36 / 73
目撃者、モブ
目撃者、メイド
しおりを挟む
ご機嫌麗しゅう。私はとある方に仕えているとあるメイド。今日も今日とてお勤めをしっかりと果たしてみせます。
「うっわ~! すっげぇ!」
目の前でそんな歓声を上げられて私たちメイドもポーカーフェイスを装いながらも内心にっこり。
今日はこの方にとってもとても大切な日。それはもうこれでもかというほど磨き洗練された礼服に身を包んでもらっております。いやしかし、私たちが言うのもなんですが。
それはもう完璧。普段のふわふわの可愛いわんこがキリッとしていてこれはまた可愛い……と言ったら駄目ですね。これはまた素敵な殿方に。
「本当にメイドさんたちすごいですね。ここまでしてくれてありがとうございます」
「いいえ、私たちは当然のことをしたまででございます」
「完璧なお仕事で」
「いえいえ」
ポンポンと次から次へとお褒めの言葉を頂き、ポーカーフェイスを装いながら内心はもう満面の笑みですとも。ええ、ええ。私の後ろに控えていた年若いメイドなんてポーカーフェイスなのに頬の紅潮から嬉しさが滲み出てしまっている。
とはいえ普段作業着を着ている彼がここまで堅苦しい格好をするのも苦痛でしょうに。嫌そうな顔など一切することなく、ずっとすげぇすげぇと喜んでおられる。
もうこれにはこの場にいた全員の顔がにっこりですとも! 彼の見てないところで!
この場の雰囲気がどこかほっこりとしている中、ドアからノック音が聞こえてきた。この部屋の主は彼。彼が返事をするとドアは開かれ、美しい女性が入ってきた。
「準備はどうです?」
「はい! メイドさんたちのおかげで順調です!」
「そのようですね。うん……わたくしの見立ては確かだったようですね」
彼の爪先から頭の天辺まで吟味した王妃は、それはもうとてもご満悦そうに微笑んだ。彼の、アシエ様のにこにこの笑顔を真正面から受け止めた王妃はいつものように微笑み返す……のではなく、急にデレっと満面の笑みを浮かべた。
「本当に似合っているわ、アシエちゃん。やっぱり身体がたくましいからとても映えるわね」
「すごいですねこの服! 動きにくいかと思ったらちゃんと肩上がります!」
「ふふっ、職人の腕がいいのよ」
王子のパートナーとなったアシエ様に王も王妃もデレデレである。王族や貴族にない素朴さに素直さ、正直さ。マイナスイオンでも溢れ出ているのかと思うほどの爽やかさはこの城内に清々しい風を吹かせた。
これももう頑張って口説き落としたウェルス様のおかげですとも、ええ。私たちも見守っていた甲斐がありましたとも。まぁその見守っていた報酬とでもいいますか、ほんのちょっとだけ聞き耳を立てたこともありましたけど。
今日はとても大切な行事のため、アシエ様も礼服に身を包んでいる。この礼服について色々と決めたのは王妃自らだった。
王妃はアシエ様のように庶民の出身ではないけれど、貴族の中でも身分の低い方だった。王の熱い熱いアプローチの末のご結婚となったけれど、彼女もとてもご苦労をされた。
きっとアシエ様には同じ苦労はさせまいと、そう思っておいでなのでしょう。まるで本当の我が子のように王妃はアシエ様を支えている。
「わんこのようなふわふわの髪もいいけれど、ばっちり決めてる髪型も素敵ね」
「なんかすごく固められてる感じがします!」
「ほんの少しの辛抱よ? お披露目が終わればすぐに湯を浴びるといいわ」
だからすぐに帰ってきて頂戴ね? と慈愛を込めた眼差しを王妃はアシエ様に向けた。もしかして、ウェルス様以上に溺愛しているのでは……? と思ったものの、ウェルス様の溺愛っぷりも中々。まさに血の繋がった親子だ。
「なぜ母上のほうが先に見ているんですか」
するとこの部屋にもう一人の来客が。恐らく真っ先に見たかったのであろうウェルス様は王妃の姿を見た瞬間顔を顰めた。
「あら、この礼服を決めたのはわたくしですよ? 確認のためにわたくしがいの一番に見なければ」
「俺のアイデアを一蹴して無理やり自分のアイデアを捩じ込ませただけではありませんか」
「でも素敵でしょう?」
「もちろんですよ。母上の見立ては確かです」
おや、親子喧嘩か? と思われたものが一瞬で終わった。どうやらウェルス様も今のアシエ様の姿にデレデレのご様子。まさに血の繋がった親子だ。
「母上、父上が待ちぼうけをくらってましたよ。早く行ってあげたらどうです」
「あら、それは悪いことをしたわ。そしたらアシエちゃん、わたくしは行くわね。ウェルス、しっかりとアシエちゃんをエスコートするんですよ」
「言われるまでもなく」
去り際にアシエ様に歩み寄った王妃は軽く頬にキスを落とした。ほんの挨拶なのだけれど、いつの間にか嫉妬深い殿方に成長したウェルス様はいい顔をしない。
恐らく王妃はそのことをちゃんとわかっていたのでしょう。楽しそうにコロコロと笑って部屋をあとにした。
部屋に残されたのはお二人と、そして準備の手伝いをしていた私を含めたメイドたち。しかし、ウェルス様にとっては二人っきりになったも当然のようで。アシエ様に歩み寄ったかと思ったら迷うことなく頬に触れた。
「よく似合ってる」
「まさに馬子にも衣装ってな」
「そんなことはない。格好いい……のだが」
「だが?」
「俺からしてみると何を着たって可愛く見える」
「え~? なんだよそれ~」
唐突にイチャつき始めた。いいぞもっとやれ。
そんな私たちの心の声が届いたのか、ウェルス様はスッと顔を近付けた。こんな間近で二人のキスを拝めるなんて、と心の中で拝み倒したメイドは複数人いたことでしょう、ええ。私もその一人ですとも。
しかし、だがしかし。相手はあの元気なフラグクラッシャー。迫ってきたウェルス様の顔をこれまた華麗にスッと避けた。
「……」
「いやだってメイドさんたちいるし」
「……そうか」
「そう」
いやもう見るからに不機嫌になっている。しかしこれは仕方がないとこちらも苦笑いするしかない。だってこちらもしっかりと準備の手伝いをしたわけで。キス止まりならそれでいいかもしれないけれど、デレデレのウェルス様がそれで止まるはずもなく。
折角完璧に準備を終えたのだから、完璧で行ってもらいたいとメイド心が出てきてしまったもので。私たちもある意味でお預けをくらったけれどここはアシエ様のほうに肩を持つことにする。
「ウェルス様。差し出がましいようで恐縮ですが、アシエ様にはこのまま完璧の状態で挑んでいただきたく」
「……そうだな。ならば、行くとしよう。アシエ」
「おう」
差し出された手にしっかりと自分の手を重ねたアシエ様の表情は明るくも勇ましい。そうですよね、これからはある意味アシエ様にとっては戦いだ。
絶対にアシエ様をお守りくださいね、ウェルス様。そういう気持ちを込めて私たちは頭を下げてお二人を見送った。
ついでにウェルス様。湯船の支度はこちらもしっかりと準備致しておりますので。という言葉も付け加えて。
使用人である私たちが社交界の催しに参加することは叶わない。だから一体何が起ころうとも実際目にすることができず、こうして遠くから武運を祈ることしかできない。
どうか上手くいっていますようにと祈りを込めて自分たちの仕事をこなしていく。しかし、やはり使用人たちはどこかそわそわと落ち着かない。
「不埒者がアシエ君に余計なちょっかいなど出していないだろうな……」
「傷付けられたりしていないでしょうか……」
「うぅ……心配で胃に穴が空きそうだ」
彼らが学生の頃よりずっと見てきた使用人たちは特にそわそわ。私も、ウェルス様が必ずお傍にいるでしょうから心配はいらない、と思いつつも。やっぱり心配してしまう。
もういっそ不埒な輩には伝家の宝刀である金槌でも振り回して撃退してくれないかなと思ってしまうほど。時計を見てはそわそわ、門をちらちら。無事に帰ってきてくれますようにと祈ってしまう。
そんな時間をどれほど過ごしたことか。バタバタと慌ただしい音が聞こえてきたかと思うとこの時間帯絶対に外での作業をしていないはずの庭師が、慌てた様子で走ってきているのが見えた。
「か、帰ってきた! 帰ってきました、馬車!」
「……!」
恐らく心配でずっと外で待っていたんでしょう。庭師のその言葉に使用人は総動員。お出迎えの準備と自分たちの心の準備だ。ずらりと並んで頭を下げ馬車から降りてくる人たちを待つ。そして、足音が聞こえ一同口を開く。
「お帰りなさいませ」
「ああ。悪いが湯船の支度をしてくれないか」
「支度はすでに済ませております」
「流石、準備がいいな」
執事長のジョナサンさんの声で一同湯船への案内やその他の支度のため顔を上げる。そういえば、ウェルス様の声しか聞こえなかったけれど。アシエ様の身に何かあったのだろうか。
まぁ、あったのでしょうね。ウェルス様に身体を支えながらお顔真っ赤にされていますから。
ウェルス様の声色で最悪な事態など起こらなかったことは察することはできましたが。アシエ様にとっては大変な事態が起こったんでしょう。
とろけているお顔を拝見することができて、内心大喜びなメイドが複数人いることでしょう。ええ、ええ。一体ウェルス様はナニをなされただなんて、無粋なことを聞くことは致しませんとも。ええ。
アシエ様の身体を支えながら歩き始めたウェルス様が、ふと私の目の前で足を止め視線を向ける。
「悪いが、明日は一日部屋に籠もる。そのつもりで準備してくれ」
「承知致しましたぁ!」
つい声が大きくなってしまったことは許して欲しい。ウェルス様も男臭く笑うばかりで咎めることはしなかったのだから。きっと私でなく他の者でも同じような返事をしていたに違いない。
どうやら今宵の戦い、ウェルス様の大勝利といったところなのでしょう。
「うっわ~! すっげぇ!」
目の前でそんな歓声を上げられて私たちメイドもポーカーフェイスを装いながらも内心にっこり。
今日はこの方にとってもとても大切な日。それはもうこれでもかというほど磨き洗練された礼服に身を包んでもらっております。いやしかし、私たちが言うのもなんですが。
それはもう完璧。普段のふわふわの可愛いわんこがキリッとしていてこれはまた可愛い……と言ったら駄目ですね。これはまた素敵な殿方に。
「本当にメイドさんたちすごいですね。ここまでしてくれてありがとうございます」
「いいえ、私たちは当然のことをしたまででございます」
「完璧なお仕事で」
「いえいえ」
ポンポンと次から次へとお褒めの言葉を頂き、ポーカーフェイスを装いながら内心はもう満面の笑みですとも。ええ、ええ。私の後ろに控えていた年若いメイドなんてポーカーフェイスなのに頬の紅潮から嬉しさが滲み出てしまっている。
とはいえ普段作業着を着ている彼がここまで堅苦しい格好をするのも苦痛でしょうに。嫌そうな顔など一切することなく、ずっとすげぇすげぇと喜んでおられる。
もうこれにはこの場にいた全員の顔がにっこりですとも! 彼の見てないところで!
この場の雰囲気がどこかほっこりとしている中、ドアからノック音が聞こえてきた。この部屋の主は彼。彼が返事をするとドアは開かれ、美しい女性が入ってきた。
「準備はどうです?」
「はい! メイドさんたちのおかげで順調です!」
「そのようですね。うん……わたくしの見立ては確かだったようですね」
彼の爪先から頭の天辺まで吟味した王妃は、それはもうとてもご満悦そうに微笑んだ。彼の、アシエ様のにこにこの笑顔を真正面から受け止めた王妃はいつものように微笑み返す……のではなく、急にデレっと満面の笑みを浮かべた。
「本当に似合っているわ、アシエちゃん。やっぱり身体がたくましいからとても映えるわね」
「すごいですねこの服! 動きにくいかと思ったらちゃんと肩上がります!」
「ふふっ、職人の腕がいいのよ」
王子のパートナーとなったアシエ様に王も王妃もデレデレである。王族や貴族にない素朴さに素直さ、正直さ。マイナスイオンでも溢れ出ているのかと思うほどの爽やかさはこの城内に清々しい風を吹かせた。
これももう頑張って口説き落としたウェルス様のおかげですとも、ええ。私たちも見守っていた甲斐がありましたとも。まぁその見守っていた報酬とでもいいますか、ほんのちょっとだけ聞き耳を立てたこともありましたけど。
今日はとても大切な行事のため、アシエ様も礼服に身を包んでいる。この礼服について色々と決めたのは王妃自らだった。
王妃はアシエ様のように庶民の出身ではないけれど、貴族の中でも身分の低い方だった。王の熱い熱いアプローチの末のご結婚となったけれど、彼女もとてもご苦労をされた。
きっとアシエ様には同じ苦労はさせまいと、そう思っておいでなのでしょう。まるで本当の我が子のように王妃はアシエ様を支えている。
「わんこのようなふわふわの髪もいいけれど、ばっちり決めてる髪型も素敵ね」
「なんかすごく固められてる感じがします!」
「ほんの少しの辛抱よ? お披露目が終わればすぐに湯を浴びるといいわ」
だからすぐに帰ってきて頂戴ね? と慈愛を込めた眼差しを王妃はアシエ様に向けた。もしかして、ウェルス様以上に溺愛しているのでは……? と思ったものの、ウェルス様の溺愛っぷりも中々。まさに血の繋がった親子だ。
「なぜ母上のほうが先に見ているんですか」
するとこの部屋にもう一人の来客が。恐らく真っ先に見たかったのであろうウェルス様は王妃の姿を見た瞬間顔を顰めた。
「あら、この礼服を決めたのはわたくしですよ? 確認のためにわたくしがいの一番に見なければ」
「俺のアイデアを一蹴して無理やり自分のアイデアを捩じ込ませただけではありませんか」
「でも素敵でしょう?」
「もちろんですよ。母上の見立ては確かです」
おや、親子喧嘩か? と思われたものが一瞬で終わった。どうやらウェルス様も今のアシエ様の姿にデレデレのご様子。まさに血の繋がった親子だ。
「母上、父上が待ちぼうけをくらってましたよ。早く行ってあげたらどうです」
「あら、それは悪いことをしたわ。そしたらアシエちゃん、わたくしは行くわね。ウェルス、しっかりとアシエちゃんをエスコートするんですよ」
「言われるまでもなく」
去り際にアシエ様に歩み寄った王妃は軽く頬にキスを落とした。ほんの挨拶なのだけれど、いつの間にか嫉妬深い殿方に成長したウェルス様はいい顔をしない。
恐らく王妃はそのことをちゃんとわかっていたのでしょう。楽しそうにコロコロと笑って部屋をあとにした。
部屋に残されたのはお二人と、そして準備の手伝いをしていた私を含めたメイドたち。しかし、ウェルス様にとっては二人っきりになったも当然のようで。アシエ様に歩み寄ったかと思ったら迷うことなく頬に触れた。
「よく似合ってる」
「まさに馬子にも衣装ってな」
「そんなことはない。格好いい……のだが」
「だが?」
「俺からしてみると何を着たって可愛く見える」
「え~? なんだよそれ~」
唐突にイチャつき始めた。いいぞもっとやれ。
そんな私たちの心の声が届いたのか、ウェルス様はスッと顔を近付けた。こんな間近で二人のキスを拝めるなんて、と心の中で拝み倒したメイドは複数人いたことでしょう、ええ。私もその一人ですとも。
しかし、だがしかし。相手はあの元気なフラグクラッシャー。迫ってきたウェルス様の顔をこれまた華麗にスッと避けた。
「……」
「いやだってメイドさんたちいるし」
「……そうか」
「そう」
いやもう見るからに不機嫌になっている。しかしこれは仕方がないとこちらも苦笑いするしかない。だってこちらもしっかりと準備の手伝いをしたわけで。キス止まりならそれでいいかもしれないけれど、デレデレのウェルス様がそれで止まるはずもなく。
折角完璧に準備を終えたのだから、完璧で行ってもらいたいとメイド心が出てきてしまったもので。私たちもある意味でお預けをくらったけれどここはアシエ様のほうに肩を持つことにする。
「ウェルス様。差し出がましいようで恐縮ですが、アシエ様にはこのまま完璧の状態で挑んでいただきたく」
「……そうだな。ならば、行くとしよう。アシエ」
「おう」
差し出された手にしっかりと自分の手を重ねたアシエ様の表情は明るくも勇ましい。そうですよね、これからはある意味アシエ様にとっては戦いだ。
絶対にアシエ様をお守りくださいね、ウェルス様。そういう気持ちを込めて私たちは頭を下げてお二人を見送った。
ついでにウェルス様。湯船の支度はこちらもしっかりと準備致しておりますので。という言葉も付け加えて。
使用人である私たちが社交界の催しに参加することは叶わない。だから一体何が起ころうとも実際目にすることができず、こうして遠くから武運を祈ることしかできない。
どうか上手くいっていますようにと祈りを込めて自分たちの仕事をこなしていく。しかし、やはり使用人たちはどこかそわそわと落ち着かない。
「不埒者がアシエ君に余計なちょっかいなど出していないだろうな……」
「傷付けられたりしていないでしょうか……」
「うぅ……心配で胃に穴が空きそうだ」
彼らが学生の頃よりずっと見てきた使用人たちは特にそわそわ。私も、ウェルス様が必ずお傍にいるでしょうから心配はいらない、と思いつつも。やっぱり心配してしまう。
もういっそ不埒な輩には伝家の宝刀である金槌でも振り回して撃退してくれないかなと思ってしまうほど。時計を見てはそわそわ、門をちらちら。無事に帰ってきてくれますようにと祈ってしまう。
そんな時間をどれほど過ごしたことか。バタバタと慌ただしい音が聞こえてきたかと思うとこの時間帯絶対に外での作業をしていないはずの庭師が、慌てた様子で走ってきているのが見えた。
「か、帰ってきた! 帰ってきました、馬車!」
「……!」
恐らく心配でずっと外で待っていたんでしょう。庭師のその言葉に使用人は総動員。お出迎えの準備と自分たちの心の準備だ。ずらりと並んで頭を下げ馬車から降りてくる人たちを待つ。そして、足音が聞こえ一同口を開く。
「お帰りなさいませ」
「ああ。悪いが湯船の支度をしてくれないか」
「支度はすでに済ませております」
「流石、準備がいいな」
執事長のジョナサンさんの声で一同湯船への案内やその他の支度のため顔を上げる。そういえば、ウェルス様の声しか聞こえなかったけれど。アシエ様の身に何かあったのだろうか。
まぁ、あったのでしょうね。ウェルス様に身体を支えながらお顔真っ赤にされていますから。
ウェルス様の声色で最悪な事態など起こらなかったことは察することはできましたが。アシエ様にとっては大変な事態が起こったんでしょう。
とろけているお顔を拝見することができて、内心大喜びなメイドが複数人いることでしょう。ええ、ええ。一体ウェルス様はナニをなされただなんて、無粋なことを聞くことは致しませんとも。ええ。
アシエ様の身体を支えながら歩き始めたウェルス様が、ふと私の目の前で足を止め視線を向ける。
「悪いが、明日は一日部屋に籠もる。そのつもりで準備してくれ」
「承知致しましたぁ!」
つい声が大きくなってしまったことは許して欲しい。ウェルス様も男臭く笑うばかりで咎めることはしなかったのだから。きっと私でなく他の者でも同じような返事をしていたに違いない。
どうやら今宵の戦い、ウェルス様の大勝利といったところなのでしょう。
179
あなたにおすすめの小説
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
番だと言われて囲われました。
桜
BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。
死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。
そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々
月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。
俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる