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目撃者、モブ
目撃者、メイド
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ご機嫌麗しゅう。私はとある方に仕えているとあるメイド。今日も今日とてお勤めをしっかりと果たしてみせます。
「うっわ~! すっげぇ!」
目の前でそんな歓声を上げられて私たちメイドもポーカーフェイスを装いながらも内心にっこり。
今日はこの方にとってもとても大切な日。それはもうこれでもかというほど磨き洗練された礼服に身を包んでもらっております。いやしかし、私たちが言うのもなんですが。
それはもう完璧。普段のふわふわの可愛いわんこがキリッとしていてこれはまた可愛い……と言ったら駄目ですね。これはまた素敵な殿方に。
「本当にメイドさんたちすごいですね。ここまでしてくれてありがとうございます」
「いいえ、私たちは当然のことをしたまででございます」
「完璧なお仕事で」
「いえいえ」
ポンポンと次から次へとお褒めの言葉を頂き、ポーカーフェイスを装いながら内心はもう満面の笑みですとも。ええ、ええ。私の後ろに控えていた年若いメイドなんてポーカーフェイスなのに頬の紅潮から嬉しさが滲み出てしまっている。
とはいえ普段作業着を着ている彼がここまで堅苦しい格好をするのも苦痛でしょうに。嫌そうな顔など一切することなく、ずっとすげぇすげぇと喜んでおられる。
もうこれにはこの場にいた全員の顔がにっこりですとも! 彼の見てないところで!
この場の雰囲気がどこかほっこりとしている中、ドアからノック音が聞こえてきた。この部屋の主は彼。彼が返事をするとドアは開かれ、美しい女性が入ってきた。
「準備はどうです?」
「はい! メイドさんたちのおかげで順調です!」
「そのようですね。うん……わたくしの見立ては確かだったようですね」
彼の爪先から頭の天辺まで吟味した王妃は、それはもうとてもご満悦そうに微笑んだ。彼の、アシエ様のにこにこの笑顔を真正面から受け止めた王妃はいつものように微笑み返す……のではなく、急にデレっと満面の笑みを浮かべた。
「本当に似合っているわ、アシエちゃん。やっぱり身体がたくましいからとても映えるわね」
「すごいですねこの服! 動きにくいかと思ったらちゃんと肩上がります!」
「ふふっ、職人の腕がいいのよ」
王子のパートナーとなったアシエ様に王も王妃もデレデレである。王族や貴族にない素朴さに素直さ、正直さ。マイナスイオンでも溢れ出ているのかと思うほどの爽やかさはこの城内に清々しい風を吹かせた。
これももう頑張って口説き落としたウェルス様のおかげですとも、ええ。私たちも見守っていた甲斐がありましたとも。まぁその見守っていた報酬とでもいいますか、ほんのちょっとだけ聞き耳を立てたこともありましたけど。
今日はとても大切な行事のため、アシエ様も礼服に身を包んでいる。この礼服について色々と決めたのは王妃自らだった。
王妃はアシエ様のように庶民の出身ではないけれど、貴族の中でも身分の低い方だった。王の熱い熱いアプローチの末のご結婚となったけれど、彼女もとてもご苦労をされた。
きっとアシエ様には同じ苦労はさせまいと、そう思っておいでなのでしょう。まるで本当の我が子のように王妃はアシエ様を支えている。
「わんこのようなふわふわの髪もいいけれど、ばっちり決めてる髪型も素敵ね」
「なんかすごく固められてる感じがします!」
「ほんの少しの辛抱よ? お披露目が終わればすぐに湯を浴びるといいわ」
だからすぐに帰ってきて頂戴ね? と慈愛を込めた眼差しを王妃はアシエ様に向けた。もしかして、ウェルス様以上に溺愛しているのでは……? と思ったものの、ウェルス様の溺愛っぷりも中々。まさに血の繋がった親子だ。
「なぜ母上のほうが先に見ているんですか」
するとこの部屋にもう一人の来客が。恐らく真っ先に見たかったのであろうウェルス様は王妃の姿を見た瞬間顔を顰めた。
「あら、この礼服を決めたのはわたくしですよ? 確認のためにわたくしがいの一番に見なければ」
「俺のアイデアを一蹴して無理やり自分のアイデアを捩じ込ませただけではありませんか」
「でも素敵でしょう?」
「もちろんですよ。母上の見立ては確かです」
おや、親子喧嘩か? と思われたものが一瞬で終わった。どうやらウェルス様も今のアシエ様の姿にデレデレのご様子。まさに血の繋がった親子だ。
「母上、父上が待ちぼうけをくらってましたよ。早く行ってあげたらどうです」
「あら、それは悪いことをしたわ。そしたらアシエちゃん、わたくしは行くわね。ウェルス、しっかりとアシエちゃんをエスコートするんですよ」
「言われるまでもなく」
去り際にアシエ様に歩み寄った王妃は軽く頬にキスを落とした。ほんの挨拶なのだけれど、いつの間にか嫉妬深い殿方に成長したウェルス様はいい顔をしない。
恐らく王妃はそのことをちゃんとわかっていたのでしょう。楽しそうにコロコロと笑って部屋をあとにした。
部屋に残されたのはお二人と、そして準備の手伝いをしていた私を含めたメイドたち。しかし、ウェルス様にとっては二人っきりになったも当然のようで。アシエ様に歩み寄ったかと思ったら迷うことなく頬に触れた。
「よく似合ってる」
「まさに馬子にも衣装ってな」
「そんなことはない。格好いい……のだが」
「だが?」
「俺からしてみると何を着たって可愛く見える」
「え~? なんだよそれ~」
唐突にイチャつき始めた。いいぞもっとやれ。
そんな私たちの心の声が届いたのか、ウェルス様はスッと顔を近付けた。こんな間近で二人のキスを拝めるなんて、と心の中で拝み倒したメイドは複数人いたことでしょう、ええ。私もその一人ですとも。
しかし、だがしかし。相手はあの元気なフラグクラッシャー。迫ってきたウェルス様の顔をこれまた華麗にスッと避けた。
「……」
「いやだってメイドさんたちいるし」
「……そうか」
「そう」
いやもう見るからに不機嫌になっている。しかしこれは仕方がないとこちらも苦笑いするしかない。だってこちらもしっかりと準備の手伝いをしたわけで。キス止まりならそれでいいかもしれないけれど、デレデレのウェルス様がそれで止まるはずもなく。
折角完璧に準備を終えたのだから、完璧で行ってもらいたいとメイド心が出てきてしまったもので。私たちもある意味でお預けをくらったけれどここはアシエ様のほうに肩を持つことにする。
「ウェルス様。差し出がましいようで恐縮ですが、アシエ様にはこのまま完璧の状態で挑んでいただきたく」
「……そうだな。ならば、行くとしよう。アシエ」
「おう」
差し出された手にしっかりと自分の手を重ねたアシエ様の表情は明るくも勇ましい。そうですよね、これからはある意味アシエ様にとっては戦いだ。
絶対にアシエ様をお守りくださいね、ウェルス様。そういう気持ちを込めて私たちは頭を下げてお二人を見送った。
ついでにウェルス様。湯船の支度はこちらもしっかりと準備致しておりますので。という言葉も付け加えて。
使用人である私たちが社交界の催しに参加することは叶わない。だから一体何が起ころうとも実際目にすることができず、こうして遠くから武運を祈ることしかできない。
どうか上手くいっていますようにと祈りを込めて自分たちの仕事をこなしていく。しかし、やはり使用人たちはどこかそわそわと落ち着かない。
「不埒者がアシエ君に余計なちょっかいなど出していないだろうな……」
「傷付けられたりしていないでしょうか……」
「うぅ……心配で胃に穴が空きそうだ」
彼らが学生の頃よりずっと見てきた使用人たちは特にそわそわ。私も、ウェルス様が必ずお傍にいるでしょうから心配はいらない、と思いつつも。やっぱり心配してしまう。
もういっそ不埒な輩には伝家の宝刀である金槌でも振り回して撃退してくれないかなと思ってしまうほど。時計を見てはそわそわ、門をちらちら。無事に帰ってきてくれますようにと祈ってしまう。
そんな時間をどれほど過ごしたことか。バタバタと慌ただしい音が聞こえてきたかと思うとこの時間帯絶対に外での作業をしていないはずの庭師が、慌てた様子で走ってきているのが見えた。
「か、帰ってきた! 帰ってきました、馬車!」
「……!」
恐らく心配でずっと外で待っていたんでしょう。庭師のその言葉に使用人は総動員。お出迎えの準備と自分たちの心の準備だ。ずらりと並んで頭を下げ馬車から降りてくる人たちを待つ。そして、足音が聞こえ一同口を開く。
「お帰りなさいませ」
「ああ。悪いが湯船の支度をしてくれないか」
「支度はすでに済ませております」
「流石、準備がいいな」
執事長のジョナサンさんの声で一同湯船への案内やその他の支度のため顔を上げる。そういえば、ウェルス様の声しか聞こえなかったけれど。アシエ様の身に何かあったのだろうか。
まぁ、あったのでしょうね。ウェルス様に身体を支えながらお顔真っ赤にされていますから。
ウェルス様の声色で最悪な事態など起こらなかったことは察することはできましたが。アシエ様にとっては大変な事態が起こったんでしょう。
とろけているお顔を拝見することができて、内心大喜びなメイドが複数人いることでしょう。ええ、ええ。一体ウェルス様はナニをなされただなんて、無粋なことを聞くことは致しませんとも。ええ。
アシエ様の身体を支えながら歩き始めたウェルス様が、ふと私の目の前で足を止め視線を向ける。
「悪いが、明日は一日部屋に籠もる。そのつもりで準備してくれ」
「承知致しましたぁ!」
つい声が大きくなってしまったことは許して欲しい。ウェルス様も男臭く笑うばかりで咎めることはしなかったのだから。きっと私でなく他の者でも同じような返事をしていたに違いない。
どうやら今宵の戦い、ウェルス様の大勝利といったところなのでしょう。
「うっわ~! すっげぇ!」
目の前でそんな歓声を上げられて私たちメイドもポーカーフェイスを装いながらも内心にっこり。
今日はこの方にとってもとても大切な日。それはもうこれでもかというほど磨き洗練された礼服に身を包んでもらっております。いやしかし、私たちが言うのもなんですが。
それはもう完璧。普段のふわふわの可愛いわんこがキリッとしていてこれはまた可愛い……と言ったら駄目ですね。これはまた素敵な殿方に。
「本当にメイドさんたちすごいですね。ここまでしてくれてありがとうございます」
「いいえ、私たちは当然のことをしたまででございます」
「完璧なお仕事で」
「いえいえ」
ポンポンと次から次へとお褒めの言葉を頂き、ポーカーフェイスを装いながら内心はもう満面の笑みですとも。ええ、ええ。私の後ろに控えていた年若いメイドなんてポーカーフェイスなのに頬の紅潮から嬉しさが滲み出てしまっている。
とはいえ普段作業着を着ている彼がここまで堅苦しい格好をするのも苦痛でしょうに。嫌そうな顔など一切することなく、ずっとすげぇすげぇと喜んでおられる。
もうこれにはこの場にいた全員の顔がにっこりですとも! 彼の見てないところで!
この場の雰囲気がどこかほっこりとしている中、ドアからノック音が聞こえてきた。この部屋の主は彼。彼が返事をするとドアは開かれ、美しい女性が入ってきた。
「準備はどうです?」
「はい! メイドさんたちのおかげで順調です!」
「そのようですね。うん……わたくしの見立ては確かだったようですね」
彼の爪先から頭の天辺まで吟味した王妃は、それはもうとてもご満悦そうに微笑んだ。彼の、アシエ様のにこにこの笑顔を真正面から受け止めた王妃はいつものように微笑み返す……のではなく、急にデレっと満面の笑みを浮かべた。
「本当に似合っているわ、アシエちゃん。やっぱり身体がたくましいからとても映えるわね」
「すごいですねこの服! 動きにくいかと思ったらちゃんと肩上がります!」
「ふふっ、職人の腕がいいのよ」
王子のパートナーとなったアシエ様に王も王妃もデレデレである。王族や貴族にない素朴さに素直さ、正直さ。マイナスイオンでも溢れ出ているのかと思うほどの爽やかさはこの城内に清々しい風を吹かせた。
これももう頑張って口説き落としたウェルス様のおかげですとも、ええ。私たちも見守っていた甲斐がありましたとも。まぁその見守っていた報酬とでもいいますか、ほんのちょっとだけ聞き耳を立てたこともありましたけど。
今日はとても大切な行事のため、アシエ様も礼服に身を包んでいる。この礼服について色々と決めたのは王妃自らだった。
王妃はアシエ様のように庶民の出身ではないけれど、貴族の中でも身分の低い方だった。王の熱い熱いアプローチの末のご結婚となったけれど、彼女もとてもご苦労をされた。
きっとアシエ様には同じ苦労はさせまいと、そう思っておいでなのでしょう。まるで本当の我が子のように王妃はアシエ様を支えている。
「わんこのようなふわふわの髪もいいけれど、ばっちり決めてる髪型も素敵ね」
「なんかすごく固められてる感じがします!」
「ほんの少しの辛抱よ? お披露目が終わればすぐに湯を浴びるといいわ」
だからすぐに帰ってきて頂戴ね? と慈愛を込めた眼差しを王妃はアシエ様に向けた。もしかして、ウェルス様以上に溺愛しているのでは……? と思ったものの、ウェルス様の溺愛っぷりも中々。まさに血の繋がった親子だ。
「なぜ母上のほうが先に見ているんですか」
するとこの部屋にもう一人の来客が。恐らく真っ先に見たかったのであろうウェルス様は王妃の姿を見た瞬間顔を顰めた。
「あら、この礼服を決めたのはわたくしですよ? 確認のためにわたくしがいの一番に見なければ」
「俺のアイデアを一蹴して無理やり自分のアイデアを捩じ込ませただけではありませんか」
「でも素敵でしょう?」
「もちろんですよ。母上の見立ては確かです」
おや、親子喧嘩か? と思われたものが一瞬で終わった。どうやらウェルス様も今のアシエ様の姿にデレデレのご様子。まさに血の繋がった親子だ。
「母上、父上が待ちぼうけをくらってましたよ。早く行ってあげたらどうです」
「あら、それは悪いことをしたわ。そしたらアシエちゃん、わたくしは行くわね。ウェルス、しっかりとアシエちゃんをエスコートするんですよ」
「言われるまでもなく」
去り際にアシエ様に歩み寄った王妃は軽く頬にキスを落とした。ほんの挨拶なのだけれど、いつの間にか嫉妬深い殿方に成長したウェルス様はいい顔をしない。
恐らく王妃はそのことをちゃんとわかっていたのでしょう。楽しそうにコロコロと笑って部屋をあとにした。
部屋に残されたのはお二人と、そして準備の手伝いをしていた私を含めたメイドたち。しかし、ウェルス様にとっては二人っきりになったも当然のようで。アシエ様に歩み寄ったかと思ったら迷うことなく頬に触れた。
「よく似合ってる」
「まさに馬子にも衣装ってな」
「そんなことはない。格好いい……のだが」
「だが?」
「俺からしてみると何を着たって可愛く見える」
「え~? なんだよそれ~」
唐突にイチャつき始めた。いいぞもっとやれ。
そんな私たちの心の声が届いたのか、ウェルス様はスッと顔を近付けた。こんな間近で二人のキスを拝めるなんて、と心の中で拝み倒したメイドは複数人いたことでしょう、ええ。私もその一人ですとも。
しかし、だがしかし。相手はあの元気なフラグクラッシャー。迫ってきたウェルス様の顔をこれまた華麗にスッと避けた。
「……」
「いやだってメイドさんたちいるし」
「……そうか」
「そう」
いやもう見るからに不機嫌になっている。しかしこれは仕方がないとこちらも苦笑いするしかない。だってこちらもしっかりと準備の手伝いをしたわけで。キス止まりならそれでいいかもしれないけれど、デレデレのウェルス様がそれで止まるはずもなく。
折角完璧に準備を終えたのだから、完璧で行ってもらいたいとメイド心が出てきてしまったもので。私たちもある意味でお預けをくらったけれどここはアシエ様のほうに肩を持つことにする。
「ウェルス様。差し出がましいようで恐縮ですが、アシエ様にはこのまま完璧の状態で挑んでいただきたく」
「……そうだな。ならば、行くとしよう。アシエ」
「おう」
差し出された手にしっかりと自分の手を重ねたアシエ様の表情は明るくも勇ましい。そうですよね、これからはある意味アシエ様にとっては戦いだ。
絶対にアシエ様をお守りくださいね、ウェルス様。そういう気持ちを込めて私たちは頭を下げてお二人を見送った。
ついでにウェルス様。湯船の支度はこちらもしっかりと準備致しておりますので。という言葉も付け加えて。
使用人である私たちが社交界の催しに参加することは叶わない。だから一体何が起ころうとも実際目にすることができず、こうして遠くから武運を祈ることしかできない。
どうか上手くいっていますようにと祈りを込めて自分たちの仕事をこなしていく。しかし、やはり使用人たちはどこかそわそわと落ち着かない。
「不埒者がアシエ君に余計なちょっかいなど出していないだろうな……」
「傷付けられたりしていないでしょうか……」
「うぅ……心配で胃に穴が空きそうだ」
彼らが学生の頃よりずっと見てきた使用人たちは特にそわそわ。私も、ウェルス様が必ずお傍にいるでしょうから心配はいらない、と思いつつも。やっぱり心配してしまう。
もういっそ不埒な輩には伝家の宝刀である金槌でも振り回して撃退してくれないかなと思ってしまうほど。時計を見てはそわそわ、門をちらちら。無事に帰ってきてくれますようにと祈ってしまう。
そんな時間をどれほど過ごしたことか。バタバタと慌ただしい音が聞こえてきたかと思うとこの時間帯絶対に外での作業をしていないはずの庭師が、慌てた様子で走ってきているのが見えた。
「か、帰ってきた! 帰ってきました、馬車!」
「……!」
恐らく心配でずっと外で待っていたんでしょう。庭師のその言葉に使用人は総動員。お出迎えの準備と自分たちの心の準備だ。ずらりと並んで頭を下げ馬車から降りてくる人たちを待つ。そして、足音が聞こえ一同口を開く。
「お帰りなさいませ」
「ああ。悪いが湯船の支度をしてくれないか」
「支度はすでに済ませております」
「流石、準備がいいな」
執事長のジョナサンさんの声で一同湯船への案内やその他の支度のため顔を上げる。そういえば、ウェルス様の声しか聞こえなかったけれど。アシエ様の身に何かあったのだろうか。
まぁ、あったのでしょうね。ウェルス様に身体を支えながらお顔真っ赤にされていますから。
ウェルス様の声色で最悪な事態など起こらなかったことは察することはできましたが。アシエ様にとっては大変な事態が起こったんでしょう。
とろけているお顔を拝見することができて、内心大喜びなメイドが複数人いることでしょう。ええ、ええ。一体ウェルス様はナニをなされただなんて、無粋なことを聞くことは致しませんとも。ええ。
アシエ様の身体を支えながら歩き始めたウェルス様が、ふと私の目の前で足を止め視線を向ける。
「悪いが、明日は一日部屋に籠もる。そのつもりで準備してくれ」
「承知致しましたぁ!」
つい声が大きくなってしまったことは許して欲しい。ウェルス様も男臭く笑うばかりで咎めることはしなかったのだから。きっと私でなく他の者でも同じような返事をしていたに違いない。
どうやら今宵の戦い、ウェルス様の大勝利といったところなのでしょう。
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