魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

文字の大きさ
224 / 262
終章 世界の終わりと創世の伝説

225 意気地無しでも育児はあるよ

しおりを挟む
 次の日、僕はブリデイン王国での人材登用に関して、師匠の了解を得た。
 こちらからも技術者を派遣するのだ。
 当然嫌とは言えないだろう。
 師匠は、まさかエリザまで連れて行こうとするとは思わなかったと苦笑していた。

 そして僕はテイラン先輩の仮住居を訪ねる。
 見知らぬ僕の突然の訪問に驚いていた先輩も、師匠とエリザさんの名前を出すと話を聞いてくれた。
 僕はアグレトとしての自己紹介を済ます。
 そんな中、隣の部屋でブラニカさんが子供をあやす声が聞こえてくる。

「うるさくてすまない。」

 テイラン先輩が謝ってきた。

「いえ、突然訪問したのはこちらですのでお気になさらずに。
 早速ですが、本題に入らせてください。」

 あまり時間をかけてもいられないので、僕は単刀直入に話をする。

「それは構わないけれど、レイネスの使節の方が僕に何の用があるのでしょう?」

 つい最近まで、辺境に左遷されていた身分の先輩は、何故外国の使節の人間が尋ねてくるのか全く分からないようだった。

「テイランさんにレイネスの研究施設へスカウトしたいのです。」

 ド直球で勧誘する。

「僕を指名する理由を尋ねても?」

 まあ、突然だし当然の疑問だろう。
 テイラン先輩は、冗談でも言われているんだろうかという表情をしている。

「オキスという人物は知っていますよね。」

「ああ、もちろん。
 僕なんかとは比べものにならないほど優秀な少年だよ。
 というか僕よりも、彼に声をかけるべきじゃないかな。」

 テイラン先輩は遺跡街レイネスの情報は知っていても、詳細については理解していないようだ。
 まあ、師匠のように国の中枢にいなければ、そんな情報は入ってこないのだろう。

「そのオキス様が遺跡街レイネスを作り、つい最近まで代表をしていました。」

「・・・え?
 ええと、ちょっと待って。」

 テイラン先輩がしばらく考え込む。

「彼は今どこに?」

「魔王の娘と戦い、命を落としました。
 今、レイネスの代表は空席です。」

「冗談ですよね?」 

「いえ、こんなところで冗談を言うほど暇ではありません。
 テイランさんに声をかけさせていただいたのは、オキス様から優秀であると聞いているからです。」

 聞いているというか、見ていたというか。

「彼が僕を優秀と?
 それこそタチの悪い冗談だ。
 僕は彼の足下にも及ばない。」

 テイラン先輩は自分を低く見積もっているようだけど、特定分野の魔法や魔道具の知識はかなり優秀だ。
 レイネスで他の学者と共に研究を行えば、少なからぬ成果を上げるだろう。

「どうかお願いします。
 我々に力を貸してください。」

 僕は頭を下げる。

「いやいやいやいや。
 ちょっと、ちょっと。
 参ったなあ。」

「あなた、行ってきたら?
 研究がしたくてうずうずしている顔は隠せないわよ。」

 気が付くとブラニカさんが部屋に入って、テイラン先輩に声をかけた。

「でも、エイニアが。」

 テイラン先輩がブラニカさんにそう言う。
 エイニアというのは、ブラニカさんの母親の名前だ。
 状況から察するに、自分の子供にエイニアと言う名前を付けたのだろう。

「ご家族まとめていらっしゃって結構ですよ。
 レイネスはホワイトなので育児施設も充実しています。」

 僕はだめ押しの一言を放つのだった。







 育児施設無双だ。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

処理中です...