龍帝皇女の護衛役

右島 芒

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第3話ー2

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校舎棟の一階の最奥にひっそりと建て付けられた木製のドア。
よく見ると取っ手もノブも無い、引く事も押す事も出来ない機能不全のドアの前に俺と月子は立っている。このドアこそがこの学園の最高機密のひとつであり学園町の部屋へ行く為の唯一の道でもある。俺はいつも道理の手順でドアのロックを解除する。ドアに手を触れるドアに掛かっている偽装を解除すると六十四卦で描かれたダイヤルロックが現れる。手順と組み合わせを思い出しながら上卦と下卦を組み合わせると扉は組み気細工が解けるように開き出した。そして開いた瞬間に微かに漏れ出す妖気に月子が一瞬顔をしかめる。
「月子、ここから先は学園長の領域だ。どうした?震えてるのか。」
月子の様子が明らかにおかしかった。
「物凄く濃密で禍々しい妖気。殺気すら混じっている。」
あの人の悪い癖がまた出たようだ。俺も初めての時にやられた、本人は試すつもりでやっているんだろうけど底意地の悪さが滲み出るので止めた方がいいと思うのだがこれも通過儀礼だと思って月子には我慢してもらいたい。
「学園長に会うまでこれが続くけど辛くなったらおんぶするぞ。」
「子ども扱いしないで!これ位平気だから!」
月子に圧し掛かるプレッシャーは心身ともに疲弊させる。早く開放してやりたいがこの先どれ程の時間で学園長の居る場所に辿り着けるかは学園長の匙加減で変わってしまう。歩くのも辛そうな月子の手を引いて開いた扉の先に足を踏み入れるとそこには先の見えない廊下が伸びていた。
「なんて意地の悪い。」

「何処まで続いているの?」
月子があっけに取られているのも無理は無い。ここは学園内であって学園内では無い、学園長が支配する完全な隔離空間。神域の結界術はこうも簡単に別世界を構築してしまう。しかし今回は本当に意地が悪いこんな所をだらだらと歩いていたら月子がどんどん疲弊してしまう。どんな思惑が有るかは知らないが付き合ってやる道理は無い。
「ではここで月子君に問題です。」
「え!突然なに?」
「結界には大きく分けて2種類あります。解りますか?」
「ええっ!・・・解りません。」
まいったな、本当に武術一辺倒で育ってきたんだな。
結構基礎的な話だけど仕方ない、座学の一貫として覚えて貰おう。
「結界には内と外で分けるのが殆どなんだ。例えば外部からの攻撃を防ぐ為の防御結界、現代術式の防御障壁はこれを個人用に落としこんだ物だね。」
月子は俺の話を聞いてうんうんと首を振る。
「次に今まさに俺たちが居るこの場所が内側に向けられている内縛結界と隔絶結界の複合版なんだけどこれは言葉の通り内側を閉じ外から隔離するもので本来の用途は対象の封印に使われる。とても強固な術なんだ。」
「そしたらうち達は出れないって事?」
そう、本来ならこの手の結界を破るのは多大な労力を必要とするが…
「普通なら凄く面倒臭いけど今の現状だとそんなに難しくないんだ。解るかな?」俺の問いに首を傾げる月子に俺は携帯電話を取り出す。
「この結界の穴はこれを作った術者が結界内に居るって事。無理やり術を解除しなくても幾らでもやり様がある、たとえば。」
俺は携帯電話で学園長に電話をかけると学園長は直ぐに出た。
『どうしたえ?入って早々ギブアップか?だらしないの~。』
「いやいや、その気になれば余裕ですから!ただ今日はメンドイので裏技を使います。」
『裏技?妾の結界内でズルは出来ん事よく知っておるであろうが。』
「これでもですか?」
俺はメールである画像を添付し学園長に送る。
『ふんはー!!またこのようなモノを!妾を買収するきかえ…まだある?』
何を見せたかは企業秘密だが乗ってきたので。
「角度を変えて数カット御座いますよが何故か指が震えて削除ボタンを押しそうです!」畳み掛ける!
『くっ、なんて悪辣な!解った解った、ほれ入り口を作るゆえ直ぐに残りを送信せい!』
「毎度ありがとう御座います、月子は入ろう。」
「勇吾君、なんか凄く悪者の顔してるね。ズルしてるみたいで嫌だな…」
いやいや、最も効率的なやり方と言って欲しい。ずるい事はいけない事だけど時と場合でそれが許される時もある。そもそも、今まで培ったきた知識や技術は困難に立ち向かうために磨き上げてきた物でそれを容易く超える為に使うなら間違いではない筈だ。などと自己肯定しながら俺達は学園長の部屋に入った。
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