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一章 チュートリアルな第一層
16 朝食を取りながら経験する、超ショックな出来事
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朝のモーニングセット、メニューはオニオングラタンとパンと紅茶で800シュネだ。ソルトシールに来てから初めての朝食のような気がする。僕が優雅にモーニングを楽しんでいると、向こうの席では若い男女が二人、いちゃつきながら朝食を食べている。別に羨ましくなんかないよ。
僕は男女を見てしまわないように、意識的に視線をそらす。しかし聞こえてくる声。
「あれって、石ボッチだろ?」
「えっ、あの人のいないところを狩り場にして、石ばっかり投げてるっていうあの?うわぁ初めて見た。」
「ザコ相手に必死に戦ってるんだぜ。感動もんだろ。」
聞かないようにしているのに、聞こえてきてしまう。いや、わざと聞こえるように話しているのだ。
僕はイソイソと朝食を胃に詰め込む。そして店主に代金を払うと、早々に立ち去った。後ろから男女の笑い声が聞こえる。僕のことを笑っているのか、それとももう別の話題に移っているのか。
人気の無いところで戦っていたつもりだったのに、誰かに見られていたようだ。しかも噂を立てられている。僕のことなど放っておいて欲しいのに。
「どうでもいい、どうでもいい、どうでもいい」僕は念仏のように唱えた。とにかく今日できることをしよう。まずは食料を買いに行くのだ。そして干し肉やパン、水を購入する。ちらりと食材売り場を覗いてみると、小麦粉や香辛料なども豊富に取りそろっていた。ダンジョンから得られる素材で、この街は豊かになったらしい。
ふと気になったのは価格だ。小麦粉の価格は、僕が行商人に卸していたときの20倍以上する。いくらなんでも・・・。もしかして僕は、あの行商人に騙されていたのだろうか?不安になったので、金の価格も確認してみることにした。
「あー、あー、あはははは。」
僕は笑った。金は50倍だ。もう笑うしかない。村の人はみんな親切だった。でも村の外の人間は・・・。僕の意識がダークサイドに沈む。
いや、違う。そもそもの間違いは、僕が相場を知らなかったことだ。それを人任せにしていたのは、信頼していたからか?違うだろう。単純に情報を収集するという責任を放棄していたのだ。相手の提示した額を僕は受け入れた。ただそれだけの話だ。一つ心残りがあるとすれば、これからも村の人達は相場よりも遙かに安い価格で取引を続けることだ。いつになるか分からないけれど、村に戻ったらそのことを伝えよう。
どんなに底辺を走ろうと、死んだわけでは無い。そろそろ切れそうなランプの油を購入し補充する。このランプ、実は油に魔法素材が組み込まれているらしく、想定よりも価格が高かった。5800シュネもする。物価・・・高いな。さあ、ダンジョン探索4日目を始めよう。
今日はボス部屋へ向かう。第一層の洞窟は広大で、往復の時間を考えると一日がかりだ。僕は人通りの多い道を進む。朝の件があったせいか、周りの冒険者達がジロジロと僕を見ている気がする。キニシナイ、キニシナイ。
途中、スライムを2匹エンカウントし倒した。他にも魔物はいたけれど、他のパーティーがサクサクと倒していた。今日の目的は狩りでは無いので問題ない。順調に道を進んでいったものの、とうとう周りの冒険者パーティーの視線に耐えられなくなった。人通りの少ない迂回経路を選択する。
道を一本逸れただけで、人が全くいなくなった。魔物が出るかもしれないという恐怖感よりも、人がいなくなったという安心感が勝る。しかしこの経路、人どころか魔物の気配も無い。まあ、そういうこともあるだろうと、一応の警戒をしながら先を進む。
「え?あれって・・・。」
僕は見つけてしまった。とんでもない物を。僕はそれを槍で刺してみる。カツっという音がした。それは・・・宝箱だ。しかも1メートル幅の、人が入れそうなほどの大きさの宝箱だ。
僕はとにかく槍で宝箱をつつく。さらに距離を取り投石を試す。罠だ、こいつは罠に違いない。開けたとたんに針がと出してきたり、ガスが吹き出てきたり、警報が鳴って魔物を呼び寄せたり、とんでもないところに転移させられたりするんだ。ミミックという可能性もある。
僕は悩んだ。開けるべきか、無視するべきか。そもそもこんな所になんで宝箱があるんだ?誰が置いた?まあ、宝箱があるという事実は認めるとして、中身が入っていたとすると、すでに他の冒険者が回収しているはずだ。どうする?開けるか?
冒険者とは冒険をする者だ。冒険者が冒険をしなくてどうする?そう、僕は冒険者なのだ。僕は宝箱に手をかけ、そして・・・。
僕は男女を見てしまわないように、意識的に視線をそらす。しかし聞こえてくる声。
「あれって、石ボッチだろ?」
「えっ、あの人のいないところを狩り場にして、石ばっかり投げてるっていうあの?うわぁ初めて見た。」
「ザコ相手に必死に戦ってるんだぜ。感動もんだろ。」
聞かないようにしているのに、聞こえてきてしまう。いや、わざと聞こえるように話しているのだ。
僕はイソイソと朝食を胃に詰め込む。そして店主に代金を払うと、早々に立ち去った。後ろから男女の笑い声が聞こえる。僕のことを笑っているのか、それとももう別の話題に移っているのか。
人気の無いところで戦っていたつもりだったのに、誰かに見られていたようだ。しかも噂を立てられている。僕のことなど放っておいて欲しいのに。
「どうでもいい、どうでもいい、どうでもいい」僕は念仏のように唱えた。とにかく今日できることをしよう。まずは食料を買いに行くのだ。そして干し肉やパン、水を購入する。ちらりと食材売り場を覗いてみると、小麦粉や香辛料なども豊富に取りそろっていた。ダンジョンから得られる素材で、この街は豊かになったらしい。
ふと気になったのは価格だ。小麦粉の価格は、僕が行商人に卸していたときの20倍以上する。いくらなんでも・・・。もしかして僕は、あの行商人に騙されていたのだろうか?不安になったので、金の価格も確認してみることにした。
「あー、あー、あはははは。」
僕は笑った。金は50倍だ。もう笑うしかない。村の人はみんな親切だった。でも村の外の人間は・・・。僕の意識がダークサイドに沈む。
いや、違う。そもそもの間違いは、僕が相場を知らなかったことだ。それを人任せにしていたのは、信頼していたからか?違うだろう。単純に情報を収集するという責任を放棄していたのだ。相手の提示した額を僕は受け入れた。ただそれだけの話だ。一つ心残りがあるとすれば、これからも村の人達は相場よりも遙かに安い価格で取引を続けることだ。いつになるか分からないけれど、村に戻ったらそのことを伝えよう。
どんなに底辺を走ろうと、死んだわけでは無い。そろそろ切れそうなランプの油を購入し補充する。このランプ、実は油に魔法素材が組み込まれているらしく、想定よりも価格が高かった。5800シュネもする。物価・・・高いな。さあ、ダンジョン探索4日目を始めよう。
今日はボス部屋へ向かう。第一層の洞窟は広大で、往復の時間を考えると一日がかりだ。僕は人通りの多い道を進む。朝の件があったせいか、周りの冒険者達がジロジロと僕を見ている気がする。キニシナイ、キニシナイ。
途中、スライムを2匹エンカウントし倒した。他にも魔物はいたけれど、他のパーティーがサクサクと倒していた。今日の目的は狩りでは無いので問題ない。順調に道を進んでいったものの、とうとう周りの冒険者パーティーの視線に耐えられなくなった。人通りの少ない迂回経路を選択する。
道を一本逸れただけで、人が全くいなくなった。魔物が出るかもしれないという恐怖感よりも、人がいなくなったという安心感が勝る。しかしこの経路、人どころか魔物の気配も無い。まあ、そういうこともあるだろうと、一応の警戒をしながら先を進む。
「え?あれって・・・。」
僕は見つけてしまった。とんでもない物を。僕はそれを槍で刺してみる。カツっという音がした。それは・・・宝箱だ。しかも1メートル幅の、人が入れそうなほどの大きさの宝箱だ。
僕はとにかく槍で宝箱をつつく。さらに距離を取り投石を試す。罠だ、こいつは罠に違いない。開けたとたんに針がと出してきたり、ガスが吹き出てきたり、警報が鳴って魔物を呼び寄せたり、とんでもないところに転移させられたりするんだ。ミミックという可能性もある。
僕は悩んだ。開けるべきか、無視するべきか。そもそもこんな所になんで宝箱があるんだ?誰が置いた?まあ、宝箱があるという事実は認めるとして、中身が入っていたとすると、すでに他の冒険者が回収しているはずだ。どうする?開けるか?
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