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第7話ー1
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予選リーグは滞り無く終了し本戦に向けて各チームは準備を始めた。本戦までにやるべき事は沢山あった。
基本科目がちょっとヤバイ月子のテスト勉強、実戦演習で優勝しても期末試験で赤点を取ってしまっては目も当てられない。
術者と言えども今は学生だ、文武両道までは行かなくても赤点は回避させてあげたいので期末試験まで空いた時間は付きりで勉強を見てあげる事にした。最近カッコ悪い所ばかり見せていたので多少巻き返したいと言うかカッコ付けたいと言うか俺としては月子の為にと思っての事だったんだが…
「もう数字も英語も見たくない。」
結果、不貞腐れてご機嫌斜めになってしまわれた。
「月子、もうちょっとだけ、このページ終われば範囲終わるから。赤点取りたくないだろ?夏休み無くなるの嫌だろ?」
「もうこれ以上頭に入らないよ。ううっ、何でテストなんて有るのかな?」
そりゃ、ここ学校ですから。月子も決してお馬鹿な訳じゃない、好きな科目や術識座学の成績は悪くない。数学、英語、科学、など基本学科が軒並み苦手みたいで苦戦している。俺?俺は苦手も得意も特に無く授業に出てれば分からない所なんてないだろ?
「出来る子は出来ない子の気持ち分からないよね。」
「覚えようとしないからじゃないのか?」
「違うもん!右から左に抜けどっかいちゃうんだもん!」
「じゃあ左側押さえててやるから続きやろうな。」
ごねる月子を宥めながら再び勉強を再開する。これを期末テストまで何度か繰り返す事幾数日…、3日掛けて行われる期末テストをなんとか乗り切る頃には実戦演習本戦がマジかに迫っていた。テストお疲れ会と称した少し豪華なメニューで夕食をとる事にした。
「月子、俺確かに好きなメニュー頼んで良いよって言ったけどさ限度が有るんだ。ほら見てみろ月子俺の財布の中に野口先生一人ボッチだ!さっきまで福沢先生も居たのに!ねえ聞いてる!」
「期末テストで消耗した栄養補給と本戦に向けて英気を養う為にはこれ位必要だよ!」
悪びれる素振りも無く自信満々に言い放つ月子と俺の間のテーブルの上には所狭しと料理が並んでいた。月子がテスト勉強で抑圧された状態で財布を渡した俺も軽率だった。解放されて月子の食欲を忘れていた俺が馬鹿だった。ふふっ、どうしよう給料日まだかなり先なんだよね…礼司兄貸してくれるかな?俺が涙目で財布を眺めて居ると後ろから見知った声が話しかけてきた。
「これはこれは豪気な夕食だ。主に月子君が平らげてしまうんだろうけど…奮発したね勇吾クン。」
このテーブルの様子に苦笑いを浮かべながら三光院が俺の隣に座る。
「これと同量が直ぐに隣のテーブルに積み上がると衝撃映像だね。マイシスターもかなりフラストレーション溜め込んでたから、凄い状態になるよ。」
月子同様痩せの大食いと言うか異次元胃袋少女がもう一人。
三光院家のエンゲル係数の増大に貢献する長女が直に表れる恐怖に俺は恐れ戦く。月子同様あちらも期末テストで大変だったのだろうと容易に想像が付く。特に正兼君が…
「お互い大変だな。」
俺と三光院は顔を合わせて苦笑いをする。しばらくすると
「お腹空いた!!」と五六八の声が聞こえる。俺達を見つけると駆け寄り一頻り喋ると月子と話し始め何を頼むか相談しているようだ。それから直ぐ後に正兼君が疲れ切った顔をして足取り重く現れる。同情を禁じえない。
これは後で聞いた話なのだが正兼君が自分の睡眠時間を削って教えていたはずなのに五六八の成績は実技意外全て赤点ギリギリだったらしく自分の不甲斐なさに本気で落ち込んでいたらしい。追試スレスレの成績でありながら意に帰さない教わる方(五六八)の問題じゃないかと思ってしまう。
久しぶりにいつもの面子が揃い賑やかな夕食が始まった。
基本科目がちょっとヤバイ月子のテスト勉強、実戦演習で優勝しても期末試験で赤点を取ってしまっては目も当てられない。
術者と言えども今は学生だ、文武両道までは行かなくても赤点は回避させてあげたいので期末試験まで空いた時間は付きりで勉強を見てあげる事にした。最近カッコ悪い所ばかり見せていたので多少巻き返したいと言うかカッコ付けたいと言うか俺としては月子の為にと思っての事だったんだが…
「もう数字も英語も見たくない。」
結果、不貞腐れてご機嫌斜めになってしまわれた。
「月子、もうちょっとだけ、このページ終われば範囲終わるから。赤点取りたくないだろ?夏休み無くなるの嫌だろ?」
「もうこれ以上頭に入らないよ。ううっ、何でテストなんて有るのかな?」
そりゃ、ここ学校ですから。月子も決してお馬鹿な訳じゃない、好きな科目や術識座学の成績は悪くない。数学、英語、科学、など基本学科が軒並み苦手みたいで苦戦している。俺?俺は苦手も得意も特に無く授業に出てれば分からない所なんてないだろ?
「出来る子は出来ない子の気持ち分からないよね。」
「覚えようとしないからじゃないのか?」
「違うもん!右から左に抜けどっかいちゃうんだもん!」
「じゃあ左側押さえててやるから続きやろうな。」
ごねる月子を宥めながら再び勉強を再開する。これを期末テストまで何度か繰り返す事幾数日…、3日掛けて行われる期末テストをなんとか乗り切る頃には実戦演習本戦がマジかに迫っていた。テストお疲れ会と称した少し豪華なメニューで夕食をとる事にした。
「月子、俺確かに好きなメニュー頼んで良いよって言ったけどさ限度が有るんだ。ほら見てみろ月子俺の財布の中に野口先生一人ボッチだ!さっきまで福沢先生も居たのに!ねえ聞いてる!」
「期末テストで消耗した栄養補給と本戦に向けて英気を養う為にはこれ位必要だよ!」
悪びれる素振りも無く自信満々に言い放つ月子と俺の間のテーブルの上には所狭しと料理が並んでいた。月子がテスト勉強で抑圧された状態で財布を渡した俺も軽率だった。解放されて月子の食欲を忘れていた俺が馬鹿だった。ふふっ、どうしよう給料日まだかなり先なんだよね…礼司兄貸してくれるかな?俺が涙目で財布を眺めて居ると後ろから見知った声が話しかけてきた。
「これはこれは豪気な夕食だ。主に月子君が平らげてしまうんだろうけど…奮発したね勇吾クン。」
このテーブルの様子に苦笑いを浮かべながら三光院が俺の隣に座る。
「これと同量が直ぐに隣のテーブルに積み上がると衝撃映像だね。マイシスターもかなりフラストレーション溜め込んでたから、凄い状態になるよ。」
月子同様痩せの大食いと言うか異次元胃袋少女がもう一人。
三光院家のエンゲル係数の増大に貢献する長女が直に表れる恐怖に俺は恐れ戦く。月子同様あちらも期末テストで大変だったのだろうと容易に想像が付く。特に正兼君が…
「お互い大変だな。」
俺と三光院は顔を合わせて苦笑いをする。しばらくすると
「お腹空いた!!」と五六八の声が聞こえる。俺達を見つけると駆け寄り一頻り喋ると月子と話し始め何を頼むか相談しているようだ。それから直ぐ後に正兼君が疲れ切った顔をして足取り重く現れる。同情を禁じえない。
これは後で聞いた話なのだが正兼君が自分の睡眠時間を削って教えていたはずなのに五六八の成績は実技意外全て赤点ギリギリだったらしく自分の不甲斐なさに本気で落ち込んでいたらしい。追試スレスレの成績でありながら意に帰さない教わる方(五六八)の問題じゃないかと思ってしまう。
久しぶりにいつもの面子が揃い賑やかな夕食が始まった。
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