能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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三章 あん・あん、いやあん、第三層

38 ブタをぶたないで

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 ここは第三層終着の村。第二層の大樹を倒して、意気揚々とやってきた冒険者達の心が折れる場所。しかし僕の心はまだ折れていない。野宿した僕は、村で飼われている鶏に顔を突かれて起床した。この鶏、焼き鳥にされたいのだろうか?

 さあ、18日目をスタートだ。睡眠を取ってすっきりした僕は、今後の方針を整理することにした。

 僕は詰みだ何だと言いながらも、なんだかんだでここまでは来たのだ。最善は尽くしているはず。問題があるとすれば、敵の強さのインフレが酷すぎることに尽きる。これが少年漫画なら、敵の強さと共に自分の強さが上がっていくものだが、どうやら僕には適用されないようだ。しかしダンジョンは、能力チート持ちな冒険者を対象にしているとしか思えない。

 ボッタクリ宿屋のお爺さん、宿爺の話では、ここから先の敵の強さは芋虫の比では無いらしい。さらに夜になるとアンデットが大量にわき出てくる。アンデットは冒険者のなれの果てだ。生前の冒険者の能力を持っていて、剣も使えば魔法屋も弓も有りだという。しかもボス部屋周辺は、墓場という強制的な夜区間があるという追加情報までもらってしまった。もはや笑うしか無いだろう。

 こんな感じで敵の戦闘力がインフレしているのに、僕の強さはデフレ気味だ。もう少し強さの景気対策をやらないと、破綻の憂き目を見ることになるだろう。そして僕はある施策を掲げることにした。

 アフタミクス「三本の矢」だ!

 まずはカネを稼ぐ。そしてそのカネで新たなカネを生み出し、財政状況を改善する。そしてそれを僕の成長投資に回すのだ。このサイクルをグイグイ回していけば、僕は無敵の存在と化すだろう。

 まずは村の土地を確保するところから始めたい。村を歩いていると大きな畑にさしかかる。意外にこの村は大きい。そして汗をぬぐってさわやかな表情をしているブタを見つける。いや間違えた、人間を見つけた。

「あのぉ、ちょっといいですか?」
「なんだブヒ?」

 !!!!!
 今、「ブヒ」って言った? 言ったよね? 見た目が大柄で凄い太っているんだけど、もしかしてオーク? 倒した方が良い?

「ええっと・・・。」
「農業は楽しいブヒ。オイラは戦いからは足を洗って、ここでこうして色々な物を育てているブヒ。」
 オーク擬きの人は突然自分語りを始めた。

「あのぉ。」
「作っているのは、上位ポーションの原料になる魔法の葉や、特殊効果を持つ魔法の実が多いブヒ。ダンジョンの中は魔素が濃いから良く育つブヒ。もちろん育てる技術も必要ブヒ。」
 まずい、ブヒブヒ言っているのが強烈で、内容が頭に入ってこない。

「ブヒ?」
「ブヒって何だブヒ。馬鹿にしているのかブヒ?」
 え? ブヒって言ったら心が通じ合えるかと思ったのに駄目なの?

「いや、あの、ええっと、この畑は結構広いようなんですけど、この村の土地の権利ってどうなってるんですか?」
「土地? ああ、届け出をすれば、空いているところを適当に使って構わないブヒ。一応だれが使っているか分かるように、村の冒険者ギルド出張所に申請するブヒ。」
「そんなんで大丈夫なんですか?」
「問題ないブヒ。村は施設が増えると勝手に大きくなるブヒ。」
「大きくなるんですか?」
「人口や建物が増えると村ランクというのが上がるブヒ。そうすると村が広くなるブヒ。しかも広くなるだけじゃなくて、以前は公園が増えたこともあるブヒ。」

 ブヒィィィ、何だそれは! いやいやいや、深く考えたら負けだ。第二層のジャングルで度肝を抜かれたが、第三層の弾けっぷりはそれ以上だ。今後が不安になってくる。だがしかし、第四層の予想はついている。次に下の階層に行ってももう絶対に驚かない。驚いてなるものか。

 土地が自由に使えると言うことだったので、空いている土地で作業場を作ることにした。僕が何か作ればその分、村が大きくなるということだ。土地を使っても、誰も困らないシステムのようだ。僕は申請のため冒険者ギルド出張所に向かった。

 出張所はこぢんまりとした空間だった。そして小さな女の子が受付に座っていた。留守番かな?

「あのぉ、だれか大人の人はいないかな?」
「何の用?」
 僕が話しかけると、女の子は面倒くさそうに対応してくる。

「土地の利用申請をしたいんだけど、大人の人は・・・。」
「はい、これ。」
 村の地図とペンだ。どうやら使いたい場所をこれに記入するらしい。

「あの・・・大人の人は?」
「そんなのいない。とっとと書いて。」
「もしかして君一人なの?」
「あのね・・見た目で判断しない方が良いわよ。少なくともこの村にいる人間は第三層到達者なんだから。」

 ブヒィ。そうか、ここにいる人間は全員、大樹を倒してここまで来ているのだ。ということはもしかして、この子無茶苦茶強かったりするんだろうか? 4人パーティが可能だから、弱くても突破することは可能か?

 よく見れば、タダならぬオーラを纏っている気がする。この子ちょっと怖い。僕は申請を終えるとさらに質問した。

「魔物の核の換金もしてくれるんですか?」
「やってるわよ。」

 僕は昨日狩った虎の核を出し換金する。レートは地上と同じだった。そういえばあんまり考えたことが無かったけど、この核って何に使ってるんだろう? 僕はそれを質問しようと思ったんだけど、女の子の目が睨んでいるように見えたので、怖くて言い出せなかった。

 さて、しばらくはこの村で頑張ろう。本当に終着の村にならないように。
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