龍帝皇女の護衛役

右島 芒

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第4話ー2

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「月子さん落ち着こう。話が見えない、なぜ同室になるって話が夫婦になるって話になったのか順序だてて俺に教えてくれ。」
「普通そうでしょ?」
何処の普通だ!いや待てもしかすると月子の故郷だとそういう風習があるのか?確かに同じ部屋になる事を渋っていた訳がそれなら納得する。
「そうか、月子の故郷じゃそれが普通なんだ…色々危なかった。でもな月子、世間一般では同じ部屋に住んだからって夫婦になる事は無いんだぞ。今はシェアハウスってのがあって複数の男女が一軒家で暮らす事もある時代なんだから。」
「そうなの!お爺様みたいだね。沢山の奥さんが居るんだ!」
「違うよ!」
月子の爺さんの話しは気になるがちゃんと説明しないと俺は一から今のご時勢の話をするとようやく月子も納得してくれた。そして自分の発言が恥ずかしくなった様で顔を真っ赤にして俯いている。
「凄い勘違いしちゃった。姉様の嘘つき!」
 手で顔を覆いしゃがみ込んでしまっている。落ち着くまで見守る事にしよう。確かにかなり恥ずかしかっただろうから。

暫らくして月子も落ち着き平常心を取り戻したように見えるがまだ顔が赤い。こうして俺達は同室になる事は決まった。
「くれぐれも同室で生活している事はばれぬ様にな。妾の評判が落ちるゆえ、あと間違いが起きても別に構わんぞ。若さ故の過ちは妾の大好物だ。」
何言ってんだこの人!そもそも同室にしたのは学園長だろうがっ!とツッツ込みを入れたくなったが言うだけ無駄そうなので黙っているけど月子が学園長の言葉にまた顔を真っ赤にしている。っか問題って何だ?
「そろそろ寮に戻ります。月子も明日の準備とか部屋の片付けがあるでしょうから。」
「そっ、そうだね!荷物も届いているかも。」
学園長はニヤニヤしながら俺たちを眺める。効果は薄かもしれないが後で部屋に妨害用の符を張っておこう。どうせデバガメする気満々だろうからなるべく強力な阻害系の結界符を用意しておかねば。

それから俺達は別々の寮に入りお互いの部屋に戻った。
部屋自体は特に変わっていなかったが何もなかった壁に真新しい扉が出来ていた。たぶんこれが月子の部屋に続く扉なんだろうなっと思いつつ俺はベットに体を預け天井を眺めて居ると。さっそくそのドアからノック音が聞こえた。月子が恐る恐る顔を出し俺の方を見てバツの悪そうな顔をしている。どうしたのかと尋ねると部屋の設備の使い方が分からないと言ってきたので簡単にだけど説明を始めた。
 
 学生寮は基本的に全て個室になっておりトイレ、風呂、キッチンが常設されている。家電製品も一式そろえており至れりつくせいり。間取りとしては1LDK学生には贅沢だろう。術者の育成機関である学園の生徒は須らく術者である。各家の術式を他人に見られることは有ってはならない事なのでこれは当たり前の配慮だと言う事らしい。
「これで大体説明したけど月子は夕飯どうする?」
結局説明がてらに月子の荷物の荷解きや家具のレイアウトまでしてしまう事になった。月子も始めは遠慮していたけど自身でも驚くほどの荷物が来ていた事に何処から手を着けていいか困っていたようだ。家具だけは何とか収める事が出来たが10数個あるダンボールはいまだに部屋を占領していた。
「お爺様も姉様も…こんなに必要ないと言ったのに。」
大量のダンボールに溜息を吐いている月子。気が付けば6時近くになってしまっていた。
「他の荷物は夕食が済んだら自分でやるわ。勇吾君はもう手伝はなくていいからね。」
「なんでだよ?二人でやった方が早いだろう?」
「もう!そう言う所がデリカシーがないの!女の子の荷物を軽々しく開けないで!」
むっ、怒られてしまった。月子とは昼間行った学生食堂で落ち合う事にして俺は自室の部屋から外に出た。すると俺の部屋の前で偶然中等部一年に在籍している三光院の弟正兼にばったり会ってしまった。
「正兼君、あいつを呼びに着たのか?」
「こんにちは兵頭先輩、兄がいつもご迷惑をおかけしています。」
三光院家の次男坊でマイペース過ぎる兄をいつも迎えに来ている。
通称『三光院家の黒い良心』と言われている。
「俺も食堂に行く時間だから付き合うよ。」
「すみません、ありがとう御座います。」
二人で三光院の部屋まで歩いて行くと珍しく三光院が歩いて俺達のほうに向かってきた。いつもは食べるのを忘れるくらい術の開発に没頭しているのにまったく珍しい。
「二人揃って僕を呼びに来てくれたのかい?ありがとうマイフレンド&マイブラザー!」
走り抱き付こうとする三光院をすっと避ける。
「食堂行くぞ。」
「クールでドライすぎるよ勇吾くん!マーくんはお兄ちゃんのハグを受け止めてくれるよね?」
「いいですよ兄さん。一回千円取りますけど。」
朗らかな顔で兄に対して料金を請求する。これが彼の二つ名の所以だ。
真面目で常識人だがちょっとアレな兄に対してはかなり冷徹で容赦無い所がある。彼がこうなってしまったのはこいつの所為だけではなく。もう一人の三光院家の問題児が絡んでくる。
「お腹空きすぎてイライラかい?困ったマイブラザーだ。」
鬱陶しい程テンションが高い三光院を無視しながら俺と正兼君は学生食堂に向けて歩き出す。三光院も置いてかれまいと直ぐに俺達に追いついて来た。

食堂に着くと月子が既に昼食を食べた時と同じ席で待っていたが何故か一人の女性とに絡まれていた。月子は困った顔をしながら慌てているがその女性とはそんな月子を他所にグイグイ距離を詰めている。
まさかと思いたいがここで三光院家が揃ってしまった。三光院家の問題児その2三光院家長女『三光院家の非常識』五六八いろはが月子に絡んでいたのである。
「ねえねえ、どっから来たの?名前は?何年生?兄ちゃんと弟どっちが好き?僕はどっちも大好きだよ!」
矢継ぎ早に質問攻めをしている。周囲の生徒も巻き込まれるのを嫌がり遠巻きに見ている。既に涙目に成りかけている月子が俺を見て顔を明るくした。すると俺達のほうを見た月子の視線の先を察した五六八が俺をロックオンして突撃してきた。
「ゆうごっち!飯食いに来たか!!じゃあ僕と一緒に食べようぜ!!」
兄と同じ行動をとる妹五六八を勿論兄と同じように避ける。
「毎度毎度突っ込んでくるな。抱きつくならそれにしとけ。」
三光院を指差すとそれに向かって五六八は飛びついて行く。
「マイシスター、今日も元気いっぱいだ!兄は嬉しいよ!」
「僕はいつだって元気いっぱいだ、マーちゃんもハグ!」
「やめてよ姉さん、みんな見てるから。」
仲良し三光院兄弟が揃い頭が痛い。俺は三人のやり取りをほって置いて月子の元に向かう。
「災難だったな。」
「怖かったよ。」
しかしこうなると落ち着いて夕食を取れなくなりそうなのも明らかだった。
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