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三章 あん・あん、いやあん、第三層
54 装甲を付けた走行
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33日目がスタートした。
「これでいいですの?」
暇武王ギデアが装甲部品を軽々持ち上げて言った。
「そこでそのままでお願いします。溶接して固定します。」
僕は装甲車を組み上げていく。そしてついに完成した。
「アニキ、言われていたものは出来たっす。指示通り塩で・・・ええっと電気とか、全然意味分からなかったっす。」
カッチェに頼んでおいた作業を終えたようだ。
「じゃあ僕はちょっとドライブがてら、スカルドラゴンを始末してきます。」
「軽ぅ! オレ、スカルドラゴンはトラウマなんで、アニキの頼みでも手伝え無いっすよ。」
カッチェが怯えたように言う。
「大丈夫、これ一人乗りなので僕一人で行きます。」
「さすがヨクジョーのアフタ、ソロ攻略とは格が違うっす。」
早く次の通り名に変わらないかな。
「一人で大丈夫ですの?」
心配そうにギデアが聞いてくる。
「大丈夫、十分に準備はしました。」
そう、準備はしたのだ。だが、本当にこれで大丈夫なのかはやってみなければ分からない。
そうして僕は、装甲車に乗って村を出発した。オープンカーの状態と違って視界が悪い。敵の攻撃を防ぐために、四方に小さな穴を開け、広角レンズを仕込んでいるのだ。装甲車はかなりの重量になってしまったけれど、最高時速40km程度は出る。このままボス部屋目指して突き進む。
道なりに進んでいくと、虫系の敵がその辺りを彷徨いていた。しかし装甲車には目もくれない。敵だという認識が無いのかもしれない。とくに戦闘になることも無く、快適に道を抜けていく。徒歩に比べて圧倒的に楽だ。
しばらく快適に進んでいくと、その先に様子の怪しいモヤが浮かぶ空間が広がる。よく見るとそこは墓場だった。道の周りに色々な形の墓石が立っている。来たぞ、ボス部屋周辺の危険ゾーン。
辺りを確認するとやはりいた、スケルトン・・・そしてたぶんゾンビ。マントを纏った怪しい奴もいる。最初に反応したのはスケルトン達だった。一斉に装甲車めがけて殺到してくる。
スケルトン達の最初の歓迎は弓や魔法だ。もちろんスケルトン達の放ったものだ。しかしそれらは装甲車の外装に阻まれ、あっさりと弾かれていく。
僕はアクセルを踏み込む。そして速度を上げ、スケルトン達の中へ突っ込んでいく。ボリボリっという振動が、僕の身体へ伝わってくる。装甲車はフロントの車高を低くして、巻き込みながら踏みつぶす構造になっているのだ。
僕はハンドルを取られないように操作しながら、勢いよく進んでいく。もしここで止まってしまったら、一巻の終わりなのだ。せっかく歓迎会を開いてくれたとはいえ、アンデッド達の同僚になるつもりは無い。
装甲車がスケルトンを踏みつぶすごとに、乾いた感触や装備品を巻き込んだ重い感触が伝わってくる。そしてそれがふわりとした感触に変わった。どうやらゾンビゾーンだ。スケルトンとは違い、最悪なことに真っ赤な汁が出る。おそらく装甲車の下の方は、真っ赤な装飾に彩られていることだろう。ここで注意しなければならないのはスリップだ。真っ赤な汁は滑るのだ。これがゲームとかだと、自主規制で緑の汁だったりするんだよね。
とにかくここでハンドルを取られたら終わりだ。障害物に接触したり乗り上げたりが怖い。急ハンドルは絶対にしてはいけない。しかし敵を踏みつぶすごとに、ガクッと方向が変わってしまうことがあるのだ。意外に慎重な操作を要求される。
どれだけの数の骨を砕き、赤い汁をまき散らしたのかは分からない。とにかく大量だ。普通に攻略する場合、本当にこんな数を相手にして戦うのか? 信じられない。そして残念なことに、せっかくアンデッドを倒しても核を取りに行けないので、とんでもない額の機会損失になっているだろう。
そんなことを思っていると装甲車にかなりの衝撃が加わる。方向が乱れハンドルが取られる。僕は何とかリカバリーするものの、速度がかなり落ちた。装甲車の周囲が炎に包まれている。これは・・・ローブに身を包んだ大柄なアンデッドがやったのだ。かなり強力な魔法攻撃を受けたのだ。
あれはたぶんリッチ。金持ちそうな名前、リッチだ。私は強いですよと言わんばかりに、身体の周囲が青白いオーラで包まれている。相手がリッチだろうとバンパイヤだろうと関係ない。出来るのは踏みつぶすことだけだ。
僕は道の真ん中を塞ぐように立っているリッチに向けてアクセルを踏み込む。リッチは「ヒャッヒャッヒャ」みたいな笑い声を上げていそうなそぶりをしている。雰囲気作りをしてもらって悪いけど、装甲車の中まで音が入ってこない。アンデッドは肉が残っていたとしても腐っているはず。つまり分解が進んで肥料にしやすい状態だ。
「さあ、リッチ、お前を踏みつぶして豪華な肥料にしてやんよ!」
次の魔法を放つ姿勢になっているリッチに向けて、僕は突撃した。
「これでいいですの?」
暇武王ギデアが装甲部品を軽々持ち上げて言った。
「そこでそのままでお願いします。溶接して固定します。」
僕は装甲車を組み上げていく。そしてついに完成した。
「アニキ、言われていたものは出来たっす。指示通り塩で・・・ええっと電気とか、全然意味分からなかったっす。」
カッチェに頼んでおいた作業を終えたようだ。
「じゃあ僕はちょっとドライブがてら、スカルドラゴンを始末してきます。」
「軽ぅ! オレ、スカルドラゴンはトラウマなんで、アニキの頼みでも手伝え無いっすよ。」
カッチェが怯えたように言う。
「大丈夫、これ一人乗りなので僕一人で行きます。」
「さすがヨクジョーのアフタ、ソロ攻略とは格が違うっす。」
早く次の通り名に変わらないかな。
「一人で大丈夫ですの?」
心配そうにギデアが聞いてくる。
「大丈夫、十分に準備はしました。」
そう、準備はしたのだ。だが、本当にこれで大丈夫なのかはやってみなければ分からない。
そうして僕は、装甲車に乗って村を出発した。オープンカーの状態と違って視界が悪い。敵の攻撃を防ぐために、四方に小さな穴を開け、広角レンズを仕込んでいるのだ。装甲車はかなりの重量になってしまったけれど、最高時速40km程度は出る。このままボス部屋目指して突き進む。
道なりに進んでいくと、虫系の敵がその辺りを彷徨いていた。しかし装甲車には目もくれない。敵だという認識が無いのかもしれない。とくに戦闘になることも無く、快適に道を抜けていく。徒歩に比べて圧倒的に楽だ。
しばらく快適に進んでいくと、その先に様子の怪しいモヤが浮かぶ空間が広がる。よく見るとそこは墓場だった。道の周りに色々な形の墓石が立っている。来たぞ、ボス部屋周辺の危険ゾーン。
辺りを確認するとやはりいた、スケルトン・・・そしてたぶんゾンビ。マントを纏った怪しい奴もいる。最初に反応したのはスケルトン達だった。一斉に装甲車めがけて殺到してくる。
スケルトン達の最初の歓迎は弓や魔法だ。もちろんスケルトン達の放ったものだ。しかしそれらは装甲車の外装に阻まれ、あっさりと弾かれていく。
僕はアクセルを踏み込む。そして速度を上げ、スケルトン達の中へ突っ込んでいく。ボリボリっという振動が、僕の身体へ伝わってくる。装甲車はフロントの車高を低くして、巻き込みながら踏みつぶす構造になっているのだ。
僕はハンドルを取られないように操作しながら、勢いよく進んでいく。もしここで止まってしまったら、一巻の終わりなのだ。せっかく歓迎会を開いてくれたとはいえ、アンデッド達の同僚になるつもりは無い。
装甲車がスケルトンを踏みつぶすごとに、乾いた感触や装備品を巻き込んだ重い感触が伝わってくる。そしてそれがふわりとした感触に変わった。どうやらゾンビゾーンだ。スケルトンとは違い、最悪なことに真っ赤な汁が出る。おそらく装甲車の下の方は、真っ赤な装飾に彩られていることだろう。ここで注意しなければならないのはスリップだ。真っ赤な汁は滑るのだ。これがゲームとかだと、自主規制で緑の汁だったりするんだよね。
とにかくここでハンドルを取られたら終わりだ。障害物に接触したり乗り上げたりが怖い。急ハンドルは絶対にしてはいけない。しかし敵を踏みつぶすごとに、ガクッと方向が変わってしまうことがあるのだ。意外に慎重な操作を要求される。
どれだけの数の骨を砕き、赤い汁をまき散らしたのかは分からない。とにかく大量だ。普通に攻略する場合、本当にこんな数を相手にして戦うのか? 信じられない。そして残念なことに、せっかくアンデッドを倒しても核を取りに行けないので、とんでもない額の機会損失になっているだろう。
そんなことを思っていると装甲車にかなりの衝撃が加わる。方向が乱れハンドルが取られる。僕は何とかリカバリーするものの、速度がかなり落ちた。装甲車の周囲が炎に包まれている。これは・・・ローブに身を包んだ大柄なアンデッドがやったのだ。かなり強力な魔法攻撃を受けたのだ。
あれはたぶんリッチ。金持ちそうな名前、リッチだ。私は強いですよと言わんばかりに、身体の周囲が青白いオーラで包まれている。相手がリッチだろうとバンパイヤだろうと関係ない。出来るのは踏みつぶすことだけだ。
僕は道の真ん中を塞ぐように立っているリッチに向けてアクセルを踏み込む。リッチは「ヒャッヒャッヒャ」みたいな笑い声を上げていそうなそぶりをしている。雰囲気作りをしてもらって悪いけど、装甲車の中まで音が入ってこない。アンデッドは肉が残っていたとしても腐っているはず。つまり分解が進んで肥料にしやすい状態だ。
「さあ、リッチ、お前を踏みつぶして豪華な肥料にしてやんよ!」
次の魔法を放つ姿勢になっているリッチに向けて、僕は突撃した。
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