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第6話ー7
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始祖龍神、女禍と伏羲の直系である炎帝神農もその血を濃く受け継ぐ地龍である。彼は龍でありながら脆弱な人類を庇護し知識を与えた。共に有るため人に化身し皇として国を作った。
彼が残した功績の一つに『錬丹術』が上げられる。野草、鉱物、などを組み合わせ精製する事で薬を作り出す技術を発明した。生物としては最上位に位置する龍族には必要のない物だが
彼は自身の体を削り人類の為に数々の薬を作り出した。後年、長寿である龍族の彼を死に至らしめた原因は毒素の蓄積によるもので自身を用いた様々な実験に起因する。今に至る東洋医学の祖と言っても過言ではない。その錬丹術の最奥に神農自身が禁忌として封印した術を解いたのが黄龍帝との戦で敗戦を重ね疲弊していた姜臨魁だった。前線で指揮を取り自らも地龍の姿になり戦場で一騎当千の活躍をするが黄龍帝軍の将兵の厚み、兵数、物量は確実に彼らを追い詰めていった。戦線に出る兵士の数より負傷し亡くなる者達の数が上回る頃、彼は決断する。
父皇が残した禁忌に手を付ける事を…
「父上は錬丹術の研鑽の中で肉体を根本から創り変えて強靭な肉体を作る術を見つけ出したが欠陥があった。しかしそれに頼らざるを得ないほど我輩達は追い詰められていた。我輩は有志を集め禁術である『侵魄変成』を敢行した。我輩の体は3日3晩を掛けて龍を超えた別の何かに変わっていた。術に耐え切れずに亡くなった仲間も居たがその事を悲しむより手にした力に酔いしれていた。」
彼らの手にした力は元の姿形を変えた事を代償に今までの戦力差をいとも簡単に覆した。押し込まれていた戦線は破竹の勢いで押し上げていく。勝利を重ねる毎に苛烈に成っていく戦の最前線には冷徹で凶暴な嵐の化身が居た。そこにはかつての彼の姿は無かった。勝利する為だけの戦略と力を誇示するように暴れる化け物は『蚩尤』と呼ばれた。
「正真正銘の化け物になった我輩達は勝利を重ねついに叔父上を戦場に引きずり出した。しかし、結果は知っての通り我輩は力に溺れ策略に嵌り敗北した。あの時得た力は魂魄を蝕み死して尚瘴気その身からを放っていた。体から離れて始めて己の愚かしさに気が付いた。本来死すれば魂魄は天と地に帰り輪廻の輪に戻るはずが我輩の魂はそれが出来なかった。そんな我輩を叔父上は哀れんで自身の腹心である応龍殿の持つ封印と浄化の術を用いて我輩の体と魂魄を長い年月を掛けて正常に戻す為に骨を折ってくれた。特に応龍殿には感謝の言葉しかない。自らの身を持って数千年寄り添ってくれたのだから。」
ここまで話した姜は学園長が淹れた茶を口に運ぶと一息吐く。
その顔は感傷的でもあり自虐的な笑みの様にも見えた。
「ここまで聞いたとおり我輩は封印され浄化され天地に帰る日まで長き眠りにつく筈だった。しかし何故か我輩はここにいる。では勇吾、なぜだと思う?」
「びっくりした!イキナリ振ってくるなよ。そうだな…」
姜に突然問題を出された勇吾は目を瞑り少し考える。
「浄化が終わり封印期間が過ぎたからだと師匠は成仏した事になるから×だよな。偶発的な要因が重なって封印が不完全に解けて魂だけ抜け出している?」
勇吾の答えに姜は渋い顔をする。
「不正解だ、ヒントとしては我輩の体と魂魄は切り離す事は不可能だ、なら魂魄だけの我輩の今の状態を如何に考える。」
「はい!姜先生!」
「うむ、月子殿。」
なぜか月子も参加し場の雰囲気は授業をしている様になる。
「実は先生は封印されていなかったと言うのはどうでしょう?」
「ふむ、設問の大前提をひっくり返すその仮説、発想の飛躍は素晴らしいが不正解だ。この前の小テストも余り芳しくない点数だったな、問題をよく読みなさい。」
テストの駄目出しをされて落ち込む月子、いよいよ授業めいてきた。すると、しばらく熟考していた勇吾が手を上げた。
「だとしたら、師匠の体の浄化は済んだけど魂魄はまだ終わっていなかった。だけど封印が解けてしまい魂魄だけフラフラしていて俺達の前にいる?いや違うな、誰かが無理やり封印を解いて不具合が出たならありえるのか?」
「宜しい、概ね正解だ。そう、我輩の体の浄化はまだ終わっていなかった。3千年経てもなおその身は陰の氣で満たされていた。しかし、73年前の二つの世界の接触の時に愚かにも我輩の封印を解いた者がいた。」
姜は少し冷めた茶を口に運ぶと一息つき再び話し始める。
「さて、世界接触の折に各地で起きた大混乱と大陸で起きた戦の事は現代史で習っていると思うが…」
月子をちらりと見つめる姜先生。
「ええっと、1945年?『東亜・極東戦役』です!」
「44年だ、月子殿。期末テストで1教科赤点一回に付き夏季休暇中に4日は補習だからな。」
ちなみに本筋と離れるが月子の座学の成績は余り芳しくない。
中間テストは全教科中半分近くが赤点スレスレな成績だった。
「勇吾君!うちテストもがんばらないと!」
「うん、がんばろうな。このままだと月子の夏休み半分近く無くなるもんな。」
その言葉を聞いた月子はショックで涙目になる。
実戦演習本戦が始まる前に行われた期末テストの数日前から勇吾によるテスト勉強で地獄を見る月子の話はまた別の機会。
「話を戻すが、誰かが強引に封印を破り我輩は復活したが不完全だった。無理矢理の解術は我輩の魂魄を引き裂いた、魂魄は
陽の氣で動く意識と自我を司る魂と陰の氣で動き肉体との繋がりを司る魄で構成されている。つまり今の我輩は魂の状態なのだ。開放時に魄だけが肉体に残り意思を持たない化け物として世に放たれてしまった。そしてこの後に起こるのが先程月子殿が答えた『東亜・極東戦役』である。結果は知っての通り我輩の意思はともかく2度目の敗北と我輩の体も完全に消失したが
この魂だけが輪廻を廻り一人の赤子の内に宿ってしまった。」
姜は勇吾を見ると済まなそうな顔をした。
「なんだよ師匠、そんな顔して。まさかそれが俺って言うんじゃないよな?冗談でも笑えないぞ。…何とか言えよ!」
「勇吾、すまない。本当ならこの事は生涯言わずに済めば良いと思っていた。なあ、お前の御家族が亡くなった時の事を覚えているか?」
「覚えてないよ、気が付いた時には病院だった。何処で何があったかすら思い出せない。」
唐突に突きつけられた事実に心の整理が追いつかないまま急に子供の頃を思い出せと言われ戸惑いつつも答える勇吾。
「思い出せない訳ではない。記憶を消されているんだ。あの時何が起きたのか我輩も分からない、ただあの時に我輩はお前によって起された。」
「どういう事だよ?」
「幼いお前にあの時に何が起きたか我輩も分からないが唯解る事はお前が何かに対して強烈な怒りを燃やしていた事だ。そしてその怒りの激情こそが我輩とお主に宿った『蚩尤』の霊核を起したんだ。」
彼が残した功績の一つに『錬丹術』が上げられる。野草、鉱物、などを組み合わせ精製する事で薬を作り出す技術を発明した。生物としては最上位に位置する龍族には必要のない物だが
彼は自身の体を削り人類の為に数々の薬を作り出した。後年、長寿である龍族の彼を死に至らしめた原因は毒素の蓄積によるもので自身を用いた様々な実験に起因する。今に至る東洋医学の祖と言っても過言ではない。その錬丹術の最奥に神農自身が禁忌として封印した術を解いたのが黄龍帝との戦で敗戦を重ね疲弊していた姜臨魁だった。前線で指揮を取り自らも地龍の姿になり戦場で一騎当千の活躍をするが黄龍帝軍の将兵の厚み、兵数、物量は確実に彼らを追い詰めていった。戦線に出る兵士の数より負傷し亡くなる者達の数が上回る頃、彼は決断する。
父皇が残した禁忌に手を付ける事を…
「父上は錬丹術の研鑽の中で肉体を根本から創り変えて強靭な肉体を作る術を見つけ出したが欠陥があった。しかしそれに頼らざるを得ないほど我輩達は追い詰められていた。我輩は有志を集め禁術である『侵魄変成』を敢行した。我輩の体は3日3晩を掛けて龍を超えた別の何かに変わっていた。術に耐え切れずに亡くなった仲間も居たがその事を悲しむより手にした力に酔いしれていた。」
彼らの手にした力は元の姿形を変えた事を代償に今までの戦力差をいとも簡単に覆した。押し込まれていた戦線は破竹の勢いで押し上げていく。勝利を重ねる毎に苛烈に成っていく戦の最前線には冷徹で凶暴な嵐の化身が居た。そこにはかつての彼の姿は無かった。勝利する為だけの戦略と力を誇示するように暴れる化け物は『蚩尤』と呼ばれた。
「正真正銘の化け物になった我輩達は勝利を重ねついに叔父上を戦場に引きずり出した。しかし、結果は知っての通り我輩は力に溺れ策略に嵌り敗北した。あの時得た力は魂魄を蝕み死して尚瘴気その身からを放っていた。体から離れて始めて己の愚かしさに気が付いた。本来死すれば魂魄は天と地に帰り輪廻の輪に戻るはずが我輩の魂はそれが出来なかった。そんな我輩を叔父上は哀れんで自身の腹心である応龍殿の持つ封印と浄化の術を用いて我輩の体と魂魄を長い年月を掛けて正常に戻す為に骨を折ってくれた。特に応龍殿には感謝の言葉しかない。自らの身を持って数千年寄り添ってくれたのだから。」
ここまで話した姜は学園長が淹れた茶を口に運ぶと一息吐く。
その顔は感傷的でもあり自虐的な笑みの様にも見えた。
「ここまで聞いたとおり我輩は封印され浄化され天地に帰る日まで長き眠りにつく筈だった。しかし何故か我輩はここにいる。では勇吾、なぜだと思う?」
「びっくりした!イキナリ振ってくるなよ。そうだな…」
姜に突然問題を出された勇吾は目を瞑り少し考える。
「浄化が終わり封印期間が過ぎたからだと師匠は成仏した事になるから×だよな。偶発的な要因が重なって封印が不完全に解けて魂だけ抜け出している?」
勇吾の答えに姜は渋い顔をする。
「不正解だ、ヒントとしては我輩の体と魂魄は切り離す事は不可能だ、なら魂魄だけの我輩の今の状態を如何に考える。」
「はい!姜先生!」
「うむ、月子殿。」
なぜか月子も参加し場の雰囲気は授業をしている様になる。
「実は先生は封印されていなかったと言うのはどうでしょう?」
「ふむ、設問の大前提をひっくり返すその仮説、発想の飛躍は素晴らしいが不正解だ。この前の小テストも余り芳しくない点数だったな、問題をよく読みなさい。」
テストの駄目出しをされて落ち込む月子、いよいよ授業めいてきた。すると、しばらく熟考していた勇吾が手を上げた。
「だとしたら、師匠の体の浄化は済んだけど魂魄はまだ終わっていなかった。だけど封印が解けてしまい魂魄だけフラフラしていて俺達の前にいる?いや違うな、誰かが無理やり封印を解いて不具合が出たならありえるのか?」
「宜しい、概ね正解だ。そう、我輩の体の浄化はまだ終わっていなかった。3千年経てもなおその身は陰の氣で満たされていた。しかし、73年前の二つの世界の接触の時に愚かにも我輩の封印を解いた者がいた。」
姜は少し冷めた茶を口に運ぶと一息つき再び話し始める。
「さて、世界接触の折に各地で起きた大混乱と大陸で起きた戦の事は現代史で習っていると思うが…」
月子をちらりと見つめる姜先生。
「ええっと、1945年?『東亜・極東戦役』です!」
「44年だ、月子殿。期末テストで1教科赤点一回に付き夏季休暇中に4日は補習だからな。」
ちなみに本筋と離れるが月子の座学の成績は余り芳しくない。
中間テストは全教科中半分近くが赤点スレスレな成績だった。
「勇吾君!うちテストもがんばらないと!」
「うん、がんばろうな。このままだと月子の夏休み半分近く無くなるもんな。」
その言葉を聞いた月子はショックで涙目になる。
実戦演習本戦が始まる前に行われた期末テストの数日前から勇吾によるテスト勉強で地獄を見る月子の話はまた別の機会。
「話を戻すが、誰かが強引に封印を破り我輩は復活したが不完全だった。無理矢理の解術は我輩の魂魄を引き裂いた、魂魄は
陽の氣で動く意識と自我を司る魂と陰の氣で動き肉体との繋がりを司る魄で構成されている。つまり今の我輩は魂の状態なのだ。開放時に魄だけが肉体に残り意思を持たない化け物として世に放たれてしまった。そしてこの後に起こるのが先程月子殿が答えた『東亜・極東戦役』である。結果は知っての通り我輩の意思はともかく2度目の敗北と我輩の体も完全に消失したが
この魂だけが輪廻を廻り一人の赤子の内に宿ってしまった。」
姜は勇吾を見ると済まなそうな顔をした。
「なんだよ師匠、そんな顔して。まさかそれが俺って言うんじゃないよな?冗談でも笑えないぞ。…何とか言えよ!」
「勇吾、すまない。本当ならこの事は生涯言わずに済めば良いと思っていた。なあ、お前の御家族が亡くなった時の事を覚えているか?」
「覚えてないよ、気が付いた時には病院だった。何処で何があったかすら思い出せない。」
唐突に突きつけられた事実に心の整理が追いつかないまま急に子供の頃を思い出せと言われ戸惑いつつも答える勇吾。
「思い出せない訳ではない。記憶を消されているんだ。あの時何が起きたのか我輩も分からない、ただあの時に我輩はお前によって起された。」
「どういう事だよ?」
「幼いお前にあの時に何が起きたか我輩も分からないが唯解る事はお前が何かに対して強烈な怒りを燃やしていた事だ。そしてその怒りの激情こそが我輩とお主に宿った『蚩尤』の霊核を起したんだ。」
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