魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

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2章 放たれた魔銃と幸運の石

45 今日中に教授が捕まりそうだ

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「エムルライド教授、ブラニカさんが最初に所長を尋ねてきたとき、あなたは何をされていましたか?」

「何をと言われても、ジェイソンが戻ってくるまで待っていただけだが。」

 僕の質問に不機嫌に教授が不機嫌に答える。

「魔銃に触れてはいないのですか?」

「前にも言っただろう、興味のないものにわざわざ触れたりはしないと。」

 ここまで予定通りの問答だ。

「僕は正直、あなたの技術力に感嘆しましたよ。」

 僕はわざとらしい手振りをする。

「どういう意味だ?」

「比較的短時間で魔銃が暴発するように細工してしまう技術力にね。」

「事件が暴発による物だったとしてもジェイソンが不良品を作っただけの話だ。
 それを私のせいにしようというのか!」

 教授は怒鳴らなかった。
 ただ低い声で凄む。

「証拠があるんですよ。」

「ほう、ならその証拠を出してみろ。」

 教授が目を細めて応じる。

「指紋というのをご存じですか?」

「知らんな。
 それがどうした。」

「人間の指先にはそれぞれ異なる模様が付いています。
 肉眼でも分かりますよね。
 物に触れると皮脂によって印章(いんしょう)のように跡が付くんですよ。
 アルミニウムをベースに調合した粉末で検出しました。
 そして魔銃にもいくつか指紋が付いていました。
 こちらが分かりやすく付いていた指紋を書き出した物です。
 こちらの模写と実物の比較は後でしていただいて結構です。」

 僕は模写した紙を見せる。

「さて、エムルライド教授、指紋をとらせていただけますか?」

「馬鹿馬鹿しい。
 そんな物が証拠になるか。
 付き合ってられん。」

 教授は指紋の提出を拒んだ。
 そう来ると思って準備は怠らずしておいた。

「そう仰ると思って、手間を省かせていただきました。
 これを覚えていらっしゃいますか?」

 僕は電球ランプを袋から取り出した。

「スイッチを押しましたよね。
 実はもう指紋を採ってあります。
 そうしたらあら不思議、付いていましたよ魔銃の色々なところにあなたの指紋が。」

 僕の言葉に教授は苦虫を噛み潰したような顔をする。

「興味本位で触った、ただそれだけだ。」

 触ったのは認めた。
 もう一押しだ。

「本当に凄いと思いますよ。
 魔銃の構造を理解して、稼働スイッチに細工。
 しかもごく短時間で出来るなんて。
 さすがはエスファーン記念大学の教授になられただけのことはありますね。」

「私はそんなことはしていない!」

 あくまでシラを切る教授。

「なら何故あなたが触ったときは暴発しなかったんですか?」

「たまたまだろう。
 ジェイソンの作った物が不良品だったんだからな。」

「いじられていた部分は少し傾けただけで、魔力が流れて暴発するようになっていましたよ。」

「馬鹿な、もっと余裕マージンが取られていたはずだ。」

「なるほど、自分ではそう細工したつもりだったんですね。」

「くっ!」

 ここまでニコニコして聞いていた白髭の老人が口を開く。

「さて、そろそろ潮時かの。
 エムルライドよ、もう見苦しいまねはやめい。」

 その時教授の周りに炎の玉が浮かぶ。
 教授の目の先には魔銃があった。
 証拠を破壊するつもりだ。

「やれやれ。」

 白髭の老人はそう言うと・・・既に勝負が付いていた。
 エムルライド教授は泡を吹いて意識を失っている。
 よく見ると首に圧迫された跡が付いている。
 何をしたんですかね。

 教授は何かに支えられたかのように倒れない。
 おそらく師匠が風系統の魔法で空気操作を行っているのだろう。
 師匠は相変わらずニコニコしながら教授に近づいていく。
 怖いよ。

 そして師匠が魔術回路を編み始める。
 さっきの魔法を瞬間的に繰り出してきた師匠が、時間をかけて魔術回路を編んでいるのだ。
 そして師匠が編んでいる回路から感じられる感覚に覚えがある。
 精神魔法だ。



 師匠が無双だった。
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