に戻った。
 そして、風呂上がりにエールと唐揚げで乾杯して三次会をやって、その日は解散になった。


 あ、やべー、ご褒美考えんのまた忘れちまった。
 急がねーと、カルディアのことだから、忘れちゃいそうだしな。
 あ、でも、日記も読まねーとな。交換条件だし。
 ”帰りたい” の文字がページ下部を埋め尽くしてるの見てから、若干読むのが怖いんだよな・・・。
 次のページに、どんな事が書いてあるか怖くて・・・。
 


 まぁ、いいや。今日は結構飲んだから、明日から頑張ろう。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...