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第7話ー5
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『いよいよ実戦演習本戦、第一試合がまもなく開始されます。観客席はすでに浮き足立ち両チームの登場を今か今かと待ち焦がれています。それはそうでしょう、一試合目からいきなり熱いカードが組まれるとなりゃ燃えない訳が無い!
非公式に賭博行為を行う生徒達から秘密裏に入手した今回のカードのオッズは僅かながら三光院チームへの勝利予測だ出ている模様。東北屈指の名家、三光院家歴代史上最高傑作。
三光院輝兼が率いる三光院兄妹弟チーム(ブラザーズ)!
そして中等部時代から三光院選手のライバルであり因縁の相手、予選リーグの初日に観衆を驚かせ今や『王子』など囁かれるがしかし、それだけではないのは皆様ご存知だろう!
現役特技武官の肩書きは伊達じゃない!兵頭勇吾!そして今学園で良い意味でも悪い意味でも最も注目されている兵頭選手の『お姫様』白銀月子!一回戦目から激戦が予想されるこの戦いはもう直ぐ始まります。一秒も目が離せませんのでお手洗いに行くなら最後のチャンスです!』
試合会場の最終チェックが行われている中、勇吾と月子は2つ有るで入り口の一つで待機していた。本戦前に調整してもらった実戦用礼装と符の枚数をチェックしながら試合開始を待っている。隣で座る月子は少しそわそわしている、落ち着きが無い様子で何度も会場の入り口を見ている。
「緊張しすぎだぞ。」
「だって予選の時より沢山の人が視てると思ったら何だかドキドキして…勇吾君は平気そうだけど。」
「俺はあんまり気にならないタイプだな。それよりさっきのアナウンスの方が気になってしょうがねぇよ。」
「ふふっ、王子だって。」
「何が王子だよ、俺は超庶民だ。まあ、本物のお姫様は隣に座ってるけどな。ぜんぜんお姫様っぽくないけど。」
「うちも竜宮殿に帰れば凄くお姫様だからね!」
「はいはい、いつか見れたらいいですね~♪」
「ああっ!信じてないでしょ!」
二人がじゃれ合ってる所に係員が気まずそうに声を掛けて来た。「すみません、そろそろ試合開始になりますので…」
急に声を掛けられて二人して驚いて顔を見合わせる。今までのやり取りを見られていたかと思って気恥ずかしくなった。
慌ててベンチを立ち居住まいを整えると不意に可笑しさがこみ上げて二人で笑う。
「緊張感が無いな俺たち。」
「うち達らしいよね。きっと向こうもバタバタしてるよ。」
扉を隔てたもう一つの扉の先の三光院達の様子を空想して二人でまた笑ってしまう。そんな二人の予想通り試合開始5分前にも拘らず案の定バタバタしていた。
「まーちゃん、ボクのグローブ片っぽ居なくなちゃった。」
「姉さん、さっきバナナ食べると言い出して外したでしょ。ロッカーに下がってるのは何?」
「まーくん、新調した礼装ちょっと地味じゃないかい?」
「いまさらです。今日は我慢してください。ああっもう!姉さんもうバナナは駄目です!もう直ぐ始まりますから!」
「もう一本!」
開始時間1分前までこんな調子の三光院達の様子を係員はハラハラしながら見ていたようだ。
試合会場のチェックが終了し係員が試合場と客席を隔てているの壁に刻まれた防御障壁を起動すると試合場を覆うように展開した。万が一の事故に対しても客席には被害が及ばないように何重にも安全策がとられていた。客席の上に設けられた特別展欄室には学園長と各省庁から視察として数名の官僚が試合が始まるのを待っている。しかし余り居心地が良く無さそうで一様に身を竦ませている。そこへドアを乱暴に開けて入ってくる一人の男、手に菓子袋と缶ビールを持って現れた神代礼司その人だった。
「おっと、ギリ間に合ったみたいだな。ババア、俺の席何処よ?隣しか空いてねぇじゃん、俺の煎餅盗るなよ。」
「誰が盗るものかこの馬鹿たれ、学校行事で教員が酒とつまみ持参で来る奴がおるか。」
「いいだろ?生徒に見られる訳でもないし。」
「阿呆、小役人共が視ているだろう。」
「良いの良いの、俺この人等のトコに関係ないしそれに俺をどうこう言えるのはこの世で一人だけだからね。」
学園長こと九重環と神代礼司の何気ない会話なかで割り込む事無くじっとしているしか無い官僚の方々は外務省、警察庁
、文部省、などから次官クラスが来ているのにも拘らず礼司の態度は普段と変わらないのは彼が所属している組織が彼らより上だからである。そして彼らが脅えている理由としては今礼司と口喧嘩をしている彼女である。国家の主幹である官僚の彼らが上司から厳命される事が在る。
『九重環を怒らせるな。』
彼女の存在はこの国にとって最重要存在でもあり災厄でもある。彼女の言葉は重くその指は国家元首にも容易く届く。
「こんな事なら無理矢理にでも哥哥をお連れすればよかった
さすればお前を呼ぶ事はなかったのに。」
「何言ってんだ、フラれたんで俺を呼んだくせに。俺だって先生と一緒に飲みながらモニターで見てても良かったんだぜ
ほれそれよかそろそろ始まるみたいだぞ。」
試合場の二つの門が開き勇吾と月子、三光院兄妹弟が両端に立つと観客席から歓声が上がる。お互い見据える目には曇り無く身も心も気力に満ちている。試合開始の合図を今か今かと待ち望んでいる。拳を何度も開け閉めしてはやる心を抑える五六八、真っ直ぐに勇吾を見つめる輝兼、その二人を静かに見守り試合の進行をシュミレートする正兼。色合いを揃えた三者三様の礼装に身を包んだ彼らの視線の先に居るのは勇吾と月子もその熱い眼差しを受け止めるべく臨戦態勢は整っている。
「月子、頼んだ。」
「任せて、勇吾君もしっかり。」
今試合開始の合図が響いた。
非公式に賭博行為を行う生徒達から秘密裏に入手した今回のカードのオッズは僅かながら三光院チームへの勝利予測だ出ている模様。東北屈指の名家、三光院家歴代史上最高傑作。
三光院輝兼が率いる三光院兄妹弟チーム(ブラザーズ)!
そして中等部時代から三光院選手のライバルであり因縁の相手、予選リーグの初日に観衆を驚かせ今や『王子』など囁かれるがしかし、それだけではないのは皆様ご存知だろう!
現役特技武官の肩書きは伊達じゃない!兵頭勇吾!そして今学園で良い意味でも悪い意味でも最も注目されている兵頭選手の『お姫様』白銀月子!一回戦目から激戦が予想されるこの戦いはもう直ぐ始まります。一秒も目が離せませんのでお手洗いに行くなら最後のチャンスです!』
試合会場の最終チェックが行われている中、勇吾と月子は2つ有るで入り口の一つで待機していた。本戦前に調整してもらった実戦用礼装と符の枚数をチェックしながら試合開始を待っている。隣で座る月子は少しそわそわしている、落ち着きが無い様子で何度も会場の入り口を見ている。
「緊張しすぎだぞ。」
「だって予選の時より沢山の人が視てると思ったら何だかドキドキして…勇吾君は平気そうだけど。」
「俺はあんまり気にならないタイプだな。それよりさっきのアナウンスの方が気になってしょうがねぇよ。」
「ふふっ、王子だって。」
「何が王子だよ、俺は超庶民だ。まあ、本物のお姫様は隣に座ってるけどな。ぜんぜんお姫様っぽくないけど。」
「うちも竜宮殿に帰れば凄くお姫様だからね!」
「はいはい、いつか見れたらいいですね~♪」
「ああっ!信じてないでしょ!」
二人がじゃれ合ってる所に係員が気まずそうに声を掛けて来た。「すみません、そろそろ試合開始になりますので…」
急に声を掛けられて二人して驚いて顔を見合わせる。今までのやり取りを見られていたかと思って気恥ずかしくなった。
慌ててベンチを立ち居住まいを整えると不意に可笑しさがこみ上げて二人で笑う。
「緊張感が無いな俺たち。」
「うち達らしいよね。きっと向こうもバタバタしてるよ。」
扉を隔てたもう一つの扉の先の三光院達の様子を空想して二人でまた笑ってしまう。そんな二人の予想通り試合開始5分前にも拘らず案の定バタバタしていた。
「まーちゃん、ボクのグローブ片っぽ居なくなちゃった。」
「姉さん、さっきバナナ食べると言い出して外したでしょ。ロッカーに下がってるのは何?」
「まーくん、新調した礼装ちょっと地味じゃないかい?」
「いまさらです。今日は我慢してください。ああっもう!姉さんもうバナナは駄目です!もう直ぐ始まりますから!」
「もう一本!」
開始時間1分前までこんな調子の三光院達の様子を係員はハラハラしながら見ていたようだ。
試合会場のチェックが終了し係員が試合場と客席を隔てているの壁に刻まれた防御障壁を起動すると試合場を覆うように展開した。万が一の事故に対しても客席には被害が及ばないように何重にも安全策がとられていた。客席の上に設けられた特別展欄室には学園長と各省庁から視察として数名の官僚が試合が始まるのを待っている。しかし余り居心地が良く無さそうで一様に身を竦ませている。そこへドアを乱暴に開けて入ってくる一人の男、手に菓子袋と缶ビールを持って現れた神代礼司その人だった。
「おっと、ギリ間に合ったみたいだな。ババア、俺の席何処よ?隣しか空いてねぇじゃん、俺の煎餅盗るなよ。」
「誰が盗るものかこの馬鹿たれ、学校行事で教員が酒とつまみ持参で来る奴がおるか。」
「いいだろ?生徒に見られる訳でもないし。」
「阿呆、小役人共が視ているだろう。」
「良いの良いの、俺この人等のトコに関係ないしそれに俺をどうこう言えるのはこの世で一人だけだからね。」
学園長こと九重環と神代礼司の何気ない会話なかで割り込む事無くじっとしているしか無い官僚の方々は外務省、警察庁
、文部省、などから次官クラスが来ているのにも拘らず礼司の態度は普段と変わらないのは彼が所属している組織が彼らより上だからである。そして彼らが脅えている理由としては今礼司と口喧嘩をしている彼女である。国家の主幹である官僚の彼らが上司から厳命される事が在る。
『九重環を怒らせるな。』
彼女の存在はこの国にとって最重要存在でもあり災厄でもある。彼女の言葉は重くその指は国家元首にも容易く届く。
「こんな事なら無理矢理にでも哥哥をお連れすればよかった
さすればお前を呼ぶ事はなかったのに。」
「何言ってんだ、フラれたんで俺を呼んだくせに。俺だって先生と一緒に飲みながらモニターで見てても良かったんだぜ
ほれそれよかそろそろ始まるみたいだぞ。」
試合場の二つの門が開き勇吾と月子、三光院兄妹弟が両端に立つと観客席から歓声が上がる。お互い見据える目には曇り無く身も心も気力に満ちている。試合開始の合図を今か今かと待ち望んでいる。拳を何度も開け閉めしてはやる心を抑える五六八、真っ直ぐに勇吾を見つめる輝兼、その二人を静かに見守り試合の進行をシュミレートする正兼。色合いを揃えた三者三様の礼装に身を包んだ彼らの視線の先に居るのは勇吾と月子もその熱い眼差しを受け止めるべく臨戦態勢は整っている。
「月子、頼んだ。」
「任せて、勇吾君もしっかり。」
今試合開始の合図が響いた。
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