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第8話ー10
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俺の後ろで月子が柾陰先輩に決定打と言える一撃を打ち込んだ。俺の後ろに迫っていた柾陰先輩の威圧は鳴りを潜め、そして俺の前方に居るちぃ姉ちゃんが目を丸くしている。 これは俺達の作戦が成功したのは確かだった。だけどこれを作戦と言ったら笑われてしまうだろう。行き当たりバッタリかつ一度のミスで破綻してしまうギリギリの愚策は奇跡的に上手く行った。
昨晩俺の部屋で月子の言った言葉がヒントになった。そして礼司兄が言っていた言葉『チーム戦』がこの作戦を思いついたきっかけになった。「見慣れた髪型から急に変わればビックリする」月子との会話の中でこれは試合でも使えないかと想い立った。要はビックリさせて無防備な状態を作り出すと言った単純な事なんだけどなにせ相手はあの二人生半可な事じゃ動じない。だから柾陰先輩の性格を考慮した仕込をしなければいけなかった。
「明日の試合、勝率は五:五…いや、3:7で俺達の負けだと俺は思ってる。」
自分で言うのもなんだがこれでも楽観的な確立、おれ自身ここ数ヶ月で実力も魔力も上達したと自負しているけどそれでも柾陰先輩にはまだ届かない。悔しいけど格と言えば良いのか?それとも規格が違うと言うのが正解かもしれない。
「あの人もそうだけどその柾陰先輩って人は確かに強いのは分かるよ。でも勇吾君がそこまで言う程実力差があるとは思えない。」
そう言って貰えるとちょっとだけ嬉しい。だけど根本的な所で俺があの人に勝てない理由がある。
「それは多分月子が柾陰先輩と互角に戦えるって本能的に分かってるからだと思う。俺が柾陰先輩に勝てない理由の一つが突破力不足なんだ。」
「突破力?攻撃力って事?」
「まあ、正確に言えば柾陰先輩の剣の腕とあの人の特性を俺の術式や格闘術じゃダメージを与えるのが難しいって事。今から説明するけどこれは月子にも当てはまる事だからな。」
まず伽島先輩やちぃ姉ちゃんが持つ特性について何だが二人の血筋に由来する。古い古いそれこそ神話時代の人物、建御雷之男神と経津主神の末裔。その血に『神性』を有している事が普通の術者との大きな違いでこの『神性=神代の血』そのものが強固な魔術そのもので常時発動している抗魔術、つまり魔術、呪術、の様なものに対して非常に堅牢な防御手段をその身に宿している。簡易化され扱い易くなった現代魔術なんかじゃ歯が立たないどころか体に触れる前に無効化される。俺の六甲兵装術はおれ自身の魔力を物質変換して生成した武器その物なので直接攻撃出来るが…
「武器での近距離戦闘で柾陰先輩に勝てる確立は0、中、遠距離で大技狙っても避けられたり耐えられたらアウト。勝ち目が有るとすれば超近接戦闘での格闘戦なんだけど…」
白状するなら俺の格闘術は攻撃する事に関しては並程度の腕しかない。攻撃に関する術は知ってはいるが実際の処は最低限しか修めてなかった。それは俺が武術や格闘術を教わった環境に起因する。最初に師匠に基礎的な武術を教わった時は組み手をする相手が居なかった。施設時代は武術を習っている事や師匠の事も内緒にしていた事もあるけど競う相手の居ない武術は俺の中で体操程度の位置付けに為っていた。
次に習ったのが十子姉さんだった。それはもうスパルタだった。思い出すだけで泣きが入りそうなほど幼かった俺には衝撃的地獄だった。神代流は体で覚えるがモットーらしく技は受けて覚える、受身捌きは脊髄反射になるまで反復練習。
基礎訓練の合間の組み手が地獄だった!!十子姉さんとちぃ姉ちゃん女性二人に手加減されながら毎日毎日ズタボロにされる日々、先手必勝、やられる前にやれ!と言う思考回路が出来上がる前に専守防衛出来れば攻撃、それと女性と勝負するのは基本回避、殴るなんて持っての他という思考回路が出来上がってしまった。・・・刷り込みって怖いよな・・・
「と言うわけで俺では柾陰先輩を倒す事が出来ない、自分で言って置いてなんだが情けないな。そこで月子の力が必要となる、だけども。」
「それを簡単にさせるほどあの人は甘くないよね。」
そう言う事、ネックなのはちぃ姉ちゃん。なんだか妙に月子の事を敵視してるんだよな、月子も月子で初対面であんなに突っかかって行くから悪いと思うんだけど…と言ったら絶対不機嫌になるから言いません言いません。
「序盤は一対一で俺が柾陰先輩、月子はちぃ姉ちゃんを相手して様子を見つつ俺は出来る限り柾陰先輩の体力を削るから月子は難しいけどちぃ姉ちゃんとは俺と柾陰先輩との距離をあまり離さずに凌いで欲しい。」
俺がそう言うとあから様に不機嫌な顔をして俺を睨む月子。
「別に倒しちゃっても良いでしょ。それともうちじゃあの人の事倒せないとか思ってるんじゃないよね?」
ココはどう言ったものか?二人の勝負の勝ち負けなら月子が何とか勝てると思う。しかし…
「でも勝敗はギリギリになる。ちぃ姉ちゃんはもう月子の動きを見ているから必ず対応してくる。そうなると分が悪いのは俺達だ、消耗した月子では柾陰先輩を倒せない。」
俺達の少ない勝ち目は柾陰先輩を倒せるか否かに掛かっている。それにちぃ姉ちゃんの奥の手がある事も伝えないといけない。
「いいか月子、ちぃ姉ちゃんの木刀には触れるな、そしてその木刀の振られた先には絶対居ちゃ駄目だ。」
昨晩俺の部屋で月子の言った言葉がヒントになった。そして礼司兄が言っていた言葉『チーム戦』がこの作戦を思いついたきっかけになった。「見慣れた髪型から急に変わればビックリする」月子との会話の中でこれは試合でも使えないかと想い立った。要はビックリさせて無防備な状態を作り出すと言った単純な事なんだけどなにせ相手はあの二人生半可な事じゃ動じない。だから柾陰先輩の性格を考慮した仕込をしなければいけなかった。
「明日の試合、勝率は五:五…いや、3:7で俺達の負けだと俺は思ってる。」
自分で言うのもなんだがこれでも楽観的な確立、おれ自身ここ数ヶ月で実力も魔力も上達したと自負しているけどそれでも柾陰先輩にはまだ届かない。悔しいけど格と言えば良いのか?それとも規格が違うと言うのが正解かもしれない。
「あの人もそうだけどその柾陰先輩って人は確かに強いのは分かるよ。でも勇吾君がそこまで言う程実力差があるとは思えない。」
そう言って貰えるとちょっとだけ嬉しい。だけど根本的な所で俺があの人に勝てない理由がある。
「それは多分月子が柾陰先輩と互角に戦えるって本能的に分かってるからだと思う。俺が柾陰先輩に勝てない理由の一つが突破力不足なんだ。」
「突破力?攻撃力って事?」
「まあ、正確に言えば柾陰先輩の剣の腕とあの人の特性を俺の術式や格闘術じゃダメージを与えるのが難しいって事。今から説明するけどこれは月子にも当てはまる事だからな。」
まず伽島先輩やちぃ姉ちゃんが持つ特性について何だが二人の血筋に由来する。古い古いそれこそ神話時代の人物、建御雷之男神と経津主神の末裔。その血に『神性』を有している事が普通の術者との大きな違いでこの『神性=神代の血』そのものが強固な魔術そのもので常時発動している抗魔術、つまり魔術、呪術、の様なものに対して非常に堅牢な防御手段をその身に宿している。簡易化され扱い易くなった現代魔術なんかじゃ歯が立たないどころか体に触れる前に無効化される。俺の六甲兵装術はおれ自身の魔力を物質変換して生成した武器その物なので直接攻撃出来るが…
「武器での近距離戦闘で柾陰先輩に勝てる確立は0、中、遠距離で大技狙っても避けられたり耐えられたらアウト。勝ち目が有るとすれば超近接戦闘での格闘戦なんだけど…」
白状するなら俺の格闘術は攻撃する事に関しては並程度の腕しかない。攻撃に関する術は知ってはいるが実際の処は最低限しか修めてなかった。それは俺が武術や格闘術を教わった環境に起因する。最初に師匠に基礎的な武術を教わった時は組み手をする相手が居なかった。施設時代は武術を習っている事や師匠の事も内緒にしていた事もあるけど競う相手の居ない武術は俺の中で体操程度の位置付けに為っていた。
次に習ったのが十子姉さんだった。それはもうスパルタだった。思い出すだけで泣きが入りそうなほど幼かった俺には衝撃的地獄だった。神代流は体で覚えるがモットーらしく技は受けて覚える、受身捌きは脊髄反射になるまで反復練習。
基礎訓練の合間の組み手が地獄だった!!十子姉さんとちぃ姉ちゃん女性二人に手加減されながら毎日毎日ズタボロにされる日々、先手必勝、やられる前にやれ!と言う思考回路が出来上がる前に専守防衛出来れば攻撃、それと女性と勝負するのは基本回避、殴るなんて持っての他という思考回路が出来上がってしまった。・・・刷り込みって怖いよな・・・
「と言うわけで俺では柾陰先輩を倒す事が出来ない、自分で言って置いてなんだが情けないな。そこで月子の力が必要となる、だけども。」
「それを簡単にさせるほどあの人は甘くないよね。」
そう言う事、ネックなのはちぃ姉ちゃん。なんだか妙に月子の事を敵視してるんだよな、月子も月子で初対面であんなに突っかかって行くから悪いと思うんだけど…と言ったら絶対不機嫌になるから言いません言いません。
「序盤は一対一で俺が柾陰先輩、月子はちぃ姉ちゃんを相手して様子を見つつ俺は出来る限り柾陰先輩の体力を削るから月子は難しいけどちぃ姉ちゃんとは俺と柾陰先輩との距離をあまり離さずに凌いで欲しい。」
俺がそう言うとあから様に不機嫌な顔をして俺を睨む月子。
「別に倒しちゃっても良いでしょ。それともうちじゃあの人の事倒せないとか思ってるんじゃないよね?」
ココはどう言ったものか?二人の勝負の勝ち負けなら月子が何とか勝てると思う。しかし…
「でも勝敗はギリギリになる。ちぃ姉ちゃんはもう月子の動きを見ているから必ず対応してくる。そうなると分が悪いのは俺達だ、消耗した月子では柾陰先輩を倒せない。」
俺達の少ない勝ち目は柾陰先輩を倒せるか否かに掛かっている。それにちぃ姉ちゃんの奥の手がある事も伝えないといけない。
「いいか月子、ちぃ姉ちゃんの木刀には触れるな、そしてその木刀の振られた先には絶対居ちゃ駄目だ。」
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